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<R15>15歳未満の方は移動してください。

妖精の愛し子は建前をかなぐり捨てたい

作者: 安野のーぼ

Feliz ano novo!生存報告がてら投稿。正月休みの軽い読み物として。

正月ボケで色々ミスありましたが足し算間違っていたので修正。

18足す15は33歳ですね!あは…(汗)



「どーして、どーして、どーして…このタイミングなのよ!」


憤懣(ふんまん)やるかたなしと叫ばずにはいられない、私ことエリザベス・ミューラー。


「怒っちゃダメー」

「愛し子はボクたちに会えて嬉しくないの?」

「あ、でも貢ぎ物は用意してあるじゃん!コレ美味しい!貰うね!」


憧れていた幼少期ならともかく、ハッキリ言って嬉しくない。

私の血筋は稀に「妖精の愛し子」が生まれる貴族の家系だ。

気まぐれによるものらしいが、妖精王はたまに人間界に渡ってきて人に加護を与える。

私は幼い頃家の本棚にあった数々の伝承話から妖精の世界に憧れ、そのお姿を一目見んとせっせと自分のオヤツを窓際にもっていっては祈りを捧げたものだ。


そんな初恋めいた憧れも新たな恋の始まりと共にいつしか忘却の彼方へ飛びさっていたのだが、ある日唐突にこの世のものとは思われぬ美しい男性が目の前に現れ、面食らっているうちに「遅くなってごめんね。加護を授けるよ」と言ってフッと笑い、額にキスをして消えたのだ。イケメンショックで断る間も与えて貰えなかった。


何が不味いって。

長年想いあっていた婚約者、幼馴染の騎士アルターと結婚する目前。

なんならもうドレスも仕上がっているであろう結婚式の一週間前。

このタイミングで王宮に「愛し子」として召し出されそうな事態になろうとは!!


「ア、アルター…」

「………」


一緒にいたアルターは唇を引き結び、蒼白となっている。

どうやら彼にも妖精王の姿は見えていたらしい。

今もブンブン羽虫のように飛んでいる小妖精の声は聞こえてはいないようだが、婚礼用に検討中だった目の前のご馳走のうち、菓子ばかりがバリボリと空中に消えていく様を虚な目で眺めている。やがて彼が席を立った。


「…王に、報告しなくては」

「やめて!」


わたしたちの結婚式はどうなるの?18で大人になるから、その日に式を挙げようって言ってたじゃない!「待ち遠しい」って!「早く妻にしたい」って!

唇へのキスすらその日まで我慢していたのに!


「国の有事だ。こういうことは、僕等だけで判断してはいけない!」

「そんなっ!待って!」


パニックになったアルターは誰かの判断を仰ぐためそのまま駆け足で去っていってしまった。騎士である彼に私の足で追いつくなど絶望的に不可能だ。

私はお家柄、妖精の愛し子が発覚のち国にどう扱われるかを知っている。


自然と関わりの深い妖精達の声を聞いて王に進言し、自然災害などを防ぐという役割。

その為には当面「清らかな乙女のままでいなければいけない」ということ。

その期間は他により力の強い「愛し子」が現れるか、「15年」という任期を終えるまで。

というのも妖精の加護を受けとれるのが今まで幼な子であったからだ。大人になるにつれ加護は自然と薄れ消えるとされている。

ここ数年、この国の愛し子は不在だった。

いなければいないで王の采配次第で何とかなるが、いれば大変役立つありがたい存在。


生真面目なアルターの性格では、国に黙ってしれっと結婚するなんて選択肢は無かったに違いない。しかしこれから私達はどうなってしまうんだろう?



──結果として、帰巣本能でアタフタ家にたどり着き両親に相談したアルターはそのまま父親に王の元へと連れていかれ、王の審判によりその場で両家に対し婚約解消の命が下った。私としては悪い意味での予想通りだったが、アルターはショック続きで家に帰るなり倒れ臥したという。王命による「婚約解消」…彼は妖精王の登場にビックリしすぎてそんなことも予測つかなかったのか。

ああでも、結婚式は豪華な料理にしようと特に菓子に贅を凝らした私の趣向が不味かったのかもしれない。まさか今更妖精王がホイホイ釣れてしまうなんて、なんてこと。

しかも婚約者の目の前でイケメンに(額にだが)キスされて一瞬ポケッとしてしまうなんて、なんたる迂闊っぷり!


