17.人間の街ザウル③ザウルの人魚族
僕達はザウルの街の食品加工の盛んな場所で、
美味しそうなものを物色している。
マリカ:(総司、お漬物がある。買おう。
キュウリとカブ…かな?
大根もあるね。大根は生も売って貰おう。
すりおろして薬味にしたい。)
総司:(そういえば大根の漬物って黄色いけど、
着色料とかしてるのかな?)
マリカ:(着色料じゃなくて発酵が進むと黄色くなるの。)
総司:(そうなんだ。
手に持てなくなりそうだからバックを作って。)
マリカ:(ちょっと人から見えないところに行こうか。)
建物の間の隙間に入ってバックを用意する。これで大丈夫だ。
総司:(ありがとう。)
マリカ:(総司と二人で買い物も楽しいな。)
総司:(周りからは僕が一人で買い物しているようにしか
見えないけどね。)
マリカ:(恥かしく無くていいだろ。)
総司:(なんでマリカさんと二人だと恥かしいのさ。)
マリカ:(……恋人に見られてとか?)
総司:(周りにそういう人いっぱいいるよ。
特に気にすることないんじゃない?
それに僕とマリカさんが一緒に買い物してても
恋人っぽくならない気がする。
でも…そうだね。まあ…いいや。
楽しいからいいよね。)
マリカ:(そうそう。気にするな。)
総司:「それとそれください。
この大根って漬けてないのも売ってます?」
「あっちでいろいろな野菜を売ってるから、
そこで大根も売ってるよ。
今ここには漬けた物しか置いてないから。」
総司:「ありがとうございます。」
マリカ:(他にも野菜が売ってる場所がわかったから
結果オーライだな。)
総司:(そうだね。)
野菜売り場に向かっているとソフィさんがいた。
こちらに気が付いたみたいで、
ニコニコしながらこっちに向かってくる。
両手に食材を持っている。
もう持てなそうだ。
普段の凛とした雰囲気と違ってコミカルで可愛い。
トマトとにんじん、唐辛子っぽいものを持っている。
赤で揃えるらしい…。
ソフィ「ちょうど良かった。バックと小銭がほしくて。
私の持ってるバックだと小さすぎるし、
お金と食材を混ぜて入れるのはどうかなーって思って。」
総司:「ちょっと待ってね。」
マリカ:(さっき作ったバックをそのまま渡せばいい。
総司、ソフィの持っているバックの中に手を入れて。
中で小銭をたくさん作るから。)
僕がバックに手を入れると魔法が発動する。
ジャラジャラと銅貨が出てくる。
総司:「はい。」
ソフィ:「ありがとう。それじゃ、また後でね!」
マリカ:(赤いものは買わなくて良さそうだね。)
総司:(そうだね。)
マリカ:(よく考えてなかったけど、
買う物が被っちゃうと無駄になるな。
ソフィみたいな買い方は分かり易くてありがたいな。)
バックを新しく作って買い物を再開する。
マリカ:(トマトと唐辛子があったから
チーズはやっぱりほしいな。)
総司:(近くにいる人に聞いてみるよ。)
どうもあるらしい。
教えてもらった方へ行くとアイさんがいた。
アイ:「総司君もここに来たんだ。
チーズもバターも生クリームもあったよ!
フレンチもいけちゃうね!
私が買ったから総司君は買わなくていいよ。」
総司:「良かった。さっきソフィさんにも会ったよ。
赤いものを買う方針みたい。
だからアイさんも
赤いものはあんまり買わなくていいと思うよ。」
マリカ:(お漬物もあったから買っといた。)
アイ:(了解だよ。)
マリカ:(そういえばソフィに会って
野菜売り場を見るのを忘れたね…。)
アイ:(何処にあった?
私は見てないから私が行くよ。
特に欲しいのはなに?)
マリカ:(大根、玉ねぎ、大葉、ショウガ、ワサビ、ニンニク、
薬味系は是非ほしい。)
アイ:(探してあったら買っておくね。)
総司:「場所はあっちだよ。」
アイ:「ありがとう。また後でね!」
アイさんは野菜売り場の方へ歩いて行った。
総司:(あと何があるかな…。)
マリカ:(海産物は竜の島で結構食べたからね…。
他のものがいいよな。
でも、寒い海のものなら良いか。サーモン系は?)
