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The Man Who Would Not Die: 死んでたまるか  作者: Operator3118
第6章 灰
116/131

第4話 追跡

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 訓練開始から二週間。


 新隊員たちは、少しずつ馴染み始めていた。


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 その日。


 参謀室に、一本の連絡が入った。


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 「局長」


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 ハーパーが駆け込んできた。


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 「マリーの居場所が判明しました」


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 会議室。


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 局長、ジョンソン、瀧本、ハーパー、ルノー、ミュラーが集まった。


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 「ラオス北部。シェンクワーン県の山岳地帯です」


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 ハーパーが地図を広げた。


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 「ここに、小さな村があります。人口五十人ほど。電気も通っていない」


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 「どうやって見つけた」


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 局長が聞いた。


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 「ラオス警察からの情報です。村に『外国人の女』がいると」


 「確認は」


 「衛星写真で、それらしい人物を確認しました」


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 ハーパーがタブレットを見せた。


 粗い画像。


 村の外れに立つ、金髪の女。


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 「マリーか」


 「おそらく」


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 瀧本が、画像を見つめた。


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 「......痩せてるな」


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 確かに、画像の中の女は、以前より痩せていた。


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 「二週間、山の中を逃げ続けたんだ。当然だろう」


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 ジョンソンが言った。


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 ミュラーが地図を指した。


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 「問題は、ここが国境から百キロ以上離れていることです」


 「ラオス領内か」


 「完全にラオス領内です。我々が勝手に入ることはできません」


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 「ラオス政府に協力を要請するか」


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 局長が言った。


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 「要請はしました。ですが、返答に時間がかかっています」


 「どのくらい」


 「早くて一週間。遅ければ一ヶ月」


 「一ヶ月......」


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 瀧本が口を開いた。


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 「一ヶ月待ったら、逃げられる」


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 「分かっている」


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 局長が答えた。


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 「だが、無断でラオスに入れば、国際問題になる」


 「問題になるのは、バレた場合だろう」


 「......」


 「少人数で入って、マリーを確保して、すぐに出る。誰にも気づかれなければ、問題にならない」


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 ルノーが首を振った。


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 「リスクが高すぎます」


 「高いのは分かってる」


 「失敗すれば、タイとラオスの関係が悪化します」


 「成功すれば、問題ない」


 「成功する保証はありません」


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 瀧本は、ルノーを見た。


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 「俺が行く」


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 「お前が?」


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 「ああ。俺一人で行く」


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 会議室が静まった。


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 「一人で百キロ先の山岳地帯に行って、狙撃手を確保して、帰ってくるつもりか」


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 ジョンソンが言った。


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 「そうだ」


 「無茶だ」


 「無茶じゃない」


 「お前は首を撃たれて三週間だぞ」


 「三週間経った」


 「普通、まだ動けない」


 「普通じゃないから動ける」


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 局長が、瀧本を見た。


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 「なぜ、そこまでする」


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 瀧本は、少し黙った。


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 「マリーは仲間だからだ」


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 「仲間? お前を撃った女だぞ」


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 「撃たれた。だから何だ」


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 瀧本は言った。


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 「マリーは、柏木を愛していた。柏木が死んだ。だから、俺を撃った」


