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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
81/89

68.海底都市①

僕達が港町へ到着した翌日から、

巨大蟹から港町を守るために海側に防壁を造り始めた。

そして防壁の上に攻城兵器の様なバリスタ(機械式の巨大な弓)を

複数設置した。


この世界の生物は基本的に出血は早く止まるし、怪我の回復も早い。

心臓の機能を一定時間停止させて脳への血液循環を止めるか、

脳自体の機能を一定時間停止させないと回復してしまう。


首のある生物であれば、首を斬り落とせばいいが、

巨大蟹のように首の無い生物は、

脳神経か心臓を大きく損傷させる必要がある。

小さな弾丸などでは回復してしまうので、

槍などで串刺しにして回復を妨げる必要がある。


最初に作ったバリスタでは巨大蟹の殻を貫通出来なかったが、

マリカさんの知識と魔法で改造し、貫通出来るようになった。


アイさんと違って一回で完璧にとはいかず、

何度か失敗して、構造変更や調整などを繰り返したが、

それでもすごいと思う。


具体的には槍の先端はタングステン合金にして重量と硬度を増した。

そしてバリスタの射出口にコイル状に絶縁被膜の銅線を巻き、

そこに電流を流すことで発生する磁界により、

更に槍の射出速度が上がる様にしてある。


予めチャージされた電荷を、発射時に弓の弦が途中でスイッチを

引っ掛けてタイミングよくコイルに電流が流れるようにしてある。


専用の魔道具に魔力を通すことで電子を発生させ、

一定電圧になるまで金属と絶縁体の積層構造体に電荷を貯めておく。


簡単な構造だが、霊子のみを用いた魔法のため

魔法適正者でなくても利用できる。


援軍も到着したし、この港町の防衛は兎人族の人達に任せて、

備玄さんに状況を報告する。

念のため、ソフィさんと雲子さんには港町に残ってもらった。

ソフィさんと雲子さんも付いて来たそうだったが、

僕だけの方が圧倒的に早く移動出来る。我慢して貰おう。


備玄さんに確認したが、

他の場所で大きな問題は起きていないらしい。


港町に上陸して来る巨大蟹は僕がいなくても何とかなるし、

万が一にもソフィさんに残って貰っているので大丈夫だろう。

急いで帰る必要は無いので、島の外周を見て回ることにした。


月は地球と違って、地平線が丸いのがわかる。

雲も地球に比べて低い場所に発生している。

ちょっと高度を上げるだけで空気も急に薄くなる。

空もまた地球と比べてスケールダウンしているのがわかる。


マリカ:(上空から見ると海に大きな魚影がいくつか見えた。

  月の魚はかなり大きいな。)

総司:(潮を吹いていたから鯨の仲間だよね。

  吹き上げた潮で辺り一面が雨の様になってる。

  それに暫くすると上空で雲が発生しているね。)

マリカ:(あんなのがジャンプしたら陸で大参事になるな。)

総司:(海岸線に近い所に町が無いのはそのせいかもね。)

マリカ:(見たところ、巨大生物が上陸してきたり、

  問題が起きたような痕跡はないな。)

総司:(町にいる人達も特に問題は無さそうだね。)


南海岸の港町も通り過ぎたが、海岸に退治された巨大蟹がいた。

上陸してきた巨大蟹を無事に退治出来たみたいだ。


兎人族の島を一周したが、問題が起きているのは

南海岸の港町だけみたいだ。


一通り確認出来た頃にはすっかり暗くなっていた。

今日はもう南海岸の港町に帰ることにした。


南海岸の上空に着いたが、

沖の方がうっすらと光っているように見える。


総司:(沖の方が光って見えない?)

マリカ:(近くに行ってみよう。)


海がかなり広い範囲でうっすらと光っている。


総司:(この辺りが中心かな?)


見える範囲の海は光って見える。

更に広い範囲を確認するため、高度を上げる。


マリカ:(思ったより範囲が広いな。

  この辺りが中心だね。)


地平線にうっすらと太陽が見える。

もうここは極地に近いのかもしれない。

周囲も太陽光でうっすらと明るくなっているが、

光る海の光源は太陽ではなく海中にありそうだ。


総司:(特に何もないよね?)

