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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
3.秘密はぶら下がっている
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3-8.幸せな誕生日会

 そして詩織の誕生日パーティー当日、俺は開始時間の十五時よりも 少し早めにWeirdosへ到着した。


 店内はガーランドやピンクの風船で可愛らしく装飾してあった。テーブルにはお菓子、ラザニア、ハートに切り抜きされたハムが乗ったサラダ、飾り切りされたフルーツの盛り合わせが並べてある。


「ヒカルちゃん、いらっしゃい! 今日は来てくれてありがとうね! もう少しで準備が終わるから待っててくれる? 上で海鈴がしーちゃんと一緒にいるわよ」


 ママはそう言ってくれたが、年下とはいえ女の子二人の間に入っていく勇気のない俺はパーティーの準備を手伝うことにした。


「俺はママを手伝いますよ!」


「あら、助かるわ! それじゃ、お皿とカトラリーを並べてくれるかしら?」


「はい!」 


 テーブルの上にカトラリーを並べていると、相変わらずもっさりとした長い前髪の尾方翠が、以前のように勢いよく扉を開けて入ってきた。よほど暑かったらしく、店に入るなりその鬱陶しい前髪を一瞬掻き上げる。


 今日は制服ではなく黒い半袖のシャツにゆるっとしたパンツを合わせていて、さり気ないシルバーのアクセサリーも効いてなかなかオシャレである。顔を出して歩いていれば、スカウトもしくは街角スナップでもされそうだ。


 一方、お気に入りのグレーのTシャツに黒いパンツと無難なワードローブを組み合わせた地味な俺。シンプルな服装でもイマイチ決まらないのは、サイズ感の問題なのだろうか。

 自分のファッションセンスに絶望していると、尾方翠と目線が合った。


「や、やぁ」


 声をかけるがそっぽを向かれてしまう。笠井さんにもこのクソガキにも、顔を逸らされてばかりだ。


「スイちゃんも今日は来てくれてありがとうね!」


 と言いながら、ママがカラフルなピックを刺した唐揚げが乗った大皿をテーブルに置く。香ばしい匂いに食欲が刺激される。


 これでいざ準備は整った、というところでタイミングよく海鈴と詩織が階段から降りてきた。詩織の首に今日はホワイトボードは掛かっていなかった。代わりに小さなペンギンのぬいぐるみが握られている。


 綺麗に飾り付けされた店内を見て、詩織はわぁっと感嘆の声を漏らし、ぬいぐるみを抱きしめた。そしてテーブルの上に並べられたご馳走に目を輝かす。


 せーの、と言うママの掛け声に合わせ、


「お誕生日、おめでとう!!」


 とみんなで詩織を祝福しながらクラッカーを鳴らした。威勢のいい破裂音が響いて紙吹雪が舞う。


「みんな……ありがとう……!」


 詩織はクラッカーの音に驚いて少し肩を縮めながらも、幸せそうに微笑んだ。

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