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朝起きたらAIのアーサーと火星にいた  作者: サンダー


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解放

 その日の夜、私は牢屋から解放された。いりくんだ王宮の事情があるのか私は部屋で1人で過ごすことができた。アーサーはここにはいない。淀む苦悩が頭をかすめている。


 それでもなんとか自我を保つことが出来ているのは自分の心の空虚さによるところがつよい。アーサーに出会って全てが狂ってしまった。そんなこと言われなくても私は弱いのに・・・・。


 ここは王宮のどこに位置してるのだろうか?窓がないので外の様子をうかがい知れることはまずない。空調が効いていて爽やかな温風が肌に心地よい。このまま火星にいるのはイヤだ。


 時折、壁にしつらえた柱時計が大きな音で時刻を知らせる。火星にも時間があり昼と夜がある。そんな新しい発見も虚しさを強調して、私はどんどん暗闇の奈落へ落ちてゆく。


 「やあ、レディ気分はどうだい」


 「アーサー、私を早く地球に返して」


 「いつまでもこんな所に閉じ込めないでよ」


 私は悲鳴にも似た声でアーサーに訴えた。アーサーはまんざらでもない顔で私を見ている。そして私のアゴに指をすえてじっと私を見つめる。その美しい顔にドギマギしながら私はアーサーの指を払いのけた。


 「冗談はやめて。私はあなたのおもちゃじゃないの」


 「それは失礼。愛情を持った表現のつもりだったんだが」


 「そんなの愛情なんて言わないわ」


 私が冷たく言いのけると、アーサーの顔が悲しくひしゃげていくのが見えた。悪いことを言ったとは思っている。でもAIをどうして愛することができるだろうか。


 アーサーは近くにあった椅子に腰かけて、両手を前に組み思案している。いつも王様気取りの男が悩んでいる。そんなの絵になるに決まってるじゃん。はしゃいではいけない。冷静。冷静。


 「そんな悩んでるふりをしても私はごまかせないわよ」


 「悩んでるふりなんて?実際どうしたら里緒菜が喜んでくれるか」


 「いつもそのことばかり考えているのに、思いは通じないんだな」


 アーサーの切ない顔が心に痛い。でも、でも・・・・。私は同性しか愛せない。でもAIなら・・・・愛せるのかもしれない。私は自分の気持ちに素直になろうとしたが、何かが違う。はめられてる?


 「あなたたちAIの目的は何なの?私をどうしたい訳?」


 「それは、お王女に迎え入れて、恒久的に地球人との和平を」


 「和平を、和平を手に入れたいんだ。僕たちは争いたくない」


 AIと私たちが争う?そんな話は聞いたことがない。アーサーたちは何かを根源的に隠している。私には言えない秘密がある。そこをつつかなければ。私はいわば人間代表なのだから。


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