戦々恐々な私は翌日王宮に呼び出され、あと一週間で18才の成人だから早々にこの能力はなくなるかもしれないということを王に正直に伝えたのだけれど。

18を過ぎても精霊の声が聞こえたという前例はあるらしく、そのまましばらく王宮に留まることを余儀なくされた。妖精の声が聞こえないふりをしても無駄なようで、王宮の贅沢な菓子を私の目の前に置くと虚空に少しずつ消えていくのが妖精が私の周りにいる証明となってしまう。家の者が罰せられるのも国が傾くのも嫌ではある為、仕方なしにしばらく王の相談役を務めるしかなかった。それなりの慰謝料と報奨とともに。


「──最悪の誕生日!」


こんな新たな門出はいらない。

本来なら今日は結婚式だったはず。アルターは今頃どうしているんだろう?

最初は融通のきかない彼の所業に怒りも湧いたが、「倒れた」と聞いて心配もしていた。

相変わらず妖精達は自由にかしましく好き勝手喋ってる。

大人になりきれない自分の精神のせいか、はたまたスタートが遅かったせいか、彼らが見えなくなる気配も一向にない。


「今日は雨だね」

「明日も雨だね」

「ベスも暗くてうっとおしー」


この程度のことでいちいち王に報告しない。てか勝手に友達ヅラで愛称呼ぶな。

「ベス」…あと数日だと愛おしそうにその名を呼び耳元に口付けるアルターの声が、今も頭から離れない。

結婚式の「延期」だというならまだ耐えられたかもしれない。だがここ数年愛し子はどこの国でも稀にしか発現していないことから、任期いっぱい務めることを前提に「婚約解消」の運びとなったのだ。つまり18+15=33歳まで私は処女のままということが確定。

一方将来有望なアルターは、どうやら他の婚約者を宛てがわれるようだと聞いた。

彼は悲劇の人として周りに同情され、今回の忠臣ぶりに王も「次の婚約は悪いようにはしない」と言っているようだ。長年の付き合いで彼はそんな計算などできない人だと知ってはいるが、心の傷が癒えればきっと王の肝入りで素敵な女性を紹介されるのだろう。

正直「ずるい」と思った。ワンワン泣いて妖精達に愚痴をこぼし、それでも私の元を離れないチビちゃん達の呑気さにいつのまにか絆されていく。人の世の(ことわり)に縛られない、自由闊達な子達。


その後私は半年ほど王宮に滞在したのち、王と相談し地方を巡回することとなった。それぞれの地の領主に直接愛し子として言葉を伝えた方が対応も早いだろうというのもあったが、ハッキリ言って別の目的だ。アルターの結婚相手の噂など露ほども耳に入れたくはなかった。いつか彼の幸せを願えるようになったら妖精にでも彼のその後を聞けばいい。

それまでは心の奥に封じ込めて。


国中を巡りながら他国の凄惨な被害も耳にするうち、私は愛し子としての責務を実感しやりがいを見出すようになり、時に国境を越え日々人助けに邁進し…気付けば、15年の歳月はゆうに過ぎ歴代随一の愛し子として崇められるほどの存在になっていた。妖精達にプライベートが明け透けなのにもだいぶ慣れ、もうすぐ40に手が届きそうだが、日々必要とされ妖精の声が聴こえる限り任期もずるずると延長される。王も世代交代し姉のような相談役として辞めどきが最早(もはや)分からない。


時が巡り巡って、今日もまた新しい護衛騎士見習いの女性が配属される日。

あの時結婚してたらこのくらいの子がいたのかも…と思いながらそのキラキラとした眼差しを受ける。どうやら私は王に準ずる護衛対象として人気らしいと数年前に聞いたので(妖精への貢ぎ物として地方の名産品を奉ずるグルメな旅であること、夜遊びしないので危険度が低く比較的守りやすいことなど)、人気職を勝ち取った故の誇らしげな笑顔かと思っていたんだけれど。


