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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
4.思ったことは手のひらの上
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4-2.占いの館にて

 占いの館の給料は歩合制であるが、有難いことに仕事は順調だ。口コミで“考えていることが見透かされる”と複数のレビューをされて以来、予約が絶えない状態が続いている。


 仕事を始めたばかりの頃は、ミステリアスな雰囲気を出そうと黒い光沢のあるワンピースを着用していた。が、年齢的にも似合わず服装が浮いてしまい、嘘臭く見えてしまっていた。試しに思い切ってゴスロリ服に変えてみたところ意外に反響が良く、お客様にも覚えて貰えるようになったため衣装として使用している。


 占いの館に飾ってある占い師紹介の写真は昔の衣装のままで写っているため、撮り直しをしたいと思いながら随分と先延ばしにしてしまっていた。


 今となってはゴスロリは海鈴の大切な勝負服だが、初めて来店したお客様には驚かれることも多い。現に今日の初仕事、初来店の女性のお客様も多少戸惑った表情をしている。


 まぁ、そんなことは慣れっこなのでもう気にしない。


「占いの館に起こしくださりありがとうございます! こちらに来ていただくのは初めてですね。早速ですが、占いたいことを念じながら私に両方の手のひらを見せていただけますか?」


 接客の基本は笑顔で礼儀正しく、元気よく。


「はぁ……」

【口コミ通り本当にゴスロリなんだ……。占い師『Rin』って思ってたより若いかも。手のひらを見せるだけって他の占いと全然やり方が違うけど、大丈夫なのかな】


 女性の左右の手のひらの文字がぐるぐると渦を描くように流れていく。本当は片手でも良いのだが、両手の方が見やすいのだ。まずは集中してお客様の考えていることを読んでいく。


【何でさっきから一言も喋らないでずっと手のひらを見てるの? これからの恋愛運について聞きたいんだけど……。 何か言った方が良いの?】


 そわそわとしだすお客様の両手から、恋愛について占いたいという情報を得る。


「今一番気になっているのは恋愛について、ですよね?」


 見えた文字の通りに話を振ると、お客様は目を丸くした。


「えっ!? はいっ……! そうです!」

【何でわかったの!? 坂本先輩にご飯に誘われたし、もしかして恋愛運が上がってるってことでいいのかな】


 このお客様は良い関係の男性がいるみたいだ。だから恋愛運について聞きたかったのか、と海鈴は推理する。


「気になってる方がいらっしゃいますよね? その方はもしかして、年上の方? 例えば食事に誘われる……みたいなアプローチされていませんか?」


「そうなんです! そんなこともわかるんですか!?】

【思わず肯定しちゃったけど、アプローチって言って良かったのかな……。坂本先輩ってすごい鈍いし、仲のいい後輩って思われてるだけかも】


 お客様からは食い気味に返答されたが、本音では相手からの好意が恋愛感情なのかそうでないのか、いまいち確信が持てず自信がないようだ。


「お相手の男性は掴みどころのない方のように見えますね。二人で会う時には、試しにいつもより女性らしい格好をしてみてはいかがでしょう?」


 お客様が部屋に入ってくる時には、ある程度身だしなみをチェックしている。このお客様はパーカにショートパンツとカジュアルなファッションだったので、手っ取り早く効果がありそうなアドバイスを、占い師らしく言ってみた。


 こちらとしては手のひらを読んでいるだけなのだが、相手への印象をピタリと言い当てられたお客様は大きく何度も頷いている。


  相手の思考を読み続けるのは骨が折れる作業だが、海鈴の占いは概ねこのような形で行われる。


 未来に起こる出来事等は占えない。それでも、ギフトを使ったこの占いのスタイルで今日も十人近くのお客様が来てくれた。

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