表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

差出人不明の手紙

 久しぶりにお手紙を書きます。

 歌穂さん、お元気でしたか?


 社会人はつらいとのこと、よくわかります。私も組織のために自分を曲げたり本音を言えなかったりすることがあり、つらい経験をしました。一度は辞職も考えましたが、上司に説得されて泣く泣く踏みとどまりました。当時はなぜ解放してくれないのかという憤りもありましたが、私の能力を高く買っているからこそのことだったと知り、のちに和解しました。今では、戦友のような仲です。不思議です。


 逃げずに戦うべきだとは言いません。逃げることが最善なら、そうすべきです。大切なのは、1人でもいいから味方がいることだと思います。会社でなくても、家族や友人でもいいのです。相談したり愚痴をこぼす相手が1人いれば、とりあえず人は生きていけると思います。


 SNSにいろいろぶちまけて発散するのもそれなりに効果はあるかもしれませんが、親身になってくれる人ばかりではないので注意してください。「ラメン大好きっ子の友」というアカウント、歌穂さんのでしょう? この前偶然見つけました。歌穂さんからの手紙をもらったことがないのに状況が手に取るようにわかるのは、そういうわけです。(私はエスパーではありません。)情報を扱う職種の人間として言わせてもらいますが、個人が特定できる情報はみだりに公開しないほうが無難です。


 かなり説教くさくなってしまいました。すみません。どういうわけか歌穂さんを見ていると心配で、お母さんのような気持ちになってしまいます。母の顔など知らずに育ったのに、不思議です。


 さて、(本題はここからです)、前述の上司とともにこの数年間進めてきたプロジェクトが、いよいよ山場を迎えます。詳しい内容は機密事項なのでお話しできませんが、この成否が人類にとって大きな転換点となるといっても過言ではありません。


 もしもプロジェクトが成功したら、いっしょにラメンを食べに行きましょう。もちろん、私のおごりです。



 地球より愛をこめて


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