22.人間の街イルス③武術大会参加
今日からイルスでの生活が始まる。
まずは昨日購入した家の改装だ。
家は大通りに面していて、庭は無いが三階建てで奥行きがあり、
一階は店舗にも使える大きな家だ。
現状は家具なども一切ないので、広い箱のような状態である。
朝ご飯を食べ終わり、これから三人で手分けして作業を行う。
アイ:「私とソフィさんは
家の地面を掘って地下に2階分増やすから、
総司君は地上部の壁と天井と床の補強ね。
午前中でここまで終わらせて、午後はキッチンやお風呂、
部屋の仕切り、家具の作成などをしよう。」
ソフィ:「わかったわ。」
総司:「壁の色はどうする?」
アイ:「とりあえず白にしておこう。」
総司:「了解だよ。」
朝のうちに外壁の方から済ませよう。
人通りが多くなると目立っちゃうからね。
外に出ると既に人通りが多かった。遅かったか…。
住んでいればいずれ知られるし、仕方ないよね。
作業を始めたが、やはり思いの外目立ってしまう。
通る人はみんな見て行くし、
時間のある人は立ち止まって見ている。
アガサ:「おはようございます。
総司さんは魔法使いだったんですね。」
総司:「おはようございます。ええ…。
思いの外目立ってしまい困っています。」
僕は作業をしながらアガサさんと会話する。
アガサ:「昨日の今日なので、
気になって様子を見に来たのですけど、
心配は無さそうですね。」
総司:「生活に関しては問題ないと思います。
ただ、僕達はみんな魔法使いで、
目立っちゃうのが心配ですね。」
アガサ:「え?三人とも魔法使いなのですか?」
総司:「そうです。変ですかね…。」
アガサ:「この街の魔法使いは10人程度と聞いています。
その中でも総司さんのように飛行の魔法を使えるのは
半数にも満たないと思います。」
マリカ:(アガサさんは商売柄、この街に詳しいみたいだ。
この際だからいろいろ聞いておこう。
離れていると聞こえ難いから、
私の魔法で隣まで来て貰おう。)
総司;(わかった。聞いてみるね。)
総司:「アガサさん、お時間はありますか?
いろいろ教えてほしい事があるので。」
アガサ:「ええ。大丈夫ですよ。」
総司:(マリカさんお願い。)
マリカ:(オッケー。)
マリカさんの魔法でアガサさんの身体が浮き、
僕の傍で滞空する。
アガサ:「えっ?えっ?なになになになに?なんで!?」
総司:「作業しながらでごめんなさい。
急いで済ませたいので。」
アガサ:「え?え?え?これ総司さんの魔法ですか?
自分が飛行しながら他の人も飛行させられるんですか?」
アガサさんは混乱している。
こういうことが出来る人はあまりいないのだろう。
高度な魔法の多重発動だから、普通は出来ないんだろね…。
総司:「はい。急に落ちたりしないから
心配しなくて大丈夫ですよ。」
アガサ:「すごいですね!宙に浮くなんて初めてです!」
アガサさんが興奮してバタバタしている。
見ている人達もビックリしている。
周囲の視線に気が付いたみたいで、
アガサさんも落ち着いてきた。
アガサ:「総司さんは何をしているのですか?
壁の塗装だけじゃないですよね?」
総司:「魔法で作る素材に変えて壁を補強して、
その上から塗装しているんですよ。」
アガサ:「なるほど。だから建物は古くて構わない
という条件だったんですね…。
お代をお支払いしたら私の家もやって頂けます?」
総司:「いいですよ。たいした手間でもないので、
時間がある時で良ければ。お代も別にいらないです。
その代り、これからもこうしていろいろ教えて下さい。」
アガサ:「ありがとうございます。
でも、これって普通に商売になりますよ…。
この街の歴史は長く、建物も立派なものが多いですが、
とにかく古いんです…。
それに密集しているので、改築も簡単には出来ません。
こんなに硬くて綺麗な壁に短時間で変わるなんて…。
かなりの高額にしても注文が殺到すると思いますよ…。」
マリカ:(リフォームみたいなものか。確かに商売になるね。)
総司:(あとでアイさんとソフィさんに相談してみる。)
総司:「良い考えですね。ありがとうございます。
後でアイさんとソフィさんに相談してみます。」
アガサ:「お二人もこの様なことが出来るのですか?」
総司:「ソフィさんはちょっと分からないですけど、
アイさんは僕なんかより、ずっとすごいですよ。
この壁程度なら一瞬で出来ちゃうんじゃないかな。」
アガサ:「アイさんって、黄色いポンチョを着た
小さくて可愛らしいお嬢さんですよね…。」
総司:「アイさんの前で小さいとか言っちゃダメですよ?」
アガサ:「わかりました…。
総司さんは他に得意とされていることはありますか?
