30.武術大会②ソフィ、アイ予選
昼食後、13時からの試合で負傷した人を治療した後、
念のため近場からソフィさんを探す。
フラン:「ソフィさんは迷子体質なの?」
総司:「そんなことはないですが、
以前ザウルの街で迷子になったことがあるので、
ちょっと心配で。あくまで念のためです。」
フラン:「14時から第六会場だから、もう着いてるんじゃない?」
総司:「そうですね。行ってみましょう。」
第六会場に行く途中でソフィさんを見かけた。
総司:「そろそろ会場に行った方がいいよ。」
ソフィ:「もうそんな時間か。ちょうど13時の試合の人が
終わって出てきたから、治療してるところなんだよね。」
総司:「僕も手伝う。」
僕は治療を待っている負傷した人達を治療していく。
楓:「総司君はいつもながら一瞬で治療しちゃうね。」
白狐:「当たり前だけど、自分にも出来るんだよね?」
総司:「うん。」
蘭:「それなら総司君は手足を斬り落とされても
直に回復しちゃうから、戦闘不能にならないね。」
総司:「首を斬り落とされたりしない限りは大丈夫だよ。」
楓:「お腹辺りからバッサリ斬っちゃっても大丈夫なの?」
総司:「大丈夫。」
楓:「そうなんだ…。」
何か良からぬことを考えてそうだ…。
総司:「もう周りに負傷者はいないね。第六会場に行こう。」
ソフィ:「ありがとう。心配して探してくれてたんだね。」
総司:「念のためね。」
僕達は第六会場に向かう。
途中で負傷した人がいたので治療しながらだが、
時間前に第六会場に着いた。
もうアイさんや他の人達も着いている。
アイ:「遅いからちょっと心配したよ。」
ソフィ:「ごめんごめん。」
「各会場、14時からの試合の参加者は、
それぞれの会場前に集合してください。」
ソフィ:「行ってくるね!」
総司:「頑張ってね!」
アイ:「気楽にね!」
白狐:「私も参加したかったな…。」
総司:「半年後にまたあるよ。市民権も取得したから、
次は白狐さんもみんなも参加出来るね。」
フラン:「ここにいる人達ってみんな魔法使いなんだよね…。
次回は超ハイレベルな大会になっちゃうかな…。」
アクア:「一言に魔法使いと言っても実力は大きく異なります。
総司様のような方はかなり特殊ですよ。」
フラン:「そうよね…。そういえば、アクアさんは
総司君とアイちゃんを様呼びなんだね。」
アクア:「アイ様と総司様は竜の島の人魚族にとって
大恩のある方々ですので。」
フラン:「あの二人は過去にもいろいろやってるんだね…。」
僕は何もしてないに等しい…。ただ恥かしい思いをしただけだ…。
会場の入り口が開いて、前の試合の人達が出た後に
ソフィさん達が会場に入る。各々バラバラに位置を取る。
「開始10秒前!」
ソフィさんが両手の爪を伸ばし構える。僕まで緊張するな…。
「始め!」
試合の合図とともにソフィさんが対戦相手に突進する。
相手の斬撃を右手の爪で捉えて下に下ろし、左手の
爪を相手の首に当てる。相手は両手を上げた。
上手い。一瞬で一人を倒した。
人数が偶数だったため、全員が対戦中だ。
暫く待って対戦が終わった人のところに駆け込んでいる。
剣と盾を持った相手だ。相手が防御に徹しているため、
倒すのに少し時間がかかっている。
最後は剣を躱して体当たりし、
倒れた相手に爪を突きつけて勝利した。
その後も順調に勝利を重ねている。
予選突破は間違いないだろう。
「規定の時間が経過しました。試合を終了してください。」
ちょうどソフィさんが最後の一人を倒したところで終了になった。
アイ:「ソフィさんも無事に勝ったね。
総司君はソフィさんをお願い。
私は他の会場に行って、負傷者の治療に行くよ。」
総司:「わかった。」
フラン:「アイちゃんは16時から第一会場だよ。
遅れないようにね!」
