詩 季節に憎まれている
俺は季節に恨まれている
春にとことん恨まれている
夏にはかなり恨まれている
秋にもとても恨まれている
冬なんてもう恨みしかない
俺は季節に憎まれている
うららかな春に憎まれている
すっきりとした夏に憎まれている
情緒ある秋にも憎まれている
寂寥感たっぷりの冬にも憎まれている
俺は季節に嫌われている
顔も見たくないと春に嫌われている
もう言葉も交わしたくないと夏に嫌われている
存在ごと消し去りたいと秋に嫌われている
誕生ごと改変したいと冬に嫌われている
俺は季節と生きてはいけない
俺は季節と歩んではいけない
俺は季節と仲良くできない
俺は季節に含まれていない
「ストーリー」
季節に嫌われた男、それが俺だ。
季節の変化に伴って成長、老化していくのがこの世界の住人の特徴なんだが、俺はそうじゃないみたいだ。
だから俺は、この世界特有の季節という祝福を持っていないのさ。
それはたぶん俺の祖先が第五の季節を消し去っちゃったからかもしれない。