44.交流への道⑥領主との会談①
アイ:「服選びに時間がかかっちゃったね。
段取りとか確認出来てないけど大丈夫かな?」
デル:「時間がかかったのはアイさんだけ…。」
アイ:「飲み物とお菓子みたいなものを用意しておこうか。
何人くるのかな?」
デルさんの言葉はスルーされた。
総司:「フランさんに聞いてくるね。」
僕はリビングを出たが、既にフランさんとアクアさんが
来客の対応をしていた。
総司:「もう来たみたい。」
アイ:「総司君とデルさん手伝って。
急いでサイドテーブルを出して、
そこにティーセットとティーカップをたくさん作って。
それとケーキとかお菓子系のものを作ろう。」
三人で急いで準備する。
アクア:「いらっしゃいました。リビングにお通ししますね。」
アイ:「入ったらそのまま奥の方に案内してね。」
アクア:「かしこまりました。」
フラン:「失礼します。」
フランさんはかなり緊張している。
空いているドアをわざわざ閉めてノックしてから
再びドアを開けて入って来た。
デルさんがクスクス笑いをこらえている。
アクア:「どうぞこちらへ。」
来客を大きな丸テーブルの奥の方へと通す。
アクアさんは微笑みを浮かべて出来る人っぽい立ち振る舞いだ。
来客の方には見知った人が結構いる。
全部で7人いる。そのうちレオンさん、フェリシーさん、
武術大会の司会の人の3人は覚えている。
もう一人よく覚えていないが、見たことがある程度の人もいる。
中心にいるのが領主様の息子の方だろう。
みんな正装してきている。僕達も着替えておいてよかった。
アイ:「わざわざお越し下さいまして、ありがとうございます。」
「こちらこそ急な申し出にも関わらずお引き受け頂き感謝します。」
中心にいる人がアイさんに答える。
アイ:「具体的な会談の前に、
まずは私共から参加者を紹介させて頂きます。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
こちらがマジック商会の代表の総司です。」
総司:「総司です。よろしくお願いします。」
アイ:「次はマジック商会に所属のソフィアです。」
ソフィ:「ソフィアです。よろしくお願いします。
親しいものからはソフィと呼ばれています。
よろしければソフィとお呼び下さい。」
ソフィさんも丁寧に挨拶している。
普段は緩い感じだが、必要な時はいつもキッチリやってくれる。
アイ:「こちらは長耳族の代表として出席します。
デルフィニウム・ド・フラワーガーデンさんです。」
デル:「南東の大森林で長耳族の代表をしています。
長い名前ですので、デルと呼んで下さって結構です。
よろしくお願いします。」
アイ:「こちらは狐人族の代表として出席します。
白狐さんです。」
白狐:「東の大森林で狐人族の族長をしています。白狐です。
よろしくお願いします。」
アイ:「こちらは人魚族の代表として出席します。
アクアマリンさんです。」
アクア:「竜の島の人魚族の代表をしていました。
今は代表を辞して、後任に引き継ぐ立場となります。
アクアマリンと言います。
アクアとお呼び下さい。よろしくお願いします。」
アイ:「こちらはペンギン族の代表として出席します。
シアさんです。」
シア:「ペンギン族のシアです。よろしくお願いします。」
来客側から特に反応はない。ペンギン族と言われて素直に
信じたというより、全員の紹介を聞く姿勢みたいだ。
アイ:「最後に私共の参加者を紹介させて頂きました私は
アイと言います。総司、ソフィアと同様に
マジック商会に所属しています。」
フランさんはこちら側の参加者という立ち位置じゃないんだね。
イルスの街の職員だから、それはそうか。
中心にいる人と武術大会で司会をしていた女性が
向かい合って頷いている。
「ご紹介ありがとうございます。
それでは私共の紹介に移らせて頂きます。」
向こうの紹介は武術大会で司会をしていた女性みたいだ。
「まず初めに、こちらが現領主の長男のルイです。」
ルイ:「今日はお時間を頂き有難うございます。
領主の長男のルイです。
