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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
三角大陸
67/89

55.三種族の対立⑤兎人族の避難民

僕は犬人族の軍団が駐留している町から飛び立ち、

三角大陸の中心にある山に向かっている。


総司:(お昼ご飯食べられなかったね。)

マリカ:(さすがに普通にご飯を食べる空気じゃなかったね…。)


僕は魔法でパンを作って食べる。


マリカ:(ところで何処に向かっている?)

総司:(泰山って言ってたっけ?中心にある高い山だよ。)

マリカ:(それはやめた方がいい。)

総司:(なんで?話にあった女神像を

  実際に見に行った方がいいでしょ。)

マリカ:(悪い予感がするんだ。)


総司:(でも、この後で重要なことは備玄さん達と

  また会談することだと思うんだよね。

  その時に、猫人族と犬人族の国王と会談した結果、

  兎人族が平地へ進出することを認める代わりに、

  建国と国王の宣言を撤回するのが条件だと伝える必要がある。

  素直に受け入れて貰えればいいけど、拒否された場合、

  理由を説明することになると思う。

  文さんに言われたことを、そのまま聞いた話として、

  女神像の碑文に書いてあるからって言うだけじゃ弱いと思う。

  だから、実際に僕も実物を見ておく必要が

  あると思うんだよね。)


マリカ:(先に猫人族の国王に紹介状のことを

  聞いた方が良くないか?)

総司:(聞いても仕方ないと思うよ?

  知らないと言い張られるか、開き直られて敵対するかの

  どちらかになる可能性の方が高い。

  逆に孟さん達と会談して意味がある場合は、

  あの紹介状は孟さんが意図した内容ではなくて、

  それを仕掛けた第三者が存在がする時だけだと思う。

  でも、それが分かったところで大勢には影響しない。

  どういう形であれ、紹介状を使わずに犬人族の国王とは

  会談出来て、聞きたい情報は聞けたんだから、

  あえて猫人族を問い詰めるより、

  会談の内容に沿って進める方が、望ましい結果が得られるよ。

  このまま兎人族が受け入れれば、少なくとも戦災による

  避難民はいなくなる。)


マリカ:(国王にしろ、第三者にしろ、

  総司に悪意を持った存在がいるのは確かだ。

  今後も妨害してくる可能性もある。

  早めに潰しておいた方が良くないか?)

総司:(犯人を見つけられる可能性は限りなく低いと思う。

  慣れない土地、知らない人ばかりの環境で

  犯人を見つけるのは相当難しい。

  仮に見つけられたとしても、

  真の理由、もしくは黒幕などに辿り着くのは更に難しい。

  紹介状をすり替えられる立場で居られるということは、

  自分の素性を偽ることに成功している。

  正直に真の理由、もしくは黒幕などを話してくれない時は、

  拷問なり、そういった手段で口を割らせることになる。

  そうなって欲しくはないけど、きっとそうなるよ。

  そうなったらもう犠牲者無しに決着するのは

  限りなく不可能になる。

  今なら紹介状の事は無かった事に出来るんだから、

  変にあぶり出すような事はしない方がいいと思う。

  大きなところで決着出来れば、大事の前の小事に過ぎないよ。

  それに紹介状はヤルザの町に置いてきたから、

  取りに帰らないといけないよ?

  僕は気が進まないけど、孟さん達に会いに行くなら

  明日でもいいでしょ。)


マリカ:(困ったな…。総司の言い分はその通りだと思う…。

  だけど、今日は女神像を見に行くのはやめてほしい。)

総司:(なんで?)

マリカ:(悪い予感がするからだ…。)

総司:(マリカさんまで話が通じない人になってるよ?

  今日はこんな会話ばっかりだね…。どうしても嫌なの?)