 「......」


 「俺が同じ立場なら、同じことをしたかもしれない」


 「......」


 「マリーは壊れてる。でも、仲間だ。連れ戻したい」


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 局長は、腕を組んだ。


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 「お前一人では許可できない」


 「......」


 「最低でも二人。それが条件だ」


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 瀧本は頷いた。


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 「分かった」


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 「俺が行く」


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 声が上がった。


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 藤原誠一だった。


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 「藤原?」


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 「俺も行かせてください」


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 瀧本は、藤原を見た。


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 「なぜ」


 「瀧本さんを一人にしたくないからです」


 「俺は一人でも大丈夫だ」


 「大丈夫じゃないです。首を撃たれて三週間の人間が、一人で百キロ歩くなんて」


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 ジョンソンが言った。


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 「藤原、お前はまだ新人だ。訓練も終わっていない」


 「分かっています。でも、俺は元SATです。潜入任務の経験があります」


 「経験があっても、この部隊のやり方を知らない」


 「だから、瀧本さんと一緒に行きたいんです。実戦で学びたい」


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 瀧本は、藤原を見つめた。


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 「......本気か」


 「本気です」


 「死ぬかもしれないぞ」


 「死にません。瀧本さんが死なないなら、俺も死にません」


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 瀧本は、小さく笑った。


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 「いい度胸だ」


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 局長が言った。


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 「二人か。......まだ足りない」


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 「俺も行く」


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 また声が上がった。


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 ヨナタンだった。


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 「ヨナタン?」


 「マリーは元同僚だ。放っておけない」


 「お前は......」


 「それに、瀧本と藤原だけじゃ火力が足りない。狙撃手を相手にするなら、俺が必要だ」


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 ヨナタンは、ネゲヴ軽機関銃を担いでいた。


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 「これがあれば、援護射撃は任せろ」


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 局長は、三人を見た。


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 「瀧本、藤原、ヨナタン。三人か」


 「はい」


 「装備は最小限にしろ。見つかったら終わりだ」


 「分かってます」


 「ラオス政府には何も言うな。独断行動だ」


 「了解」


 「失敗したら、お前たちを助けに行く手段はない」


 「覚悟してます」


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 局長は、溜息をついた。


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 「......行ってこい」


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 出発は、その夜。


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 本部の裏口。


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 瀧本、藤原、ヨナタンの三人が、装備を整えていた。


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 瀧本。


 ベレッタM93R。


 バイクは置いていく。今回は徒歩だ。


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 藤原。


 HK416コンパクト。SIG P320。


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 ヨナタン。


 タボールライフル。ネゲヴ軽機関銃。ジェリコ941。


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 「重装備だな」


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 瀧本が言った。


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 「何が起きるか分からないからな」


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 ヨナタンが答えた。


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 スヨンが、瀧本のところに来た。


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 「気をつけて」


 「ああ」


 「また撃たれないでね」


 「努力する」


 「努力じゃなくて、約束して」


 「......約束はできない」


 「じゃあ、生きて帰るって約束して」


 「それなら約束できる」


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 スヨンは、瀧本を抱きしめた。


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 「待ってる」


 「ああ」


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 三人は、夜の闘に消えた。


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 国境までは、車で移動。


 国境を越えてからは、徒歩。


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 百キロの山岳地帯を、三日で踏破する計画だった。


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 二日目。


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 山の中。


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 「瀧本さん」


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 藤原が声をかけた。


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 「何だ」


 「少し休みませんか。顔色が悪いです」


 「大丈夫だ」


 「大丈夫じゃないでしょう。首の傷が......」


 「大丈夫だって言ってる」


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 瀧本は、歩き続けた。


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 確かに、顔色は悪い。


 汗が滲んでいる。


 息が荒い。


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 ヨナタンが、瀧本の隣に来た。


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 「無理するな」


 「無理してない」


 「してる。俺には分かる」


 「......」


 「十分休もう。それで、また歩ける」


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 瀧本は、足を止めた。


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 「......五分だ」


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 三人は、木の陰に座った。


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 「瀧本さん」


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 藤原が聞いた。


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 「マリーさんって、どんな人ですか」


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 瀧本は、空を見上げた。


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 「強い女だ」


 「強い?」


 「ああ。狙撃の腕は、俺たちの中でもトップクラスだった」


 「......」


 「でも、脆いところもあった」


 「脆い?」


 「昔、民間人を誤射したことがある。それがトラウマになってた」


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 ヨナタンが続けた。


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 「マリーは、柏木に惹かれていた」


 「柏木元総隊長に?」


 「ああ。柏木は強かった。カリスマがあった。マリーは、その強さに惹かれたんだと思う」


 「......」


 「でも、柏木は壊れた。マリーは、壊れた柏木についていった」


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 瀧本が言った。


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 「マリーは、柏木を止められなかった自分を責めてるはずだ」


 「責めてる?」


 「ああ。だから、俺を撃った。柏木を殺した俺を」


 「......」


 「でも、それは間違ってる。柏木を殺したのは俺だが、柏木を壊したのは俺じゃない」


 「......」


 「マリーにそれを伝えたい。だから、連れ戻す」


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 藤原は、黙って頷いた。


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 「さあ、行くぞ」


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 瀧本が立ち上がった。


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 「目標まで、あと四十キロだ」


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 三日目。


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 夜明け前。


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 三人は、村を見下ろす丘の上にいた。


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 小さな村だった。


 茅葺きの家が十数軒。


 煙突から煙が上がっている。


 人影は、まだ見えない。


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 「あそこだ」


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 ヨナタンが双眼鏡で確認した。


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 「村の外れ。小屋が一軒ある」


 「マリーは」


 「......いた」


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 小屋の前に、女が立っていた。


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 金髪。


 痩せた体。


 手に、ライフルを持っている。


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 マリー・デュポンだった。


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 「見つけた」


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 瀧本が呟いた。


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 「さあ、連れ戻すぞ」

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