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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
三角大陸
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54.三種族の対立④犬人族との会談

町には城壁は無いが、町の入口に繋がる道には

犬人族の兵士が二人立っていた。


マリカ:(ほら。検問がある。変装しておいて良かったね。)

総司:(そうだね…。)


僕は町の入口で数人並んでいる列の最後尾に並ぶ。

混んではいないので直に自分の番になるだろう。


マリカ:(情報が何もないから、旅人ってことにしよう。

  素直に北の大陸から来たって言ってみようか。)

総司:(そうだね。

  話の辻褄があわないと不審に思われるだろうから、

  嘘はなるべくつかない様にした方がいいね。)


マリカさんと相談しているうちに、すぐに僕の番になった。


総司:「お疲れ様です。」


「見ない顔だな。どこから来た?」


総司:「北の大陸から来ました。」


「北の大陸?知らないな…。」


受け答えしている兵士はもう一人の兵士の方を見る。

もう一人の兵士も知らないみたいだ。


総司:「この三角大陸よりも北にある大陸です。」


「どうやって来た?」


総司:「飛行の魔法で飛んできました。」


「魔法使いか!ちょっと待ってろ。」


受け答えしていた兵士ではない方の兵士が町中へ走って行く。


総司:(正直に言い過ぎたかな…。)

マリカ:(最終的には国王に会うのが目的なんだから、

  魔法使いであることはいずれ明かすことになる。

  最初から明かしておいた方が後々いいと思うよ。

  それに普通の人が国王に会うのは難しいだろう。

  魔法使いと知ってもらった方が、

  国王に会って貰える可能性は高くなると思う。)


僕は長くなりそうだから、次に並んでいる人に譲っておこう。


総司:「僕は長くなりそうなんで、横で待っていますね。

  次の方の確認をお願いします。」


「そうだな…。逃げるなよ?」


総司:「逃げませんよ…。」


直に町中へ走って行った兵士が30名程度の兵士を連れて戻って来た。


総司:(なんだかいっぱい来たね…。)

マリカ:(追い払われるか、捕らえられるか、かなぁ。)


「お前が北の大陸から来たという魔法使いか。」


総司:「はい。」


「魔法使いというのは本当か?」


総司:「はい。」


「飛行の魔法が使えると聞いたが本当か?」


総司:「はい。」


マリカ:(せっかく聞かれたから、上空に飛んで町の様子を見よう。

  更にこっちに向かって来ている兵士がいるかもしれない。)


総司:「実際に飛んでみせますね。」


僕は垂直に飛び上がる。マリカさんが言う通り、

更にこちらに30名程度向かって来ている。


先頭を走っているのは一昨日に見た3人の魔法使いの1人だ。

確か仲と呼ばれていた女性の魔法使いだ。


総司:(町に入る前に一昨日に会ってるのがバレそうだね…。)

マリカ:(話が早くていいんじゃない?)

総司:(変装してるのが裏目に出ちゃうんじゃない?)

マリカ:(そうだな…。今のうちに変装を解いておこう。)


僕は変装を解いてから下降して着地する。


総司:「これが僕が使える飛行の魔法です。」


「確かに…。すごいな…。」


魔法に驚いて人間族に変わっていることに

気が付いていないみたいだ。


仲:「ちょっと通して!」


兵士達が左右に割れる。


仲:「貴方が魔法使い…。

  って、一昨日の戦闘で兎人族を逃がしたやつじゃない!

  あいつを捕らえなさい!」


問答無用だった。


全員が武器を構えて襲いかかってくる。

僕は上空へ回避する。


総司:「待ってください!僕は兎人族の味方じゃないですよ!」

仲:「嘘を言うな!命懸けで兎人族の国王を逃がしたじゃない!」


そう見えたのか。

全然命懸けなんて気は無かったけど…。

兵士達が武器を投げてくるので、回避する。


総司:(困ったな…。どうしようか?)