マリカ:(すまない。どうしても嫌だ。)

総司:(仕方ないね。わかったよ。

  それじゃ、今日は早いけど

  ヤルザの町に帰ってみんなの手伝いをしようかな。

  フランさんやジルさん達に任せっきりなのも悪いからね。)

マリカ:(ありがとう。総司は優しいな。)


マリカさんとアイさんが何を隠したがっているのか、

鈍い僕でもなんとなく分かってるんだからね…。


どうして僕に知られたくないのかは分からないけど、

いずれ教えてくれるだろうから、その時まで待った方がいいよね。


僕はヤルザの町へ方向を変えて加速する。

まずはジルさんの方の様子を見に行った。


既に避難してきた兎人族はイルスの街へ移送済みだ。


イルスからヤルザへの小型浮遊艇と浮遊貨物艇の運航も

始まっている。


ヤルザ側からの運航の準備ために

イルスの街からも手伝いに来てくれている。


順調に進んでいるみたいだ。

ジルさんに何か手伝えることが無いか聞いたら、

倉庫の近くに宿舎を作って欲しいとのことだった。


運転手や手伝いに来てくれている方達の希望らしい。

僕は直に魔法で宿舎を建てていく。


三階建ての建物で各階にキッチンとお風呂と

トレイを1つずつ配置した。


これで30人くらいは泊まれると思う。

宿舎が出来る頃には辺りが暗くなっていたので、

今日の作業は終わりにしてヤルザの家へ帰る。


マリカ:(今日は早めに寝て、明日はヒューズの町へ行って

  避難してきた兎人族の様子を見に行かない?)

総司:(そうだね。

  取り急ぎ三角大陸の争いも小休止中みたいだし、

  今後の状況によっては避難民がまた来る可能性もあるから、

  今のうちに来た時のことを考えておいた方がいいね。)

マリカ:(そうそう。明日に備えて今日は早く寝ようね。)

総司:(別に早く寝なくてもいいと思うけど。まあいいや。)


ヤルザの家のみんなと夕ご飯を食べながら仕事の進捗を聞いた。

こっちも順調に進んでいるみたいだ。

その後、マリカさんの言う通りに今日は早めに寝ることにした。



翌朝、昨日は早く寝たのでいつもより早く起きた。

マリカさんはまだ寝ているみたいだ。


朝ご飯まで時間があるので、

手付かずになっていたヤルザの町と

ヒューズの町とを結ぶ道造りに着手することにした。


一時間程度では、ほとんど進まないが、

時間がある時に少しでも進めていかないと、

いつまでたっても終わらない。


イルスとヤルザを繋ぐ道と違って

未開地を通るので時間がかかる。


その代り、道を中心にして未開地が開発されていく可能性が高い。

武術大会が終わったらソフィさんとデルさん達にお願いしよう。


マリカさんもまだ寝ているので、ほとんど進まなかったが、

朝ご飯の支度をするためにヤルザの家に戻る。


朝ご飯の支度をしていると

ヤルザの家に住んでいる人達が二階から降りてくる。


総司:「おはようございます。もうすぐ出来ますからね。」


「おはようございます。いつもありがとうございます。」


総司:「僕がいないときは、みんなでよろしくお願いします。」


「もちろんです。」


男性は揃ったが、女性は今日はいつもより起きるのが遅いみたいだ。

配膳まで終わってもまだ起きてこない。


総司:「まだみんな揃ってないですけど、先に頂きましょう。」


僕達は先に食べ始める。


ジル:「昨日の夜は様子が変じゃったが、

  いつもの総司君に戻ったみたいだな。」

総司:「昨日はいつもより早めに寝ようと思いまして。」

ジル:「ん?寝ると言って二階に行った後に起きてきたじゃろ。」


あー。やっぱり僕が寝た後にマリカさんが起きて何かしたんだね。


総司:「そうでしたね。寝ぼけてました。」

ジル:「寝ぼける?