マリカ:(これだけ広範囲で光っているから、

  かなり深い場所に光源がありそうだね。)

総司:(巨大蟹と関係あるかな?)

マリカ:(それは行ってみないとわからないな。)


確かにそうだね。海中、それもかなり深い場所か…。

普通に潜って行けるとは思えないな。

たくさんの巨大蟹がいるだろうし、

更にヤバい未知の巨大生物がいる可能性だってある。


総司:(行けると思う?)

マリカ:(手っ取り早いのは範囲防御壁で周囲を密閉して、

  中の酸素濃度を保ちつつ、耐えられる水圧まで潜る。

  届かない場合は宇宙船で潜れるか検討するくらいかな。

  それでもダメなら地球に戻ってアイさんに相談だね。)

総司:(巨大蟹とか海中の巨大生物に襲われないかな?)

マリカ:(襲われるだろうな。

  でも、月は海抜以下の魔素濃度がかなり濃いから

  魔法の効果が飛躍的に高まる。

  光輝巨槍を連発出来るだろうし、大丈夫だと思うよ。)

総司:(まずは港町の人達に、この辺りの海について

  何か変わったことが無かったか聞いてみよう。)

マリカ:(そうだな。)


港町に戻ると、僕に気が付いた人が

ソフィさんと雲子さんを呼んできてくれた。


お肉のいっぱい付いた蟹の殻を手に持っている。

時間的に僕が帰るまで夕飯を待ってはいたが、

待ち切れずに食べ始めた所という感じかな。


ソフィ:「おかえり~!遅かったね。」

雲子:「おかえり~!他は大丈夫だった?」

総司:「ただいま。遅くなってごめんね。

  備玄さんと話をした後、島を見て回ったけど、

  問題は無さそうだったよ。ここは大丈夫だった?」

ソフィ:「いつも通りバリスタで退治出来たよ。」

雲子:「上陸してくる巨大蟹の大きさも変わらないし、

  数が増えたりもしてないから、

  このまま落ち着いてくれるといいね。」

ソフィ:「今の感じで続いてくれるなら、

  むしろ巨大蟹がこの町の特産品になるね。」

総司:「特産品になるか…。確かにそうだね。」


ソフィさんと雲子さんは美味しそうに蟹を食べている。

安全に対処できるなら、むしろ美味しい食べ物が

大量に運び込まれる様な状況だ。


雲子:「総司君も夕飯にしようよ。

  みんな総司君が帰って来るのを待ってたんだよ。」


最近は巨大蟹の対処も町の人達が頑張ってくれているので、

夕飯の時にみんなにお酒を振る舞っている。

僕を待っているというより、お酒を待っていたのだろう。


ソフィさんの今の魔力量なら、お酒も造れそうな気がするが、

マリカさんはお酒の術式をソフィさんに教えたくないみたいだ。

理由は聞くまでもない。


今日は町の人達に聞きたいこともある。

ちょっと多めにお酒を用意しよう。


夕飯を食べ終わった後、お酒を用意しながら町の人達に、

聞きたかったことを聞いてみる。


町の人達から得られた情報を要約すると、


・大昔から沖の海はうっすらと光っていた。

・海底から海流が上がって来て、浅瀬の境界で

 沖へ行く流れと浜辺に来る流れに分かれている。

 巨大蟹は海底からの海流に

 乗って上がってきていると思われる。

・浅瀬より先に行くと戻れなくなるため、

 基本的に浅瀬より先に行くことは無い。

・ここの浅瀬も含めて、この海域は海産物が豊富。

・大きな亀に連れられて海底の宮殿に行った人の言い伝えがある。

 海底の宮殿や、行った人の情報は伝わっていない。

・この海域で大きな亀を見た人はいない。


という内容だ。

宿舎に戻ってソフィさんとも相談することにした。


マリカ:(亀を助けると竜宮城に

  連れて行ってもらえるみたいだね。)

総司:(確かに元の世界の寓話と似てるね。)

ソフィ:(竜宮城?海底に竜族がいるの?)