領主は高齢につき、領主としての業務を代行しています。
武術大会後の会談ですが、
これまでは成績優秀者の武勇を称え、
金銭以外の褒賞を与える場として設けられていました。
しかしながら、皆様はこれまでの成績優秀者とは
比較にならない、類まれなお力をお持ちです。
今後のイルスの街の繁栄のため、
是非ともお力添えをお願いしたいと考えています。
会談が有意義なものとなる様に、既に知己を得ている者と、
実務の責任者を連れてきております。
双方にとって良き会談となることを願います。」
ルイさんは丁寧に頭を下げてから司会の女性に頷いて合図する。
随分と丁寧な挨拶だ。想像と全然違っていた。
「こちらはイルス兵団長のアドンです。」
アドン:「イルス兵団長のアドンです。
覚えて頂けているか不安ですが、
アイ様とは前大会の優勝者として対戦しています。」
アイ:「もちろん覚えています。」
見覚えがあったのはアドンさんだね。
アイさんとの対戦は直に終わったし、
僕の方はちょうど性別問題で大騒ぎだった…。
その後も順次出席者の紹介が進む。
「最後に、私はマリーと申します。
街の職員として、武術大会では司会を務めていました。
また、ルイの長女でもあります。
覚えて下さっていると嬉しいのですが、
マジック商会のお三方とは表彰式でお会いしております。
その節は総司様には大変失礼を致しました。」
マリーさんは僕の方に頭を下げる。
総司:「覚えています。
失礼というのは性別を間違えたことですよね。
仕方のないことだと思います。私は気にしていません。」
マリー:「ありがとうございます。」
要約すると領主側の参加者は以下となる。
ルイ:領主の長男
マリー:武術大会の司会、イルスの街の職員、ルイの長女。
アドン:イルス兵団長。
レオン:イルス兵団、領主の弟。
フェリシー:イルス兵団、レオンの孫娘。
ジャック:財務長官。
ロべス:政務長官。
フランさんの紹介は無かったな…。
この会談の裏方のスタッフ扱いなのかな…。
イルスの街のローカルルールなどもあるかもしれないし、
こういう儀礼的なことはよく分からないね…。
アイ:「今後、末永く良いお付き合いが出来ればと
私共は考えております。
まずは親睦を深めるところから
始めたいと思いますが、いかがでしょうか?」
ルイ:「お気遣い感謝します。
こちらこそよろしくお願いします。」
アイ:「ありがとうございます。それでは提案がございます。
私も含めて私共はこうした場に不慣れな者が多く、
砕けた会話をさせて頂ければと思います。
もちろんルイ様と皆様もそのようにしていただければ幸いです。
取り急ぎ飲み物とケーキなどを用意しておりますので、
そちらを召し上がって頂きながら、まずは各々が自由に会話を
していきませんか?」
ルイ:「願っても無い申し出です。有り難く頂戴します。
ご提案頂きましたように、会話も気軽にさせて頂きますかな。」
アイ:「ありがとうございます。それでは。
みんな席に着いてくださいね。」
アイさんが急に笑顔で明るい声で言うと、
みんな表情の硬さが取れてきた。
そして出席者の前にティーカップを置いていく。
それに続いてアクアさんが紅茶をカップに注いで回る。
フランさんも小分けにしたケーキを席に置いていった。
席は多めに用意していたので、みんな各々好きな場所に座り、
話をしたい相手の人のところに席を変えたりしている。
僕の方にレオンさんとフェリさんが来た。
レオン:「総司君、武術大会以来だね。
対戦では恥かしいくらいにあっけなく負けてしまって、
会って話をしたいと思ってはいても、
中々会いに行くのに気が引けてね…。
しかし、総司君との会話の内容はルイにも伝えているよ。
今日の参加者も各種族の代表をこの場に集めている。
それだけでもありえないことだ。
難しいと思っていた高い理想も、
その力を知れば違う物に見えてくる。
君達はその理想を実現していくのだろうね。」
総司:「ありがとうございます。僕達の仲間はもちろん、
今日、来てくださった皆様と協力出来ればこそと思います。」
