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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
北の大陸
33/89

22.人間の街イルス③武術大会参加

今日からイルスでの生活が始まる。

まずは昨日購入した家の改装だ。


家は大通りに面していて、庭は無いが三階建てで奥行きがあり、

一階は店舗にも使える大きな家だ。


現状は家具なども一切ないので、広い箱のような状態である。

朝ご飯を食べ終わり、これから三人で手分けして作業を行う。


アイ:「私とソフィさんは

  家の地面を掘って地下に2階分増やすから、

  総司君は地上部の壁と天井と床の補強ね。

  午前中でここまで終わらせて、午後はキッチンやお風呂、

  部屋の仕切り、家具の作成などをしよう。」

ソフィ:「わかったわ。」

総司:「壁の色はどうする?」

アイ:「とりあえず白にしておこう。」

総司:「了解だよ。」


朝のうちに外壁の方から済ませよう。

人通りが多くなると目立っちゃうからね。


外に出ると既に人通りが多かった。遅かったか…。

住んでいればいずれ知られるし、仕方ないよね。


作業を始めたが、やはり思いの外目立ってしまう。

通る人はみんな見て行くし、

時間のある人は立ち止まって見ている。


アガサ:「おはようございます。

  総司さんは魔法使いだったんですね。」

総司:「おはようございます。ええ…。

  思いの外目立ってしまい困っています。」


僕は作業をしながらアガサさんと会話する。


アガサ:「昨日の今日なので、

  気になって様子を見に来たのですけど、

  心配は無さそうですね。」

総司:「生活に関しては問題ないと思います。

  ただ、僕達はみんな魔法使いで、

  目立っちゃうのが心配ですね。」

アガサ:「え?三人とも魔法使いなのですか?」

総司:「そうです。変ですかね…。」

アガサ:「この街の魔法使いは10人程度と聞いています。

  その中でも総司さんのように飛行の魔法を使えるのは

  半数にも満たないと思います。」


マリカ:(アガサさんは商売柄、この街に詳しいみたいだ。

  この際だからいろいろ聞いておこう。

  離れていると聞こえ難いから、

  私の魔法で隣まで来て貰おう。)

総司;(わかった。聞いてみるね。)


総司:「アガサさん、お時間はありますか?

  いろいろ教えてほしい事があるので。」

アガサ:「ええ。大丈夫ですよ。」


総司:(マリカさんお願い。)

マリカ:(オッケー。)


マリカさんの魔法でアガサさんの身体が浮き、

僕の傍で滞空する。


アガサ:「えっ?えっ?なになになになに?なんで!?」

総司:「作業しながらでごめんなさい。

  急いで済ませたいので。」

アガサ:「え?え?え?これ総司さんの魔法ですか?

  自分が飛行しながら他の人も飛行させられるんですか?」


アガサさんは混乱している。

こういうことが出来る人はあまりいないのだろう。

高度な魔法の多重発動だから、普通は出来ないんだろね…。


総司:「はい。急に落ちたりしないから

  心配しなくて大丈夫ですよ。」

アガサ:「すごいですね!宙に浮くなんて初めてです!」


アガサさんが興奮してバタバタしている。

見ている人達もビックリしている。

周囲の視線に気が付いたみたいで、

アガサさんも落ち着いてきた。


アガサ:「総司さんは何をしているのですか?

  壁の塗装だけじゃないですよね?」

総司:「魔法で作る素材に変えて壁を補強して、

  その上から塗装しているんですよ。」

アガサ:「なるほど。だから建物は古くて構わない

  という条件だったんですね…。

  お代をお支払いしたら私の家もやって頂けます?」

総司:「いいですよ。たいした手間でもないので、

  時間がある時で良ければ。お代も別にいらないです。

  その代り、これからもこうしていろいろ教えて下さい。」


アガサ:「ありがとうございます。

  でも、これって普通に商売になりますよ…。

  この街の歴史は長く、建物も立派なものが多いですが、

  とにかく古いんです…。

  それに密集しているので、改築も簡単には出来ません。

  こんなに硬くて綺麗な壁に短時間で変わるなんて…。

  かなりの高額にしても注文が殺到すると思いますよ…。」


マリカ:(リフォームみたいなものか。確かに商売になるね。)

総司:(あとでアイさんとソフィさんに相談してみる。)


総司:「良い考えですね。ありがとうございます。

  後でアイさんとソフィさんに相談してみます。」

アガサ:「お二人もこの様なことが出来るのですか?」

総司:「ソフィさんはちょっと分からないですけど、

  アイさんは僕なんかより、ずっとすごいですよ。

  この壁程度なら一瞬で出来ちゃうんじゃないかな。」

アガサ:「アイさんって、黄色いポンチョを着た

  小さくて可愛らしいお嬢さんですよね…。」

総司:「アイさんの前で小さいとか言っちゃダメですよ?」


アガサ:「わかりました…。

  総司さんは他に得意とされていることはありますか?