アイ:「わかった!ありがとう!」
アイさんは走って他の会場の入り口へ向かう。
アクア:「私達も負傷者の手当てに行ってきます。」
デル:「私達も行ってくるね。」
アクアさん達とデルさん達もアイさんと別方向へ向かった。
僕と白狐さん達は第六会場の入り口へ向かう。
負傷して出てくる人を治療する。
白狐さん達も三人で同じ人の治療をしてる。
ソフィ:「9人しか倒せなかった。途中手間取っちゃったよ。」
フラン:「9人倒せば十分だからね…。」
総司:「カッコよかったよ。」
ソフィ:「ありがとう。勝数は総司君に負けちゃったけどね。」
フラン:「そこは別に競うところじゃないからね…。」
白狐:「ソフィさんも強いわね。私も出たくなったわ。」
ソフィ:「いつか対戦したいね。」
楓:「総司君に褒めて貰えるなら私も次出ようかな。」
蘭:「楓が出るなら私も出るよ。」
ソフィ:「みんなは?」
総司:「試合が終わったら、すぐに他の会場の負傷者の
治療に向かったよ。僕もそろそろ行くね。」
ソフィ:「総司君を残してくれたのね。
それじゃ、私達も治療に行こうか。」
白狐:「ええ。」
僕はフランさんと一緒に他の会場の治療に向かった。
13時半の試合の参加者も含めて負傷者はそれなりにいる。
負傷者を見つけては治療して回った。
フラン:「負傷した人も、とりあえず見当たらないわね。
次の試合が終わるまでは大丈夫そう。」
総司:「そうですね。
今日はずっと僕に付きあってくれて
ありがとうございます。
フランさんも武術大会を楽しみにしていたのに。」
フラン:「そういえば、全然気にしてなかったわね…。
総司君と一緒にいる方が楽しいから、
これはこれでオッケーだよ。
今は丁度誰も来ないし、
近場の会場の試合でも一緒に見ない?」
総司:「いいですね。一番近い所だと第七会場ですね。
行ってみましょう。」
僕とフランさんは観客席のサークルに入る。
僕達の試合も含め、これまでの試合と比べて明らかに観客が多い。
黄色い声援も多い。参加者に人気のある人がいるみたいだ。
手前に空いている座席がないので後方の座席に座る。
フラン:「すごく人が多いね。
試合はちょうど10分経過くらいだね。」
氷の矢を撃っている人がいる。魔法使いがいるみたいだ。
僕:「魔法使いがいますね。」
フラン:「あ、レオンさんだね。
優勝候補って言われている人だよ。
だからこんなに人が多いのか。」
見た目は30代の男性、髪の色は茶色で長身のカッコいい人だ。
イルス兵団の鎧を身につけている。
豪華なマントを纏っていて他のイルス兵団の人に比べて装飾が多い。
地位の高い人なのかな?
戦い方も上手い。氷の矢で牽制して長剣で打ち込み、
相手に傷を負わせていっている。
リスクを取らない堅実な戦い方だ。
総司:「魔法使いの特性を生かして、上手に戦う人ですね。」
フラン:「前回の大会では惜しくも決勝で負けたけど、
拮抗した良い勝負だったよ。
それとレオンさんは領主様の弟なの。
強くて、お金持ちで、カッコいいから人気が高いわね。
ついでに言うと、前の領主様から変わったばかりだけど、
領主様も高齢だから、今この街を実際に運営しているのは
領主様の御子息らしいわ。
その方から見れば、レオンさんは叔父になる訳で、
頼りになる人なのよ。レオンさんは、領主は兄の家系から
と言っているそうで、相続争いも無いみたい。」
総司:「立派な方ですね。
でも、レオンさんは元領主様の兄弟なんですよね?
領主様とレオンさんとは歳の離れた兄弟なんですか?」
フラン:「魔法使いは老化が遅いらしいから、ややこしいよね…。
レオンさんは見た目は若いけど、
70歳を過ぎているらしいわよ。」
総司:「なるほど。そういうことですか。」
フラン:「もしかして総司君も魔法使いだから、
見た目と違って結構高齢だったりするの?