マリカ:(ここで言う竜は竜族というより

  海や水の神様という意味だね。)

ソフィ:(地球と月では意味が違うんだね。)

マリカ:(違うというほどでもないだろ。

  竜族は他の種族と比べて強く、特別な力がある。

  特別な存在を神と表現するのはよく有る話だ。)

ソフィ:(アイさんやマリカさん、そして総司君の方が

  特別な存在と言われるのに相応しいと思うけどね。)

総司:(マリカさんや僕はともかく、

  アイさんは特別な存在だよね。

  それこそ神様と遜色ない存在だよ。)


本当は神様そのものなんだろうけどね…。


マリカ:(話を逸らしちゃったな。ごめんごめん。

  寓話が事実を元に作られるのはよく有る話だ。

  海底の光源と合わせても海底に何かある

  可能性は高いと思う。)

ソフィ:(亀を探してみる?私が亀を捕まえて

  食べようとするところを総司君が助けるとか。)

総司:(自作自演みたいなことはしたくないなぁ。

  それにこれだけ人がいて、この海域で大きな亀を見た人が

  いないってことは、探しても見つからない可能性が高いよね。)

マリカ:(海底の宮殿は特別な手続きを経ないと入れない領域、

  という可能性も無くは無い。

  その場合は大きな亀を探す必要があるけど、

  まずは普通に海底へ潜って、光源を目指そう。)

総司:(そこまで潜ること自体が難しいけど、

  その方が現実的だよね。僕も賛成。)

ソフィ:(わかったわ。今度は私も連れて行ってね。)


総司:(あとはどうやって潜るかだね。)

ソフィ:(私は竜に変身すれば、かなり深いところまで

  潜って行けるよ。)

総司:(そうなの?息が出来ないけど大丈夫なの?)

ソフィ:(ブレスの時に作る呼気を吐き出して、

  また呼気を作れば空気を吸わなくても大丈夫だよ。

  呼気を溜めて発火させて吐き出すとブレスになるの。)

マリカ:(あー。確かにブレスは高密度の燃焼反応だから、

  呼気には大量の酸素を含んでるよね。

  私達は範囲防御壁で密閉した玉になって、

  ソフィに持って行ってもらおう。

  ソフィなら巨大蟹よりも大きいし、

  襲われることも無いだろう。)

総司:(なんとかなりそうだね。

  それじゃ、明日は海底へ行ってみよう。)



そして翌日の朝、朝食を食べながら

雲子さんに事情を説明して、港町のことをお願いした。


雲子:「いってらっしゃい。

  浅瀬の先だと誰も救助に行けないから、

  ちょっとでも危ないと思ったら引き返して来てよね。」

ソフィ:「変身して行くから大丈夫よ。」

総司:「しばらく帰って来なかったとしても、

  救助のために海底に潜る様なことは止めて下さい。

  万が一、ずっと帰って来なかった場合は

  アイさんが心配して月に来ると思うので、

  アイさんに僕達はここから海底へ向かったことを

  伝えて頂ければ十分です。」

雲子:「わかったわ。気をつけてね。」

総司:「ありがとう。それじゃ、行こうか。」


ソフィさんがドラゴンに変身する。

僕も範囲防御壁を展開して維持する。

ソフィさんが僕を範囲防御壁ごと抱えて海へ入って行く。


ある程度の深さになるとソフィさんは潜って、

尻尾を振って泳ぎだした。


マリカ:(ソフィ、泳げたんだ。

  浅瀬は歩いて進んで、深くなったら

  魔法で重りでも作って沈んで行くつもりだったよ。)

ソフィ:(マリカさんは私のことを

  食べて寝るだけだと思ってるでしょ…。)

マリカ:(ソフィはいるだけで周りを威嚇してくれるから、

  一緒にいるだけで十分に役に立ってくれてるよ。)

ソフィ:(嬉しくないなぁ~。)

総司:(僕も一緒にいてくれるだけで嬉しいよ。)

ソフィ:(ありがとう。総司君。)

マリカ:(ソフィ、防御壁が壊れちゃうから、

  あんまり強く握るんじゃない。)