  私は壁の補強と飛行の魔法しか見ていませんので。

  他に出来ることで、

  この街で商売するのに良いアドバイスなど

  出来ればと思うのです。」

総司:「得意なことですか…。

  特に無いですけど、戦闘訓練に一番時間を割いていたので、

  あえて言うなら戦闘ですかね?」

アガサ:「そう言われてみれば腰に武器を身に着けていますね。

  見た目から想像出来ませんでしたが、

  これほどの魔法使いなら相当お強いですよね…。

  それなら、半年に一回開催されている武術大会に

  参加されてはどうです?

  この街の主催で市民権を持っていれば参加出来ます。

  優勝者と準優勝者を賭けて賭博も行われますので、

  すごい熱気なんですよ。

  この街の最大の娯楽です。」


マリカ:(なにそれ!楽しそう!参加しようね!)

総司:(いや、夜じゃなくて日中だろうからマリカさんは

  参加出来ないからね?)

マリカ:(わかってるよ。総司と一緒なんだから

  楽しいに決まってるじゃん!)

総司:(そう?ありがとう?まあいいか…。)

マリカ:(アイさんもソフィも喜んで参加すると思う。)

総司:(そうだろうね。もう優勝者は決まりだね…。)


総司:「そんなイベントがあるんですね。僕も参加してみます。」

アガサ:「ホントですか!?今年の賭け金は貰いましたね!」

総司:「秘密にして欲しいですけど、賭けるならアイさんですよ。

  僕じゃ絶対に勝てませんから。」

アガサ:「いえいえ!貴重な情報をありがとうございます!

  優勝はアイさんで準優勝が総司さん!

  両方当てて倍率ドン!です!」


アガサさんが嬉しそうに興奮している。

武術大会とはそれほどのものなんだろう。


総司:「開催はいつ頃なんです?」

アガサ:「おっと…。そうでした。一か月後です。

  参加者の締め切りが今週末ですので、明後日までですね。

  総司さん!早く申し込みに行かないと!

  参加の申し込みは私が案内します!」


アガサさんは武術大会が相当好きらしい。

人が変わったようにグイグイ来る。


総司:「アガサさんは武術大会が好きなんですね。」

アガサ:「私だけじゃなくて、この街のほとんどの人が

  楽しみにしていますよ。強い男性なんて超素敵です!

  そうだ!総司さんの悩みも解決しますよ!

  この街のみんなに男性って知ってもらえるチャンスです!」


アガサさんの勢いは更にヒートアップしている。

お淑やかな見た目に反して、かなりミーハーだった。

しかし、なかなか良い事を教えてくれた。

僕にとって頑張る理由が出来た。


総司:「確かにそれはいいですね。

  ちょうど外壁の補強も終わったし、

  アイさんとソフィさんに話をしてみますね。」

アガサ:「はい!」


僕とアガサさんは地面に降りて家に入る。


総司:「アイさーーん!ソフィさーーん!ちょっと来てー!」

アイ:「はいはーーーい!」


アイさんとソフィさんが地下から上がってくる。


アガサ:「この家に地下なんて無かったはずですけど…。

  あ…。魔法で地下室を作ってるんですね…。

  ほんと魔法ってすごいですね…。」

アイ:「アガサさんが来てるってことは何かあった?」


アイさんとソフィさんに先ほど聞いた武術大会の話をする。


ソフィ:「なにそれ!楽しそうだね!参加するでしょ?」


僕とソフィさんはアイさんを見る。


アイ:「もちろん!」

アガサ:「予選を勝ち抜き、上位128名に入れば

  報奨金がでますよ!特に上位8位以上はかなりの額です!