マリカ:(とりあえず全員無傷で倒すしかないな。

  総司はそのまま相手の攻撃を回避しててくれ。)


マリカさんが魔法でなんとかするみたいだ。


僕の前に無数の水玉が発生した。

それを熱風で気化させて相手に浴びせる。


すると犬人族の兵士達はくしゃみをしながら

目から涙、鼻から鼻水を流している。


マリカ:(唐辛子の抽出液だ。

  防犯スプレーみたいなものだね。

  今のうちに全員を縛鎖の魔法で搦め捕れ。)


僕は地上に降りて縛鎖の魔法で相手を縛っていく。

鎖の結び目もなく連結しているので、簡単には外せない。


犬人族の兵士達から怒声を浴びせられる。

急に襲いかかってきたんだから、仕方ないじゃないか…。


更に町からたくさんの兵士が走って来る。

ここにいた兵士は全て捕らえたから、

町の人が呼んだのかもしれない。


総司:(大事になっちゃったね…。)

マリカ:(連携が早いな…。

  毒の霧を使うと近寄らずに武器を投げてくるかもしれない。

  私達は大丈夫だけど、

  動けない兵士に当たるとマズいな…。

  一旦撤退しよう。

  そこにいる魔法使いは幹部っぽいから連れていって、

  まずはそいつに事情を聞いて貰おう。)

総司:(それって拉致するってことじゃない?それは嫌。)

マリカ:(仕方ないな…。)


僕は刀を抜いて光輝剣を発動する。


救援に来た兵士達の方へ突っ込み相手の武器を斬って破壊していく。

襲いかかって来る相手は強風で吹き飛ばす。


しばらく戦闘が続いた。200人以上は相手にしたと思う。


相手が近づいてこなくなったので、超加速で距離を詰めて、

武器の破壊と吹き飛ばしを続ける。


無力化した相手はそのまま遠巻きに見ている。

もう周りは数え切れないほどの兵士が完全に取り囲んでいる。


弓で矢を放ってくる人もいるが、範囲防御壁を展開して防ぐ。

僕の方に近づいてくる人も武器を投げてくる人もいなくなった。


マリカ:(もうこのまま全員倒しちゃうか。)

総司:(早く責任者が出てきて、この事態を収拾してほしいよ…。)

マリカ:(ちょっと脅しておいた方がいいよ。

  こっちは手加減しているって分からせた方がいい。)

総司:(脅し…。悪役まっしぐらだよ…。)


僕は再び滞空し、救援にくる兵士達の目の前に刃の陣の魔法を放つ。

100本以上の刃が道を塞ぐ。


総司:「これ以上の戦闘は望まない!僕がみんなを傷つけない様に

  戦っている間に戦闘をやめてほしい!」


氷の矢が僕に向かってくるが、難なく防御壁で防ぐ。

もう一人魔法使いが来たみたいだ。


マリカ:(頑固だな…。あいつを見せしめにしよう。)

総司:(見せしめ…。そんなことしたら悪役確定だよ…。)

マリカ:(だから最初の魔法使いを連れて

  一旦撤退すれば良かったんだよ。今後の教訓だね。)

総司:(僕が甘かったね…。)


僕は氷の矢を放ってきた魔法使いに突進して四肢を斬りおとす。

そしてすぐに止血の魔法で応急処置をする。


総司:「これ以上攻撃してくる者には同様に容赦なく攻撃する!」


マリカ:(カッコいいぞ!)

総司:(こんなはずじゃなかったのに…。)


総司:「戦闘を止める様に言って貰えますか?」


僕は四肢を斬りおとした魔法使いの首に剣先を当てて言う。

一昨日の戦闘で孟さんから仲さんの兄貴と言われていた人だ。


「殺すなら殺せ!生き恥をさらすくらいなら死んだ方がいい!」


こんな返事が来るとは思わなかった。僕が殺せるわけがない…。


総司:(想定外…。どうしよう…。)

マリカ:(これは本当に困ったな…。)


仲:「兄さんを殺さないで!」


仲さんが縛鎖の魔法に捕らえられたままピョンピョン跳ねて

こっちに近づいて来ながら泣き叫んでいる。


もう完全に僕が悪役の構図だ。なんでこうなった…。

悲しくなってくる。


総司:「殺しはしない!お願いだから僕の話を聞いてほしい!」


僕は仲さんのお兄さんの四肢を復元する。

回復するとすぐに立ち上がり、

落ちている剣を拾って僕に斬りかかってきた。


仕方ないので、再び四肢を斬りおとす。

周囲から怒号と悲鳴がおきる。


今度は止血はしない。自分でするだろう…。


マリカ:(話にならないな…。)


総司:「お願いだから斬りかかってこないでください。」


僕は剣を破壊してから再び四肢を復元する。

仲さんのお兄さんは立ち上がり睨んでくる。

相変わらず周囲は犬人族の兵士に囲まれたままだ。


総司:「僕に敵対する意思はありません。」


「ここまでしておいて今更何を言っている!お前は敵だ!」


仲さんのお兄さんの言葉で周囲の兵士は戦意を取り戻したようだ。

諦めの目が敵意に変わった。


総司:「何で攻撃してくるんですか?」


「お前は襲撃者だろ!自分達を守るために戦うのは当たり前だ!」


総司:「普通に旅人としてこの町に入ろうとしたのに、

  襲ってきたのはそっちですよ?」


「卑怯な兎人族の協力者が嘘をいうな!

