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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
北の大陸
39/89

28.人間の街イルス⑤武術大会前夜

総司:「早く終わったから、

  みんなにこの街を案内したいんだけど、

  実は僕もこの街で一泊しかしてなかったんだよね…。」


デル:「街に入って手続きして、家を買って武術大会に

  参加申請して、それですぐに大森林に来たってこと?」

総司:「家の改装もしたね…。今思うとすごいよね…。」

白狐:「大森林に居た期間の方がずっと長いじゃないの。」


楓:「案内は要らないよ。時間がある時に私と一緒に回ろう?」

蘭:「ちゃっかり総司君をデートに誘うんじゃない。」


デル:「それなら私の方が知ってそうね…。

  でも、この街ってあんまり娯楽が無いのよね。

  美味しいものを食べに行くにも

  昼食を食べてすぐだしねぇ…。」

総司:「とりあえず、家に案内するよ。地下で訓練も出来るよ。」

デル:「ストイックね…。

  総司は時間があったら、ひたすら訓練しそうね…。」

ダリア:「デルさんと真逆ね…。」

レン:「デルさんは楽器の練習は欠かさず毎日やってたから、

  頑張るものが違うだけで立派だと思うよ。」


総司:「そういえば、デルさんはいつも指揮してるから、

  デルさんの演奏は聞いたことが無いね。

  今度聞かせてほしいな。」

デル:「そういえばそうだったわね。

  総司の頼みならいつだってオッケーよ。

  たまには私のすごいところも見せないとね。」


デルさんは笑顔でウィンクしてくる。可愛い人だ。

そろそろ家に着く。アイさんが帰って来てるといいな…。


総司:「着いたよ。」

デル:「綺麗な家…。というか店舗付きのビルみたいね。」

白狐:「魔法素材の家か。この街は魔法素材の家が多いね。」

デル:「ちょっと前までは、そんなことなかったんだけど…。」

総司:「一階の手前は店舗にするつもりなんだ。

  みんなは奥にいると思うからついて来て。」


僕は店舗スペースを抜けて奥のリビングへ入る。

誰も居ないのかな?


総司:「ただいま。」


とりあえず、帰宅の挨拶をすると二階からアイさんが降りてきた。

ソフィさんとアクアさん達三人もちょっと遅れて降りてくる。


アイ:「おかえり!」


アイさんが飛びついてきた。

アイさんの笑顔を見ると多幸感が溢れる。


僕の身体から力が抜けていくのを感じる。

なんだかんだで、ずっと緊張していたみたいだ。


総司:「アイさん、帰って来てたんだね。良かった。」


僕はアイさんの背中に手を回す。


アイ:「お…。総司君なんだかちょっと変わったかな?」


マリカ:(アイさんただいま。総司も成長したんだよ。)

アイ:(マリカさんもおかえり。)


デル:「え?アイ…さ…ん?まさかね…。雰囲気が全然違うし…。

   さすがに別人だよね…。神降臨になっちゃうし…。」


神降臨?デルさんにとってもアイさんは

神様みたいな存在ってことかな?

アイさんは僕から離れてから髪のリボンを取る。


アイ:「奏さん。お久しぶりです。お元気そうで嬉しいです。」

デル:「本物!?アイさん!また会えるなんて思わなかったわ!」


デルさんはアイさんに駆け寄り、膝立ちになる。


アイ:「私も転生してきたんですよ。これからは一緒ですね。」


デルさんの目から涙が溢れる。そして声をあげて泣きだした。

アイさんはデルさんの頭を撫でている。


ナギ:「その方は長耳族の代表だよね?

