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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
2.凧揚げと珈琲
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2-4.土曜日の夜

 土曜日の夜のWeirdosはいつも混雑しているが、今日は二十一時を過ぎてから一旦客足も落ち着いている。


 二十二時を過ぎた頃からまた少し忙しくなるだろうけれど、今は店内にお客様は三人組だけだ。すでに何杯かお酒を召し上がり、ゆっくりとした時間が流れている。


 穏やかな空気に浸りながらグラスを拭いていると、詩織の様子を見に行っていたママが階段から降りてきた。


「さっきニュースを見たんだけど、目黒川でホームレスの水死体があがったんですって。今月二件目だから警察が事件性がないか調査するって言ってたわぁ。事件だったら怖いわねぇ〜……」


 水死体かぁ、そういえば最近そんなニュースがあったな。


「そうなんですか。でも事故かもしれないんですよね」


 とは言ってみたものの、ママは辛気臭い表情をしている。


「そうだけれどねぇ……。あぁ、そうだわ! 海鈴、今日仕事が終わったら駅までヒカルちゃんに送ってもらいなさいよ!」


 ママは名案を思いついた、とばかりに表情を明るくした。


「えっ谷崎に!? そんな大袈裟な……!」


「アタシが不安なのよ。お願い、素直に送ってもらって頂戴。いいわね、ヒカルちゃん。ちょっと抜けるだけならお店の方も大丈夫だから」


「わかりました!」


 と俺が答えると、笠井さんは不服そうな顔のままこちらを少し睨んだ。そんな顔をされたって、上司の命令なのだからしょうがないじゃないか。


 笠井さんは上がる時間になると、着替えるためにスタッフルームへ向かった。


 もしかしてゴスロリ姿に?と想像したが、店に戻ってきた笠井さんは大きめサイズのTシャツにショートパンツと至って普通の姿だった。普通とはいえど、サンダルからショートパンツまで生足だ。首元から見える鎖骨に目が吸い寄せられる。

 

 夏、最高!!と浮き足立つ俺の下心を悟られたのか、笠井さんはギロリとこっちを睨んだ。


 そんな俺と笠井さんとのやり取りに気が付いていないママは


「それじゃヒカルちゃん、頼んだわよ」


 とにこやかに俺を送り出してくれた。


 Weirdosから駅までは歩いて十五分程の距離だ。短い時間とはいえ、笠井さんとこんなに長く一緒に二人でいるのは初めてだ。


 沈黙が気まずくて話しかける。


「てっきり占いをしてる時みたいに、ゴスロリみたいな私服なのかと思ってたよ」


「……あれは雰囲気を出すための衣装だから。普段は着ない。……似合わないし」


「そうかな? 可愛いと思ったけど」


 素直に思ったことを伝えると、


「なっ、うるさい……」


 と言いつつ、笠井さんは照れているようだ。そんな笠井さんの反応が心をくすぐった。

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