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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
北の大陸
29/89

18.人間の街ザウル④北の大陸の人魚族

アイ:「それじゃ、西の町に行きましょうか。」

ナギ:「あー。えーとね。

  夜からお仕事があるんだけど…。」

アイ:「え?夕飯ご馳走してくれるって言ってたのに…。」

人魚:「ナギさんは今日は非番です。」

アイ:「なら問題ないね。」


ナギ:「………」


アイ:「外も暗くなってきたし、

  サクッと飛んで行っちゃおう。」

人魚:「ナギさん行ってらっしゃい。アイ様また来てね。」

ナギ:「ちょっとは引き留めてよ…。行きたくないなぁ…。」

アイ:「ぐずぐずしてないで行くよ。」


アイさんがナギさんを後ろから押して外に出る。


アイ:「暗くなってきたけど、

  あんまり人に見られたくないから、

  高速飛行で行くね。」


アイさんが後ろから僕に抱き着く。


アイ:「ソフィさんとナギさんは

  横から私と総司君に抱き着いて。」

ソフィ:「わかった。」

ナギ:「行きたくないなぁ…。」


文句を言いながらナギさんも抱き着いてくる。


ナギ:「総司君良い匂い…。やっぱり男だったのね。」


ナギさんは不必要なまでに密着して足を絡めてくる…。


アイ:「しっかり捕まっててね。それじゃ、行ってくるね。」


人魚達:「「「行ってらっしゃい!」」」


僕達は浮き上がり、

周囲に防御壁が展開された瞬間に急加速で

西へ飛び立った。


防御壁内の空気ごと移動しているため、

風圧は感じないが、加速の衝撃はある。


身体強化されていなければ、

手が千切れるほどの衝撃だったろう。


総司:「ロケット花火みたいだ…。」

ナギ:「手が千切れるかと思った…。

  ちょっと漏れたかも…。」


更に水平方向へ加速は続いている。


「パン!」


総司:「何?音がしたけど…。」

アイ:「音速を超えた瞬間だよ。

  気流を調整して音が立たない

  ようにしてるんだけど、

  もう少し上手くやらないと

  地上に衝撃波が行っちゃうかな。」

ナギ:「高さも速さもありえない…。」

ソフィ:「私はこういうの慣れてきたなー。」

アイ:「もうすぐ着くよ。減速するね。」

ナギ:「嘘でしょ…。三食のご飯と睡眠以外は

  ずっと走って2日はかかるんだよ…。」


地上を見るとペンギンが慌てて町から逃げているのが見える。


総司:「ちょっと下半身が冷たくなってきたんだけど…。」

ナギ:「ごめん…。町の手前で降りて着替えない?」

アイ:「しょうがないなぁ。」


急下降して町の手前に降りる。


僕とアイさん、ナギさんは身体を水で流して、

アイさんが魔法で出した服に着替えて、

着ていた服を焼却処分した。

逆側にいたソフィさんは無事だった。


ナギ:「屈辱だわ…。

  こういうの喜ぶ人だっているんだからね!」


人魚の人達のこういうのにも慣れてきたな…。

アイさんが僕の足に鼻を近づけてクンクンしている。


アイ:「匂いは取れたみたいね。」

ナギ:「屈辱だわ…。」

アイ:「さて。気を取り直して行きますか。

  ナギさんは娘さんとお孫さんに会うんだから、

  しっかりしないとね。」


アイさんはニヤリと笑い、ナギさんを見る。


ナギ:「わかってるわよ…。

  アイちゃんの言うことに従うわ!」


人魚の町までの残り少しの距離を、

各々の飛行の魔法で移動する。

町の入口でアクアさんとマリンさんが立っていた。


アクア:「おかえりなさいませ。

  ペンギン達が逃げて行ったので、

