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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
4.思ったことは手のひらの上
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4-3.谷崎なんかに

 リビングへ繋がるドアを開けると、しーちゃんがテーブルに向かって何か書いていた。


「しーぃちゃんっ! 何やってるの?」


 両肩にポンと手を置いて尋ねる。


「みすずちゃん……、こんばんは」


 そんな海鈴に、しーちゃんは小さな花柄のノートの表紙を見せた。


「こうかんにっき……、かりんちゃんがいっしょにやろうって」


 そう言ってしーちゃんは嬉しそうに微笑む。


「今日は教室に行けたってママから聞いたよ。すごいじゃん!」


 海鈴のその言葉に、しーちゃんは首を小さく横に振る。


「……しおりはすごくなくて、みんなのおかげなの」


 しーちゃんの話によると、校門に入る手前でやっぱり怖くなり引き返そうとしたところ、クラスメイトの女の子と偶然鉢合わせ、その子が手を引いて教室まで連れて行ってくれたそうだ。それで何とか教室の目の前までは行けたが、一歩踏み込む勇気が出ずに躊躇していると、クラスメイト達が集まってきて口々に頑張れと声を掛けてくれたのだと言う。


 教室に入るとクラスメイトが喜んでくれて、一学期丸々顔を合わせていなかった自分を温かく受け入れてくれたことが幸せだったと、たどたどしい言葉で語った。


 こんなに喋るしーちゃんは初めてだった。海鈴は目の前がぐらついた気がした。理由は考えないようにした。


「しーちゃんが頑張れたのは、谷崎のおかげなの?」


 海鈴の問いに、しーちゃんは小さく頷く。


「ひかるちゃんは……、しおりに、ゆうきが出るおまじないをくれたの」


「どんなおまじない?」


 しーちゃんは少し考えてから、


「それは……みすずちゃんにもひみつ……!」


 と言ってふにゃりと笑顔を見せた。


 教えてよぉ、と言いながらしーちゃんの脇をくすぐると、きゃーっと小さな笑い声を上げた。


 少し顔を上げて話せるようになったしーちゃんを見て嬉しく思う反面、胸の奥がチクリと傷んだ。

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