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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
北の大陸
58/89

47.交流への道⑨領主との会談④

目が覚める。

昨日はマリカさんに後のことをお願いして

温泉に入ったまま寝ちゃったんだよね。


外を見ると薄明るくなっている。


総司:(マリカさん起きてる?)


返事がないな。まだ寝てるみたいだ。

起きて周りを見てみると誰もいない。


個室に一人で寝ていたみたいだ。

先日まで寝泊まりしていた家と違う。ここは宿泊所かな?


外に出て建物を見ると予想通り宿泊所だった。

仮運営も兼ねて宿泊所を使ったのかもしれない。


朝ご飯まで時間があるので、僕は外を見て回ることにした。

住民の人達も何人か既に起きていて、

僕のように散歩をしている人や、何かの作業をしている人がいる。


少し飛んで上空からこの辺り一帯を見てみる。

麓の町の方を見ると農道にも人がいて、

朝早くから仕事をしている人達が見える。


よく見ると、麓の町の端に魔法で家を作っている人がいる。

アイさんだ。僕は手伝うために近くに降りる。


総司:「おはよう。朝早くからお疲れ様。」

アイ:「おはよう。今日は早いね。

  ああ…、そういえば、

  昨日は温泉で先に寝ちゃったんだったね。

  前にみんなで温泉に入った時もそうだったけど、

  ああいう状況でマリカさんに代わるのは、

  あんまり良くないと思うよ?」

総司:「そうだね。マリカさんには悪いと思ってるんだけどね…。

  どうしても眠くなっちゃたから、マリカさんに後を頼んで

  そのまま寝ちゃった。」

アイ:「そういう意味で言ってるんじゃないけどね…。」

総司:「マリカさんなら間違いなく僕より上手くやってくれるよ。

  それはそうと、僕も手伝うよ。」

アイ:「まあ、確かにある意味上手くやってるけどね…。

  それじゃ、総司君は向こうの列を作って。」

総司:「わかった。」


アイさんはこうしていつも、見えないところでも

いろいろ頑張ってくれているのだろう。


僕も手伝うが、アイさんの仕事量に比べれば微々たるものだ。

それに今はマリカさんが寝ているので、魔法もかなり制限される。

それでも、こういうのは気持ちが大事だよね。


アイ:「そろそろ朝ご飯を食べに行こうか。

  今日の朝ご飯は食堂で料理を担当する人達が

  用意してくれるんだよ。」

総司:「楽しみだね。」


アイさんは町の人に声をかけて

何か話をした後にNRTへ飛び立つ。


食堂に入るとアクアさんが席に座っていた。

他の席にはこの町で暮らしている人達もいて、

朝ご飯を食べている。


アクア:「おはようございます。」

総司:「おはよう。今日も早いね。」


少しアクアさんの顔が赤い様にみえる。


アイ:「おはよう。みんなはまだ来てないかな。」

総司:「食堂も初めて来たけど、綺麗だね。」


豪華さはないが、シンプルで清潔感のある内装だ。


マリカ:(おはよう。)

総司:(おはよう。昨日はごめんね。)

マリカ:(構わない。気にするな。)

総司:(ありがとう。)


みんなも食堂に集まってきた。

各々挨拶をして席についている。


朝ご飯が配膳されていく。


メインは鮎の塩焼きみたいだ。

近くの川で取れたものだと思う。

これは食べたことがないので、どんな味がするのか楽しみだ。


アイ:「それじゃ、頂きましょう!」


アイさんが声をかけるとみんな食べ始める。


総司:(鮎の塩焼き美味しいね!)

マリカ:(天然物だから匂いもいいね!これも覚えよう。)

総司:(そういえば、川の魚はあんまり覚えてないね。)

マリカ:(それを言ったら、きのこもまだ十分とは言えないな。

  しかし、きのこは毒があるし判別はさすがに素人には難しい。

  安易に山で取って食べるという訳にもいかないからな…。)

アイ:(この辺りに住んでる狐人族や長耳族の人に

  聞けばわかるんじゃない?

  私ならすぐに毒があるか調べられるよ。

  それに私達なら食べても魔法で解毒出来るからね。

  むしろ試すなら私達がやった方がいいよ。)


マリカ:(そういえばそうだね。ちょっと抵抗あるけど…。)

総司:(渓流釣りとかいちご狩り、ぶどう狩り、きのこ狩り、

  イルスやザウルの街中の人達なら大自然と馴染みが

  ないだろうから、登山だったりキャンプもいいかも。

  山で出来るレジャーはいろいろあるから、

  そういうのも拡充していけるといいね。)

アイ:(今度都合が良い時に試しに私達でやってみよう。)

総司:(そうだね。)


