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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
6.折り紙とダンスを
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6-2.占いの結果

 土曜日。Weirdosで仕込み作業をしていると、藤川酒店の蒔田さんが納品にやってきた。相変わらず特技の“凧揚げ”は活かせていないようで、顔の花は萎れている。


「こんちは、藤川酒店ですー!」


 そう言って注文していたお酒が入った段ボールを担いで持ってくる。いつもは足取り軽くひょひょいっと運んでくれるが、今日は動きがやや鈍い。やたら溜息を付くその様子に既視感があった。


 これはもしや、李 蘭玲さんとの関係で悩んでいるのだろうか。


 凧揚げアニキは見た目はガタイが良くて男らしい。ついこの間知ったことだが、凧揚げアニキの趣味はバイクでツーリングだ。休日を全て捧げてバイクのカスタムに精を出し過ぎた結果、段々と女性との接点がなくなり、気が付いたら独身貴族と言われる存在になっていたそうだ。


 つまり、バイクには詳しくても恋愛に関してはまるきり素人なのだ。と言っても、俺も彼女なんていたことはないので、人のことを言える立場ではない。


 それにしても彼からは二人で何度かお茶をしに出掛けているという話を聞いていたし、順調に親交が深まっていると思っていたが何かあったのだろうか。


「蒔田さん、元気ないですね。李 蘭玲さんと何かありました?」


 そう尋ねると、凧揚げアニキはビクッと肩を震わせた。思いがけない反応に俺まで驚いてしまう。


「わ、わかります……?」


 そんな凧揚げアニキの反応に、やっぱりママは目ざとく反応する。


「なぁに、蒔ちゃんたら蘭玲ちゃんと上手くいってないのぉ?」


 嬉しそうな感情混じりで声を上げるママ。彼のいる前で聞くのは失敗した、と反省。虎視眈々と凧揚げアニキを落とすタイミングを狙っている。


 蒔田さんは指で頬をポリポリと掻きながら、


「谷崎くんに背中を押して貰ってから、彼女とはすごく仲良くさせてもらってるんです」


 と言った。そして眉が少し下がった表情のまま話を続ける。


「ただ、この前彼女に占いをしてもらいまして……。一年後に素敵な出会いがあるって、良かったねって喜ばれちゃいました……。好きな人にそう言われるとちょっと切ないですね」


 凧揚げアニキは溜息を付いた。なんだか青春恋愛ドラマにでもなりそうな展開になってきた。彼の心中はお察しするが、聞いてるこちら側としてはもどかしくてウズウズする。


「アタシもそんな切ない恋愛したいわぁ……」


 ママもついつい心の声が出てしまっている。


「まぁ、そんな切ない感情も恋愛の醍醐味ですから……。李 蘭玲さんが帰国するまで、悔いのないように頑張ってください!」


 何のアドバイスにもならないが、せめての気持ちでエールを送ると、凧揚げアニキは


「そうですね。彼女のことは諦められないのでアタックあるのみです」


 そう言いながらも力なくガッツポーズをした。


「羨ましいわぁ、アタシも今誰かに慰めてもらいたい気分だもの」


 ママが呟く。ママの気がかりは専ら詩織のことだ。占いの館で撮影した内容の放送日が二週間後に迫ってきていた。新堂 琉為のことがまだ伝えられていないの、とママは頭を抱えている。


 人の秘密が見える詩織が新堂 琉為をテレビで観たら、殺人のことを知ってしまうことは明らかだった。


「代われるものなら、代わってあげたいわ」


 ママがそう言う度に俺も胸が痛んだ。

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