 潜入して何かするつもりだったんだろ!」


総司:「僕は兎人族とは関係ありません。」


「嘘を言うな!命懸けで兎人族の国王を逃がしただろ!」


総司:「偶然追われているのを見たので助けに入っただけです。」


「そんなバカな話が信じられるか!」


仲さんとまったく同じことを言われた。

言われてみれば、通りすがりで大軍の前に割り込んで

人助けなど、普通はありえないと思うだろう。


マリカ:(まあ…。そう考えられても仕方ないか。)

総司:(前提がロックされちゃうと、どうしようもないね。)

マリカ:(周りも含めて完全に頭に血が上ってるな。

  この状況で話し合いなんて無理だろう。)

総司:(どうしようかな…。)

マリカ:(もうここまでやっちゃったら、

  国王を探しだし、話をしてみて聞いてくれるか試そう。

  それでダメなら撤退して改めて作戦を考えよう。)

総司:(僕が甘かった。相手の言い分も分からないでもない。

  マリカさんの言う様に国王が話を聞いてくれることに

  賭けよう。)


僕は上空に飛び立ち、国王がいそうな場所を探す。

その間にも矢が飛んでくるが、

範囲防御壁を展開しているので、問題無い。


総司:(城のような分かり易い建物は無いね。)

マリカ:(この町には一時的に駐留しているだけだろうからね。)

総司:(中心の方に大きな建物がいくつかあるから、

  そのどれかかな?)

マリカ:(そうだろうな。護衛の兵士がいるだろうから、

  兵士が一番多くいるところに突っ込もう。)

総司:(もう完全に襲撃者だね…。)

マリカ:(中途半端でやめるのが一番よく無い。

  今が一番厳しい時だ。これを超えれば希望はある。)


大きな建物のうちの一つは兵士の出入りが多い。

あの建物に国王がいると思う。

僕は高速飛行で建物の入り口へ迫り、光輝剣で扉を斬り裂く。


「「「何者だ!!!」」」


たくさんの犬人族の兵士が剣を構える。

町の入口の戦闘の情報はまだ伝わってないのか?


僕は縛鎖の魔法で兵士の動きを封じていく。

エントランスの兵士を全て倒して、魔法で建物の入り口を塞ぐ。


兵士の声を聞いて奥の部屋からも兵士がたくさん出てくる。

各々の扉から出てくる兵士の方に

細い氷の矢に麻痺毒を塗布して打ち込む。


マリカ:(正面の大きな扉に入ろう。)


