62.三種族の対立⑫アイのヤルザ訪問
目を覚ますと目の前にアイさんがいた。
アイ:「おはよう。総司君。」
総司:「え!?アイさん!?」
一瞬驚いたけど、アイさんの顔を見ると安心する。
総司:「おはよう。会いたかったよ。」
アイ:「私も会いたかった。
それでも、やらなきゃいけないことがあるからね。
私だって我慢してるんだよ?」
相変わらず竜の島で忙しくしてたんだね。
マリカ:(アイさん、来てたんだね。おはよう。)
アイ:(おはよう。マリカさんもいろいろありがとうね。)
マリカ:(こちらこそだよ。)
アイ:「三角大陸の方はどうなった?」
総司:「月に行くことになったよ。
三種族の対立は明日、それぞれの種族の代表が
集まって会談することになっているから、
そこで何とか決着したいと思ってる。」
アイ:「頑張ったね。」
総司:「うん。」
全てが報われた気がする。
アイさんに認めて貰えるだけで、僕は何だって頑張れる。
総司:「ところでアイさんはどこから入って来たの?」
アイ:「魔法で、そこの壁を私が通れるくらい消して。
それで入ってから、また壁を作ったの。
総司君がどこにいるかは分かるからね。」
総司:「なるほど…。」
何という裏技…。
鍵はどうしたとか、そういう問題じゃなかった。
しかし、よく考えたら僕も同じことが出来ると思う。
常識からかけ離れた方法だから思い付かなかったよ…。
アイ:「ちょっと朝早いけど、ソフィさん、フランさん、
ジルさんを呼んで来てほしいな。」
総司:「食堂にいけばみんな来るよ?」
アイ:「ちょっと秘密のお話しがあるの。」
総司:「わかった。」
僕は言われた通りみんなを呼びに行く。
ジルさんはもう食堂にいたが、ソフィさんとフランさんは
まだ部屋にいて、声をかけたら「すぐに行く~」と言って、
バタバタしだした。
ジル:「お~。アイちゃん久しぶりだの。」
アイ:「ジルさんお久しぶり!」
ジルさんは何かを言おうとしたが、やめた。
何を言いたかったのか分かったので、
自分のためにも言っておこう。
総司:「アイさんは今さっき、
そこの壁を壊して入って来たんですよ。
壁はすぐに直してくれたので分かりませんけど。」
ジル:「聞くだけ野暮かと思ったんじゃが、
それはそれで残念じゃのう。
わしが総司君じゃったら、それはもうあっちこっちで」
アイさんがジルさんの頭をパシッと叩く。
部屋のドアが「バン!」と開く。
ソフィ:「お待たせ!昨日頑張ったご褒美かな!?かな!?」
やたらとテンションの高いソフィさんが入って来た。
アイさんとジルさんを見て固まっている。
マリカ:(まあ、昨日の夜話をして
このタイミングなら勘違いしても仕方ないか…。)
アイ:「久しぶりだね。昨日、何か良い事があったみたいね。」
アイさんはニッコリ笑っている。
ソフィ:「あれ?何でアイさんがいるの?
ひ…久しぶりだね…。特に何も無かった…よ?」
ソフィさんは恐る恐る部屋に入って座った。
カチャ、っとドアノブが回る音がした。
フラン:「総司君、秘密の話って…何かな?」
フランさんはモジモジしながら部屋に入って来たが、
僕以外の3人を見て固まっている。
総司:「あ、ごめんなさい。
秘密の話があるのはアイさんです。」
フランさんを見てアイさんはニッコリ笑っている。
フラン:「アイちゃんの秘密の話…。」
アイ:「約束したプレゼントのことだよ。」
フラン:「え…、ああ…、ちょっとお肌が綺麗になる指輪?」
アイ:「ちょっと手を出して。」
フランさんが出した手にアイさんが指輪を着ける。
フラン:「お肌は綺麗になったかな?」
フランさんが顔を赤くして僕に聞いてくる。
総司:「着けて直だと効果はわからないと思います。
でも、明日になったら分かるくらいにはなります。」
フラン:「総司君はこの指輪がどういう物か分かってるの?」
総司:「はい。僕が着けている指輪と同等の指輪です。」
フラン:「それはそれで嬉しいかも…。」
フランさんは以前僕が渡した指輪と合わせて
ウットリした目で見ている。
アイ:「ジルさんも手を出して。」
ジル:「儂は今更肌が綺麗になってものぉ…。」
そう言いながらも手を出してくれたので、
アイさんがジルさんの手に指輪を着ける。
総司:「アイさん…。ありがとう…。」
僕の心配事が一つ消えた。
僕にはどうにも出来ない心配事が。
自然と涙が出る。
アイさんはいつも僕を幸せにしてくれる。
マリカ:(いつもありがとう。アイさん。)
アイさんは僕の方を見てニッコリ笑う。
ジルさんは僕の顔を見て目を閉じた。
ジル:「肌が綺麗になる指輪、そういうことか…。
それなら総司君とアイちゃんのためにも、
まだまだ頑張らねばの。アイちゃん、ありがとう。」
ジルさんもその指輪の効果の一つが分かったみたいだ。
そして受け入れてくれて本当に嬉しい。
アイ:「私の方こそ、だよ。」
総司:「これからもよろしくお願いしますね。」
僕は泣き笑いの顔でジルさんに言った。
アイ:「朝から集まってくれてありがとう。
もう聞いていると思うけど、
総司君とソフィさんは近いうちに月に行く。
その間のサポートは私がするよ。
私は基本的に竜の島にいるけど、
連絡をくれれば直にここに来るからね。」
そう言ってアイさんはモニターを作った。
フラン:「アイさんが直に来てくれるなら安心ね。
なんだかんだでちょっと心配だったんだ。」
アイ:「期日やノルマが有る訳じゃないんだから、気楽にね。」
フラン:「アイちゃん基準で期日やノルマなんて
作られたらお手上げね…。」
アイ:「それじゃ、そろそろ朝ご飯にしようか。
総司君は何か食べたいものはある?」
総司:「カレーが食べたい!」
アイさんの顔が固まる。
ソフィ:「あ、私も久しぶりにカレーが食べたいな!」
アイ:「ソフィさんはカレーを食べたことがあるの!?」
ソフィ:「竜王国では普通に食べてるよ。
辛いカレーを食べるとブレスが強くなるって言われてるから、
みんな好んで食べてたよ。」
アイ:「それ迷信だね…。」
ソフィ:「そうなんだ…。頑張って辛いの食べてたのに…。」
アイ:「総司君ごめんね。カレーは無理なの。
でも、総司君とソフィさんが月に行っている間に
作れるようになっておくね。」
総司:「楽しみにしておくね。」
フラン:「相変わらず総司君への愛が深いわね…。」
マリカ:(それなら鰻重と飲茶にしようよ。
組み合わせとしてどうかと思うけど、
アイさんは両方とも食べたことが無いはず。)
アイ:(あ、それ食べたい!)
総司:(それなら、朝ご飯は僕とマリカさんで作るね。)
その後、ヤルザの家に住んでいるみんなも含めて朝ご飯を食べた。
可愛い可愛いと言ってアイさんの頭を撫でているみんなを見て、
フランさんが「知らないって幸せね…。」とぼやいていた。
朝ご飯を食べ終わって、ヤルザの家のみんなと今後の話した後に、
アイさんとソフィさんと3人で宇宙船に向かった。