「実は、亡き父の最後の言葉を伝えるために愛し子様のおそばに(はべ)ったのです」


彼女…リエラと二人きり(背後で妖精達は相変わらずかしましい)になった時、言いにくそうにそう伝えられた。


「亡き父…とは?」

「アルター・スタインを憶えておられますでしょうか?」


思わず息を飲んだ。忘れもしない、かつての恋しい人。

軽く恨みはしたが、早死になんてそんな不幸を願おうとまでは思わなかった。


「彼は…幸せでしたか?」

「父は母と政略で結婚しましたが、それなりに幸せだったように娘の私の目からは見えました。怪我が元で早くに亡くなりましたが…今際の際に間に合った私に『来世こそ…ベスと…』そう告げて亡くなりました。私は父に剣の師事を受けていたのですが、どこか捨て身の無茶な戦いぶりにそれで納得がいき。ですが、我が母には咄嗟にその言葉を告げられず…。

『ベス』という女性が愛し子様のことだと調べると同時に当時の婚約の事情も知り、ならばと愛し子様に父の最後の言葉を伝える為、ここまで参上した次第です」


「……そう」


バカな人。子供まで作っといて、最後まで奥さん大事にしなさいよ。

私は一生一度の恋を諦めたのだから、後悔したくないと思って今までがむしゃらにやってきたのよ。

と、そこまで考えて、ふと気づいた。


「アル?アルター?いるんでしょ?」


私の声にかしましかった妖精達がピタっと静かになった。

後ろの方からおずおずと一匹の小妖精が現れる。

わりと無口なその子を皆「アル」とよんでいた。


「よっくも今まで黙っててくれたわねー!」

「あの、父がその辺にいるんですか?」


アルがビクッと体をすくめる。


「どうやらこっそり小妖精に生まれ変わっちゃったみたいよ。気づかんかったけど」

「なんてこと!父上、それでは想いを遂げることも叶わないじゃないですか!」


「だって…だってベスのそばにいたいって最後願っちゃったんだもの…」


小妖精らしく舌足らずにとつとつ語るアル。そうよね…小妖精さんは本能優先だからそうなるよね。それで満足しちゃってたんだ。

「なんのためにここまで…私のしたことは…」とブツブツ呟く娘さんに経過説明するこっちの身になれっての。


「来世願うほど強い想いならなら私の任期上がりくらい待ちなさいよ!」

「来世に時を経て結ばれるロマンスは?そんなに堪え性無くてどーすんですか父上!」


女二人に散々罵倒され、妖精のアルはちっちゃな体をますます縮こませる。

いい加減二人とも息が上がってゼーハーしてきた。


「…ごめんなさいね、つい…あなたのお父上なのに…私が今更割り込んでお母様が不幸になることを望んでいるわけじゃないのに…」

「いえ。それに、私は愛し子様も幸せになる権利があると思っているので」


リエラがニパっと笑う。やだこの子イケメン。

そう思って見ればちょっとアルターの面影もあるわ。

おばさんになるにつれて奥に押し込んだ乙女心が今更疼いちゃいそう。


「父が不甲斐ないので、不肖私めが敬愛する愛し子様を幸せにしたいなと。あなた様の今の望みはなんですか?出来うる限り叶えたいと思っております」

「私…私の望みは…」


愛し子になってから今まで、行動原理はいつだって誰かの為。

結婚…したかった。リエラみたいな、こんな素敵な娘欲しかった。

でもその前に。


「わ…私、男の人とその…キスもまだで…」

「ほんと父上何してたんだ」

「リエラはその…経験あるの?」

「婚約者とは一応」

「いいなぁ…」


告げる時ちょっと顔を赤らめたリエラが可愛い。そして20ン年を経た久々恋バナ楽しい。


「もうね…もう一度『恋』とか…願っても、無理よねぇこの歳じゃ」

「無理じゃないです!無理じゃないです!断然見た目も若いっすよエリザベス様!」


リエラの猛プッシュに気持ちも華やぐ。久々のガールズトークに妖精達もなんだかガヤガヤしてきた。


「実はまだ告げてなかったんですが…私には兄もいまして…」


「アル…私と別れてから結構すぐ子供作ってたのね…」と私が思わずいる方を見上げ半目になると、リエラが慌てて「そこは政略婚なんで一旦置いといてください」と手を振りつつ