僕は一気に正面の扉に駆け込む。


正面には予想通り一昨日の戦闘で中心にいた人物がいた。

部屋には他にも複数の兵士がいる。

たぶんこの正面にいる人が国王だと思う。


僕は部屋の中にいる兵士に細い氷の矢に麻痺毒を塗布して放つ。


動きを封じた後に縛鎖の魔法で全員捕縛する。

部屋の扉も魔法で壁を作って封じる。


総司:「突然の無礼をお許し下さい。

  町の入口からずっと兵士達に襲いかかられて、

  やむなく強行することになってしまいました。

  貴方が犬人族の国の国王ですか?」


「お前は一昨日の戦闘で兎人族を手助けした者だな?」


総司:「はい。ですが、追われていたので助けただけです。

  兎人族とは縁もゆかりもありません。」


「その行動が我らに多大な損害を与えたことを理解しているか?」


総司:「対峙した際に話をする機会はありました。

  私はその時も追われていたので助けに入ったと言ったはずです。

  それを聞かずに一方的に攻撃してきたのはそちらです。」


「それで、今日ここに来た目的はなんだ?」


総司:「一昨日の戦闘にも関係しますが、三角大陸で三種族が

  争っている理由を教えて頂きたくて来ました。」


「それを知ってどうする?」


総司:「止めたいと思っています。」


「なぜだ?」


総司:「種族に関わらず平和に生きることが各々の幸せに繋がると、

  そう信じているからです。」


「お前は自分が信じる理想を一方的に推し進めるのか。

 傲慢だな。戦うことが生きる理由ということもある。

 我らは太古よりこの大陸で猫人族と争っている。

 それは強要されたものではないし、

 誰も止めることを望んでいない。

 戦闘に参加している兵士も自由意思だ。」


総司:「私は北の大陸に住んでいます。

  最近になって兎人族や鳥人族の人々が多数避難してきます。

  少なくともその人々は争いを望まず、

  争う人々によって追われた者達です。

  こうした人々のことを無視して争うと言うのであれば、

  私もまた争う人々と争うことになるでしょう。」


マリカ:(総司カッコいいな!よく言った!)

総司:(ちょっとイラッときて言っちゃったよ…。)


「お前は何か勘違いしている。

 我らと猫人族との争いに介入してきたのは兎人族だ。」


総司:「兎人族の介入とはどのようなことですか?」


「元々我らは三角大陸の東側でお互いの種族同士で戦っていた。

 過去の過ちから魔法使いの参戦は極力避けてきたが、

 猫人族から魔法使いが参戦するという話があり、

 私を含め3人の魔法使いが参戦することになった。

 魔法使いが参戦すれば戦闘は激化する。

 戦闘に参加する者が増え、

 西側の領地が空いた隙をついて兎人族が身の程知らずにも

 西側の土地に進出してきて建国を宣言したのだ。

 お前が先ほど言ったように、

 避難民が出たのは最近になってからのはずだ。

 それまでは争わぬ者への被害は極力抑えられていた。

 その状況を崩したのは兎人族であり、自業自得であろう。」


総司:「兎人族に最低限の土地を譲ることは出来ないでしょうか?

  食料生産などの問題でしたら、耕地の開拓など、

  私にもお手伝い出来ると思います。」


「土地については幾分かは譲ってもいい。

 但し、建国と国王の僭称を撤回することが条件だ。」


総司:(猫人族の国王の孟さんと言っている事は同じだね。)

マリカ:(そうだね。猫人族の国王が本気で言っていたかは

  今となっては怪しいけどな。)


総司:「なぜ兎人族が国を作ることを認められないのですか?」


「この大陸は女神様より犬人族と猫人族に与えられたものだ。

 他の種族が住むことは許すが国を成すことは許さぬ。

 それはお前と争うことになったとしてもだ。」


マリカ:(とりあえず、犬人族の国王と会談して

  聞きたかったことは聞けたな。

  猫人族と犬人族の戦闘が激化した理由は

  両軍で魔法使いが多数参戦したから。

  魔法使いが参戦した理由は、

  猫人族の魔法使いが急に参戦してきたから。

  「この大陸で許されるのは、猫人族と犬人族の国だけ」

  と言っていたのは、この大陸は女神から犬人族と猫人族に

  与えられたと、犬人族と猫人族の両方が思っているから。

  猫人族の国王から直接聞いてはいないけど、

  ここまで言っていることが同じなら理由も同じだと思う。)

総司:(そうすると猫人族の魔法使いが何で急に

  参戦したかって話は残るよね。

  あと神様のせいにしちゃうのはちょっとな…。)