フェリ:「私も武術大会ではお世話になったわね。
総司君の言う通り、上には上がいると思い知らされたわ。
今度時間があるときでいいから、
私にもいろいろと教えてほしいな。」
総司:「喜んで。」
フェリさんは照れた顔で、少し様子を見るような顔で
言っていたので、僕は安心させるように笑顔で答えた。
アイさんとアクアさんは、ルイさん、ジャックさん、
ロべスさん、アドンさんの4人と会話している。
みんな笑顔で話をしている。メンバー的に内容は重そうだけど。
他のみんなは美味しそうにケーキを食べている。
さっきまであんなにキリッとしていたのに、
もういつもリビングにいるときと変わらない感じだ…。
会談というよりお茶会みたいになっている。
でも、こっちの方が僕もいいと思う。
シア:「これ美味しいね。もう無いのかな?」
ソフィ:「ケーキは私には作れないなー。」
デル:「私も無理だねぇ…。総司なら出来るんじゃない?」
出来るとしても僕じゃないんだけどね…。
マリカさんに頼んで、ケーキをホールサイズで作って切り分ける。
シア:「わ~~い!ありがとう!」
フェリ:「な!?魔法でそんなの作れるの!?」
総司:「フェリさんも食べる?」
フェリ:「頂くわ。」
レオン:「私も貰っていいかな?」
総司:「多めに作るから食べたい方は遠慮なく食べて下さい。
おかわりも大丈夫ですよ。足りなくなったらまた作るので。」
フェリ:「すごく美味しい…。
簡単に作ってるように見えるけどすごいことよ?
これを売る商売をするだけでもお金持ちになれるわね…。」
マリーさんもこっちにきた。
向こうの会話の内容が高度な内容になってきたのかな…。
マリー:「美味しそうですね。私も頂きます。」
フランさんが部屋の隅に立っているので誘ってあげよう。
総司:「フランさんもこっちに来て一緒に話をしませんか?
もうかしこまらなくても良さそうですよ?」
フラン:「ありがとう。ほんと場違いだわー。」
総司:「フランさんの職員としての仕事は、
この会談の開催を調整することで終わっていると思います。
あとは普通にいつも通りにしていいと思いますよ?」
フラン:「そうかな…。」
フランさんは不安そうにしている。
今日来た人達はいわゆる街のお偉いさんと言うべき人達だ。
緊張して当たり前だろう。
少し話をすれば緊張もとけてくるかな。
総司:「そういえば、アガサさんが昔、武術大会の司会を
したことがあるって言ってましたよね。
今日いらっしゃっているマリーさんも街の職員で、
武術大会の司会をしていましたけど、
フランさんは面識があるのですか?」
フラン:「無いわ。職員にもいろいろいるのよね。
アガサさんは実は結構良い家のお嬢様なのよ。
街の職員には結婚するまで職員として働いている
良い家のお嬢様も結構いるんだ。
武術大会の司会もそういう人達がすることが多いわね。
マリーさんは将来はこの街の領主様になるかも
しれないし、行政の方の担当だと思う。」
総司:「歳は同じくらいですよね。
この機会に話をしてみるのも良いんじゃないですか?
アガサさんとは仲良くされてましたし。
せっかくの機会だから僕が紹介しますよ。」
ちょっと強引かもしれないけど、僕はフランさんの手を
引いてみんなのところに連れて行く。
総司:「マリーさん、ちょっとよろしいでしょうか?」
マリー:「総司さんとお話ししたくて来たのですから、
大歓迎ですわ。それと先ほども言いましたが、
武術大会ではたいへん失礼しました。
フェリに総司さんが男性と後で聞いて、
失礼ですけど、市民証の登記簿も確認させてもらって、
間違えたことに気が付いたんです。
ですが…。胸が大きかった覚えがあるんです。
自分でも変なことを言っていると思うんですけど…。
失礼を承知でお聞きしますけど、そんなことないですよね?」
総司:「そんなこと…無いと言いたいんですけど、
実際は大きかったですね…。
マリーさんの見覚えに間違いはないです。
私は激しい戦闘の後は身体が女性に変わる体質なんです。」
マリー:「やっぱりそうですよね!