ソフィさんは大きいから泳ぐ速度も結構速い。

既にかなり深く潜っていると思う。


巨大蟹や巨大魚、そして気持ち悪い生き物も

何匹か見かけたが、僕達から逃げて行った。


既に太陽の光りが届かないところまで潜っているが、

マリカさんが魔法で前方を照らしているため、

かなり先まで見えている。


そして潜るにつれて水温が下がっていった。

既に水温は一桁前半になっている。


ソフィさんが凍らないか心配したが、

魔素が非常に濃いため、身体の回復効果が高まり、

凍傷になっても直に回復するらしい。

また、痛覚を制限しているため、痛くも寒くもないとのことだ。

防御壁もいつもより硬く厚く出来るため、水圧の上昇も心配ない。


更に進んで行くと周囲がうっすらと明るくなってきた。

マリカさんがライトの魔法を止めると、

前方に光が見える。


ソフィ:(光が見えるね。)

総司:(結構広い範囲で光ってる様に見えるね。)

マリカ:(もうライトの魔法は必要なさそうだね。)


そのまま光る方向へ進んで行く。

巨大生物が急に増えてきた。

ソフィさんも周りの生物から見れば、

更に巨大な生物に見えるだろう。

近づいては来ないが逃げない生物が増えてきた。


近くなってきて分かってきたが、何か特定の物ではなく、

海底が光を発している様に見える。

光る範囲の海底はドーム型で中心が高くなっている。

見える範囲の海底は全て光って見える。

かなり広い範囲だ。


光る海底の上を巨大蟹や巨大海老、そして海鼠の様な

よく分からない巨大な生物が蠢いている。

とりあえず光る海底に降りても大丈夫みたいだ。


ソフィ:(着いたよ~。海底は砂が積っていて、

  その下が光ってるみたい。)

マリカ:(砂を払ってみてくれ。)


ソフィさんは足で砂を払っていく。

砂煙で視界が悪くなっていく。


ソフィ:(砂の下はツルツルしてるね。

  感触的に金属の板っぽい。)

マリカ:(砂煙で視界が悪くなっちゃったな。

  どうせならもっと広い範囲の砂を払えないか?)

ソフィ:(やってみるね。)


ソフィさんは浮き上がらない程度に

翼を広げてバタバタと動かした。


砂煙で周りがまったく見えなくなったが、

移動しながら広い範囲で海底の砂を払いつつ、

水平方向にも水流を作って砂煙も払っていく。


しばらくすると水も澄んでいき、

周りや海底が見える様になってきた。


ソフィさんは僕を海底に置いて、

自身も海底を覗き込む。


海底は分厚い透明な板で、その下が光っている様だ。


総司:(これって明らかに人工物だよね。)

マリカ:(そう見えるね。)

総司:(光っている部分の全てが人口物なのかな?

  自分で言ってなんだけど、それは流石にありえないよね。)

マリカ:(普通はここまで来るだけでも相当難しい。

  更にここで何か作業を行うとなると、ほぼ不可能だ。)

ソフィ:(アイさんなら時間さえあれば出来るんじゃない?

  この月にもアイさんみたいな人がいるのかもしれないよ?)

総司:(そうだね。アイさんは存在するもんね。

  他にいないとは言い切れないよね。

  どう見ても自然に出来たとは思えないもんね。)

マリカ:(もうちょっと情報を集めよう。

  これを創った存在がいるとすれば、相当の脅威だ。

  敵意を持たれたら逃げるのも難しい。

  アイさんクラスの存在と戦うくらいの覚悟が必要だ。

  慎重にいこう。)

総司:(怖い事言わないでよ。急ぐ必要も無いし、

  地球に戻ってアイさんに相談してからでも遅くないよ?)

マリカ:(せっかくここまで来たんだ。もうちょっと調べよう。)

総司:(大丈夫かな…。)

ソフィ:(よく見えないけど、

  透明な板の下は空洞になってそうだよ。

  どこかから入れないかな?)

マリカ:(とりあえず、周囲を探索しよう。

  構造的に入り口があるとすれば低い位置だろう。

  まずは周囲の深いところに移動して。)

総司:(慎重にお願い。)

ソフィ:(わかったわ。)


ソフィさんは僕を持って再び海底を移動する。

斜面が急になったところで滑り降りる様に深いところに降りる。

水平方向に泳いで移動しながら、

光る側面部分を注意深く見ていく。


この辺りは巨大蟹が多い。

周囲を調べてみると、周りの岩肌に大きな穴がいくつもあり、

そこから巨大蟹が出てきているみたいだ。

そして光る壁の方にも大きな入り口のような窪みを見つけた。


ソフィ:(どうする?入っちゃう?)

