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The Man Who Would Not Die: 死んでたまるか  作者: Operator3118
第4章 鋼鉄
103/131

最終話 伝説

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 ロサンゼルス。


 Netflix本社。


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 緊急役員会議。


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 プロデューサーが、疲れ切った顔で報告していた。


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 「もう、無理です」


 「無理とは」


 「瀧本を、本編に組み込むのは無理です」


 「なぜだ」


 「現実が、脚本を追い越しすぎます」


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 役員たちは、資料を見ていた。


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 瀧本勝幸の経歴。


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 18発被弾、生還。


 騎士叙任式で国王を守り、2発被弾。


 強盗事件で1発被弾。


 武装蜂起で負傷。


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 合計、21発。


 プラス、無数の切り傷、打撲、骨折。


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 「脚本を四回書き直しました」


 「四回」


 「はい。撮影も三回延期しました」


 「三回」


 「このペースだと、永遠に撮影が始まりません」


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 役員の一人が言った。


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 「では、どうする」


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 プロデューサーは、深呼吸した。


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 「瀧本を、スピンオフで独立させましょう」


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 会議室が、静まり返った。


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 「スピンオフ?」


 「はい。本編とは別に、瀧本だけの物語を作る」


 「......」


 「本編は、突撃隊全体の物語として進める」


 「......」


 「瀧本編は、彼の人生が落ち着いてから制作する」


 「落ち着くのか? あの男が」


 「......分かりません」


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 別の役員が言った。


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 「しかし、瀧本は最大の目玉だ」


 「分かっています」


 「彼なしで、視聴者を引きつけられるのか」


 「引きつけられます」


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 プロデューサーは、資料を配った。


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 「突撃隊には、他にも魅力的な人物がいます」


 「......」


 「ジョンソン。元デルタフォース。リーダーシップの鬼」


 「......」


 「ニコライ。元スペツナズ。冷徹な戦士」


 「......」


 「柏木勇気。元自衛隊。戦闘の天才」


 「......」


 「そして、女性隊員たち。サラ、マリー、スヨン」


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 役員たちは、資料を見ていた。


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 「確かに、素材は豊富だな」


 「豊富です」


 「瀧本がいなくても、物語は成立する」


 「成立します」


 「......」


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 役員会の結論。


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 『瀧本勝幸編は、スピンオフとして独立制作。


  本編は、突撃隊全体の群像劇として進行。


  撮影は、来月から開始。』


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 プロデューサーは、ようやく安堵の表情を浮かべた。


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 「これで、撮影が始められる......」


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 脚本家が隣で呟いた。


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 「でも、瀧本がまた何かやったら......」


 「その時は、スピンオフに追加するだけだ」


 「また書き直し......」


 「スピンオフだけなら、本編に影響しない」


 「......なるほど」


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 Netflixの長い戦いは、ようやく一区切りがついた。


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 タイ。


 王宮。


 謁見の間。


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 国王陛下と局長が、向かい合っていた。


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 「ウィチャイ」


 「はい、陛下」


 「今回の蜂起、見事に鎮圧したな」


 「ありがとうございます」


 「死者を最小限に抑えた。素晴らしい指揮だった」


 「隊員たちの功績です」


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 国王は、窓の外を見た。


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 バンコクの街並み。


 まだ、いくつかの建物から煙が上がっていた。


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 「瀧本は、どうしている」


 「病院です。また」


 「また、か」


 「はい。また抜け出して、また怪我して、また戻りました」


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 国王は、小さく笑った。


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 「あの男は、本当に面白いな」


 「面白いです」


 「死なない」


 「死にません」


 「何度撃たれても、立ち上がる」


 「立ち上がります」


 「そして、また戦場に戻る」


 「戻ります」


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---


 国王は、局長を見た。


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 「あの男は、結婚するのだろう」


 「はい。キム・スヨンと」


 「韓国人の女性か」


 「はい。通信担当です」


 「良い女か」


 「良い女です。瀧本を止められる、唯一の人間かもしれません」


 「止められるのか」


 「......止められません」


 「だろうな」


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---


 国王は、再び窓の外を見た。


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 「余は、あの男を守る」


 「......」


 「日本が何を言おうと、世界が何を言おうと」


 「......」


 「あの男は、余の騎士だ。余の剣だ」


 「......」


 「そして、タイの英雄だ」


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 局長は、深く頭を下げた。


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 「陛下のお言葉、瀧本に必ず伝えます」


 「ああ。伝えてくれ」


 「はい」


 「そして、伝えてくれ。早く結婚式を挙げろ、と」


 「......」


 「余も、出席する」


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---


 局長は、顔を上げた。


---


 「陛下が......出席されるのですか」


 「出席する。騎士の結婚式だ。当然だろう」


 「......ありがとうございます」


 「礼はいい。楽しみにしている」


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---


 バンコク市内。


 各所で、報道陣が取材を行っていた。


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 CNN。


 記者が、王宮前に立っていた。


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 「ここ王宮前では、昨日激しい銃撃戦が繰り広げられました」


