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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
2.凧揚げと珈琲
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2-1.はじめてのアルバイト

 俺としてはバイト仲間と仲良くしたいと思い、世間話程度に笠井さんに話しかけたりするが、返事はかなりつっけんどんだ。


 でも仕事を教えてくれる時は丁寧に説明してくれるので、まぁ良い先輩なのかもしれない。 

 

 よくある漫画みたいに、デレてくれる時がいずれ……と淡い期待をしているが、まだその前兆は見受けられない。


 悲しいかな、今のところ良好な関係を築けているのはママだけかもしれない。いや、これから少しずつ絆を深めていけばいいのだ!……なんて考えてみたり。


 Weirdosは十九時から開店し、二十四時に閉店だ。

 

 そこから締め作業を行い、二十五時には撤収。だが、俺は終電もあるためラストまで働くことはない。少しの時間だけだが深夜手当が付くので給料日を楽しみにしている。


 二十歳になったら仕事終わりにカクテルを一杯飲んで帰る、なんてこともあるのだろうか。実は彼女いない歴=年齢の俺だが、そんな洒落た生活をしていたらモテるようになるかもしれない。夢は膨らむばかりだ。


 そういえば、ギフトについて一つわかったことがある。それは、写真や動画を見ても俺はギフトが発動するが、発動しないギフトもあるということ。


 占いの館で笠井さんの写真を見たとき、確かに占い師『Rin』以外の占い師の顔には、文字が書いてあった。でもママのギフトが発動していたころは、写真や動画は対象外だったそうだ。

 

 ママのギフトは相手から自分への好感度が見えるというものだったし、写真のような実体のないものには発動しないのも納得だ。詩織は俺と同じように、写真や動画でもギフトが発動するらしい。


 どちらかというとテレビはあまり見ずゲームばかりしている俺だが、ますますテレビ離れが加速しそうだ。芸能人の新たな一面というものには興味がなくもない……が、それを知ったところで。ギフトがない人からすれば根も葉もない話だし、ギフト持ち同士でも見えてるものが違うので共有できるものでもないし。面白くもなんともない。


 俺からすれば人の顔の半分が文字と花で見えにくくなった、という感じなのだ。ママはそのうち慣れるわよ、なんて悠長に言うけれど、顔の半分に入れ墨が入った人々に囲まれて生活しているようなこの不気味さは、当分慣れそうにない。

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