見間違いじゃないと思ってたんです!
こんなに綺麗で強くて胸が大きくて背が高いとか羨ましいって
思ったのを忘れるはずがありません。
フェリ。聞いてる?やっぱり私が間違えた訳じゃないのよ?」
フェリ:「総司君は変な体質なんだね…。」
総司:「余程のことが無ければ女性に変わることは
無いですけどね…。」
フェリ:「間違えても仕方ないとは思うよ。
私が最初に会ったときは胸は大きく無かったけど、
それでも女性と間違えたしね。」
レオン:「私も間違えたな…。フェリの友達かと思った。
フェリは可愛い孫娘だが、フェリ以上に綺麗で可愛い
女の子は初めて見たので、印象に残っている。」
フェリ:「総司君は男だから、関係ないよね。」
マリー:「レオンさんの感想はかなり身内贔屓だからね…。
それに、ここにいる方々はみんな綺麗な女性ばかり。」
話がだいぶ逸れちゃったな…。
総司:「えーと…。マリーさん、紹介させてください。
こちらは武術大会で僕達マジック商会の専属職員だった
フランソワーズさんです。
武術大会でとてもお世話になった方です。」
フラン:「マリーさん初めまして。フランソワーズです。
私も街の職員として働いています。
長い名前ですので、フランと呼んでください。」
マリー:「フランさん、お会い出来て嬉しいですわ。
私もフランさんのことは知っていました。
職員で今年の業績が一番になるのが確実な方ですもの。
それに総司さんといつも一緒にいて羨ましいと。
職員の間では噂になっていますわよ?」
ソフィ:「そういえば、武術大会の期間中はフランさんだけ
ずっと総司君と一緒だったね。」
白狐:「私は黙っていたけど、羨ましかったわね。」
フラン:「えーと…。なんかごめんなさい…。
でも、私も総司君と会えたのは一か月ぶりなんですよ?
せっかくここに住めるようになったのに、
一か月も会えなかったんです。」
マリー:「え!?フランさんはこの家に住んでいるんですか!?」
フラン:「え…はい…。武術大会が終わって直ぐに全員で大森林に
行った次の日に、私だけイルスの街に帰ってきたんです。
仕事が終わったら毎日この家にみんなが帰って来ているか
様子を見に来てたんですけど、誰も帰って来なくて…。
一週間後くらいにアイちゃんと会えて、
その時にここに住んでもいいって言って貰えたんです。
それからはずっとこの家に住ませて貰っています。」
マリー:「私もアイさんにお願いしてみようかしら…。」
ソフィ:「アイさんは総司君の言うことなら何でも聞くから、
総司君に頼めばいいんじゃない?」
総司:「いや…。何でもってことは無いと思うよ?」
マリー:「私もここで一緒に住みたいです。ダメですか?」
フェリ:「ちょっと待って。それなら私もここで一緒に住みたい。
お爺様、構わないですよね?」
レオン:「願っても無いことだが、この家の方々の許しを
頂ければだがな。ついでと言っては何だが、私もお願いしたい。
総司君の理想の手伝いをしたいと私もずっと思っていた。
武術や魔法の訓練に関しても、ここにいる方々の
教えを受けることが出来れば、これ以上のことは無い。
生活にかかる費用は私が全て負担する。
どうか受け入れて頂けないだろうか?」
僕の理想って訳じゃないんだけどね…。アイさんなんだよね…。
僕も大いに同意だから、別にいいんだけど。
デル:「アイさんと総司は何でも魔法で出せるから、
お金とかそういうのは必要ないわ。
家も人が増えたら地下でも地上階でも
簡単に増やせちゃうし、いいんじゃない?