  アイちゃんの知り合いだったんだね…。」


みんながどうしたら良いか戸惑っている。

デルさんは暫く泣き止みそうにない。

僕がみんなの紹介をした方が良いかな。


総司:「みんなを紹介するね。こっちが竜族のソフィアさん。」


ソフィさんは頭のカチューシャを外して角を見せる。


ソフィ:「ソフィアだよ。総司君の従者をしているわ。

  ソフィって呼んでね。」


みんなが驚きながら頷く。


レン:「総司君は勇者だったんだね…。」

楓:「総司君の従者うらやま…。」

総司:「こちらが人魚族の代表のアクアマリンさん。」

アクア:「総司様、私はもう元代表ですよ。

  皆様よろしくお願いします。アクアとお呼び下さい。」


アクアさんが丁寧に腰を折って挨拶する。

みんなも頷く。


白狐:「人魚…。私の知ってる人魚とは全然違うわね…。」

ダリア:「私も…。人魚って品が無いイメージだったよ…。

  アクアさんは全然違うね…。

  今までの人魚のイメージが誤解だったのかな?」


うん…。人魚の人達と仲良くなったつもりだけど、

そのイメージが誤解だと言い難い部分がある…。


もちろん同じ種族でも、その人その人の個性だとは思うけど、

イメージってその種族の文化とか考え方も重要な要素だしね…。

自分達と全然違う常識を持っていたりする。


お互いを理解し、認め合い、信頼関係を持てることが重要なのかな。

他種族に人魚の人を紹介するときは絶対にアクアさんからにしよう。


総司:「こちらは元々代表になるのかな…。マリンさん。」

マリン:「堅苦しいのは苦手だから。みんなよろしくね。」


みんな素直に頷く。マリンさんは人魚らしい人魚だ。

自然と納得できるのだろう。


総司:「こちらはナギさん。マリンさんの更に前の代表だよ。

  僕が大森林に行ったのも、ナギさんからいろいろ

  教えてもらったからなんだよ。」

ナギ:「みんなよろしくね。大昔の狐人族と長耳族の代表の

  戦いも見てる。その二人がここにいるなんて驚きだわ。

  まさかその話を聞いて総司君が大森林に行くなんて

  思わなかったけど。」

白狐:「総司に会えたのはナギさんのお蔭という訳か。感謝する。」

ナギ:「何があったか知らないけど、

  総司君はずいぶんと好かれているわね…。」

総司:「こちらはアイさん。

  僕の保護者みたいな人で憧れの人だよ。一応人間だと思う。」

アイ:「みんなよろしくね!総司君と一緒に旅をしているよ。

  それと、一応じゃなくてちゃんと種族は人間だよ!」

白狐:「総司の保護者って…。保護が必要とは思えないけど…。

  何から保護するのかな…。」

楓:「取り入った方がいいのかな…。」

ダリア:「デルさんとどういう知り合いなのかな…。」


みんなが戸惑っている。

アイさんのことは言葉で伝えるのは難しい。全てが規格外だ。


一緒にいれば、すぐにどういう人かわかってもらえるだろう。

すごい人なんだから。


総司:「次は僕と一緒に来てくれたみんなを紹介するね。

  こちらが狐人族の族長の白狐さん。

  この一か月、僕に剣術の稽古をしてくれた人だよ。」

白狐:「狐人族の族長の白狐よ。

  総司と共に居たいと思い、大森林を出てきた。

  総司に教えることが出来たのは剣術の型くらいだ。

  総司を知って私はこれまで自惚れていたことを思い知った。

  これからは総司と共に居て広く世界を知っていきたいと思う。

  私に出来ることがあったら言ってほしい。」

アイ:「この一か月、総司君の面倒を見てくれてたんだね。

  ありがとう。」

ソフィ:「白狐さん、よろしくね。私にもいろいろ教えてほしいな。

  総司君の戦いを見るのが楽しみだよ。」


総司:「こちらは白狐さんのお付きの蘭さんと楓さん。」

蘭:「白狐様の従者の蘭です。よろしくお願いします。」

楓:「総司君の従者の楓です。よろしくお願いします。」

蘭:「楓も白狐様の従者だからね。

  シレッと嘘を言うんじゃないの。」


総司:「こちらは長耳族の代表のデルさんの護衛の

  レンさんとダリアさん。」

レン:「お世話になります。」

ダリア:「よろしくお願いします。」

総司:「デルさんはもう大丈夫かな?

