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Weirdos―左頬に文字が見えるギフト―  作者: 七星
9.それぞれの恋の続き
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9-1.チョコレート

 という訳でチョコレートは有り難くいただいた。笠井さんには三倍返しを要望されたが、ママや詩織にも三倍返しをした方が良いのだろうか。


 そもそも、女子高生、小学生、大人の男性に渡すホワイトデーのお返しの品には一体何を選べば……。


 と、言うことでかれこれ一時間程、俺はデパ地下のスイーツコーナーをぐるぐると回っている。


 女の子にプレゼントするのにセンスが良くてオシャレで、気取ってなくて、義理チョコのお返しにピッタリな甘いものなんて皆目見当もつかない。気合が入り過ぎても可笑しいことになりそうだしな。


 ショーウインドウを眺めていると、ピンクの四角い缶に入ったクッキーの詰め合わせが気になった。でもこれではママに渡すには可愛らし過ぎるかもしれない、なんて考えていると突如スマホが鳴った。


 着信の相手を見て胸が高鳴った。


「もっ、もしもし」


 平静を装って電話に出てみたものの、少しばかし声が裏返ってしまった。笠井さんに頬を抓られたあの日から、何となく彼女を意識している自分がいる。


 あの時は所謂吊り橋効果というやつだと思っていたが、その効果はいつまで続くのだろうか。


「あ、谷崎?」


「えぇと、はい。笠井さんから電話なんて珍しいね」


「だって初めて谷崎に電話かけたもん。それより今度の日曜日、バイトの時間まで暇?」


「へっ、まぁ……」


 驚きのあまり、間抜けな返事をしてしまう。そんな俺を気に留めることなく、笠井さんは弾んだ声で話し続ける。


「翠から水族館に行こうって誘われたの。せっかくだから、しーちゃんも誘ってみんなで一緒に行こうと思って!」


 まさか笠井さんからプライベートでお出掛けのお誘いをいただくとは。それに今度の日曜日なら、調度ホワイトデーの直前だ。


 笠井さんとしーちゃんと一緒に出かけるなら、二人へのホワイトデーのお返しに良い物も見つかるかもしれない。


 だが問題は。


「誘ってくれたのは嬉しいけど、それって俺が着いて行っても良いのかな……?」


「へっ、なんで? 人数は多い方が楽しいでしょ?」


 素っ頓狂な返事をする笠井さん。俺は思わず頭を掻いた。そんなものなのだろうか。


 翠の狙いは別にありそうだが、笠井さんがそう言うのであればいいのだろう。多分。


「それじゃ、日曜日は十時に渋谷駅集合ね!」


 そう言って電話は切れた。翠のデートにお邪魔するのは大変心苦しいが、Weirdosメンバーで初めてのお出掛けだ。なんだかんだ楽しみにしている自分もいた。

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