アイさんや総司に比べればかなり劣るけど、
魔法なら私が教えてもいいし。」
白狐:「む…。お花畑は賛成か…。
それなら私が武術を教えてもいいかな…。」
ソフィ:「アイさんのやりたいことはたくさんあるから、
手伝ってくれるならむしろ有り難いんじゃない?」
総司:「みんなが賛成なら僕もいいよ。
ただ、僕達はこの大陸のいろいろなところで活動してるから、
最近はこの家にいることはそれほど多くないんです。
僕は武術大会の日から今日まで別のところにいましたし。
それでもいいですか?」
レオン:「この家に住みたいというのは少し違うな。
私は君達と行動を共にしたいということだ。
幸い私は飛行の魔法が使える。
足手まといになることは無いはずだ。」
フェリ:「な!?お爺様?ここで自分だけアピール!?
まさかの裏切り…。」
白狐:「私も飛行の魔法は使えるけど、あんまり意味が無いわよ?
アイさんと総司の飛行の魔法は比較にならないほど速い。
少人数で移動するときはアイさんか総司に掴まって
一緒に連れていって貰ってる。
大人数のときはソフィさんがドラゴンの姿になって、
その背中に乗せて貰って移動するわね。」
レオン:「ドラゴンの背中に乗せて貰えるのか…。」
ソフィ:「そんなに大したものじゃないよ?
総司君やアイさんの方が全然速いし。」
シア:「私も今日、朝ご飯を食べてから人魚の町から
アクアさんと一緒にお兄ちゃんに
掴まって連れて来て貰ったよ。
いつもながらすごい速いかった。」
総司:「特に飛行の魔法が使えるとか、使えないは関係なくて、
この家に住むのは構いませんけど、いろいろなところに
連れまわすことになるけど、それでいいかという確認です。」
レオン:「もちろん構わない。むしろ望むところだ。」
フェリ:「私も楽しみ!」
マリー:「私も構いませんわ。街の職員は辞めます。」
総司:「ちょっと待ってください…。
フェリさんはレオンさんの同意があるので構わないとして、
マリーさんはルイさんの許しが必要なんじゃないですか?」
マリー:「問題ありません。お父様からも総司さんと
一緒にいられるように頑張りなさいと言われています。」
総司:「マリーさんはそれでいいんですか?
僕が断ったってことにしても構いませんよ?」
マリー:「私の望みでもあります。」
総司:「それなら何も問題ありませんね。最後に一つ確認です。
レオンさんは既にご存知ですが、私達の目的は
種族の違いを超えてみんなが仲良く暮らしていける
世界を作ることです。それに賛同いただけますか?」
レオン:「私はもちろん承知している。
先ほども言ったが、その理想の力になりたいと思っている。」
フェリ:「もちろんオッケーよ。」
マリー:「賛同します。そして少しでもお力になれるように
努力することを誓います。」
武術大会の司会をしていた時も思ったけど、
マリーさんは頭が良くて上品だ。アクアさんに似てるかも。
総司:「ありがとうございます。
それならむしろこちらからお願いしたいくらいです。
これからよろしくお願いします。」
デル:「同居というより、仲間になったってことよね。
良かったわね。そういえば、レンやダリア、蘭と楓も含めて
私達はみんな総司が作る指輪を貰ってるよね。
シアちゃんも付けてるみたいだし。三人にも作ってあげれば?」
総司:「いいけど、魔法適正がないとあんまり意味がないよ?」
マリー:「私のことを気にしているなら、問題ありません。
私も魔法適正があります。公言はしていませんけど。」
フェリ:「魔力だけなら私よりちょい上かもね。」
総司:「それなら問題ないですね。少々お待ちください。」
せっかく作るなら良い物にしよう。
マリカさんにも手伝ってもらって大きな魔素結晶を作り、
いつもの術式セットを組み込んだ指輪を3つ作って渡す。
レオン:「これは魔道具か…。こんなものまで作れるのか…。
魔力が明らかに大きくなったのを感じる。
他にもいろいろと効果がありそうだな。」
フェリ:「しかも簡単に作っちゃってたよね!?