  更に上位3名は領主と会談も出来て、

  いろいろお願いも出来ちゃうみたいです!」

アイ:「上位128名で報奨金って…。

  参加者の人数はどのくらいなの!?」

アガサ:「イルス兵団の約2000人は全員出ますので、

  全部で3000人くらいは毎年出ています。

  イルス兵団員にとっては半年に一度のボーナスは

  自分の実力で勝ち取れってことみたいです。」


総司:「すごく大きな大会だね…。」

ソフィ:「半数以上が仕事で参加みたいなものだから、

  大規模訓練として考えれば、

  それほどお金もかからないのかもね。」

アガサ:「いえいえ!兵団員同士の戦いの方が熱いんですよ!

  日頃の上下関係は無視で、完全に実力主義の場ですからね!

  あと、賭博もありますので、むしろ大きな税収になってる

  みたいですよ!良い事ばっかりです!」

ソフィ:「アガサさんってこういう人だったんだね…。」

アイ:「上位3名は領主と会談出来るってのはいいね。

  私達3人で3名に入ってお願いすれば、

  それなりに実現出来る事もあるだろうね。」

アガサ:「開催は来月で参加者の締め切りが明後日までなんです。

  急いで参加登録に行きましょう!」

アイ:「あ…。はい…。」


アガサさんの勢いにつられて、みんなで付いて行く。

申し込みは役場だった。


アガサ:「武術大会の申し込みに来たよ。」

職員:「え?アガサさん出るの?旦那さんはもう登録済みよ?」


二人は知り合いらしい。しかもシモンさんも参加者らしい。

この夫婦はほんと見た目によらないな…。


アガサ:「私じゃないわ。この三人よ。」

職員:「え?子供もいるじゃない…。ホントに?」

アイ:「本当よ?なんならここで実力を少し見せようか?」


アイさんは笑顔で職員さんに答える。


総司:「本当です。この子の実力に問題はありません。」

アイ:「この子…。」


おっと、しまった…。


職員:「そう言うあなたも…。

  え?こんな綺麗なお嬢さん達が武術大会に出るの?」

総司:「はい。武術大会に参加したいと思い、申し込みに来ました。

  それと…。私は男です…。」


僕は市民証を見せる。


職員:「あら…。本当だわ…。これで男性…。」


職員がウットリした顔で僕を見てくる。

市民証は役に立つね。


取得するまでが大変だったけど、

すぐに理解してもらえてありがたい。


職員:「初参加なのよね?特別に私が説明してあげるわ。」


職員さんは奥にいる職員を呼んでいる。

受付を変わってもらうみたいだ。

職員さんに促されて別室へ入る。


職員:「私はフランソワーズ。フランでいいわ。

  武術大会について説明するね。」

総司:「はい。よろしくお願いします。」


フラン:「まずは参加の申し込みから。

  私が今から渡す書類に

  名前、職業、性別、種族、魔法適正、所属を書いて。

  種族は人間かその他のどちらかの記入でオッケーよ。

  魔法適正がある人は魔法適正の欄に○を書いて。

  所属は所属する団体があれば書いて。

  同じ所属の者は、なるべく対戦しない様に

  組み合わせが考慮されるから。

  魔法適正も適正者は序盤で対戦しないように

  組み合わせが考慮されるよ。

  居ないと思うけど、この三人の中に魔法適正の有る人は居る?

