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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
7.割れた期待を踏み付けて
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7-5.秘密基地の彼女

 そんな風に苑田 寧々の存在を認識してから、校内で彼女の存在に気が付くことが多くなった。


 登校するまでの道のり、移動教室の時、中庭掃除。ふとした時に、彼女を見つけた。


 彼女を見ているうちに気が付く。最初はクラスでそんなキャラなのかと思ったが、どうやら違うようだ。


 六時間目になる前の休み時間。廊下から校庭を見下ろすと、大きめのボールがぽつんと転がっていた。恐らく体育の授業でハンドボールでもしていたのだろう。


 校庭の端まで転がったそのボールを拾うため、えらく袖の伸びたジャージを着た苑田 寧々が走ってきた。そんな彼女の後ろから二人組の女子が近づき、取り上げるようにボールを奪う。


「ちょっとぉ! 苑田さん、足引っ張らないでよ!」


「もっと練習した方がいいんじゃないのぉ」


 からかうように言いながら、ポンポンと代わる代わる苑田 寧々にボールをぶつけ始める。キャッキャと笑う二人組の前で、苑田 寧々は投げつけられるボールをキャッチすることも出来ずにオロオロとしていた。


 別の日に見たのは、廊下をただ歩いているだけなのに後ろから強くど突かれて転びそうになっている姿。体当たりを決めた犯人は、謝るでもなく走り去っていく。


 苑田 寧々が感情を表に出さないことをいいことに掃除を押し付けていたりと、イジメ、程ではないのかもしれないが、イジられ過ぎているように感じた。それと同時に変人、成績が悪い、愚図、間抜け等の彼女に対する悪評も耳にした。


 何とかしてあげたい、と思うほど強い正義感は持ち合わせていないが、本人がどう感じているのかは気になった。


 次の日の昼休み、いつものようにキャンバスに向き合っている彼女に問いかける。


「苑田ってイジメられてるの?」


 翠の質問に、苑田 寧々は手を止めた。


「イジメ? そんなことされてない」


「昨日、苑田がボールをぶつけられてるところを見たんだけど」


 苑田 寧々はその言葉に何故か少し考え込む。暫しの沈黙の後、ハッと何か思い付いたように顔を上げた。その拍子に筆の先が髪の毛に触れ、彼女の前髪の毛先に緑の絵の具が付く。


「……多分、彼女達はウチにボールぶつけるのが好きなんだと思う」


 その奇想天外な回答に、翠はずっこけそうになった。


「何それ。おかしくない?」


 間髪入れずにツッコミを入れる翠にキョトンとした顔を向けて、


「だって、好きじゃなかったらそんな意味のないことしないでしょう?」


 苑田 寧々は平然とそう答えた。

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