私は壁の補強と飛行の魔法しか見ていませんので。
他に出来ることで、
この街で商売するのに良いアドバイスなど
出来ればと思うのです。」
総司:「得意なことですか…。
特に無いですけど、戦闘訓練に一番時間を割いていたので、
あえて言うなら戦闘ですかね?」
アガサ:「そう言われてみれば腰に武器を身に着けていますね。
見た目から想像出来ませんでしたが、
これほどの魔法使いなら相当お強いですよね…。
それなら、半年に一回開催されている武術大会に
参加されてはどうです?
この街の主催で市民権を持っていれば参加出来ます。
優勝者と準優勝者を賭けて賭博も行われますので、
すごい熱気なんですよ。
この街の最大の娯楽です。」
マリカ:(なにそれ!楽しそう!参加しようね!)
総司:(いや、夜じゃなくて日中だろうからマリカさんは
参加出来ないからね?)
マリカ:(わかってるよ。総司と一緒なんだから
楽しいに決まってるじゃん!)
総司:(そう?ありがとう?まあいいか…。)
マリカ:(アイさんもソフィも喜んで参加すると思う。)
総司:(そうだろうね。もう優勝者は決まりだね…。)
総司:「そんなイベントがあるんですね。僕も参加してみます。」
アガサ:「ホントですか!?今年の賭け金は貰いましたね!」
総司:「秘密にして欲しいですけど、賭けるならアイさんですよ。
僕じゃ絶対に勝てませんから。」
アガサ:「いえいえ!貴重な情報をありがとうございます!
優勝はアイさんで準優勝が総司さん!
両方当てて倍率ドン!です!」
アガサさんが嬉しそうに興奮している。
武術大会とはそれほどのものなんだろう。
総司:「開催はいつ頃なんです?」
アガサ:「おっと…。そうでした。一か月後です。
参加者の締め切りが今週末ですので、明後日までですね。
総司さん!早く申し込みに行かないと!
参加の申し込みは私が案内します!」
アガサさんは武術大会が相当好きらしい。
人が変わったようにグイグイ来る。
総司:「アガサさんは武術大会が好きなんですね。」
アガサ:「私だけじゃなくて、この街のほとんどの人が
楽しみにしていますよ。強い男性なんて超素敵です!
そうだ!総司さんの悩みも解決しますよ!
この街のみんなに男性って知ってもらえるチャンスです!」
アガサさんの勢いは更にヒートアップしている。
お淑やかな見た目に反して、かなりミーハーだった。
しかし、なかなか良い事を教えてくれた。
僕にとって頑張る理由が出来た。
総司:「確かにそれはいいですね。
ちょうど外壁の補強も終わったし、
アイさんとソフィさんに話をしてみますね。」
アガサ:「はい!」
僕とアガサさんは地面に降りて家に入る。
総司:「アイさーーん!ソフィさーーん!ちょっと来てー!」
アイ:「はいはーーーい!」
アイさんとソフィさんが地下から上がってくる。
アガサ:「この家に地下なんて無かったはずですけど…。
あ…。魔法で地下室を作ってるんですね…。
ほんと魔法ってすごいですね…。」
アイ:「アガサさんが来てるってことは何かあった?」
アイさんとソフィさんに先ほど聞いた武術大会の話をする。
ソフィ:「なにそれ!楽しそうだね!参加するでしょ?」
僕とソフィさんはアイさんを見る。
アイ:「もちろん!」
アガサ:「予選を勝ち抜き、上位128名に入れば
報奨金がでますよ!特に上位8位以上はかなりの額です!