  むしろ、いつもよりキリッとして凛々しく見えたがのう。

  一瞬別人かと思ったくらいだ。

  その後出かけたみたいだが、頭でも打ったのかの。」

総司:「そうかもしれませんね…。」


マリカさん出かけたのか…。どこに行ったのかな…。

まさか一人で三角大陸に行ったんじゃないよね…。

朝ご飯を食べているとフランさんが二階から降りてきた。


フラン:「おはよう…。遅くなっちゃった。」

総司:「おはようございます。朝ご飯出来てますよ。」

フラン:「ありがとう。」


いつもより顔が赤い気がする。

それにチラチラとこっちを見てくる。


他の女性達も二階から降りて来て

フランさんと同様に挨拶をした後、席に付いて朝ご飯を食べ始める。


みんな少し顔が赤いように見える。

この世界の人々は魔法で、ある程度は自己治癒が可能なため、

基本的に風邪を引いたり、病気にかかることは稀だ。


ちょっと様子は変だけど、見た感じでは心配はなさそうだ。


みんなより早く食べ終わったので、

片付けをお願いして出かけることにする。


とりあえず予定通りヒューズの町に向かって飛ぶ。


総司:(マリカさん起きてる?)

マリカ:(んー。今起きた。おはよう。)

総司:(昨日は僕が寝た後に出かけたんだね。)

マリカ:(ちょっとイルスの家の様子を見に行ってきた。)

総司:(イルスの家に行ったのか。)


モニターでアイさんと何か話をしに行ったんだろうな…。


マリカ:(避難してきた兎人族はまだイルスの街にいたよ。

  昨日ヤルザからイルスに移動して、イルスで一泊している。

  今日の午前中にヒューズの町へ出発する予定みたい。)

総司:(それなら僕達の方が先に着いちゃうね。

  せっかくだから避難民の人達の住居を新設しようかな。

  急いで行って用意しよう。)


ヒューズの町の方は雪が積もっている。

NRTはもっと雪が積もっているだろう。


ヒューズの町について周りを見渡す。

町中は除雪されているので、特に支障はないみたいだ。


ソフィさんとデルさん達はNRTにいるが、

レオンさん達はヒューズの町にいるはずだ。


近くの人に聞いてみたが、もうみんな訓練に向かったらしい。


ヒューズの町の管理をお願いしている人に

今日、避難民の人達が到着することと、

今から町の南西方向の端に兎人族の住居を作ることを連絡する。


兎人族が到着したら案内してくれるとのことで、

僕は早速住居の建築に着手する。


取り急ぎ昨日と同じ三階建ての住居を5つほど造ることにした。


簡単にお昼ご飯を済ませて作業を再開する。

住居は造り終わったが、まだ兎人族の人達が来ていないので、

更に南西方向に耕地を作ることにした。


雪と草木を炎の魔法で溶かしたり燃やしたりして広げていく。


当面の食料はお金を渡して買ってもらうのと、

東の方へ行けば長耳族の大森林があるので、

そこで狩りや、採取をしてしのいで貰おう。


三角大陸ではいろいろやっても

進展しているのか、していないのか

よく分からない状況だったが、

建築や開墾などはやった分だけ進展するのがわかる分、

気持ちよく作業が出来る。


辺りが暗くなる頃に兎人族の避難民が到着した。


総司:「お疲れ様でした。みんな無事に移動出来ましたか?」


「ヤルザの町で助けてくれた方ですね。

 ありがとうございます。

 全員無事に到着しています。」

「総司さんが私達がここで暮らせるように手配して

 下さったと聞きました。ありがとうございます!」


兎人族の人が答えてくる。


総司:「皆さんの当面の住居はあの5つの建物になります。

  自分で住居を用意出来るまでは自由に使って下さい。

  それと耕地も作りました。

  ここから先の耕地は自由に使って構いません。

  それと当面の食料については

  資金を用意しますので、それで買って下さい。

  ここから東に行くと大森林があるので、

  そこで狩りや採取をすることも可能です。」


「いろいろとありがとうございます。」


今日はここで兎人族の人達と夕ご飯にした方がいいね。

大凡100人分の料理なので、作り易い物にしよう。

カレーとか作れるといいんだけど…。


総司:(マリカさん、カレーは作れる?)

