ショートストーリー1 「深夜徘徊」
缶コーヒーを片手に
少し冷たい空気に肌を震わせながら
将来への不安と焦燥を抱える
深夜11時半
いわゆる深夜徘徊をしていた
然程発展していない中途半端な街に乗り出し、自分が嫌いなりながら歩く。
何処に行くわけでもなく
目的のない散策。
明るい将来を夢見る。
敏感な思春期の少年。
昼の楽しそうな他人の声を思い出し、虚しくなる。
自分だって月並みな経験をしたい。
友達が欲しい。
彼女が欲しい。
いくらテストの点数が良くても
社交性がないのなら意味はない
ギフテッドのように特段頭がいいわけでもないから
ある特定の分野を極めることもできない
何に才能があるかすらわからない
そもそも才能を探す努力すらしない
何もしないしどうせできるはずがない
半ば諦めて何もしない人生を送っている。
何もしたくない
何をしても上手くいかない
将来の夢も
憧れの人も
何もわからず、曖昧な思考で脳を回転させながら。
ただ、不安と焦燥をぼんやりと抱えながら。
ただ、明日世界が滅ぶことによる外来的な死を望んでる。
スマホの画面が0:00を表示し、
今日
世界が滅亡しないことが確定する。
また面倒な今日が始まる。
とりあえず家に帰って正直に朝日が昇ることを受け入れよう。
少年は、明日が始まる絶望と
いつかこのつまらない日々が変わることを願いながら
今日も帰路につく。