「兄の初恋ってのがそもそも父が隠し持っていた絵姿のエリザベス様だったんで、どうも兄は未だ年上好みらしく。恋に落ちるかどうかさておき、一度兄に会ってやって頂けませんか?兄は若い頃の父に似ているとも言われていますし」

「え、なにそれ見てみたい」


是非そうしましょうそうしましょう♪…と女二人であれよあれよという間に里帰り企画が盛り上がり、久々に王都に戻ることになった。王に「これからは恋に生きます!」と勇退を宣言し(文句は言わせぬ)、リエラと共に故郷へと帰る。妖精達もうるさくそこまでついてきたが、「アル」だけが終始ムスッと無言だった。


「初めまして、愛し子エリザベス様。リエラから話を伺い、お会いできる日を楽しみにしておりました。リエラの兄のジャン・シェインです」


リエラそっくりにニパッと笑う。やん、やっぱりこっちもイケメン。

確かにアルターに似ているところもあるけれど、より背が高くガッシリしてそう。

美丈夫に見惚れる私に「アル」が怒ってるみたいだけどそんなの知ったこっちゃないわ。


お母様の女伯爵にまでお会いするのはちょっと気が引けたけれど、むしろ「一度お話してみたかった」と言われ、その後のアルターについても聞けば色々と話してくれた。明るい気さくな方だったので、きっとアルターも救われた面があるのだろうなとホッと胸を撫で下ろす。

あの後アルターは伯爵家の婿養子に入ったらしい。子爵家の三男のまま私と結婚したら騎士のお給料のみでやっていくつもりだったから、それよりかは経済的ゆとりも随分あった様子で。婚家での肩身はちょっと狭かったかもしれないが暮らしぶりを聞くだに素敵な奥様に子供達に囲まれていて…。それでも思い出したかのように最後私に執着するなんて、周りがちゃんと見えて無かったのかしら?悲惨な生活を送る人々を目の当たりにしてきた身としては、「最後までちゃんと幸せを享受しなさいよ、もう!」と思わず妖精のアルを睨みつけてしまった。アルがビクッと肩をすくめる。

人として真面目だから「自分だけが幸せを感じるなんて、私に悪い」とでも考えちゃったんでしょう?

ほんと、バカね。本能で生きてる小妖精の今は…あなた幸せ?


「…それで、どうですか?」

「…え?どう…とは…?」


女伯爵の問いに一瞬、妖精のアルの反応でも聞かれたのかしら?と思ったのだけれど。


「やはり、貴方を傷つけた相手の息子では恋愛対象にならないかしら?」

「ええー!いくらなんでも申し訳なく今更後継だって産めるかどうか!ご冗談を!」

「後継はほら、いざとなればリエラの子という手もありますし」


冗談ではないらしく、ジャンも頬をうっすら赤く染めている。

いや、アルターの忘れ形見を確かにこの目で見たいと思ったし、いい加減理由つけて王の相談係を引退したいとは思ったよ?

ハッまさか王が早まって裏で脅してたり…ね、ホラ?そんな事情?あったりしない?


「王から『愛し子の恋の相手は誰か』と調査に入られた時、自ら名乗りをあげました。ですからこれは私の意志でもあります。リエラからの手紙を受け取り、そして母から当時の事情を伺いました。『これからのあなたを幸せにしたい』──それが愛し子様のこれまでの行いを敬う私達国民の願い。それがこの手で叶えられるのならば光栄ですが、決して無理強いは致しません。ただ、私では役不足ですか?」


素敵な男性に真摯な瞳で口説かれて…ダメよ、乙女心仕事しないでってばホント今更。

そうして庭園の散歩に誘われて、気づいたら二人きりで(後ろでアルが他の妖精達に羽交い締めにされてたけど)エスコートされ…私ってば何というチョロさ。


初めてのキスにうっとりとしている間にいつの間にか婚約OKしていて。

用意周到に根回しされ皆に祝福されるひと月後の結婚式に、思わず頬をつねったわ。


無事めくるめく初夜を終え…気づけば、妖精達は見えなくなっていた。

ただ一人「アル」を除いて。そのアルも、もはや淡い光として見えるだけ。

気配だけのアルは拗ねるようにチカチカと瞬く。しょうがないでしょ?私だってこういうの人生一度は経験してみたかったのよ?アルターばっかりずるいじゃない。


いずれ離れるかと思ったアルは結局そのまま居座り、奇跡的に生まれた我が娘の守護妖精となったようだった。娘に「アルと名乗る妖精が見える」と告げられた時の驚きと言ったら!