食堂での朝ご飯が終わり、ルイさん達を送り届けるために

イルスの街に戻ることにする。


白狐さん、デルさん達は当初の予定通りに

このままNRTに残って準備を進めてもらう。


僕達はソフィさんの背に乗ってイルスの街へ移動し、

直接領主の屋敷の庭に降りた。


屋敷にいた人達はみんなビックリしていたが、

ルイさんが話をすることで落ち着いた。


ルイ:「いろいろと素晴らしい経験をさせて貰った。

  それと、何度も来てもらうのも悪いので、

  このまま領主と会談していってほしい。

  もちろんここにいる皆で出席して構わない。」

アイ:「ありがとう。そうさせて貰うね。」

フラン:「私も一緒でいいのかな…。」

シア:「私もいいのかな…。」

ルイ:「問題無い。むしろ歓迎する。

  ひとまず中のエントランスの席でお待ち頂きたい。」


みんなと感謝やお礼の挨拶などを交わし、一旦分かれる。

僕達は屋敷の中に入り、エントランスのテーブルで待つ。


天上が高く荘厳な雰囲気だ。

アイさんや僕の造る家とは違い、

この屋敷の歴史を感じさせられる。


しばらくするとマリーさんが来た。


マリー:「準備が出来ました。ご案内します。」


僕達はマリーさんに付いていき、エントランスの正面の入口に入る。

広い部屋で、正面に一段高くなっている場所に豪華な椅子がある。


いかにも謁見の間という雰囲気だ。

しかし正面の椅子には誰も座っていない。


領主様やルイさん達は部屋の左奥に並んでいた。


マリー:「こちらに。」


僕達は領主様の前へ案内され、

アイさんを中心に、領主様やルイさん達と向かい合う様に並ぶ。


マリーさんは向かい合って並ぶ

領主様側と僕達側の中心の端に立つ。


屋敷の使用人と思われる人達が領主様側と僕達側の後ろに

椅子を用意している。


マリー:「椅子におかけください。」


マリーさん以外の全員が席に座る。


簡単な挨拶が終わると、ルイさんが立ち上がり、

昨日の会談で決まったことを一つ一つ宣誓する。


ルイさんの宣誓が終わると、領主様が大きく頷く。


領主:「宣誓の内容を必ず実行することを

  イルスの街を代表して約束しよう。」


領主様はゆっくり立ち上がって宣誓する。


アイ:「ありがとうございます。

  私共も宣誓の内容を必ず実行することを誓います。」


アイさんも立ち上がって胸に手を当てて宣誓する。

領主様は笑顔を浮かべる。


領主:「さて、儀礼的なことはこれでいいかの。

  弟のレオン、孫のマリー、そして又姪のフェリ、

  三人のことを、よろしくお願いします。」

アイ:「喜んでお引き受けします。」

領主:「ルイ」

ルイ:「はい。」


領主様がルイさんに小声で何かを言うと、

ルイさんが領主様の手を取って中心まで歩いてくる。


ルイ:「アイさん、ちょっと来て貰えるかな?」

アイ:「はい。」


アイさんも中心まで歩いていく。


ルイさんは席に戻り、中心には領主様とアイさんだけになる。

何かを話した後、領主様とアイさんが膝をついて座る。


見様によっては領主様がアイさんに膝をついて座るのを

アイさんが止めたようにも見えた。


ルイさん達も驚いた顔をしている。

二人は小声で話をしていて何を話しているのか聞こえない。


アイさんの顔は見えないが、領主様は笑顔で話をしている。

曾祖父と曾孫くらいの差がある二人が

仲良く話をしているようにも見える。


話が終わったのか、アイさんが領主様の手を引いて、

領主様の席まで連れて行く。


領主様はマリーさんの方を向いて頷く。


マリー:「それでは会談を終了します。」


僕達はマリーさんの案内で謁見の間を出て、

再びエントランスの席で待つ。


マリー:「お疲れ様でした。

  アイさんはお爺様と面識があったのですか?」

アイ:「無いよ。良いお爺ちゃんだね。」


領主様をお爺ちゃんと言っちゃうか…。


マリー:「ありがとうございます。

  とても優しくて、身内のことながら素晴らしい人です。

  若いころに先代と一緒に旅をしたことがあるそうで、

  いろいろなことを知っているんですよ。」

アイ:「なるほどね…。私もいろいろお話し出来て良かったよ。」


マリーさんと話をしているうちにルイさん、レオンさん、

フェリさんの三人が来る。


ルイ:「ありがとう。アイさんは父と面識があったのかな?」


やはりマリーさんと同じようにルイさんも気になるらしい。


アイ:「無いよ。」

ルイ:「そうか…。何を話したのか聞いてもいいかな?」

アイ:「秘密だよ。」


アイさんは笑顔で答える。


ルイ:「そうか…。父も教えてくれなくてね…。」

アイ:「そう。二人の秘密なの。」