私って無礼だったかしら…。」
総司:「僕は見た目通りの年齢ですよ。
ただ、この先もずっとこのままらしいですけど…。」
フラン:「良かった。でも、ずっとそのままって羨ましいわね。」
総司:「もうちょっと男らしい姿が良かったですけどね。
贅沢なことを言っているのはわかっていますが…。」
フラン:「いつも間違えられて、訂正してるもんね。
気にしているんだろうなとは思っていたわ…。」
会場から歓声と声援が上がる。
レオンさんがまた一人倒したみたいだ。
フラン:「前は私もキャーキャー言ってたけど、
総司君の試合を見た後だと、
そんな気にならなくなっちゃったわね…。
総司君の試合は圧倒的すぎてキャーキャー言う
気分じゃなかったわ…。観戦している人達も呆然としてたね。」
総司:「僕なんてアイさんと比べれば、大したことないですよ。」
みんなはこの後のアイさんの試合で、もっと呆然とするだろう。
僕の試合はアイさんの試合のお蔭で印象が薄れていく。
ふと下を見ると前の席に座るイルス兵団の女性がこっちを見ている。
僕達の会話が聞こえていたのだろうか?
うるさかったのかな…。
でも、周りの歓声に比べれば、普通の会話など問題ないだろう。
女性:「ちょっといいかしら?
貴方達の会話が聞こえたんだけど、
話の内容からは、お爺様の強さがたいした事なくて、
そこの女性?よね?その方の方が強いって言っている様に
聞こえるのよね。総司君って…男性かと思ったわ…。」
フラン:「気に障ったならごめんなさい。
あくまで私の感想だから許してね。」
お爺様…。話の内容からするにこの女性はレオンさんの
孫娘ってことになるのかな。
総司:「お聞きになった通り、総司で男です。
レオンさんのお孫さんなのですか?
私達の会話が無礼に聞こえたなら謝罪します。」
女性:「男…。ずいぶんと綺麗な男性ね…。
綺麗って男性に褒め言葉になるのかしら…。
ええと…。私はレオンの孫でフェリシー。
フェリで良いわ。これでも魔法使いよ。
高祖父の上の上の…何代前だっけ…。要するに前領主ね。
その方が亡くなってからはお爺様が一番強い魔法使いよ。
安易にお爺様より強いなんて言わないでほしいわ。」
総司:「初めて拝見しましたが、レオンさんは
上手な戦い方をされています。
おっしゃる通り、確かに強い方だと思います。
相手に大怪我をさせないように配慮して戦っているのも
見て取れます。とても立派な方だと思います。
ですが、世の中には上には上がいることもまた、
知って頂きたいです。」
フェリ:「へ~~~。自分の力に自信があるみたいね。
そこまで言うからには貴方も魔法使いなのよね?」
総司:「自信があるということはないですが…。
魔法使いではあります。」
フラン:「総司君も参加者で予選を勝ち残っていますよ。」
フェリ:「予選くらい私だって勝ち残ってる。
大したことじゃないわ。」
総司:「見て頂くのが一番ですね。
ちょうど次の次、16時からの第一会場の試合に
強い魔法使いが参加します。
それを観戦して頂ければ、
私の言っていることが理解出来ると思います。」
フェリ:「いいわ。絶対に見に行く。」
「規定の時間が経過しました。試合を終了してください。」
話をしているうちに試合時間が終了したみたいだ。
レオンさんは難なく予選を突破したみたいだ。
総司:「フランさん、行きましょう。
フェリさん、いろいろお話し出来て良かったです。
失礼します。」
フェリ:「ちょっと。どこにいくのよ?」
僕とフランさんが立ち去ろうとすると声をかけてくる。
僕達は負傷者の治療のために、会場の入り口に行き、
出てきた負傷者に声をかけて治療していく。
総司:「大丈夫ですか?」
僕は負傷した人を治療する。
「おお…。もう治ってる…。ありがとう。助かるよ。」
フェリ:「すごいわね…。どうなってるの?
