表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
3.秘密はぶら下がっている
32/137

3-2.詩織の日常

 休み時間になると、保健室は様々な学年の児童が遊びにやってくる。身長を測ったりする子や川田先生とお喋りをしに来る子で賑やかになる。


 そんな時、詩織は保健室の一角を仕切りで囲ったスペースでじっと息を殺して座っている。誰も居ないかのようにひたすら存在感を消している。


 誰にも気づかれませんように、誰かのことを見てしまいませんように。


 保健室に充満している賑やかな声が嫌で耳を澄ますと、遠くで誰かの笑い声が聞こえる。ボールを蹴る音、廊下を走る音。祈るように目を閉じて時間が過ぎるのをひたすら待つ。


 龍之助はギフトが発動しなくなったと言った。詩織もいつかは人の秘密が見えなくなるかもしれない。でも、それはいつになるかはわからない。


「ゆっくりでいいから、少しずつ受け入れていきましょう」


 龍之助はそう言った。そして詩織と同じようにギフトを持っている人達と引き合わせてくれた。


 彼らは龍之助と同じように詩織に優しくしてくれたし、可愛がってくれた。ギフトを持った人達と一緒にいる時には少し安心感を感じるが、それでも心を開くことは出来ないし、小学校という大きな箱の中で詩織は一人きりだった。


 登下校は一番怖い時間。休み時間は一番寂しい時間。本当は学校に行きたくなかった。つまらないし寂しいし、怖い。


――りゅーちゃんはパパでもママでもない、すてられたらしおりは一人ぼっち。そんなのいや。わがまま、言えない。


 夏休みの宿題、“大切なもの”の作文用紙を見つめて溜息を吐いた。大切なものもこそ、龍之助にも言えない秘密の一つであったことに気がついたのだった。


 その日は一日沈んだ気持ちで過ごした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