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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
4.思ったことは手のひらの上
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4-8.文化祭二日目

 文化祭二日目。


 海鈴は昨日同様に午前中の販売担当を終えて、一人のフリータイムの時間を持て余していた。


 屋上で時間を潰そうと考えていたが今年はしっかり扉に鍵を掛けられてしまい、行く宛もなく彷徨う羽目になっている。


 人との交流が少ない海鈴は知らなかったが、昨年の後夜祭で屋上に忍び込む生徒が多数おり、セキュリティの観点から屋上への扉が施錠してあるか入念にチェックされていたのだ。


 なぜ屋上に人が集まるかと言うと、生徒の間では後夜祭の時に学校の屋上で告白すると成就するという根も葉もないジンクスがあるためだ。こちらも海鈴の知るところではない。


 昨日一通り翠と校内を回ったため、特に食べたい物もなければ行きたい場所もない。教室の裏方で携帯を弄っていても働いている人の邪魔だし、感じが悪いし。


 弱ったなぁ、と溜息をついた。何か時間を潰せる場所を求めて校舎の四階までまで登ってきたが興味を引くものもない。


――みんな、楽しそう。私もギフトがなかったら、純粋に高校生活を楽しめていたのかな。


 人の建前と本音が同時に見えるこの力がなければ、上辺の言葉だと疑わずに喜べる瞬間もたくさんあったのだろう。


 ドラマなんかで「君の本当の気持ちが知りたいんだ」とかいう台詞があるが、結局口に出すのは濾過して綺麗にした言葉だ。人にどう思われるか、相手を傷つけてしまわないか。それを無意識に考えて言葉を吐く。


 それは人とのコミュニケーションを取る上で、重要なことだと海鈴は思う。口に出さなくても「死ね」とか「消えろ」とか、みんな結構汚いことを考えているものだから。


 四階の廊下の窓から、外の景色を眺めた。校門から校舎に向かう前庭には各部活の屋台や出し物がずらりと並び、賑やかな声が聞こえてくる。


 そこにはバスケットボール部が主催しているクレープ屋さんもあった。


――あ、今藤さん。


 小さく見える人影が今藤 紗綾だと気が付いた。ついこの前までずっと海鈴の周りを付き纏っていたのだ。わからないわけがなかった。


 今藤 紗綾はクレープ屋さんの宣伝のため一人でビラ配りをしているようだった。その近くにバスケットボール部の三好先輩がいて、彼を取り囲むように小さな人だかりが出来ている。三好先輩の横には一人の女性がいた。先輩との距離が近く、腕を組んだりしている様子が見える。


 なんとなく心が痛くて、海鈴はその場を離れて校内を徘徊する作業に戻った。

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