手が一瞬で生えてきたみたい。」
総司:「これも魔法です。」
フェリ:「ふん!それと強さは関係ないもん!」
フラン:「いや…。斬られても、こんな風に直に復元出来たら、
戦闘でも無敵でしょ…。
斬られても構わず相手を斬れば勝ちなんだから…。」
フランさんがボソボソ聞こえない様に言っている。
「フェリが兵団以外の人と話をしているのは珍しいな。」
会場から出てきた人から声をかけられる。レオンさんだ。
フェリ:「お爺様、お疲れ様です。」
フェリさんはレオンさんに礼をする。
僕は続けて負傷した人を治療している。
レオン:「すごいな…。大怪我が一瞬で治っている。」
「総司君は午前中からずっと負傷者の治療をして
回ってくれているんですよ。私も足を失いましたが、
もうこの通り、総司君のお蔭で治っています。」
「私も治してもらいました。
この辺の試合で負傷した人はみんな総司君に
治療してもらっていると思います。
イルス兵団でも総司君のファンクラブがもう出来てますよ。
私も入っちゃいました!」
これまで治療したイルス兵団の人達だ。
顔を赤くしている人もたくさんいる。
ファンクラブなんて出来たんだ…。
レオン:「総司君?というこの美しいお嬢さんはフェリの友達か?」
フェリ:「友達じゃありませんわ!それにこの方は男性です。」
レオン:「ほう…。男か。」
僕はここの負傷者の治療が終わったので
フランさんと一緒に第八会場へ向かう。
急がないとアイさんの試合に間に合わないからね。
僕が移動するとレオンさん達が走ってついてくる。
レオン:「総司君、私はイルス兵団に所属するレオンだ。
少し話をしたい。」
通りすがりの負傷者を見つけて治療をする。
総司:「負傷した方々の治療をしながらで良ければ。」
レオン:「構わない。むしろ団員の治療をしてくれて感謝する。
総司君も武術大会に参加しているのか?」
フラン:「初めまして。総司君と共に行動している、
イルスの職員のフランソワーズです。
総司君も大会に参加しています。
それと第二会場で9時開始の予選を勝ち残っています。」
僕が治療している最中だったので、フランさんが代わりに
答えてくれた。余計なことも言っているが…。
レオン:「規定時間を半分以上残して終了し、
勝数12で予選を勝ち抜いた勝者か…。」
フェリ:「え…。なにそれ…。そんな試合があったんだ…。
勝数12って半分近く一人で倒したってこと?
そんなの嘘よね?」
「その試合は私も見ていました。
1対1のルールのせいで、
待っている時間の方が長かったです。
全員を一瞬で倒して、もう…カッコよかった!
後でファンクラブが立ち上がったと聞いて
私も入っちゃいました!」
ファンクラブって何をするんだろう…。
僕は商人ってことになってるから、
優先的に買い物をしてくれるってことになるのかな?
僕の方を見ている女性に笑顔を向ける。
喜んでくれているみたいだ。
その後は気にせず治療を続ける。負傷している人や周りの人が、
僕にゾロゾロついてくるイルス兵団の方々に驚いている。
そうしているうちに、負傷した全員を治療出来たみたいだ。
総司:「次の第一会場の試合に身内が参加するので、
それを観戦に行きます。それでは、失礼します。
あまりお話し出来なくてすいません。」
フェリ:「そういえば、そんなこと言ってたわね。
私もついて行くわ。」
レオン:「私も行こう。」
結局みんなついてきた。
「レオン様だわ!」
「あ!総司君だ!」
向かっている間にも人が増えていく。
僕は途中で負傷者を見つけては治療しながら進んでいく。
フラン:「なんか人が一杯になっちゃったわよ?」
総司:「せっかくアイさんが試合をするんだから、
たくさんの人が見てくれた方がいいですよ。」
第一会場につくと既にたくさんの人が観客席にいた。
アイさん達を見つけたので走る速度を上げて向かう。
アイ:「総司君!来てくれたんだね。
なんだかたくさんの人も連れて来てるけど…。」
アイさんも僕を見つけて走って来てくれる。
総司:「途中で話をしたりした人達だよ。」
ソフィ:「総司君の試合が結構噂になってるよ。
今回はすごい参加者がいるって。」
アイ:「私も負けないように頑張らないとね!」
総司:「ほどほどにね…。会場とか吹き飛ばしちゃダメだよ?」
アイ:「そんなことしないよ。
ちゃんとルールに則ってやるもん。」
レオンさんフェリさん、イルス兵団の方達も各々観客席に向かった。
白狐:「総司が褒め称えるアイさんが
どんな試合をするのか楽しみだわ。」
デル:「私も別の意味で楽しみ。」