  一応規則で魔法適正に○のある人は嘘じゃないか、

  職員が確認することになっているの。」

総司:「全員魔法適正者です。」

フラン:「ほんとに?十万人に一人って言われてるんだけど…。

  確認させて貰って良い?物質創造とか飛行とか、

  わかりやすい事が出来ればそれで。

  そこまで出来ない場合は風量計を持ってくるわ。」


そんなに少ないのか…。

知らなかった。


風量計ってことは熱による大気の膨張とかの風じゃなくて、

空気を物質化したのを確認するためなんだろうな。


魔法適正者じゃなくても魔道具を使えば、

それくらい簡単に出来るはずだけど、

魔道具がそれほど一般的じゃないのかな。


そういえばアイさんとマリカさんが

作ったもの以外は見たことないな…。


作れる人は相当限られているんだろう。

逆に魔道具を持っていれば、

魔法適正者扱いなのかもしれない。


総司:「これで良いですか?」


僕は昨日食べたアイスを器ごと作る。

アイスは美味しい割に魔法で作るのが簡単だ。

マリカさんじゃなくて僕でも作れる。


フラン:「確かに物質創造だけど、これは何?」

総司:「アイスです。」

フラン:「マジで!?食べられる!?」

総司:「もちろん食べられますよ。」


スプーンを作り忘れた…。

フランさんは器のアイスをペロペロ舐めている。


フラン:「美味しい!こんな魔法初めて見た!すごいね!」

アガサ:「私も食べたいな!」

ソフィ:「はい。」


ソフィさんもアイスを作ってアガサさんに渡す。

昨日、アイさんに指輪に術式を書きこんでもらったんだろう。

器はアルミ製だからアイスの周囲が溶けだしている…。


アガサ:「冷たい!でも美味しい!」

アイ:「時間もおやつにちょうど良いね。それじゃ私はこれで。」


アイさんはケーキと紅茶を僕達の分も含めて人数分作る。

器とスプーンも芸術品と言って良い出来だ。


フラン:「ケーキも出来るのね。魔法ってすごいね!」

アガサ:「しかも綺麗な器!職人がいらなくなっちゃうわね!」


僕とソフィさんがやったことと、

アイさんがやったことの違いはわかってないだろな…。


同じくお菓子を作ったものだが、

この二つには天と地の差とも言える技量の差がある。


総司:「ケーキ美味しいね。さすがアイさん。」

アイ:「ありがとう。子供でもこれくらい出来るんだからね。」


アイさんは笑顔で答える。

アイさんは根に持つタイプだ…。


フラン:「全員が魔法適正者なのは十分に確認出来ました。

  所属はどうする?みんな仲間なんだよね?

  仮でも所属名を書いておいた方が良いよ。

  魔法適正と所属と両方が考慮されれば、

  3人だから準決勝までは対戦しないで済むと思うよ。

  そんな簡単じゃないと言いたいけど、

  ここまでの魔法使いだと、ありえるわよね…。」


総司:「そうですね…。どうしようか?」

アイ:「私達は商人だから商会よね。問題は名前か…。」

ソフィ:「アイさんの…。愛の商会とかどう?」

総司:「それだとナギさんのお店みたいになっちゃうね。」

アイ:「それは問題ね…。」


マリカ:(マジック商会とかどう?全員魔法適正者だし。

  魔法商会だと魔法を取り扱ってるみたいになっちゃうから、

  ちょっと捩ってマジック商会って感じ。)


総司:(僕はそれで良いよ。)

アイ:(総司商会だと清掃業みたいだしね。私もそれでいいよ。)

ソフィ:(私もそれでいいよ。愛の商会は無しだね…。)


総司:「マジック商会にするよ。全員その所属で。」

フラン:「わかったわ。良い名前ね。」

アガサ:「手品師の集まりみたいに思われそうね…。」


ボソッとアガサさんが言う。

他に良い案も無いし、これでいいよ…。

しかし魔法がある世界でも手品師っているのか。


魔法自体が「種も仕掛けもありません」だから、

この世界の手品師は大変だろうな…。

いや、魔法が種と仕掛けってことになるのかな?ややこしい…。


フラン:「それじゃ、用紙を配るから、みんな書いちゃって。

  今までの説明で問題なく書けるだろうけど、

  わからなかったら遠慮なく聞いてね。

  私はそのためにいるんだから。

  美味しいデザートも頂いちゃったしね!」


僕達は用紙を受け取って記入し、フランさんに用紙を返す。

フランさんが言うように問題無くすべて記載出来た。

フランさんは三人分の申請用紙に目を通す。


フラン:「記載に問題はないわね。

  これで来月の武術大会にみんな参加出来ます。

  この街の住人は武術大会の事はみんな詳しく知っている。

  賭博も含めて最大の娯楽になってるからね。

  総司さん達は市民権を得たばかりだし、

  当然初参加だから大会のことを説明するね。

  武術大会はこの街の主催だから、

  街の職員が全面的にバックアップするよ。

  大きな団体、有力団体、

  その他にも過去に実績のある団体には職員が専属で付く。

  今さっきまでは魔法適正者の全員がイルス兵団に所属している。

  その他の団体で魔法適正者が3名という時点で、

  少数でもマジック商会は有力団体になるわね。

  ということで、マジック商会の専属職員に私がなります。

  良いわよね?」


総司:「こちらこそ。よろしくお願いします。」

フラン:「ラッキー!専属団体が良い成績だと加給があるの。

   これからの給料アップは頂きね!

