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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

絡み合う物語の果てに(短編ver)

作者: 双月一星

転生してみれば、どうやら乙女ゲーの世界ということでもないような?


乙女ゲーでも無印、二作目ありますし?ということです

スマホを見ながら、辟易する

またあの人達炎上案件(キャットファイト)繰り広げてるのか

小説投稿サイトのあるその2人なのだが、乙女ゲーと英雄譚という住み分けがあるのにも関わらず、同じ共通項である異世界ファンタジーという大枠があるため、度々サイト外のSNSでやりあってた


まぁ、どちらかというと英雄譚側からのやっかみ?が大半で何で絡んでくるの?と乙女ゲーの作者がスルー気味に対応?しながら愚痴るという良くわからない関係だ


しかもどうやら挿絵の絵師様の取り合いが彼らを拗らせたらしく、本命絵師に逃げられ、各々別の絵師様の挿絵が入れられていた

出来れば絵師様を巻き込むなよ、かわいそうだろ


そういう私は雑食で気になった物語は色んなジャンルをつまみ食いしているのでこの2人については覚えてた


でも、他人事だしいっかー


等と思った私がその後トラック転生しちゃうわけだが、お察し通りです……



乙女ゲーの悪役令嬢(幼女)に転生したのですよね


先ずは確認

ヒロインは男爵の庶子でピンク髪なのと、悪役令嬢の私

攻略対象がこの国の王子と眼鏡インテリ枠と脳筋騎士枠と金蔓商会の息子とうちの義弟(従兄弟)だけで隣国の王子とかの隠しキャラはいなかった

因みに隣国とは少し疎遠希薄というか不可侵的な感じなのか、地産地消な乙女ゲー世界なのだ

魔法もそう流通していないので、有無の確認はこれからだ


とりあえず悪役令嬢らしくごねて王子の婚約者候補からはずしてもらった

なので家は私が継ぐ事にしつつも、領地で父のお手伝いや家庭教師を招いてマナーや勉強に力を入れた

うちに義弟はいらない

叔父も元気なはずだ(多分)


のらりくらりしつつも、デビュタントはあるし乙女ゲーの始まりである学園生活もやってくる


攻略対象との出逢いイベントは避けたし、対象相手とヒロインとの接触は避けてた


が、やはり貴族社会である

学園では平等を唱いつつも、いじめは起こるものだ


大人数で一人を囲い込んでるのが見えた

チラリと見えるはピンク髪


が、加害者も被害者も令息である

令息、なのである

ピンク(ヒロイン)がいるのにピンクを重ねてくるこの意味に悪意を感じるのは何故か

兎に角場を納めるべく彼らの前に進み出る


「貴殿方、そんなことをしていてはお里が知れましてよ!」

被害者の令息の前に立ち塞がる

加害者令息達も(公爵令嬢)の立場が上でである事気付き、彼是言い訳しながら去っていく


チッ……


背中から聞こえた舌打ちは、きっと()()()()()()なんだろう


とりあえず控えて冷静に声をかける

「貴方、大丈夫でして?」

落ちた眼鏡を手渡すと、ありがとうございますと小声で彼は受け取った


ヒロインとは違う少しくすんだピンク色の髪、眼鏡をかける前の相貌を見て、心の中で舌打ちをする


やられた



他人事だと思っていた

が、(作者)の悪意がこの身に降りかかるとは


お里が知れましてよ(この国から去ってよ)