マリカ:(カレーか…。その存在を忘れてたよ。

  言われたら私もすごく食べたくなったな…。

  でもごめん…。必要なスパイスがない。

  さすがにターメリックが無いと無理だと思う。

  次にやることはターメリックを探す旅だね。)

総司:(思い付くんじゃなかった…。

  出来ないって聞いたら僕もすごく食べたくなっちゃったよ。

  カレーのためにターメリックを探す旅なんて

  どうかと思うけど、することが無くなったらそれもいいね。)


マリカ:(とりあえず今日はシチューにしておくか?

  兎はニンジンが好きそうだから、

  ニンジンをたくさん入れれば、

  喜んでもらえるんじゃないかな?)

総司:(ニンジンは馬じゃないの?兎もニンジン?)

マリカ:(私のイメージだとニンジンと言えば兎だな…。)

総司:(そうなんだ…。それじゃ、シチューにしよう。

  ニンジンもたくさん入れてね。)


大きな鍋を2つ出して、更にその上に食材を出し、

そのまま切って鍋に落としていく。


ニンジンは1本を4つ切り程度にして大きめに切る。

そして縦型洗濯機の要領で鍋底を魔法でかき混ぜる。


鍋の中身をそのまま魔法で加熱していくので、

直に沸騰して料理が完成する。


「魔法で料理!?」

「すご~い!とっても良い匂い!」


兎人族の人達はビックリしている。


総司:「器は返さなくていいですからね。」


僕は魔法で器を出して一人分ずつよそって渡していく。


シア:「おにいちゃーん!」


声がする方を見るとレオンさん、フェリさん、

マリーさん、シアちゃんの4人が飛んで来ている。


レオン:「一カ月ぶりだな。元気そうで何よりだ。」


各々みんなと挨拶を交わす。


マリー:「訓練が終わって町に戻ったら総司さんが来ていると

  聞いて飛んできましたわ。」

フェリ:「兎人族の人達がこんなにたくさん。どうしたの?」

総司:「ここから南にある三角大陸から避難してきた人達だよ。

  三角大陸では猫人族、犬人族、兎人族の三種族が

  争っているんだ。

  それでこの北の大陸に避難してくる人達が増えているの。

  特にヤルザの町は近いから、

  漂着する人達が多いみたい。」


僕は兎人族の人達にシチューをよそいながら答える。


「総司さんがヤルザの町で治療してくれて、

 この町に住めるように手配してくれたんです。」


ちょうど傍にいた兎人族の人が答える。


優:「おにいちゃんはいつも人助けしてるね。」

総司:「そんなことないよ。」


僕はシアちゃんの頭を撫でる。


マリー:「私達にお手伝い出来ることはありませんか?」

総司:「ここに避難してくる人達を

  少し気にかけて下さると助かります。

  今は武術大会に向けて頑張って下さい。

  正直なところ、みんなが頑張ってくれないと、

  上位を長耳族と狐人族に独占されちゃうかもしれません。

  そうなると領主様やルイさん達にちょっと申し訳ないので…。」

レオン:「確かにそうならない様に頑張らないとな…。」


話をしているうちに兎人族のみんなにシチューをよそい終わる。


総司:「せっかくだから一緒に夕ご飯を食べていきませんか?」

フェリ:「ご馳走になるわ!」


みんなで夕ご飯を食べる。

僕はこの機会に兎人族の人に聞いておきたいことがある。


総司:「ちょっといいですか?お聞きしたいことがあります。」


「はい。」


総司:「僕はヤルザの町で皆さんに会った後、

  三角大陸に行ってきました。

  兎人族の国王という備玄さんにもお会いしました。」


「戦場に行かれたのですか!?」


総司:「はい。正確には兎人族は猫人族と犬人族に敗れたみたいで、

  敗走しているところに助けに入りました。」