  アイ様がお戻りになると思い、お待ちしていました。」

マリン:「せっかく大丈夫だからって呼び戻したのにね。」

アイ:「ただいま~。昨日出ていったばかりで、

  すぐに帰ってきて悪かったわね。

  事情があるんだから仕方ないでしょ。」


僕は後ろでモジモジしているナギさんを

後ろから押して前に送る。


ナギ:「久しぶり~。元気だったかな?」

マリン:「元気よ。先代も元気そうね。」

アクア:「おばあちゃん…。まだ生きてたんですね…。」

ナギ:「人間の街でアイちゃん達と会ってね…。

  ついでに連れてきてもらったの。」

アクア:「こんな短期間によく見つかりましたね。」

アイ:「人魚ホイホイに引き寄せられてきてね…。

  人魚の町と人間の街の交流を進めるのに

  丁度いいと思って連れてきたの。」


アクアさんとマリンさんが僕の方を見ている。

僕は何もしていない。不本意な言われ様だ…。


マリン:「立ち話もなんだから、とりあえず家に行こうか。」

アイ:「そうね。」


全員で港傍の家に向かう。


人魚達:「「「おかえりなさーい!」」」


竜の島から一緒に来た人魚達も、みんなこの家にいるようだ。


総司:「ただいま。」


笑顔で答えると、みんな嬉しそうにしてくれる。


アイ:「それじゃ、いきなりだけど、話の本題に入るね。

  ナギさんは人間の街ザウルで人魚であることを隠して

  人間達と仲良く暮らしていたの。

  もう少し先の話と思っていたんだけど、

  この際だからナギさんに、

  人魚と人間が仲良く出来る様に

  協力して貰おうと思うの。」

ナギ:「人魚であることを隠してと言っても、

  公然の秘密って感じで、

  付き合いのある人達は

  私達が人魚だって既に知っている。

  それほど難しいことじゃないと思うわ。」

アイ:「人魚の町に住むみんなも必要に応じて人間の街で、

  交流を深める協力をしてほしいの。

  簡単に役割分担するなら

  ナギさんの指示で交流を進めていく。

  アクアさんは人魚達と共に道の整備。

  マリンさんはペンギン族も含めた仲介かな。

  ナギさんの家にもモニターを設置するから連絡に使って。」

アクア:「かしこまりました。」

マリン:「アクアから事情は聞いてる。

  竜の島へ行くつもりだったけど、

  当面はアイちゃんの指示通りに協力するわ。

  この街に住む人魚達への

  連絡と協力も私からお願いしておくね。」

人魚達:「「「わかりました!」」」


アイ:「みんなありがとう。」

アクア:「アイ様。お礼を言うべきは私達です。

  いつもありがとうございます。」

ナギ:「アクアがこっちに来ちゃってて、

  竜の島の方は大丈夫なの?」

アクア:「その辺のことも後でお話しさせて頂きます。」

アイ:「そうね。連絡と今後の話も出来たし、とりあえず、

   モニターを設置するのにナギさんの家へ戻ろうか。

   竜の島のことは後で、ナギさんの家にいる人魚達も

   含めて連絡しておいて。」

アクア:「かしこまりました。」

ナギ:「なんかいろいろありそうね。」

マリン:「今から人間の街に戻るの?」

ナギ:「信じられないだろうけど、

  ザウルの家からここまで、

  10分くらいで来ちゃったのよ。

  帰りもそのくらいで着いちゃうと思うわよ?」

アイ:「それじゃ、戻ろうか。また来るよ。」


来た時と同様に、

ロケット発射と高速飛行でナギさんの家に戻る。


人魚:「忘れ物?」

ナギ:「いや、もう行ってきたよ。」

人魚達:「「「は?」」」

アイ:「ただいま~。早速モニターを設置しよう。

  人魚達共有のシークレットルームみたいな部屋はあるかな?

