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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
プロローグ
3/89

03.竜の島 竜の試練 マリカの戦闘

--------- マリカの視点 ----------

総司が寝てすぐに、アイさんと一緒に山頂に登る。

アイさんが冷えても美味しい食べ物を用意してくれてある。


ドレイクさん達が来るまで、

身体慣らしに、アイさんに付き合ってもらい戦闘訓練をする。


マリカ:「久々だけど、違和感なく動けるね。」

アイ:「問題無いと思いますが、よろしくお願いします。」

マリカ:「頑張ってみるよ。

  自分の身体を使った初の実戦だからね。

  楽しみといえば楽しみかな。」

アイ:「気負わず、鍛錬の通りやれば大丈夫です。」


空には月が二つ出ていて、

明かりがなくても真っ暗というわけではない。


この世界の月は複雑な色をしている。

青い海、緑の大地、白い雲、総じて地球のような模様だ。


アイさんが魔素結晶で作ってくれた

ライトの魔道具を周囲に配置する。


暫く待つと、ドレイクさん達と思われるドラゴンが見えてきた。

黒いドラゴンと赤いドラゴンが二人。


一際大きい赤いドラゴンと、一番小さい赤いドラゴンは

見た目がそっくりなので親子なのが分かる。


地上に降りてすぐに黒いドラゴンのドレイクさんだけ

人型に変化して、アイさんの前で片膝をつく。


ドレイク:「アイ様。ただいま到着しました。」

エウリア:「ねぇ。竜の試練の作法はどうしたんです?

  ちゃんとしなさいよ。」

ソフィア:「お父さん、すっかり牙を抜かれちゃってるね…。」

エウリア:「私はドレイクの妻のエウリア。

  試練の場で先に名乗ることはありえませんが、

  主人に乞われ見届けに来ています。」

ソフィア:「私が試練の相手をする。ソフィアだよ。

  お父さんがあんな風になるくらい強い人の仲間なんだよね?

  期待してるよ。」


ドレイクさんは、約束通り家族を連れて来てくれたようだ。

奥さんの方が大きく強そうに見える。

でも、私の相手は娘のソフィアらしい。


エウリアさんとソフィアはよく似ている。

ソフィアが成長すれば更にエウリアさんに似るのだろう。


マリカ:「わ…俺はアイの仲間の総司だ。

  竜の試練に来てくれて感謝する。」


ちょっと緊張しているみたいだ…。

冷静にいこう。


ソフィア:「もうお父さんが

  段取りは終わらせているみたいだし、

  夜遅くなる前にさっさと済ませよう。

  あとでご馳走してくれるみたいだし。」


ソフィアが羽ばたき、上空で滞空する。

アイさんとドレイクさんの戦闘の時もそうだったが、

これも竜の試練の作法なのかもしれない。


飛べないとその時点でガッカリされそうだ。

飛べない場合、届かない高度からブレスで攻撃されたら、

一方的な勝負になる可能性が高い。


最初の試練としては機能しているのだろう。

私も合わせてソフィアの頭の高さまで上昇し滞空する。


ソフィア:「いつでもどうぞ。」

マリカ:「では、いくぞ。」


基本的に武器だけで戦う。


エウリアさんは見届けに来たと言っているが、

この後にエウリアさんとも戦うことになる可能性が高い。


アイさんが言うにはドラゴンとはそういう種族だそうだ。


ブレスに注意しながら一気に右下の方向へ移動する。


ソフィア:「はやっ!」


ソフィアの下を抜けて死角になる腹の方へ回り込む。


ドラゴンの身体は大きい。

ドラゴンの頭と身体の直線上に入れば死角になるし、

ブレスも吐けない。


こちらが有利に攻撃することが可能になる。

それを嫌がって回避を続けていけば、

最後は地上に降りるしかなくなる。

しかし、地上では足で動く必要がある。


滞空状態の方が、素早く移動することが可能なため、

滞空状態を続ける可能性が高い。


予想通り、ソフィアは身体を捻って私を追うように動いている。

私の理想通りの展開になっている。


たびたびドラゴンの足や胴体に大きく傷をつけるが、

すぐに回復されてしまう。


やはり斬り落とさないとダメだろう。

私は武器の刀に魔力を込めて刀身を長く変形させる。


ソフィア:「くー。やりにくいなー。」


ソフィアは私の動きを妨害するために、

私の周囲に複数の魔法の壁を生み出してくる。

私は壁を破壊しながら移動しつつ、足と胴体を切りつける。


また、ソフィアは効果範囲の広い炎の魔法などを

足元に展開してくるが、たいしたダメージではなく、

軽く回復する程度で済むので基本的に無視する。


同様の攻防を繰り返しているうちに

私の姿を捉えたのかブレスを吐いてきた。


ブレス中は動きが止まるため、

私は死角になる方向へ避けて、

力を溜めた一撃で尻尾を斬り落とす。


ソフィアはバランスを崩して地上に降りた。

私も追いかける様に地上に降りる。

ソフィアは人型に姿を変えて私の前に来た。


ドラゴンの姿の時には、

まだ残っていた傷なども無くなっている。


ソフィア:「一方的にやられちゃったね…。負けを認める。

  なんかまだ本気じゃないっぽいし。」

マリカ:「ありがとう。いや、本気じゃないってことはないよ。」

ソフィア:「普通の竜の試練って、

  良い勝負が出来れば力を認めるって儀式なんだけど、

  負けちゃうのはショックだなー。

  貴方達は普通の人種じゃないでしょ?