「そうですか…。」


総司:「その後に会談したのですが、

  私が仲間に誘われたのを断って退席しようとしたところで、

  襲いかかってきたので逃げました。」

レオン:「口を挟むつもりは無かったが、

  総司君が嘘を言うとは思えない。

  会談で相手に襲い掛かるなど、酷い話だな。」


「………。」


みんな黙る。


総司:「それは済んだことなのでいいのです。

  その後に猫人族と犬人族の国王とも会談しましたが、

  そもそも争いの発端は兎人族が猫人族と犬人族の住んでいた

  平地へ進出してきて、建国と国王の宣言をしたことだと

  言っていました。これは事実ですか?」


兎人族の人達は黙ったまま顔を見合わせている。


総司:「僕は三種族の争いを止めるために、何が起きたのか、

  何が起きているのかを知りたいと思っています。」

シア:「私も総司お兄ちゃんに助けて貰ったの。

  とっても優しい人。

  ちゃんと話を聞いて貰った方がいいと思うよ?」


少し時間を置いた後に兎人族の一人が話を始める。


「私達は南西の森で暮らしていました。

 ですが、人口が増えてきて森だけで暮らすには

 どうしても狭くなってきたのです。

 森の外には肥沃な平地がありますので、

 少しずつですが私達は生活の範囲を

 平地に向けて広げていきました。

 そして一年半くらい前に備玄様達が森に現れたのです。

 備玄様達は全員が魔法使いでした。

 私達が土地や食料に困っていることを知ると、

 森の木々を切り、船を造って海で漁をする方法や、

 森を開拓し作物を育てる方法を教えてくれました。

 それから半年ほど経った時だと思いますが、

 念のためということで、

 定期的に戦闘訓練を行うようになりました。

 訓練などを行うには組織が必要ということで、

 今の西飾の前身になるような組織になりました。

 備玄様達のうち、半分くらいの魔法使いが姿を

 消したのも、その頃です。

 それからまた半年ほど経った頃でしょうか。

 森の外の平地に住んでいた猫人族と犬人族が

 いなくなったのです。

 備玄様達がこの機会に一気に平地に生活圏を

 広げようと言い出しました。

 当時はみんなも賛同し、森を出たところに新たに中心となる町を、

 そして進出した平地の先に砦を造ったのです。

 備玄様は平地での兎人族の地位を確固としたものにするために、

 国を建て国王になると宣言しました。

 暫くすると猫人族と犬人族の軍団が来ました。

 最初は交渉していたみたいですが、

 決裂したようで戦闘が始まりました。

 私達に比べ、猫人族も犬人族も戦闘に慣れています。

 最初のうちは備玄様達の奮戦で持ちこたえていましたが、

 猫人族と犬人族の魔法使いが参戦してからは一気に劣勢になり、

 多くの負傷者が出ました。

 私達はその時に負傷し、森へ撤退した後に、

 以前、北にも大陸があるのを見たという話を頼りに、

 海を出て北へ避難することにしたのです。」


兎人族の人達は俯きながら申し訳なさそうにしている。


総司:「教えてくれてありがとうございます。」


マリカ:(軽率だけど、気持ちはわからなくもないな。)


総司:(うん。それと今まで聞いていた話と大体一致するね。

  備玄さん達は兎人族の中で少し浮いている感じがしたけど、

  外から来た人達だったんだね。

  聞いた話からすると、ちょっと短気だけど、

  根は良い人達なのかもね。)

マリカ:(そうだね。

  半数くらいの魔法使いがいなくなったという話は気になるけど、

  組織化するときに不満があって外に出たのかもね。

  残る疑問は、なぜ急に猫人族の魔法使いが、

  犬人族との戦闘に参加したのかくらいかな。)