  アイさんのところで泣いてるのが長耳族の代表の

  デルフィニウム・ド・フラワーガーデンさん。

  愛称はデルさん。」

デル:「ううう…。よろしくね。」


まだダメみたいだ…。


アイ:「総司君、みんなに家の中の案内をして。

  私はデルさんと話があるから。」

総司:「うん。ありがとう。デルさんをよろしくね。」


最後に部屋に案内した方が良いよね。地下から行こう。

僕は階段を下りて地下二階へ行く。


総司:「ここは地下二階だけど、何もない広い部屋だよ。

  訓練するには丁度いいかな。

  ライトの魔道具があるから、いつでも明るく出来るし、

  壁もアイさんがかなり硬く作ってくれてあるんだよ。」

白狐:「時間がある時に使わせもらうわ。」


次に地下一階にいく。


総司:「ここもまだ何もないけど、モニターの魔道具があるから、

  壊さないようにね。」

白狐:「モニター?」

アクア:「実際に使って見せてみてはどうですか?

  アイ様のことですから、大森林にも設置して下さると

  思いますので。」

総司:「そうだね。どこに繋ごうかな…。」

アクア:「私達がここに来ていますので、

  人魚の町やザウルの街は繋がり難いと思います。

  竜の島はどうですか?

  みんな総司様に会いたがっていましたよ?」


竜の島の人魚達か…。

みんなの顔を見たい気持ちもあるが、不安を感じる。


あそこにはアレがあるし…。

アレがあるのは神殿だし、モニターと違う場所だ。大丈夫だろう。


総司:「そうだね。」

アクア:「私が説明しますね。このモニターの魔道具は

  同じようにモニターが設置されている場所の人の姿を映し、

  会話も可能になる魔道具です。

  今から竜の島にある人魚の島の人魚達と繋ぎます。」

白狐:「竜の島ってすごく離れているよね?

  そこにいる人達の姿を見て会話が出来るってこと?」

アクア:「そうです。

  皆様もこのモニターに魔力を通してください。」


僕も含めてみんながモニターに魔力を通す。


アクア:「誰かいませんか?アクアです。」


「あ、代表。どうしました?って、総司様だ!