これ一つで家が何軒も買えるよ!?」
マリー:「素晴らしいですわね。しかも指輪…。」
みんな喜んでいるみたいだ。
フラン:「いいな~。」
総司:「フランさんも欲しいの?
魔法適正がないとあんまり意味がないですよ?」
フラン:「それでも作って貰えるなら欲しいな!」
総司:「いいけど、売ったりしたらダメですよ?」
フラン:「売る訳ないでしょ!」
どうせ作るなら身に付ける人にとって意味のあるものにしたいな。
総司:(作るならフランさんにとっても意味のある効果を
組み込みたいな。何か良いアイデアはある?)
マリカ:(そうだね…。魔素じゃなくて霊子の効果を
特化して強化する術式にしよう。
それと護身用として冷却魔法を極大発動させて
周囲を凍結させる術式とかはどうかな?)
総司:(いいね。そうしよう。)
僕はフランさん用の魔道具の指輪を作ってフランさんに渡す。
総司:「魔法適正が無くても
魔力が大幅に上がるようにしてみました。
今までよりも魔法の恩恵が急激に上がると思います。
それと護身用に周囲を凍結させられる魔法も発動出来ます。
普段は当然使わない方がいいですが、
襲われたりした時に少しは時間が稼げると思います。」
フラン:「嬉しい!ありがとう!」
アイさん達はまだ話をしているみたいだ。
時間があるから武器とかも作っちゃおうかな。
総司:「ついでだから、武器も作っちゃいますね。
レオンさんとフェリさんは身に付けている武器を
ちょっと貸してください。」
二人から武器を受け取り、良く見て特徴をおさえる。
どちらも長剣だが、レオンさんの剣は大きく幅広い。
フェリさんは標準的な長剣だ。
形はそのままに魔道具の武器を作成し二人に渡す。
総司:「どうぞ。組み込んである術式は訓練のときに
試して慣れて下さい。魔力を通せば復元するので
折れたり刃毀れを気にする必要もないですよ。
他にも戦闘で使える術式を組み込んであるので、
使えるようになれば、戦闘の幅も広がるはずです。」
レオン:「おお…。こんなものまで…。
これはもう対価を払えるようなものではない…。」
フェリ:「ありがとう…。魔道具の武器なんて
伝承の記載でしか存在しないものだと思ってた…。」
総司:「魔道具の武器には他にも大きな利点があります。
実際に見て貰うのでフェリさんちょっと手伝って下さい。」
僕は普通の剣を魔法で作ってフェリさんに構えてもらう。
僕は光輝剣でその剣を斬る。
フェリ:「それってアイさんの剣と同じに見えるね。
そして同じように武器が斬れちゃったわね…。」
総司:「さっき僕が作った魔道具の剣を構えてみてください。」
構えたフェリさんの剣を光輝剣で斬ろうとするが
斬れずに受け止められる。
フェリ:「おお…受け止めた…。
せっかく貰ったのにダメになっちゃうかと心配したわよ。」
総司:「魔道具の武器は武器や防御壁を斬ることが出来る
魔法に対して耐性があります。
この魔法を使える相手と戦うようなことがあったとき、
魔道具の武器を持っていないと
戦うことすらまともに出来ません。」
デル:「効果がすごいのはわかるけど、その魔法を使えるのは
たぶんアイさんと総司だけよ?
魔道具の武器を持ったところでアイさんと総司に戦闘で
勝つのは不可能なんだから、
その効果はあんまり意味がないわよ?」
総司:「もしかしたら、いるかもしれないでしょ…。」
ソフィ:「そういえば、お腹が空いてきたね。
もうすぐお昼ご飯の時間だけど、どうするのかな?」
ソフィさんは時間に敏感だ。ご飯の時間をいつも教えてくれる。
総司:「僕がお昼ご飯を作っちゃってもいいんだけど、
どうするかアイさんに聞いてくるよ。」
会談はお茶会みたいな形で想像以上に良い感じで進んでいる。
そして、レオンさん、フェリさん、マリーさんの三人も
仲間として協力してくれることになった。
この後どうするんだろう?




