プロローグ
春が過ぎ初夏に入る5月の初め頃
誰もが普通を疑わず日常を生きる街の片隅にて
人知れずそれは起きていた
「目標に見つかった」
そうスマホに呟くのはセーラー服を纏う女の子
黒髪長髪で凛とした雰囲気を纏うその子は刺すような視線で目前の男を睨む
「尾行に気付いて人気の無いとこまで移動してたみたい」
右肩と耳でスマホを挟み左肩に掛けた学生カバンに手を入れる
それを見ていた男はポケットの両手を静かに引き抜きゆっくりと構える
その手には何も無くとも非常に危険であることを少女は知っている
「10分程か…大丈夫」
スマホの向こうに返事をしつつカバンの中の物を掴み、
『復元』
それを引き抜く
柄が顔を見せ続くように金属部分もカバンから伸びるように出てくる
おおよそ教科書程度しか入らないような学生カバンからは考えられないような長さのそれは確かに刀と呼ばれる1本だった
「それまで時間を稼ぐ」
スマホを入れカバンを落とす
刀をほどよく握り締め構える姿からは修練を重ねた熟練者であることを伺えさせる
端から見れば不利であろう男はその姿を見てもまるで自らが優勢であると疑わぬように口角を吊り上げ笑う
「もういいよなぁ?」
と問いかける男に少女は
「待ってくれるなんてずいぶん紳士的だな、君がやったことからは想像付かなかったよ」
と投げ返す
「やっぱ知ってるか…警察か?」
「正式な警察官じゃないけどそんなとこ」
一息おいて力強く所属を名乗る
「対超能力犯罪特捜部所属の姫野瑞希!君をここで拘束させて貰う!」
二人は走り出す