ルイ:「父はとても嬉しそうにしていたよ。

  改めてお礼を言わせてもらいたい。」

アイ:「こちらこそ。」

レオン:「それでは行こうか。」

アイ:「あ、もう一緒に来れるの?」

レオン:「もう大丈夫だ。何かあっても直に戻れるからね。」

アイ:「そうね。近いけど、あると便利だから、

  ここにもモニターを設置しておこうかな。

  約束した行政への協力にもなるもんね。」


僕が支えるように手を出したところにアイさんがモニターを作る。


マリー:「魔道具ですね。

  アイさん達の家にも同じ物が有ったと思いますけど…。

  これはどういう物なんですか?」

アイ:「実際に使うのを見てもらった方が早いかな。」

総司:「それなら僕が急いで家まで行って

  リビングにあるモニターを起動してくるよ。」

アイ:「そうね。お願い。」


僕は飛行の魔法で急いでリビングに行く。


設置されているモニターを起動するとアイさんが映る。


アイ:「お疲れ様。早かったね。」

総司:「急いだからね。」

アイ:「それじゃ、みんなこのモニターに魔力を通してみて。」


アイさんが言うとモニターにみんなの顔が順次映し出される。


総司:「皆さん聞こえますか?

  僕は今イルスの僕達の家のリビングにいます。」

マリー:「聞こえます。総司さんのお姿も見えています。」

ルイ:「これはすごいな。離れた場所で姿と声が伝わるのか。」

アイ:「モニターさえ設置すれば、どんなに距離が離れていても

  同じように連絡が可能なんだよ。相談事があったら、

  このモニターで連絡してきてくれれば、対応するからね。」

ルイ:「これでいつでもアイさんと話が出来るのか。

  これはありがたい。素晴らしい魔道具をありがとう。」

総司:「マリーさん、レオンさん、フェリさんとも

  会話出来るので、気軽に使って下さい。」

ルイ:「ありがたく使わせてもらおう。」

アイ:「総司君ありがとう。もう少ししたらそっちに戻るからね。

  総司君はそのまま家で待ってて。」

総司:「わかった。」


会話が終わったのでモニターを落とす。


昨日の会談の後片付けをして、お昼ご飯の用意をしながら

待っていると、二階からアイさんが降りてきた。


アイ:「お待たせ!」


アイさんが体重を感じさせないステップで僕の傍までくる。

さっきまでの凛々しい姿と違って、とても可愛らしい。


総司:「おかえり。」


アイさんに続いてソフィさん、マリーさん、フェリさん、

レオンさん、フランさん、シアちゃん、アクアさんが降りてくる。


アイ:「お昼ご飯の準備もしてくれてたんだね。」

フェリ:「いつも美味しいご飯でいいね!」

レオン:「協力するために同行したはずなのに、

  総司君達の世話になるばかりだな…。」

アクア:「率先して行動しないとアイ様と総司様が

  全てやってしまいますよ?」


アクアさんは配膳しながら笑顔で言う。


総司:「大した手間じゃないので気にしないで下さいね。」

ソフィ:「下手に手を出すと、返って邪魔になっちゃいそうで

  難しいんだよねー。」

アクア:「ソフィはドラゴンになる特技があるからいいでしょう?」

ソフィ:「特技って…。まあ、適度にアイさんが振ってくれるから、

  そんなに気にしなくてもいいかなって思ってるわ。」

マリー:「逆に振られなくなったら終わりってことですね…。」

フェリ:「頑張るわ…。」


アイ:「まずは自力を上げてもらった方がいいね。

  レオンさん達とシアちゃんには私が訓練メニューを用意するから

  暫くこの家の地下で特訓だよ。私が毎朝来て確認するからね。」

レオン:「早速指導を頂けるのか。よろしくお願いします。」

フェリ:「頑張るわ…。」

マリー:「よろしくお願いします。」

シア:「頑張ります!」

フラン:「私は事務仕事を頑張るよ…。」

アイ:「私達が留守にしがちだから、

  ここに居てくれるだけでも助かってるよ?」

総司:「お昼ご飯が出来たから食べよう。」


みんなでお昼ご飯を食べながら会話を続ける。


アイ:「私は基本的にこことNRTの麓の町の開発ね。

  NRTも私が定期的に様子を見に行くよ。

  総司君は人魚の町とザウルの街をお願い。

  アクアさんとソフィさんで人魚の町の観光と開発をお願い。

  基本的に今まで話をしていた通りね。」

総司:「わかった。」


今回の会談でNRTの麓の町が一番仕事量が多くなった。

今日の朝、少しだけ手伝ったけど正直僕ではあまり役に立てない。


いつもながらアイさんが頑張ってくれるつもりなんだろうな…。

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