 みんな!総司様がいるよ!」


モニターに急にたくさんの人魚達の姿が映る。

シトリンさんとスピネルさんもいる。


総司:「みんな久しぶり。元気だった?」


「「「「「私達みんな総司様との子供が出来たよ!!!」」」」」


「「「な…どういうこと!?」」」


こっちのメンバーはみんな困惑している。そりゃそうだ…。

僕も大混乱だ…。


アクア:「御神体との子供でしょ。

  ちゃんと言わないと誤解します。」

スピネル:「同じこと。」

シトリン:「総司様の遺伝子に間違いはありませんわ。」

スピネル:「総司様にずっと会いたかった。会えて嬉しい。

  もっとモニターに顔を出してほしい。」

総司:「ごめんね。これからはもっと顔を出すよ。」

アクア:「ごめんなさい。一旦切りますね。」


アクアさんはみんなに、モニターに魔力を通すのを

辞めるように言うと、モニターが切れた。


アクア:「すいません。私も久々で想定外でした。

  皆様には私からちゃんと説明しますね。」


みんながアクアさんを訝し気に見ている。


アクアさんは構わず、御神体の話など、

細かくみんなに説明してくれた。


アクアさんはよく爆弾を落とすが、

ちゃんと自分で回収してくれるから信頼は出来る。


ハラハラするけど…。

しかもアクアさんは確信犯でこういうことをするから怖い…。

いろいろな意味で危険な人だ。


白狐:「竜の島にはすごいものがあるのね…。」

楓:「総司君との子供…。」

アクア:「私も近いうちに竜の島に帰ります。」


アクアさんがお腹を撫でながら言う。


ソフィ:「あ、それで訓練の時に、

  お腹は傷つけないで欲しいと言ってたのか。」


アクアさんはしてないと思ってたけど、

知らないうちにしてたんだね…。

しかもなぜこのタイミングで言うかな…。


楓:「私も連れてってもらおうかな…。」

蘭:「え…。それなら私も…。」

白狐:「私も行こうかな…。竜の試練と修行のためだからね?」

アクア:「御神体は私達の一族のために頂いたものですが、

  特別にアイ様の許可があればお貸しします。」


僕の許可は要らないんだっけ?いいけど。

しかしこれで狐人のみんなもアイさんのことを

気に掛けるようになったね。


長耳族のみんなはデルさんがあんな風だし。

速やかにアイさんの元で協力体制が出来ちゃったね。


僕達は二階に上がる。


総司:「二階と三階は同じで、キッチンとお風呂、

  個室が10部屋ずつあるよ。

  ソフィさん達は昨日はどうしたの?」

ソフィ:「みんな三階で寝たよ。」

総司:「そうしたら、女性は三階、僕とレンさんは二階だね。」

レン:「わかった。」

楓:「私は総司君と同じ部屋でいいよ。」

蘭:「ダメだから。」


案内が終わって一階のリビングに戻る。

アイさんとデルさんがいる。デルさんも落ち着いたようだ。

それに話も終わったみたいだ。


アイ:「お疲れ様。もう大丈夫だよ。」

デル:「お騒がせしちゃったね。」

総司:「もう大丈夫そうだね。良かったよ。

  アイさんにお願いがあるんだけどいいかな?」

アイ:「いいよ。」

総司:「狐人族の大森林と、長耳族の大森林にモニターを

  設置したいんだけど、いいかな?」

アイ:「いいよ。時間があるし、すぐに行っちゃう?」

総司:「ありがとう。僕も結構速く飛べるようになったから、

  白狐さんと、デルさんにも一緒に行って貰おう。

  こっちのモニターの前で、みんな待ってて。」


僕とアイさん、白狐さんとデルさんで屋上に上がる。


総司:「白狐さん掴まって。」

アイ:「それなら私がカナデルさんね。」

デル:「名前を混ぜないで…。」


ロケット発射と超高速飛行で、一気に大森林へ行く。


アイ:「総司君すごい!かなり速く飛べるようになったね。」

総司:「頑張ったからね!」


白狐さんの家に着いた後、狐人族の人達を呼んでもらう。

白狐さんの家にモニターを設置して、イルスの街と繋ぐ。


総司:「みんな、このモニターに魔力を通してみて。」


モニターが起動すると蘭さんと楓さんが出た。


蘭:「もう着いたんですか?おお…みんなが見える…。

  もう着いたんだね…。」


「蘭と楓が見えるね。」


楓:「私達はイルスの街だよ。何かあったら、

  すぐに話せるからね。」


「すごいわね…。」


総司:「白狐さん達ともモニターが繋がれば、

  いつでも話が出来るから、何かあったら使ってね。」


「「「ありがとう!」」」


総司:「御礼はこのアイさんに言って。

  モニターはアイさんにしか作れないから。」

白狐:「みんな遠慮なく連絡するのよ?」


すぐに移動して長耳族の大森林のデルさんの家に着く。


同様に長耳族の人を呼んで貰ってモニターの設置と

使い方の説明をした。


何かあった時にも、すぐに連絡が出来るし、

これで両方の種族の人も安心するだろう。


僕達は家に戻る。


アイ:「まだ夕飯まで時間があるね。」


アイさんは忙しいというより、時間が空くのを好まない…。

常に何かをしていたいタイプの人だ。


僕達はみんながいる地下一階のモニターの所に行く。


デル:「このフロアって演奏するのに丁度いいね。

  久々にアイさんに私の演奏を聞いてもらおうかな。

  総司にも聞かせたいしね。」

アイ:「それなら私がアレを作ってあげるよ。

  こっちの世界じゃ出来なかったでしょ。」


アイさんは魔素結晶を出し、エレキギターの形にする。

デル:「お~~~!そうなの。これは作れなかったんだ。

  アイさんありがとう!それじゃ久々に歌っちゃうよ!」


「キュイィィイーーーーーーーーーイン!!!」


白狐さん達は両手で頭の耳を伏せる。みんな可愛い…。

他のみんなも耳を塞ぐ。


ソフィ:「うるさ…。」

デル:「いいね!それじゃ、元気に歌っちゃうよ!」


デルさんは激しく歌い、演奏する。


総司:「デルさん最高!」

アイ:「今度は私もドラムやっちゃうよ!」


僕とアイさんは大いに盛り上がったが、

みんなは微妙な顔をしていた。

デルさんの知らなかった一面が見れて楽しかった。


そしてみんなで夕飯を食べた。

歓迎会の意味も込めて豪華な夕飯だった。


アイさんの新しい料理はどれも美味しかった。

その後、お風呂に入り、普通に寝た。


久しぶりに一人なので熟睡できそうだ。


明日から武術大会。準備は万全だ。

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