1-2.女子高生を追って
三階に着いて【占いの館】と看板が掛かったドアを開けると、異様な空間がそこに広がっていた。
壁紙はとにかく濃い紫。真紅の絨毯に、間接照明が黄色くぼんやりと光り、まさしく異世界に迷い込んだようだ。テレビで朝やっている、星座占い以外の占いなんて初めてでドキドキする。
部屋をぐるりと見渡すと、写真と文書が飾ってある壁が目に入った。
占い師の顔写真と名前、得意な占い方法が書いてあるようだ。その下には低めの台が設置してあり、台の上には小さいモニターと発券機が置いてある。
モニターには呼び出し中の番号と部屋番号が表示してあり、予約ボタンもあった。モニターで希望する占い師の予約を行い、整理券を発券すればいいみたいだ。
モニターが設置してある壁の左横の薄紫色のラメがかったカーテンの奥には、個室が六部屋並んでいる。
個室の入口には行灯のようなランプがかかっており、そのうち一つだけ『占い中』と書いてあった。
なるほど、ここで予約した目当ての占い師とは個室でやり取りするのか。意外とハイテクなんだな。
今この待合室にいるのは自分だけ、そして一つだけ『占い中』と表示されているということは“早口言葉”さんと“ネトゲ”さんが既に入室しているということか。自分一人だけがこの異質な空間に取り残されているようで、なんだか心細い。
あの女子高生が占い中なのであれば、ランプは二つ灯っているはずだ。となれば、女子高生は占いを目的にやってきたわけではないのかもしれない。
あんなに必死に追ってきたけれど、無駄足になってしまったか、とため息。そしてふと目線をあげて、あっと声が出た。
強い眼光でこちらを見てくるように写っている、シルクのような黒い服を着た女性のバストアップ写真。
大きな目に印象的な泣きぼくろ。人気ナンバーワン『Rin』-手相占いで心に秘めたあなたの悩みを見抜きます-と説明が書かれた占い師のその写真は、紛れもなく渋谷駅からずっと追ってきたあの女子高生であった。