マリカ:(入ってみよう。慎重にな。)


ソフィさんは窪みの中に入って行く。

窪みの中は正方形の通路になっている。


側面の壁は透明ではないが、何かしら硬質の物質だ。

魔法で作った壁だと思う。

天井にはライトが設置してあり、

通路を照らしている。

これはもう人工物で確定だろう。


マリカ:(本当に有ったな。

  確かにこれは海底宮殿と言っていい代物だな。)

総司:(何のためにこんなところに創ったんだろうね。)

ソフィ:(地上に有ったのが海に沈んだのかも?)

マリカ:(その可能性もあるな。

  この大きさで移動していたとすると、

  それはそれで信じられないけど。)


正面が上り坂になっているが、

ソフィさんは構わず進んで行く。

少し進んだところで水から抜けて大気空間になった。

一気に周囲が明るくなる。


ソフィ:(気圧は高いままだから、防御壁は解かないでね。)

マリカ:(わかった。)


正面に壁がある。

壁をよく見ると右の方にボタンのような赤い突起がある。


ソフィ:(押してみる?)

マリカ:(ちょっと待て。もうちょっと周囲を確認しよう。)


まずは側面の壁を確認する。小さな穴が無数に空いている。

逆側の壁も同じ様に小さな穴が空いていた。

少し入り口の方へ戻ると、側面の小さな穴は無くなった。

ちょうどこの位置には両側面と天井、そして床に

スリットが空いている。


マリカ:(この位置が扉になってそうだね。

  ここの扉が閉まったら気圧が減圧されるんじゃないかな。

  気圧が地上と同じくらいになったら正面の壁が開く。

  赤いボタンはそのスイッチじゃないかな。)

総司:(僕もそう思う。でも、扉が閉じた後に

  小さな穴から毒が噴射される可能性もあるよね。)

マリカ:(それも無くは無いな。

  私達は防御壁で密閉されているから大丈夫だけど、

  ソフィにはリスクがあるな。

  ボタンを押して、後ろの扉が閉じたら息を止めて目を閉じろ。

  減圧されれば、問題無い。

  減圧されず小さな穴から何か出てきたら、後ろの壁を

  ソフィの体当たりと私の魔法で破壊して逃走しよう。)

ソフィ:(わかったわ。)


ソフィさんは正面の壁の赤いボタンの正面に行く。


ソフィ:(押すよ。5、4、3、2、1、0!)


マリカさんの予想通り、後ろの両側面から扉が出てきた。

そして後ろの扉が完全に閉じた。


マリカ:(ソフィ!息を止めろ!)


側面の壁を注意深く見る。

僕とマリカさんは防御壁で密閉された中なので、

大気の減圧が始まったかは分からない。


ソフィ:(気圧が下がっていってる。大丈夫そうだよ。)

総司:(ふぅ。良かったね。)

マリカ:(大丈夫だとは思ってたけどね。)


しばらく待つと正面の壁が左右に開いていく。

開いた壁の先には、宇宙船を少し平らにした様な物が有った。


マリカ:(潜水艇かな?)

ソフィ:(大きな亀に見えるね。)


上部のドーム状の部分はフレームと透明な外板で構成されている。

フレームが亀甲模様になっていて、亀の甲羅の様に見える。


総司:(確かに大きな亀に見えるね。)

マリカ:(なるほどね…。)


総司:(気圧が戻ったなら、防御壁を解いても大丈夫だよね。

  ソフィさんも人型になってお昼ご飯にしようよ。

  遅くなっちゃったから、お腹空いたよね。)

マリカ:(ソフィが頑張ってくれたから、奮発しないとな。)

ソフィ:(豪華なご飯じゃ足りな~い!

  自分で言うのもなんだけど、珍しく役に立ったんだから、

  もっと違うご褒美がいいな~。)

マリカ:(総司が寝たら相談だな。)

ソフィ:(やった~!)

総司:(なんで僕に秘密なの!?)


海底宮殿は本当にあった。

亀(に見える潜水艇)に連れられて、

この海底宮殿に来た人の体験談が言い伝えとして残っていたのか。


この世界の浦島太郎伝説は本当の事だったみたいだ。

地上に戻ったら、お爺ちゃんになったりしないよね?

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