そのまま娘は次代の「愛し子」となったが、妖精王から直接加護を受けた私ほどの力はなく、王宮でも色々アルに助けてもらっている様子。


そのアルが久しぶりに私の元へと戻ってきた。私の介護をする優しい夫の肩向こうに、心配そうなアルの表情が見える。

光でなく妖精の姿で見えるということは、もうすぐ私も人の世の(ことわり)から外れるということ。

ジャンに幸せにしてもらったし、総じて悪い人生じゃなかったわ。

もう充分生きたし、満足よ。


アルが私の胸元に来たのでそっと抱き締める。一緒に逝くつもりなのね?

ホント今のあなたは本能のままね。でも来世の約束はしないわよ。


ただ…次また人間に生まれ変わったら、お互いもうちょっと正直に生きましょ?

…ね!

欄外に「だからどうした?」という感じの構想メモや設定注釈、削った文章などをつらつら載せる癖がありますが、基本「設定は一切無視しても話が通じて気楽に読める本文にしたい」と思っています。


覚え書として欄外はネタばれ要素やイラストにイメージ違いがあるやもしれませんので、読み飛ばし推奨です。もしも読み返す機会があるようでしたら舞台裏や書き手の脳内妄想の参照をお好みで。


挿絵(By みてみん)


<長くなると思って言及をやめた裏設定>


いわゆる「妖精達の存在を信じる者が多ければ多いほど妖精の力が強くなる」世界観。

リエラと話し合う直前までベスは浮世離れして人でありながらもドンドン妖精達の存在に近くなっていた(妖精王の嫁候補)。ベスは「血筋」によるものと思っていたが、力の発現は自分の家に伝承が多く伝わっていた事に由来する。ベスの長年の活躍のおかげで愛し子の知名度があがったので、ベスに憧れて以降また各国でチラホラ愛し子が増える。就職希望者さえ多ければそれなりにホワイトなお仕事。



ジャンは真面目なアルターと違い、それなりに恋の経験もあり(結果初恋女性に落ち着く)。変化球でも使えるもんならと父親似の顔面も武器に口説く感じ。ベスの脳内上書きにも成功し、若さとテクで陥落させ、たまにベスの周りをチラつく妖精の気配を元父親と解っていて追い払える図太さも持ち合わせています(初夜はコッソリ悪質な悪戯を仕掛けられるものの「もう名実共に俺の妻だ彼女に嫌われたくなくば寝室から出てけ」と逆に牽制)。

ベスも頑張れば切り替えはできるタイプなので過去はあまり気にしない。ジャンは執着心を気取らせないので、居心地のよい距離感の夫婦関係。


一方アルターは「もし我慢せず結婚式前にベスに手を出してさえいたら…」「もし誰にも妖精王の出現を告げていなかったら…」「もし『婚約解消』を受け入れずあのままずっとベスを待っていたら…」「ベスは未だ引退もできないと聞く…」と事あるごとに「ベス すまない」と勝手に自責の念に駆られる難儀な性格。結婚してたらしてたで融通もきかず割と鬱陶しかったかも。

ただベスは「そんなところも憎めない、可愛い人ね」とは思っていた。


女伯爵もアルターには対してはベスと似たような印象。なんだかんだアルターは優しいので政略とはいえ好ましい相手と思って大らかな愛で包んでいた。国の事情で引き裂かれた愛し子様と自分の夫には嫉妬より同情心が強い。

息子ジャンに関しては面倒な恋愛してそうだからあちこち渡り歩くよりぶっちゃけ早く落ち着いてほしかった。その相手が愛し子様だったというならある意味納得すると共に父親の罪滅ぼしも兼ねてこの際差し出すのもありかと。王が反対か賛成かで応援度合いも違うという腹積りはあったが、ジャンの根回しもありこの婚姻が国を挙げての大団円という美談に落ち着いた事に内心舌を巻く。

(やだこの子…粘着質なとこだけ父親ソックリ!)

息子結婚後は家督を即譲り楽隠居。領地で猫と暮らしたい人生。

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