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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
6.折り紙とダンスを
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6-7.緊急招集

そうママが宣言すると、笠井さんは両手で強く机を叩いて立ち上がる。


「そんなのっ……!」


 怒っているのか泣きたいのか、はたまた両方か。


「ママが心配してくれてることはわかるけど、それっていつまで!? いつ来るかもわからない相手にビクビクして、自分の居場所を奪われるなんて嫌だよっ!」


 笠井さんは叫ぶように抗議する。その気持ちは俺にもわかる。実際にWeirdosでの仕事は楽しい。面倒くさいと思う日も失敗することもあったが、何よりギフトに理解がある人達で集まれるこの場所が段々と心の拠り所になっていた。


「それでも、実際に新堂 琉為はやって来たのよ」


 対してママは冷静だ。きっと、あれから考え抜いて出した結論なのだ。マイノリティの人達が少しでも心を休められるような居場所を、と願って作ったこの場所から俺達を追い出すなんて断腸の思いだろう。


「でもっ! 占いの仕事だっていっぱい予約入ってるし、それにWeirdosだってママ一人だけでやっていくのは無理じゃん!」


 笠井さんは食い下がる。確かに笠井さんの指摘はその通りであったが、


「そうね、大変になるわ。でも何とかしてみせるわよ」


 大したことないという風に、ママはさらっと受け流す。 


「何とかしてみせるなんて、そんなこと言わないでよぉ……!」


 感情的になる笠井さんを咎めることは出来なかった。俺だってWeirdosに来れなくなるなんて嫌だ。そう思う反面、昨日感じた恐怖を軽んじることは到底出来ない。情けない程のどっち付かずの優柔不断野郎だ。


 ロケが終わってからテレビ放送日の今日までの間、約二週間。その間に新堂 琉為が現れたのはたった一回。次はいつ来るのか来ないのかもわからない。それでも顔面中に大輪の花を咲かす殺人犯。


 証拠はない。俺が彼の顔を見ただけだ。


 何か良い案はないかと考えていると、


「……多分だけど、しばらくは来ないんじゃない?」


 今まで俺達のやり取りを静かに聞いていた尾方 翠が、スマホの画面を見せながら面倒そうに言った。


「これ、新堂 琉為のSNS。ほぼ毎日更新してる」


 尾方 翠のスマホの画面をスクロールすると、新堂 琉為の自撮りの写真や食べ物の写真、他人に撮影して貰ったような写真がずらりと出てくる。


「あ! このフルーツゼリー、ママの作ったやつ!」


 笠井さんがSNSの投稿を見て声を上げた。それは占いの館でのロケ日に、差し入れとして控え室まで持って行ったものだった。更新時間は同日の夜。


「リアルタイム投稿はしてないけど、こまめにアップしてるみたい。今はこーゆう情報で相手の動向を多少なりとも掴めるよね。……ちなみに最新の投稿は『これから映画祭に行きます』だってさ」


 そこには四時間前の空港、しかも国際線で撮ったと思われる写真がアップされていた。ハッシュタグは『ダリアの庭』。去年大ヒットしたサスペンス映画だ。そして亡くなった望美さんが好きだと言っていた映画でもある。応援していたルイルイの特技が殺人なんて、あの望美さんだって考えもしなかっただろう。ほんの少し、胸が切なくなる。


「だから、まぁ、今から警戒しても無駄じゃない? するならもう少し先だよ」

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