  身内だけが立ち入れる場所に案内して。」


既に自分は身内という態度でアイさんは言っている。


ナギ:「モニターって何なのか分からないけど、

  私の部屋が二部屋あるから、手前の部屋にしようかな。」

人魚:「まだ仕事までに時間があるから私達も行く~。」


みんな揃ってナギさんの部屋へ入る。


アイ:「ソフィさん、いつもみたいに手伝って。」

ソフィ:「はいはい。」


ソフィさんはモニターが出現した時に

支えられるように手を出す。


アイさんもいつものように両掌を胸の前で向かい合わせて

魔素結晶を作り、モニターを作る。


人魚達:「「「おおお~~~!!!」」」

ナギ:「すごい大きさの魔素結晶だね…。

   それで作る魔道具とか、すごそうだね…。」

アイ:「ここに置くね。」


壁際に台座を作りモニターを設置し、

モニターを起動する。


アイ:「聞こえる?」

アクア:「お疲れ様です。

  アイ様の声とお姿が問題なく映っております。」

人魚:「代表が映ってる。どういうこと?」

アイ:「同じものを人魚の町に設置してあるの。

  モニター同士で姿が確認出来て会話も可能なのよ。

  ナギさんとみんなも試してみて。モニターに魔力を

  込めて会話すれば、向こうに通じるから。」

人魚達:「「「すご~~~い!!!」」」

ナギ:「夢みたいな話だね…。アクア。聞こえる?」

アクア:「おばあちゃんの姿が映っています。

  おばあちゃんの声も聞こえますね。」

ナギ:「ワザとらしくおばあちゃんって繰り返さないで。」

アイ:「問題ないみたいね。みんなも試してみて。」


人魚達:「「「は~い!」」」


みんながモニターを使って会話を始める。

向こうもマリンさんや、周りの人魚達も参加して、

みんなで楽しそうに会話している。


久々の再会だろうから、

話したかったことがたくさんあるだろう。


アイ:「言い忘れてた。竜の島とも繋がるよ。

  アクアさんにやり方を教えて貰って、

  試しておいてね。」


人魚達:「「「は~い!」」」


いろいろあったが竜の島を出てから、

まだ3日しか経っていない。


アクアさんが北の大陸に無事に着いたことは

知らせてくれているだろうし、

会話に混ざる必要もないだろう。


アイ:「予定通りに高級料理店に食べに行こう。

  ナギさん、一番美味しいお店に案内して。」

ナギ:「約束だったしね。良いわよ。」

ソフィ:「今思えば、私はここで待ってても良かったね。」

総司:「ソフィさんはまだいいよ…。

  僕は行った意味が無いうえに、ナギさんのせいで

  着替えなきゃいけない目にあったんだから…。」

ナギ:「美味しい物を食べて忘れようね。お願いだから。」


ナギさんは人魚達に聞かれる前に僕達を家から押し出す。


総司:「どんなところに案内してもらえるのか楽しみだね。」

ソフィ:「お昼も豪華だったから、期待しちゃうね。」

ナギ:「近くだからすぐに着くよ。

  歓楽街は一等地だからね。

  この辺には良いお店が集まってるのよ。」


ナギさんは一際豪華なお店に入ると、店員と話を始めた。


ナギ:「この4人だとちょっと目立っちゃうから個室を取ったわ。

  遠慮なく注文してね。

  お代はアイちゃんから金貨をいっぱい貰っちゃってるしね。」


ナギさんは可愛くウィンクする。

種族のせいとは言え、歳を感じさせない。

とても可愛い仕草もたまにする。とても魅力的な人だ。


店員について行くと丸いテーブルのある個室に案内された。


アイ:「素敵な部屋ね。どんな料理が出てくるか楽しみ。」

ナギ:「コースが良いかな。

  いろいろな種類が食べたいんだっけ?」

アイ:「そう。」

ナギ:「それなら使う食材を指定してコースにしてもらおうか。

  ちょうど4人だし、魚貝、牛、豚、鳥、羊って感じで。」

アイ:「それいいね!それでお願い!」

ナギ:「それじゃ注文しちゃうわね。」


このお店の料理はとても美味しかった。

種類も調理法も様々で、いろいろな味を楽しむことが出来る。


アイ:「私の料理より美味しい!

  覚えるものがたくさんあって嬉しい!」

総司:「アイさんの料理はもちろん美味しいけど、

  こっちはやっぱりプロの料理って感じがするね。」

ソフィ:「竜の島にいたらこんなの食べられなかったなー。」


マリカ:(総司、アレまだ食べてないから食べて。)


ナギ:「満足してもらえたみたいで良かったわ。」

総司:「もうお腹いっぱい。」

アイ:「そうね。私も大満足!」

ナギ:「私ももう食べられないわ。

  泊まるところを決めてないなら、

  うちに泊まって行きなよ。」

アイ:「そうね。今日はナギさんの家に泊めて貰って、

  イルスに行くのは明日にしよう。

  泊めて貰う代わりにお土産をたくさん作っちゃうよ!」

ナギ:「それじゃ、帰ろうか。お会計してくるわね。」


みんなで店を出てナギさんの家に帰る。


今日一日でいろいろあった。

朝は資金調達のために金を売り、

情報収集のためにジルベルトさんの不動産屋で話を聞いた。


そこでジルベルトさんに、

この街の他種族のことをお願いした。


その後に、この街の食品加工業の多い場所で、

食料事情の確認と食材の魔法の研鑽をした。


その時に人魚のナギさんと出会い、

人魚の町と人間の街の交流を深める準備のために

人魚の町へ行って今後のことを話し合った。


ザウルの滞在期間は短かくなりそうだが、

これから関係する種族が仲良く暮らしていけるような

準備が出来たと思う。


総司:「そういえば、アイさんはこの街で、

  まだやりたいことがあるって言ってたよね?」

アイ:「うん。今からするから大丈夫。

  ナギさんや人魚達へのお土産や資金援助にもなるし、

  良い事ばっかりのことだよ。

  総司君も手伝って。」

総司:「良いよ。何するの?」

アイ:「装飾品の大量生産。」


そういえば朝そんなこと言ってたね…。


アイさんは根に持つタイプだった。

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