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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
2.凧揚げと珈琲
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2-6.フリートークタイム

 ギフトは個性で使い用。俺だって今、自分のために利用してるよな。それなら笠井さんが自分のためにギフトを使っても良いはずなのに、俺は余計なこと言おうとして……。


「谷崎くん、だっけ」


 名前を呼ばれて我に返る。


「あっ、ハイ」


 そうだ、今は合コンという名の戦場。自己嫌悪は後回しだ。


「バーでバイトって、カッコいいね」


 ぼーっとしている間に、フリートークタイムに入っていたようだ。目の前の女性が話しかけてくれている。


「二十歳になったら、バイト終わりに一杯やって帰るっていうのが夢です」


 と冗談交じりに言うと、笑ってもらえた。


「千草先輩は、えぇと」


「望美でいいよ」


 そう言って微笑む彼女に、どきっとする。


「じゃあ望美さんって呼びますね。俺も光って呼んでください!」


「わかった、光くんって呼ぶね」


 女子大生ってこんなに優しくしてくれるものなのか。女子高生には“谷崎”って呼ばれているのに。


 顔の文字ばかりに気を取られていたが、緩い巻き髪にオフショルダーのワンピースが彼女によく似合っている。大して年齢は変わらないはずなのに、大人の女性という雰囲気だ。彼女とぜひ、お近づきになりたい。


 しかし気になるのは望美さんの顔に書いてある“情報収集”だ。どういうことなのか、確かめられないかな。それとなく話題を振ってみるか。


「望美さんは映画とかドラマが好きなんですよね。好きなジャンルはあるんですか?」


「そうだなぁ、特にジャンルは関係なく観てるかな」


「じゃあ、一番好きな映画は何ですか?」


「一番かぁ……。『ダリアの庭』って映画、知ってる?」


「あぁ、それって、犯人役の俳優の怪演が話題になった映画でしたっけ」


 うろ覚えだが、確か去年放映されたサスペンス映画だ。実際この映画は観ていないのだが、あまりにニュースで取り上げられていたので知っていた。


「そうそうっ!! ルイルイが初めて助演男優賞になったやつ!」


「ルイルイ?」


 そう聞くと望美さんは、しまったという顔をした。耳が真っ赤になっている。


「……私、俳優の新堂 琉為の大ファンなんだよね。だから彼が出てる映画やドラマばっかり観てるんだぁ」


 なるほど。“情報収集”とは好きな俳優の情報ということか。そういえば俺にギフトが発現した日、“歌”が得意な白井さんグループもそんなことを話していたっけ。


「確か、新堂 琉為って今度ドラマに出ますよね。同じ大学の女の子達が話題にしてるのを聞いたことがあります」


「そうなの、よく知ってるね! 今度の秋から放送するんだよ! すっごい楽しみなんだぁ。さっきね、この夏に山での撮影があるから登山のトレーニングしてるってSNSに投稿しててさぁ、超絶イケメンなのにストイックで努力家なところも本当にカッコいい!」


 望美さんはそう一気に喋り切ると、気まずそうに一口カシスオレンジを飲んだ。


「……ごめんね、つい喋り過ぎちゃった」


 俯く望美さん。この人、好きな俳優の情報収集に情熱を注ぎすぎて、彼氏はいらないんじゃないかな……。なんて思ってしまい、ちょっとショックを受ける。


「いえ、そんなに夢中になれる人がいて……羨ましいです」


 俺は乾いた笑顔しか出来なかった。

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