総司:(切り身が赤いからソフィさんが
買ってそうじゃない?)
マリカ:(そうだな…。肉系は夕飯で食べそうだし、
麺類もアイさんが必要としていた系統だから、
あればアイさんが買ってるな。)
総司:(アイさんが思い付いた良いことって、
もしかして狐人族と仲良くなるために油揚げとか、
きつねうどんとかで気を引くとか、そういうこと?)
マリカ:(そういうことだね。)
総司:(そうなんだ…。)
マリカ:(伝承や様式美を軽視してはいけない。
そういうものなんだよ。)
総司:(そうだね…。)
僕は周りを見ながら珍しいものを探す。
ちょっと見た目や臭いがキツイものも結構ある。
そういうのはやめておこう…。
マリカ:(そういえばお酒を思い付いてなかったな。
米酢とかもあるかも。)
総司:(虫系も忘れてたね。蜂蜜とかあるかな。)
マリカ:(聞いてみよう。)
結果的に全部あった。
ここまで元の世界と同じ様な物が揃うと、
過去にいたかもしれない
転生者の知識が影響しているとしか思えない。
元の世界と似たような生活をする土壌が
既に用意されているみたいで、とてもありがたい。
マリカ:(そろそろ時間だから指定の空き地に行こうか。)
総司:(そうだね。どっちだっけ?)
マリカ:(あっちだよ。
一人だったら迷子になったんじゃないか?)
総司:(そんなことないよ…たぶん…。)
指定の空き地に行くとアイさんが先に着いていた。
アイ:「来たね。近くの家の人にテーブルを
借りておいたから、買ったものをそこに広げよう。」
マリカ:(覚えちゃうから
テーブルの上の食材を触ったり齧ったりして。
食材のままでの確認が終わったら料理しよう。)
総司:(わかった。)
アイさんも同じような作業をしている。
総司:「ソフィさんまだかな?
もしかして迷子になってないかな?」
マリカ:(総司じゃあるまいし。)
アイ:(私は全部覚えちゃったから、
ソフィさんに念話で声をかけながら様子を見てくるよ。)
アイさんは走ってソフィさんを探しに行った。
僕は食材を覚えるのに触ったり匂いを嗅いだり
齧ったりの作業を続ける。
「こんにちは。こんなに食材を広げて、ここで料理をするの?」
急に声をかけられて振り向く。
とても綺麗な女性が立っている。
濃い青い髪の大人の女性だ。
誰かにちょっと似てる気がする…。
総司:「はい。あと二人ここに来て一緒に
料理をしながら食べる予定です。」
「私もお昼にしようと思ってこの辺を歩いていたの。
私も一緒に頂いてもいいかしら?
お代は見合っただけ払うわよ?」
総司:(いっぱいあるし良いよね?)
マリカ:(いいんじゃない?
この出会いもたぶん運命だろうしな。)
総司:(運命って…。ずいぶんと重い言葉を使うね。)
マリカ:(総司に隠された本当の呪なのかもな…。)
総司:(綺麗な女の人が来た事?
それって良い事じゃない?)