更に上位3名は領主と会談も出来て、
いろいろお願いも出来ちゃうみたいです!」
アイ:「上位128名で報奨金って…。
参加者の人数はどのくらいなの!?」
アガサ:「イルス兵団の約2000人は全員出ますので、
全部で3000人くらいは毎年出ています。
イルス兵団員にとっては半年に一度のボーナスは
自分の実力で勝ち取れってことみたいです。」
総司:「すごく大きな大会だね…。」
ソフィ:「半数以上が仕事で参加みたいなものだから、
大規模訓練として考えれば、
それほどお金もかからないのかもね。」
アガサ:「いえいえ!兵団員同士の戦いの方が熱いんですよ!
日頃の上下関係は無視で、完全に実力主義の場ですからね!
あと、賭博もありますので、むしろ大きな税収になってる
みたいですよ!良い事ばっかりです!」
ソフィ:「アガサさんってこういう人だったんだね…。」
アイ:「上位3名は領主と会談出来るってのはいいね。
私達3人で3名に入ってお願いすれば、
それなりに実現出来る事もあるだろうね。」
アガサ:「開催は来月で参加者の締め切りが明後日までなんです。
急いで参加登録に行きましょう!」
アイ:「あ…。はい…。」
アガサさんの勢いにつられて、みんなで付いて行く。
申し込みは役場だった。
アガサ:「武術大会の申し込みに来たよ。」
職員:「え?アガサさん出るの?旦那さんはもう登録済みよ?」
二人は知り合いらしい。しかもシモンさんも参加者らしい。
この夫婦はほんと見た目によらないな…。
アガサ:「私じゃないわ。この三人よ。」
職員:「え?子供もいるじゃない…。ホントに?」
アイ:「本当よ?なんならここで実力を少し見せようか?」
アイさんは笑顔で職員さんに答える。
総司:「本当です。この子の実力に問題はありません。」
アイ:「この子…。」
おっと、しまった…。
職員:「そう言うあなたも…。
え?こんな綺麗なお嬢さん達が武術大会に出るの?」
総司:「はい。武術大会に参加したいと思い、申し込みに来ました。
それと…。私は男です…。」
僕は市民証を見せる。
職員:「あら…。本当だわ…。これで男性…。」
職員がウットリした顔で僕を見てくる。
市民証は役に立つね。
取得するまでが大変だったけど、
すぐに理解してもらえてありがたい。
職員:「初参加なのよね?特別に私が説明してあげるわ。」
職員さんは奥にいる職員を呼んでいる。
受付を変わってもらうみたいだ。
職員さんに促されて別室へ入る。
職員:「私はフランソワーズ。フランでいいわ。
武術大会について説明するね。」
総司:「はい。よろしくお願いします。」
フラン:「まずは参加の申し込みから。
私が今から渡す書類に
名前、職業、性別、種族、魔法適正、所属を書いて。
種族は人間かその他のどちらかの記入でオッケーよ。
魔法適正がある人は魔法適正の欄に○を書いて。
所属は所属する団体があれば書いて。
同じ所属の者は、なるべく対戦しない様に
組み合わせが考慮されるから。
魔法適正も適正者は序盤で対戦しないように
組み合わせが考慮されるよ。
居ないと思うけど、この三人の中に魔法適正の有る人は居る?