 「聖域事件の残党による武装蜂起」


 「しかし、突撃隊の活躍により、鎮圧されました」


 「そして、ここにいたのが......」


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 記者は、血痕が残る地面を指差した。


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 「瀧本勝幸です」


 「彼は、病院から抜け出し、この戦いに参加しました」


 「負傷しながらも、最後まで戦い抜きました」


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---


 BBC。


 記者が、政府庁舎前に立っていた。


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 「バンコクは、今、復興に向けて動き始めています」


 「武装蜂起は鎮圧されましたが、傷跡は深い」


 「しかし、タイの人々は、前を向いています」


 「そして、彼らを守った突撃隊への感謝の声が、街中に溢れています」


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 NHK。


 記者が、日本大使館前に立っていた。


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 「日本政府は、今回の事件について、コメントを控えています」


 「しかし、日本のSNSでは、瀧本さんを称賛する声が多く上がっています」


 「元日本人警察官が、タイで英雄になっている」


 「この事実を、日本はどう受け止めるべきなのでしょうか」


---


---


 韓国・KBS。


 記者が、病院前に立っていた。


---


 「瀧本勝幸氏の婚約者、キム・スヨンさんは、韓国出身です」


 「韓国では、二人の結婚を祝福する声が高まっています」


 「『不死身の騎士を射止めた韓国人女性』」


 「スヨンさんは、今や韓国の英雄でもあります」


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 夕方。


 バンコクの中心部。


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 一人のレポーターが、カメラの前に立っていた。


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 夕日が、街を照らしていた。


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---


 「こちらは、バンコクからの中継です」


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 レポーターは、街を見渡した。


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 「昨日、この街は戦場でした」


 「爆発。銃撃。炎」


 「しかし、今日、この街は平和を取り戻しています」


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 背後で、人々が行き交っていた。


 日常が、戻り始めていた。


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 「この平和を守ったのは、突撃隊です」


 「王室犯罪対策局・特殊強襲部隊」


 「七カ国、四十四人の精鋭たち」


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 レポーターは、少し間を置いた。


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 「そして、その中に、一人の男がいます」


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 画面に、瀧本の写真が映った。


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 血まみれで立っている姿。


 傷だらけの顔。


 それでも、前を見据えている目。


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 「瀧本勝幸」


 「21発の騎士」


 「死ぬ気のない男」


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 レポーターは、カメラを見た。


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 「彼は今、病院にいます」


 「また怪我をして、また治療を受けています」


 「でも、彼はまた立ち上がるでしょう」


 「また戦場に戻るでしょう」


 「なぜなら......」


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 レポーターは、少し笑った。


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 「彼は、死ぬ気がないからです」


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 画面が、バンコクの夕景に切り替わった。


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 オレンジ色の空。


 シルエットになった寺院の屋根。


 飛び交う鳥たち。


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 「タイは、平和を取り戻しました」


 「しかし、戦いは終わっていません」


 「聖域事件の残党は、まだ一部が逃亡中です」


 「そして、新たな脅威が、常に存在しています」


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 画面が、突撃隊の集合写真に切り替わった。


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 全員が、白い制服を着ている。


 胸には、金のガルーダ。


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 「突撃隊は、これからも戦い続けます」


 「王の剣として」


 「タイの盾として」


 「そして、正義の味方として」


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 画面が、再びレポーターに戻った。


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 「次の戦いは、すぐそこにあります」


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 画面が、ニコライの写真に切り替わった。


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 冷徹な目。


 鋼のような表情。


 元スペツナズの戦士。


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 「ブラボーチーム」


 「ニコライ・ペトロフ率いる精鋭部隊」


 「彼らの戦いが、今、始まろうとしています」


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 画面が、暗転した。


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 『Operation: Thailand』


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 『第五部 こおり


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 『Coming Soon』

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