   本当に良い成績で終わったら何かご馳走するね!」

アガサ:「フランずるい~~。私にもご馳走してね。」

フラン:「アガサさんが紹介してくれたからね。もちろんよ。」

アガサ:「私も結婚して退職するまでは、

  ここの職員で、フランは当時の後輩なの。

  優秀だから心配ないからね。」

総司:「はい。」


ずいぶん仲が良いと思ったら、そういう関係なのね。

アガサさんがいろいろと詳しく知っている理由もわかった。


昨日と今日で雰囲気が別人のように変わってしまったが…。

でも、こっちの方が話をしやすいし、親しみが持てていいね。

フランさんとアガサさんのためにも頑張ろう。


フラン:「大会の説明に入るね。

  初日は予選で8時から17時まで。

  北門の外で行われるわ。128組のグループに分かれて、

  各々のグループ全員で対戦して一人の勝者を選ぶ。

  各々の会場に専門の審判が入るわ。

  予選を勝ち抜いた128名には報奨金として

  金貨1枚が支払われる。

  二日目は1回戦。

  8時からでお昼を1時間挟んで17時まで。

  8つの会場で行われるわ。1時間毎に試合が更新する。

  決着がついてない場合は判定ね。

  三日目は2~4回戦。会場と流れは二日目と同じね。

  ここまで勝ち残ると上位8名に入り、

  金貨10枚が支払われるわ。

  四日目が最終日で、準々決勝~決勝、

  最後に優勝者と前回の優勝者の対戦まで。

  全ての試合がメイン会場のみで行われるわ。

  これまでと同様に試合は一時間。

  早く決着がついても、試合の開始は規定の時間ね。

  会場がメイン会場のみになるから席のチケットは超高騰する。

  出場者には2名分の観戦チケットが配られるから、

  売ると、これだけでも報奨金以上のお金が稼げるわよ。

  一人でも勝ち残れば、二人も観戦出来るわね。

  もし二人以上勝ち残ったら私にも一枚ほしいな…。

  売ったりしないよ?私が見るためにね!」


総司:「二人以上勝ち残ったらいいですよ。」

アガサ:「まだ残ってるわよね。私も良いかな?」

総司:「勝ち残ったらですからね…。」

アガサ:「やった!」

フラン:「優勝の褒賞金は金貨100枚!

  準優勝は50枚。3位は30枚。4位は20枚だよ。」


そのくらいは僕でも作れちゃうから、あんまりだね…。

意味があるのはやっぱり領主との面会かな。


フラン:「武術大会の説明はこんなものかな?

  何か質問はあるかな?

  今は無くてもいつでもここに来てくれれば、

  何でも答えるからね。

  あと、当日の朝は私が迎えに行くし、

  みんなの試合のマネージメントもするからね。」


それはすごく助かる。

いろいろな事を気にしなくて良い分、試合に集中できる。


総司:「ありがとうございます。心強いですよ。

  質問は今は特に無いですね。」


アイさんとソフィさんを見るが二人とも頷いている。


フラン:「それじゃ、行こうか。住所で分かるけど、

  実際に総司君達の家に案内して欲しいな。」


フランさんの言葉はすっかり砕けて、親しくなれた気がする。


総司:「良いですよ。」

フラン:「良かった。役場の入口で待ってて。

  参加登録の手続きと外出の申請をしてくるから。」


フランさんは部屋から出ていった。僕達もそのまま役場を出る。


アイ:「こんなイベントがあって、

  しかも参加登録が明後日までだったなんて。

  今日教えて貰えてほんと良かった。

  アガサさんありがとう!」

アガサ:「私の方こそとっても楽しかったわ!

  もうドキドキしてるもん!

  これまでで一番の、最高に楽しい武術大会になりそう!」


フランさんが来たので、みんなで家に帰ると

シモンさんが家で待っていた。


シモン:「誰も居ないから心配したよ…。何かあったのかい?」


アガサさんの帰りが遅いから、心配で来てくれていたらしい。


アガサ:「総司君達が武術大会に出るから参加登録に行ってたの!」


アガサさんはまだテンションが高い。言葉もすっかり砕けた。


シモン:「いいね。大会で当たっても手加減しないよ?

  こう見えて俺は結構強いからね?」


シモンさんはニヤッと笑って手を出してきた。


総司:「負けないように頑張ります。」


僕はシモンさんの手を握る。

これは…。アレだね…。


こうして僕達は武術大会に参加することになった。

正直に言うと僕も結構ドキドキしている。楽しみだ。

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