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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
4.思ったことは手のひらの上
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4-2.占いの館にて

 貯金の理由は早く家を出て一人暮らしをするためだった。


 海鈴の家は少し複雑な家庭環境だ。小学三年生まで母子家庭であったが、母親が父子家庭であった今の父親と再婚、一つ年下の妹・唯愛(ゆあ)と姉妹になり四人家族となった。


 四人家族となった当初は妹の唯愛とも仲良く遊んでいた。二人の関係がおかしくなったのは、唯愛が中学校に上がってからだ。


 自分で言うことでもないが、海鈴はそこそこ器用なタイプだった。特別飛び抜けているわけではないが成績も上の方、運動神経も悪くない。それに比べると唯愛は要領が悪い。頑張ってはいるものの中々成績は上がらず、運動も苦手だった。


 唯愛は段々自分と海鈴を比べるようになった。海鈴から見れば唯愛は家庭的でおっとりしていて、良いところもたくさんあった。ふわふわな癖毛も似合っていたのに、いつの日か海鈴を真似てストレートパーマをかけた。


「海鈴ちゃんと違って、私は頭が良くないから」


「海鈴ちゃんみたいに、早く走れないし」


「海鈴ちゃんなら、上手くできるんだろうな」


 なんて自分を卑下することも増えていった。決定的になったのは、第一志望であった海鈴の通う高校に受験で落ちたこと。


 リビングで泣きじゃくる唯愛をなんとか慰めようと掛けた言葉が引き金となった。


「結果は残念だったけど……、唯愛は十分頑張ってたよ。そのことは胸を張っていいと思うよ」


 頭を撫でようとする海鈴の手を、唯愛は振り払った。


「何それ……! 私にはこれが限界って言いたいの!?」


 と吐き捨ててその日は部屋に閉じこもってしまった。それからは家で顔を合わせても唯愛とはまともに会話をしていない。


 ギクシャクする娘たちのせいで父や母に気を使わせていることが申し訳なかった。家族の手のひらが見えてしまうことが怖くて、避けるような態度をとってしまう自分が更にストレスになっていた。


 自分が家を出れば唯愛が自分と海鈴を比較することもなくなるはずで、海鈴も家族の手のひらを気にする必要もなくなる。


 自分の我儘で交通の便も悪くない都内の実家を出るためには行動で示すことが必要であり、親に負担をかけないためにもアルバイトで稼いだお金をひたすら貯金していた。


 一緒に遊びに行く友人がいないことも幸いしお金を使う機会もほとんどなく、順調に預金残高は増えている。


 兎にも角にもこの生活から抜け出したい海鈴は、お金だけが希望なのだ。

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