一応規則で魔法適正に○のある人は嘘じゃないか、
職員が確認することになっているの。」
総司:「全員魔法適正者です。」
フラン:「ほんとに?十万人に一人って言われてるんだけど…。
確認させて貰って良い?物質創造とか飛行とか、
わかりやすい事が出来ればそれで。
そこまで出来ない場合は風量計を持ってくるわ。」
そんなに少ないのか…。
知らなかった。
風量計ってことは熱による大気の膨張とかの風じゃなくて、
空気を物質化したのを確認するためなんだろうな。
魔法適正者じゃなくても魔道具を使えば、
それくらい簡単に出来るはずだけど、
魔道具がそれほど一般的じゃないのかな。
そういえばアイさんとマリカさんが
作ったもの以外は見たことないな…。
作れる人は相当限られているんだろう。
逆に魔道具を持っていれば、
魔法適正者扱いなのかもしれない。
総司:「これで良いですか?」
僕は昨日食べたアイスを器ごと作る。
アイスは美味しい割に魔法で作るのが簡単だ。
マリカさんじゃなくて僕でも作れる。
フラン:「確かに物質創造だけど、これは何?」
総司:「アイスです。」
フラン:「マジで!?食べられる!?」
総司:「もちろん食べられますよ。」
スプーンを作り忘れた…。
フランさんは器のアイスをペロペロ舐めている。
フラン:「美味しい!こんな魔法初めて見た!すごいね!」
アガサ:「私も食べたいな!」
ソフィ:「はい。」
ソフィさんもアイスを作ってアガサさんに渡す。
昨日、アイさんに指輪に術式を書きこんでもらったんだろう。
器はアルミ製だからアイスの周囲が溶けだしている…。
アガサ:「冷たい!でも美味しい!」
アイ:「時間もおやつにちょうど良いね。それじゃ私はこれで。」
アイさんはケーキと紅茶を僕達の分も含めて人数分作る。
器とスプーンも芸術品と言って良い出来だ。
フラン:「ケーキも出来るのね。魔法ってすごいね!」
アガサ:「しかも綺麗な器!職人がいらなくなっちゃうわね!」
僕とソフィさんがやったことと、
アイさんがやったことの違いはわかってないだろな…。
同じくお菓子を作ったものだが、
この二つには天と地の差とも言える技量の差がある。
総司:「ケーキ美味しいね。さすがアイさん。」
アイ:「ありがとう。子供でもこれくらい出来るんだからね。」
アイさんは笑顔で答える。
アイさんは根に持つタイプだ…。
フラン:「全員が魔法適正者なのは十分に確認出来ました。
所属はどうする?みんな仲間なんだよね?
仮でも所属名を書いておいた方が良いよ。
魔法適正と所属と両方が考慮されれば、
3人だから準決勝までは対戦しないで済むと思うよ。
そんな簡単じゃないと言いたいけど、
ここまでの魔法使いだと、ありえるわよね…。」
総司:「そうですね…。どうしようか?」
アイ:「私達は商人だから商会よね。問題は名前か…。」
ソフィ:「アイさんの…。愛の商会とかどう?」
総司:「それだとナギさんのお店みたいになっちゃうね。」
アイ:「それは問題ね…。」
マリカ:(マジック商会とかどう?全員魔法適正者だし。
魔法商会だと魔法を取り扱ってるみたいになっちゃうから、
ちょっと捩ってマジック商会って感じ。)
総司:(僕はそれで良いよ。)
アイ:(総司商会だと清掃業みたいだしね。私もそれでいいよ。)
ソフィ:(私もそれでいいよ。愛の商会は無しだね…。)
総司:「マジック商会にするよ。全員その所属で。」
フラン:「わかったわ。良い名前ね。」
アガサ:「手品師の集まりみたいに思われそうね…。」
ボソッとアガサさんが言う。
他に良い案も無いし、これでいいよ…。
しかし魔法がある世界でも手品師っているのか。
魔法自体が「種も仕掛けもありません」だから、
この世界の手品師は大変だろうな…。
いや、魔法が種と仕掛けってことになるのかな?ややこしい…。
フラン:「それじゃ、用紙を配るから、みんな書いちゃって。
今までの説明で問題なく書けるだろうけど、
わからなかったら遠慮なく聞いてね。
私はそのためにいるんだから。
美味しいデザートも頂いちゃったしね!」
僕達は用紙を受け取って記入し、フランさんに用紙を返す。
フランさんが言うように問題無くすべて記載出来た。
フランさんは三人分の申請用紙に目を通す。
フラン:「記載に問題はないわね。
これで来月の武術大会にみんな参加出来ます。
この街の住人は武術大会の事はみんな詳しく知っている。
賭博も含めて最大の娯楽になってるからね。
総司さん達は市民権を得たばかりだし、
当然初参加だから大会のことを説明するね。
武術大会はこの街の主催だから、
街の職員が全面的にバックアップするよ。
大きな団体、有力団体、
その他にも過去に実績のある団体には職員が専属で付く。
今さっきまでは魔法適正者の全員がイルス兵団に所属している。
その他の団体で魔法適正者が3名という時点で、
少数でもマジック商会は有力団体になるわね。
ということで、マジック商会の専属職員に私がなります。
良いわよね?」
総司:「こちらこそ。よろしくお願いします。」
フラン:「ラッキー!専属団体が良い成績だと加給があるの。
これからの給料アップは頂きね!