楓:「人が一杯だから、総司君の席を取っておいたよ。」
総司:「ありがとう。」
蘭:「そんなことしてたっけ?」
レン:「俺も後学のためにしっかり観戦させてもらう。
総司君もすごかったけど、
アイさんはもっとすごいらしいからな。」
「各会場、16時からの試合の参加者は、
それぞれの会場前に集合してください。」
アイ:「それじゃ、行ってくるね!」
総司:「ガンバ…らなくていいからね…。ほどほどにね。」
アイさんが僕に手を振りながら走っていく。
楓:「総司君。席ここ。」
僕が座ると上から楓さんが座ってきた。
蘭:「バカなことしてないで、私と総司君の間に座りなさい。」
楓:「仕方ない。」
楓さんは大人しく蘭さんと僕の間に座った。
三人とも細いから問題無かった。
「「「アイちゃんがんばれ~~~!」」」
観客席からたくさんの声援が飛ぶ。
アイさんも気が付いて笑顔で手を振っている。
この一か月でアイさんにお世話になった人達だろう。
アイさん達が会場に入る。
アイさんはその都度に魔法で武器を作るので、
基本的に武器を身に着けていない。
服装も普段のままので、
僕が作った黄色いポンチョに子供っぽい服だ。
フェンスの中で武装した人達の中にアイさんがいる。
なんとも違和感のある光景だ…。
知らない人は、何で子供が入ってるの?とかザワザワしている。
僕もアイさんを知らなかったら、そう思っただろう…。
「開始10秒前!」
参加者達が武器を構える。アイさんはそのまま立っている。
「始め!」
開始の合図とともにアイさんは超加速で相手に近づき、
周囲に重りのついた投網のようなものを一気に複数投げつける。
相手が投網に捕われると下から鎖でグルグル巻きにしていく。
相手は地面に転がってクネクネしている。
この一連の作業は10秒かかっていない。
これは戦闘では無く、作業と言った方が正しいと思う。
アイさんは次々に対戦相手を鎖でグルグル巻きにしていく。
相手の技量にはまったく関係がない。
ただ高速に接近して相手の攻撃の届かない位置から
一人ずつ網と鎖で包装していく。
気が付くと鎖でグルグル巻きにされた12人の人達が、
クネクネと動きながら転がっていた。
デルさんはさっきから爆笑している。
アイさんは直に周囲にいる負傷した人達を治療して回る。
観客も僕達も呆然と見ていた。
アイさんの方法は誰も負傷させることなく、降参させる必要も無い。
とても合理的な方法だ。
これを武術とか戦闘と言えるかは別の問題だ…。
「第一会場は試合が終了しました。会場の入り口を解放します。」
アナウンスの後に、アイさんが大きく手を横に振ると、
対戦相手をグルグル巻きにしていた鎖と網が消えた。
全員無傷みたいだ。
「「「アイちゃんおめでとう~~~!」」」
アナウンスに我に返った観客が声援を送る。
会場の出入口は既にたくさんの人がいるので、
僕達はこの場で待つことにした。
アイさんは出入口にいる人達と笑顔で話をしてる。
白狐:「すごい魔法使いなのは間違いないな…。」
デル:「さすがアイさん。期待を裏切らないね!」
アクア:「さすがアイ様です。」
レン:「あれはちょっと俺には無理そうだね…。」
楓:「私もあの魔法を覚えたい。」
蘭:「コミカルに見えたけど、かなり高度な魔法だよ…。
それに一度に発動している魔力が膨大すぎる…。」
ダリア:「絶えず魔法を発動しているように見えたよね。
どうやったらあんなことが出来るんだろう…。」
総司:「誰にも真似出来ないよね。」
アイさんがこっちに走って来る。
アイ:「勝数12で総司君と一緒だったよ。
あれは運の要素が大きいね。」
総司:「お疲れ様。戦っている人達の戦闘が
時間差をつけて終わるかどうかだもんね。」
フラン:「それは確実に短時間で勝てる人の理屈だね…。」
ソフィ:「やっぱり私だけ見劣りする結果だよ。」
フラン:「目標が高すぎるわね…。
勝数9も十分すごい結果なのよ?」
アイ:「私達の予選はこれで終わりね。みんなお疲れ様!
他の予選が終わるまで負傷者の治療を続けよう。
終わったら私達の家に集合だよ!」
アクア:「かしこまりました。」
ソフィ:「わかった。回復の魔法の練習にもなるしね。」
デル:「わかったわ。」
総司:「わかった。」
フラン:「全員が家に集まったら夜の話をしようね。
参加者以外は夜の方が本番なんだから!」
デル:「私もそっちの方が楽しみなんだ~!」
アイ:「それじゃ、行動開始!」
アイさんは走って行く。
僕達もそれぞれ違う方向へ走っていく。
予選は三人とも無事に突破した。明日は一回戦だ。
でも、今日はまだいろいろありそうだね。