総司:(そこが一番最初の発端になるんだよね。

  ただ、元々猫人族と犬人族は争っていたんだから、

  急に参戦したとしても責められるようなことでもないよね。

  文さんはこれまでは魔法使いの参戦は極力避けていたと

  言っていたけど、紳士協定みたいなものだろうしね。

  ただ、急に参戦した理由を知ったところで、

  この争いを収める助けにはならなそうかな…。)

マリカ:(私はちょっと気になるけどね。)


総司:(やっぱり状況から考えて兎人族の人に

  譲歩してもらうしかないかな。

  孟さんも文さんも最悪、兎人族を三角大陸から

  追い出すと主張してもおかしくないと思う。

  ある程度は平地への進出を認めると言っているんだから、

  孟さんも文さんも現時点で十分に譲歩していると思うよ。)

マリカ:(しかないということも無いぞ。

  目先に見える選択肢だけに捕われない方がいい。

  ただ、無難な考えとしてはそういう落としどころにはなるな。

  しかし、あくまで兎人族が譲歩すればの話だけどね。)


総司:(感情的な人達だから、話をする過程で結果が大きく

  左右されそうだよね。

  嫌いだから無理って言ってきても、おかしくない印象だよ…。)

マリカ:(国王の備玄さんは冷静に見えたけどね。

  ただ、救助されたときに総司の魔法は見ていただろうに、

  全員で襲いかかれば捕らえられると思っていた辺りは、

  自分達の力を過信し、相手を甘く見るところが

  ある気がするね。)

総司:(僕もビックリしたよ。)

マリカ:(総司は嫌がるかもしれないけど、脅しも大事だよ。

  自分の考えが間違っていないと信じるなら、

  兎人族の国王が建国と国王の宣言の撤回を断ったら、

  総司も敵対するくらいは言うべきだ。)


総司:(うーん…。)

マリカ:(総司は誤解しているかもしれないけど、

  アイさんの常套手段は脅しだぞ?

  これまでの交渉事でも全て脅しから入っていると言っていい。

  竜族に対してはドレイクさんと戦って圧勝。

  人魚族に対しては襲撃者を完全制圧してからの脅し。

  人魚の町ではアクアさんに町を吹き飛ばすと脅す。

  イルスの街では武術大会で

  圧倒的な強さを見せつけてからの交渉。

  余程無茶なことを言わない限り、相手はアイさんの主張を

  断れないようになってるんだよ。

  アイさんは最終的には双方にとって良い結果を実現して、

  相手の一時の不満も消し去る自信と覚悟があるから

  決行するんだよ。総司も見ていたよね?)


総司:(うん…。それはわかってたよ。

  僕は自分の行動を信じきれてなんていない。

  自分の決断で周りを振り回して、

  最後にはみんなを幸せに出来るなんて確信は持てないよ。

  最終的には相手に決断させるように行動している。)

マリカ:(総司の決断は私の決断でもある。

  私は総司を信じているよ。)

総司:(うん。ありがとう。)


マリカ:(とりあえず、明日のことは明日考えるとして、

  今日はここに泊まっていこう。私はもう寝たいな。)

総司:(どうせ僕が寝てからまた何かするんでしょ?

  そもそもマリカさんが行動したいときは遠慮なく

  言ってくれれば、僕は素直に寝るんだからね?

  なんで嘘をつくのさ。

  後ろ暗いことがあるって言ってる様なものだからね?)

マリカ:(そ…そんなこと…ないぞ…?)

総司:(大人ってほんと嘘をつき通そうとするよね。)

マリカ:(………。)


夕ご飯を食べ終わった後、避難民のために造った住居の傍に

来客用の小さな住居を造った。


今日は僕がそれを使う。

レオンさん達も今日は泊まっていくそうだ。


まあ、みんなから見たら、僕は寝たと思ったらすぐに起きて

どこかに行くんだろうけどね。

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