本当に良い成績で終わったら何かご馳走するね!」
アガサ:「フランずるい~~。私にもご馳走してね。」
フラン:「アガサさんが紹介してくれたからね。もちろんよ。」
アガサ:「私も結婚して退職するまでは、
ここの職員で、フランは当時の後輩なの。
優秀だから心配ないからね。」
総司:「はい。」
ずいぶん仲が良いと思ったら、そういう関係なのね。
アガサさんがいろいろと詳しく知っている理由もわかった。
昨日と今日で雰囲気が別人のように変わってしまったが…。
でも、こっちの方が話をしやすいし、親しみが持てていいね。
フランさんとアガサさんのためにも頑張ろう。
フラン:「大会の説明に入るね。
初日は予選で8時から17時まで。
北門の外で行われるわ。128組のグループに分かれて、
各々のグループ全員で対戦して一人の勝者を選ぶ。
各々の会場に専門の審判が入るわ。
予選を勝ち抜いた128名には報奨金として
金貨1枚が支払われる。
二日目は1回戦。
8時からでお昼を1時間挟んで17時まで。
8つの会場で行われるわ。1時間毎に試合が更新する。
決着がついてない場合は判定ね。
三日目は2~4回戦。会場と流れは二日目と同じね。
ここまで勝ち残ると上位8名に入り、
金貨10枚が支払われるわ。
四日目が最終日で、準々決勝~決勝、
最後に優勝者と前回の優勝者の対戦まで。
全ての試合がメイン会場のみで行われるわ。
これまでと同様に試合は一時間。
早く決着がついても、試合の開始は規定の時間ね。
会場がメイン会場のみになるから席のチケットは超高騰する。
出場者には2名分の観戦チケットが配られるから、
売ると、これだけでも報奨金以上のお金が稼げるわよ。
一人でも勝ち残れば、二人も観戦出来るわね。
もし二人以上勝ち残ったら私にも一枚ほしいな…。
売ったりしないよ?私が見るためにね!」
総司:「二人以上勝ち残ったらいいですよ。」
アガサ:「まだ残ってるわよね。私も良いかな?」
総司:「勝ち残ったらですからね…。」
アガサ:「やった!」
フラン:「優勝の褒賞金は金貨100枚!
準優勝は50枚。3位は30枚。4位は20枚だよ。」
そのくらいは僕でも作れちゃうから、あんまりだね…。
意味があるのはやっぱり領主との面会かな。
フラン:「武術大会の説明はこんなものかな?
何か質問はあるかな?
今は無くてもいつでもここに来てくれれば、
何でも答えるからね。
あと、当日の朝は私が迎えに行くし、
みんなの試合のマネージメントもするからね。」
それはすごく助かる。
いろいろな事を気にしなくて良い分、試合に集中できる。
総司:「ありがとうございます。心強いですよ。
質問は今は特に無いですね。」
アイさんとソフィさんを見るが二人とも頷いている。
フラン:「それじゃ、行こうか。住所で分かるけど、
実際に総司君達の家に案内して欲しいな。」
フランさんの言葉はすっかり砕けて、親しくなれた気がする。
総司:「良いですよ。」
フラン:「良かった。役場の入口で待ってて。
参加登録の手続きと外出の申請をしてくるから。」
フランさんは部屋から出ていった。僕達もそのまま役場を出る。
アイ:「こんなイベントがあって、
しかも参加登録が明後日までだったなんて。
今日教えて貰えてほんと良かった。
アガサさんありがとう!」
アガサ:「私の方こそとっても楽しかったわ!
もうドキドキしてるもん!
これまでで一番の、最高に楽しい武術大会になりそう!」
フランさんが来たので、みんなで家に帰ると
シモンさんが家で待っていた。
シモン:「誰も居ないから心配したよ…。何かあったのかい?」
アガサさんの帰りが遅いから、心配で来てくれていたらしい。
アガサ:「総司君達が武術大会に出るから参加登録に行ってたの!」
アガサさんはまだテンションが高い。言葉もすっかり砕けた。
シモン:「いいね。大会で当たっても手加減しないよ?
こう見えて俺は結構強いからね?」
シモンさんはニヤッと笑って手を出してきた。
総司:「負けないように頑張ります。」
僕はシモンさんの手を握る。
これは…。アレだね…。
こうして僕達は武術大会に参加することになった。
正直に言うと僕も結構ドキドキしている。楽しみだ。