総司:「女神様に与えられたと言うのは根拠があるのですか?」


「この大陸の中央の山、

 泰山の頂上付近にある洞窟の中に女神様の像がある。

 その像の碑文に明記されている。

 その神々しいお姿を見ればお前にもわかるだろう。」


総司:「お答え頂きありがとうございました。

  一度帰って兎人族と猫人族、そして女神様の像など、

  確認してきたいと思います。

  次もまたこうしてお話しをさせて頂けると助かります。

  それに今回は、強行してここに来てしまいました。

  次に来るときは問題無く面会出来る様に

  ご配慮をお願い出来ないでしょうか?」


「よかろう。私は犬人族の国、東娯の国王の文だ。

 お前の名は何と言う?」


総司:「私は総司と言います。」

文:「それでは犬人族の皆に紹介しよう。

  次に来た時は素直に私の元へ通すようにと。」


文さんが立ち上がり、部屋の入口の扉に向かう。

僕は部屋にいる兵士達の縛鎖の魔法を消す。

僕は先回りして、扉の位置の壁を壊して扉を修復した。


総司:「この建物の扉も壊してしまったので、直します。」

文:「まあよい。」


部屋から外に出ると、エントランスには縛鎖の魔法で

動きを封じられている兵士がたくさんいる。


麻痺毒の矢を受けた兵士も床に転がったまま、まだ回復していない。

国王を見て驚いている。


総司:「国王様とは和解しました。

  もう攻撃してこないで下さいね。」


僕の言葉に文さんが頷くのを見て、縛鎖の魔法を消す。

そして建物の扉を封じた壁を消して扉を修復する。


出たら斬りかかられそうなので、文さんの方を向くと

察してくれて先に扉から出てくれた。


文:「兵士達が少ないな。」

総司:「町の入口で戦闘になったので、

  そちらにたくさんいると思います。

  行くまで時間がかかるので、

  よろしければ一緒に飛行の魔法で行きませんか?」

文:「どうするのだ?」

総司:「失礼します。」


僕は文さんを後ろから抱えて飛び立つ。

高速飛行で町の入口にまだいるたくさんの兵士達の中心に降りる。


文:「これはすごいな…。」


「父上!貴様!父上を人質に取るつもりか!!」


仲:「お父さん!」


仲さんは国王の娘だったのか…。

ということは、全然話を聞いてくれないお兄さんも

国王の息子ということね…。


文:「私は総司と和解した。これ以上の戦闘は止めよ。

  それと次に総司が来た時は私の元へ通すように。」


「父上の言葉とはいえ素直には聞けません。

 この者は我が国の兵士の悉くを倒したのです。

 許しがたい行為です。」


総司:「町の入口にいた兵士に言われた通りに待っていたら、

  急に襲いかかってきたので応戦しただけです。」

文:「そうなのか?伯、仲、知っているか?」


面倒なお兄さんは伯さんと言うのか…。


伯:「私は連絡がきて救援に向かいましたが既に戦闘状態でした。」

仲:「町の検問をしている兵士から魔法使いが

  この町に来たという連絡を受けて向かったところ、

  一昨日の戦闘で兎人族の大将を逃がした者がいたので、

  捕らえようとしました。」

総司:「いきなり襲いかかってきましたよね?」

仲:「当たり前でしょう?貴方は卑怯な兎人族の味方なのだから。」

総司:「追われていたので助けただけだと言いましたよ?」

仲:「そんな言い訳が通じるわけがないでしょう!」


話が戻った…。同じ話の繰り返しになるね…。


総司:「本当です。仮に仲さんが追われていたら助けましたよ?」


僕は仲さんにかけた縛鎖の魔法を消す。

仲さんは悔しそうな顔で僕を見る。


文:「ここにいる兵士の全てと戦ったのか?

  それに破壊されて落ちている武器も総司がやったと?」

総司:「はい。出来るだけ怪我をさせずに無力化するのに

  仕方なく武器を破壊しました。

  全員一日二日で回復する程度の負傷のはずです。」

文:「なるほど…。伯、仲、許さんと言ったが、

  次に総司が来た時に止められるのか?」

伯:「父上のご命令とあれば。」

文:「今日は突破されたが次は大丈夫という根拠はあるのか?」

伯:「わが命に代えても止めてみせます。」


ダメだ…。本当に話にならない…。


文:「ならば命じよう。総司とは戦うな。

  大事な息子の命をこんなことで失うわけにはいかん。」

伯:「父上…。」


たぶん文さんが悪い…。

伯さんがこんなにも話を聞かないのは、

ずっとこんな感じで甘やかしてきたんだろう…。


文:「仲もわかったな?」

仲:「わかりました。」

文:「皆もわかったな!総司と争っても意味はない!

  次は私のところに素直に通すように!」


「「「わかりました!!!」」」


みんな不承不承な顔だが良い返事が返ってきた。

次は大丈夫だろう。


総司:「ありがとうございました。

  私の知りたい事はお話し頂けたので、今日は帰ります。

  また後日、改めてお話しを聞きに来ます。」

文:「よかろう。」

総司:「皆さんごめんなさい!!

  次は仲良くしてくれると嬉しいです!!

  それではまた!」


僕は飛行の魔法で飛び立つ。


二度と来るんじゃねーという罵声が聞こえてくる。

悲しいなぁ…。

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