と彼への警告は通じるのだろうか


彼、いや彼らは此方の人間ではない

隠しキャラという優しい存在でもない


してやられた


冒頭を覚えているだろうか

ある2人の作者のいざこざを


そう、(ピンク髪)、彼らは英雄譚側の作者の登場人物だ

ピンク髪の彼は、彼らの主人公である腹心の一人にあたるキャラである

挿絵からの推測であるが本来の彼は影ながらにトリックスターという立ち位置にいるキャラだ


こんな所で潜入がばれるとは思わなかっただろう

もし、悪役令嬢()が私でないのならただのいじめの制裁で終わっていた


この物語は学園生活が始まりではない

英雄譚の前日譚であり、序章

確定された過去……の世界

2つの物語が歪に混じり込んだ世界ということだ


確実に【この世界=彼らの世界】という事ではないが、英雄譚の各モノローグでこの国は出てくる

勿論正式名称等は出てこず、登場人物名等も違う

違うが匂わせが強く、度々SNSで論議され炎上してた事を思い出す

疎らに散らされた情報を纏めると、この国である推測が立つぐらいのグレーゾーンだが、前々より乙女ゲー作家を目の敵にしてた事もあるので、そう推測されるのである


端的にいえば、主人公の英雄譚の足掛かりとして滅ぼされた亡国、それがこの国だという事だ


が、乙女ゲー世界からの強制力はない

今の私は王子の婚約者ではないし、義弟もいない

どうにかヒロイン達に巻き込まれてもいないし、こうやって自我もある

ゲーム(物語)の世界ではなく疑似した世界であり、まだ確変の介入が出来る、という事だ


彼らの覇道は、止まらないのだろうか

が、この国を滅ぼされる訳には行かない

どうにか計画を邪魔しなくてはと、私は動き出す


ここはヒロインの思う生クリームで出来た甘酸っぱいケーキの世界ではない

砂上の城のような崩される前の危うい世界に立っているのだ

その歪な世界を悪役令嬢が足掻きに跑くという稚拙なストーリー

可笑しくてしかたがない


逃げるわけにはいかない

攻略対象(とその親世代)に関わらざるを得なかった

情報がいる、金の動きにも目を配らねばならない

地位がいる、聡くなければいけない

力がいる、防衛力の強化なども上奏しなくてはいけない


結局私は悪役としての立場に立たされた

彼らと関わればヒロインが泣き、あることないことの冤罪を吹っ掛けてくる

泣かれれば彼女の独壇場である


卒業パーティーでの断罪が始まる


可笑しくてしたかがない


ある程度の計画は潰し、頓挫させ、彼らの計画を後手後手に回させた


後はどうにでもなれ、とも思い婚約破棄と国外追放のみ受け入れた


回りがどうも耳障りで煩い

もういいじゃないか、もうここはバッドエンドなんだから


扉の方に向かうと、人々の垣根が双方に別れ、隣国の美丈夫が此方にやってくる


喜劇のように彼は手を広げ私を見やる


「ほう、婚約破棄に国外追放とな?とんだ悪女がいるものなんだな」


私は彼を射貫くように睨みあげる

「ええ、とんだ悪女でしてよ、さてどういたしますのこの悪女を」


彼は私の顎をとらえる

「お前がそうか、お前がそうだったか」

そして指を頬に滑らせるように撫でる

「もういいのか、もう抗う力もないか」


「あぁ(憎くて)愛しい貴方の好きになされば良いわ」

私自身もこの国も、好きになされば(滅ぼせば)いいわ


ここが確定された過去なら私の足掻きはただの予定調和のブレでしかない

遅いか早いかだ


彼は私を抱き寄せる

「ならばお前をつれていこう、この国はお前を見捨てた、哀れな事にな」



ああ、そうか

ここは本当に歪だ

私はこの世界の人間ではないのか


彼らの世界のトリガーとなる人物だったのかも知れない

彼が見初め助けんとしたヒロイン、彼の求めし唯一であり悲劇をもたらす英雄譚の一端

彼女を生き返らせる為に彼は奔走し、邁進する

この国が亡国であるのは、彼女を陥れ侮辱した全てだったからなのだ


私は生きている

彼にとらわれ、翻すマントの帳に包まれる

あの2人(作者ら)の攻防には辟易する

が、物語自体は好きだった

英雄譚の読み応えは楽しかった

なので、今度は彼の彼らの英雄譚の為に頑張って見ようと思う

この世界(乙女ゲー世界)がどうなろうと、私の役割は終わったのだ


転移魔法の光が他方から溢れ出ている

ピンク髪の彼は転移魔法に秀でた魔法使いだ

学園生活しながら転移魔方陣を各要所に複数設置していたのだろう

そのうち隣国、いや敵国からの軍がなだれ込み蹂躙される事は想像にかたくない


乙女ゲーには魔法がない

ないというよりはこの国にないといった方がいい

この国の成り立ちとしては魔法に頼ることない武力と山岳等に囲まれた立地による攻めにくさがあった

隣国をはじめとする彼らの世界では魔法が流通しているし術者も多く存在している

前記した蹂躙がなかったのはまだこの世界が乙女ゲー寄りであったからかも知れない

その武や魔法に優れる彼ら住人が雄郡闊歩する物語は読み応えがあった

乙女ゲー作者の物語の多くもコアなファンはおり、それが火を注ぐ(キャットファイトする)事になるのだが


「俺を惑わせられるのはお前ぐらいだろうな」

面白可笑しそうにクツクツと彼は笑う


そういわれると悪い気はしないもので顔を赤らめてしまう

「ついていきますわ、何処へでも」

貴方がいるなら何処にだって喧嘩を売りますわ

私は悪役令嬢ですものね!



絵師の取合いや作風の地雷があったかどうかわからないが2人の作家の世界が拗れて混ざりあったというか、英雄譚側が乙女ゲーを亡国モブにしてやろうという悪意のもとに書かれた作品があり、乙女ゲーの皮を被った英雄譚側の世界……の疑似世界に組み込まれた主人公ちゃんのお話でした(伝われ)

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