  いくらなんでも破格すぎるよ。」

マリカ:「話せることは後で話すよ。一緒に来てくれるんでしょ?」


ソフィアは片手を胸に当て片膝をついた。


ソフィア:「私の名前はソフィアと言います。

  総司様、私にお役に立てることがあれば、何なりと。」


この一連が様式美らしい。

私はソフィアの前で、同様に片膝をついて目線を合わせる。


マリカ:「ソフィア。これからよろしくね。」


お互いに手を取り合う。

ソフィアの目が少しウルウルしている。

これから総司をよろしくね。

私は心の中で思う。


エウリア:「ウフフ。良い勝負でしたね。

  これは楽しめそうです。

  私も長く生きてきましたが、

  これほどの強者は初めてです。

  当然、私の試練も受けて下さいますよね?」

マリカ:「ええ。」


アイさんの方を見ると、アイさんはドレイクさんと

笑顔で話をしていた。

特に心配はないみたいだ。


エウリアさんが羽ばたき、上空で滞空する。

私も合わせてエウリアさんの頭の高さまで上昇し滞空する。


エウリア:「ソフィア。開始の合図をしなさい。」


なるほど。

最初から対等の勝負だと思ってくれているのか。


ソフィア:「はじめ!」


ソフィアが上げていた手を振り下ろし、開始の合図をする。


エウリアさんはいきなりブレスを吐いてくる。


やや下側に吐いているのは下に回りこまれるのを

防ぐことも考えてだろう。


ドレイクさんの数倍のエリアでブレスが展開されてくる。

やはりエウリアさんが一番強いみたいだ。


さすがに避けきれず、移動しながら防御壁を展開する。

冷却が間に合わず結構熱い。


痛覚を再調整し、火傷した部分を回復する。


ブレスを防ぎきったところで

無数の巨大な氷の槍が襲ってきた。


継続して移動しながら避けきれない槍は防御壁で防ぐ。


氷の槍も下方向への移動を阻害するように撃ってくる。

死角に移動するのは難しそうだ。

ただ、ブレスを防ぐのに比べて余裕がある。


私は魔法による刃を複数展開し、エウリアさんの方に撃ち出す。

エウリアさんも防御壁を展開する。


氷の槍の本数が減ってきた。

更に展開する刃の数を増やしていくと、

エウリアさんの氷の槍による攻撃は止まった。


防御で手一杯になっているみたいだ。

接近して攻撃してこないのは、先ほどのソフィアとの戦闘で

私の素早さを知っているからだろう。

死角に回り込めば私が一方的に攻撃出来る。


私は刃の魔法を継続しながら、

大きな手裏剣状の武器も展開し、

回転をかけ左右から回り込んで当たるように撃つ。


手裏剣状の武器には麻痺毒が塗布されているため、

当たりさえすれば、動きが鈍っていくはずだ。


そのまま同様の攻防が続く。


いくつかの手裏剣状の武器は命中している。

エウリアさんの動きは鈍くなってきているが、

次のブレスが打てるようになるのを

待っているのもまた分かる。


ブレスを防ぎきれば私の勝だ。

エウリアさんが頭を上げて溜める動作をした。


ブレスが来る。

溜めの動作が入る分、

最初のブレスより威力の高いブレスが予想される。


私は防御壁を厚く展開するのと同時に、

内側に氷の壁を作って備える。


エウリアさんから吐き出された高密度なブレスと

私の防御壁とが、ぶつかり合う。


防御壁でブレスは止まるが、その熱により内側の

氷の壁が一気に蒸発していく。

蒸発して削られていく氷の壁と、再構築する氷の壁で

均衡する。


なんとかブレスが終わるまで防ぎきる。


エウリア:「見事です。このまま続けても私の負けでしょう。」


エウリアさんは先に下に降りて人型に変化した。


赤い髪のとても綺麗な女性だ。

私も合わせて地上に降りる。


そしてエウリアさんは片手を胸に当て片膝をついた。


エウリア:「私の名前はエウリアと言います。

  総司様、私にお役に立てることがあれば、何なりと。」


所作が完璧で美しい。

私も片膝をついて向かい合って、胸に当てている手を取る。


マリカ:「立ってください。

  強く美しい女性は私の目指すところです。

  エウリアさんのような女性に会えて幸せです。」


しまった!熱中してて本音が…。今は総司役なのに。


エウリア:「え…ええ……ありがとうございます。」


エウリアさんの顔に怪しい色が出ている。

ドレイクさんとソフィアは微妙な顔で見ている。


アイ:「はい!お疲れ様でした!

  ささやかですが、食事を用意してあります。

  せっかくなので一緒に食べていって下さると嬉しいです。」


ニコニコ笑顔のアイさんが待っていた。

声をかけるタイミングも最高。

さすがアイさんだ。


その後、更にドレイクさん一家と仲良くなれた。

誰が残るか揉めていたが、なんとか無事に決まったようだ。

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