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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
6.折り紙とダンスを
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6-7.緊急招集

 その理屈にピンと来なくて首を傾げる俺に、苛立ちを隠せない様子で尾方 翠はぶっきらぼうに話を続ける。


「映画祭に参加となれば現地でも帰国してからも取材が増えるだろうし、それが落ち着くまではこっちにちょっかいを掛ける暇もないだろうってこと。怖がって騒ぐだけじゃなくて、メディアやSNSを上手く活用して、相手の行動を予測して対応するべきだって言ってるんだ。理解したかバーカ!」


 最後の悪口については、彼の目線の先は明らかに俺に向いていた。だが反抗期の中学生の口の悪さくらいで俺は傷付いたりはしない。


「なるほど! それは納得だ。さすが秀才、頼りになる」


 それよりも尾方 翠の柔軟な思考に脱帽だ。自分でも気持ち悪いくらい正直に賞賛の言葉が出た。素直に思った気持ちを言ったつもりだが、尾方 翠は鬱陶しいその長い前髪の隙間から俺を睨んでそっぽを向いた。


 Weirdosでアルバイトを始めた頃、動画や写真でもギフトが発動するとわかった時からテレビを避けていたこともあり、メディアやSNSで情報を集めるなんて考えもしなかった。俺はいつの間にか自分で思っている以上に情報弱者になっていたのだ。


 尾方 翠と俺のやり取りを聞いていた笠井さんはみるみる元気を取り戻し、


「それじゃあ!」


 と期待の籠もった眼差しでママを見つめる。ママは腕を組みながら大きな溜息を吐く。


「もう……わかったわよ」


 そして観念したようにそう言った。


「やったぁーッ!」


 笠井さんは勝訴を勝ち取ったかのように両腕を高く上げた。俺だって新堂 琉為がすぐにやって来る確率が低いのならば、現状維持に大賛成だ。


 それに尾方 翠の提案のおかげで、新堂 琉為は神出鬼没な脅威ではなくなった。多少なりとも彼の動向を把握出来るのだと思えば、対策だって出来るはずだ。依然として俺はまだ情報弱者なままであるが、そんな自信が湧いてくる。


「こっちだって情報くらい追ってやるわよ! 新堂 琉為に私の居場所は奪わせないんだから!」


 気合の入った拳を天高く突きだす笠井さんに感化され、俺も掛け声と共に拳を上げた。そんな自信に満ちた俺達にママは、


「……それでも絶対に一人にならないって約束して頂戴。仕事が終わったら海鈴とヒカルちゃんは必ず二人で帰ること。暫くの間、ヒカルちゃんのシフトは深夜帯はなし。仕事は海鈴の上がる時間の二十二時までよ。二人が危険なことには変わりないんだから」


 そう強く念を押した。その言葉に俺達が何か言うよりも早く反応したのは尾方 翠だ。


「はぁ? オッサン、それは話が違う!!」


 条件反射のように抗議をする。


「違わないわよ。アタシの心配は消えないもの」


「それじゃ、俺が海鈴さんを迎えに来る!」


「馬鹿ねぇ。中学生が何言ってるのよ」


 呆れたように放ったママの言葉で、尾方 翠は射殺すような目付きで恨めしそうに俺を見ている。何もしていないし実に不本意ではあるが、確実に今、彼との溝が深まった。

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