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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
5.通り過ぎの悪夢
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5-5.興味

 占いの館での撮影を終えた新堂 琉為はロケバスに乗って次の現場へと移動をしていた。


「丸山さん、さっき撮った写真を僕の携帯にも送ってくれる?」


「はい、今送りますね」


 そう言うとすぐに携帯のメッセージ受信音が鳴る。占い師と店のスタッフと一緒に撮った写真の他に、差し入れや撮影中の様子、新堂 琉為が単体で写っている写真が送られてくる。


 一般の人との写真は個人用だが、ブログやSNSにアップ出来るような写真を必ず撮影してくれる。丸山さんは、実に優秀なマネージャーで、迅速に要望に対処してくれる心強い相棒だ。


「あの青年、何て名前だっけ? 体調悪そうにしてた……」


 自分に差し入れを持ってきてくれたにも関わらず青ざめていた青年について問うと、


「あぁ、谷崎 光君です。緊張し過ぎたと言っていたので、体調は大丈夫みたいですよ。たまにいますよね、ああなっちゃう人。大学生のアルバイトで、撮影準備や片付けに協力的で助かったと現場のスタッフが言ってました」


 知りたい内容以上に情報が返ってくる。やはり彼は優秀だ。


「へぇ、そうなんだ。もっと話してみたかったのにチャンスがなくて残念だな」


 車外の景色の見る。建物や人がどんどん流れていく。


「新堂さんがそんな風に言うなんて珍しいですね」


「ほら、僕は高校卒業してすぐ芸能界に入ったし大学生って経験してないから、どんな生活なのか興味があって。まだそんな役もいただけるかもしれないじゃん?」


「なるほど。占い通り新堂さんは仕事熱心ですね」


 新堂 琉為の言葉に丸山さんは笑った。


 その後は本日二本目のロケ、撮影、インタビューをこなした。明日も朝早くから仕事があるため、前のりしてホテルに宿泊することになっている。予想していた通り、ホテルにチェックインできたのは二十二時だった。ホテルに宿泊する時は丸山さんとは別室だ。


 部屋に入ってから必ず最初にすることは、シャワーを浴びること。シャワーに打たれていると、張り付いている「俳優の新堂 琉為」という薄い膜が剥がれて素の自分に戻るような、そんな感覚が気持ちいい。


 シャワールームから出てバスローブを身に纏う。まだ乾ききっていない髪の毛をタオルで拭きながら、携帯を片手にベッドへダイブした。


 今日は大変だった、と一日を振り返る。


 一発目のロケ、あの占い師。考えていることが読まれているかのようだった。一応丸山さんに確認をしたが、その後の仕事のことや牛丼のことは話していないと言っていた。確かに丸山さんとあの占い師は初対面で、丸山さんはほとんど新堂 琉為と一緒に行動をしていたのだ。本当に視えると言われる類いの占い師なのだろうか。


 そして、その占い師よりも気になる存在だったのが谷崎 光という大学生だ。


 携帯に送ってもらった写真を見る。新堂 琉為と並んで笑顔の占い師とオーナーの男性。この谷崎 光と言う青年だけが、引き攣ったぎこちない笑顔を作っていた。


 写真を指で拡大して彼の表情をよく見る。職業柄、人の感情の動きには敏感な方だ。差し入れを持ってきた時にも感じたが、彼のこの表情は、


「恐怖……、怖れ?」


 今まで一度も初対面の相手に恐怖を向けられたことはなかった。勿論好意的な感情ばかりではない。羨望や嫉妬、あからさまな下心を持って近づいてくる奴は多い。しかし、新堂 琉為を見た瞬間、恐怖を感じた人間は彼が初めてだ。


「どこかで見られた……?」


 ぺろりと舌舐めずりをする。これは素の新堂 琉為が無意識で行う癖だった。

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