マリカ:(違うけど。
まあ、結果的に同じ事にはなるな。)
総司:「良いですよ。初めて作る料理になると思うから、
美味しくなかったらごめんなさい。」
ナギ:「構わないわ。
お嬢ちゃんからは不思議な魅力を感じるのよね。
なぜかとても惹かれる。
私はナギって言うの。よろしくね。」
総司:「僕は総司と言います。
こちらこそ、よろしくお願いします。」
総司:(二人ともまだ来ないから先に料理しちゃおうか。
アイさんも、もう覚えたって言ってたし。)
マリカ:(いいよ。
みんなが来てからもサクッと食べられるし、
ピザを作ろう。久しぶりだし食べたい。
アイさんが買ってきた小麦粉を取って。)
僕は小麦粉を取る。
マリカさんが魔法で器と水、塩などを出して、
更に魔法で混ぜ合わせる。
ナギ:「物質化の魔法を使ったわね。
この街には魔法使いはいないはずだけど。
しかも私にも到底出来ない魔法を使ってる。」
総司:「僕もこの街には魔法使いはいないって
聞いてましたよ。
その言い方だとナギさんも魔法使いなんですか?」
ナギ:「そうね。
この街の人間に魔法使いはいなかったわね。
見た目も綺麗だし、もしかしてあなたは
人魚族だったりするのかしら?」
ナギさんは僕の質問に答えた様で
明確には答えていない返事をして僕に聞いてくる。
小麦粉を練った生地を伸ばした上に
魔法で出した具材を乗せていく。
トマトを潰して水気を切って乗せる。
最後にチーズをかけて魔法で加熱していく。
総司:「僕は人間ですよ。
最近ちょっと自分でも疑わしいけど…。
あ!良い匂いがしてきた!美味しそう!」
ナギ:「あなた…。食材も魔法で出したわね…。
でも、確かに良い匂い。美味しそうね。
食べるのが楽しみだわ。」
ピザが焼けるのを待っていると
アイさん達が帰って来る。
アイ:「ソフィさん迷子になってたよ。」
ソフィ:「迷子じゃないよ。
帰る道がわからなかっただけだもん。」
ソフィさんは可愛く言うが、
それが迷子ってことだと思う…。
アイ:「こちらの方は?」
総司:「紹介するね。さっき知り合ったナギさん。
ここで料理の準備をしているのが見えたから、
ついでに一緒に食べさせてほしいと言われたの。
それで一緒に食べることになったんだよ。」
アイ:「総司君は一人にしておくとこれだから…。
私はアイ。ナギさんよろしくね。」
ナギ:「………君って聞こえたかしら?」
ソフィ:「私はソフィア。ソフィって呼んでね。」
ナギ:「私はナギよ。
アイちゃん、ソフィちゃん、よろしくね。」
総司:「ちょうどピザが出来るところだよ。
みんなで食べよう。」
ソフィ:「ピザっていうのか。
初めて食べるけど美味しそうだね!」
アイ:(もしかして総司君が男ってまだバレてない?)
マリカ:(まだ女性だと思ってるっぽいね。)
アイ:(ソフィさん、ナギさんがいる間は
総司君を総ちゃんって呼んで。)
ソフィ:(ん?わかった。)
アイ:(総司君も自分でバラしちゃダメよ?)
総司:(なんで?でも、わかった。)
マリカ:(お酒も買ってきただろ。
ナギさんにお酒を勧めて。
アイさんはお酒は覚えた?)
アイ:(さっきちょっと匂いを嗅いで
舐めてみたから大丈夫。)
総司:「ナギさん、お酒もあるんですよ。
良かったらどうですか?」
ナギ:「昼間からお酒か…。でも頂いちゃおうかしら。
面白い娘達と会えて気分も良いし。」
アイ:「それじゃ、
私がお酒のおつまみになりそうなものを作るね。」
アイさんも魔法で料理を始める。
ナギ:「アイちゃんもすごいわね…。
私が知らないところで、
こんなにすごい魔法使いが何人もいたの?」
ソフィ:「私もこの二人以外で、
ここまでの魔法を使える人は知らないな。
総ちゃん、私にもお酒頂戴。」
総司:「ソフィさん、お酒飲めたんだ。」
ソフィ:(私は竜族だぞ?
お酒なんて好きに決まってるじゃないか。)
マリカ:(ソフィ、ナイスだ。
ナギさんにどんどん飲ませろ。)
総司:「アイさん、料理任せて良い?
お酒が足りなくなりそうだから買ってくるよ。」
アイ:「買ってこなくて良いよ。私が魔法で作るから。」
マリカ:(私だって作れるから必要なかったぞ?)
総司:(そういえばそうだったね…。)
この場から離れる口実だったのに…。
ナギ:「魔法でお酒も造れるなんて、
商売したらボロ儲けね。
その前にそこまでの分子構造の物が作れるなら、
金だって作れるんじゃない?」
アイ:「ナギさんすごい。
術式について詳しいのね。
結構強い魔法使いでしょ。
私にはわかるんだから。」
ナギ:「そこまでのことをされて、
すごいとか強い魔法使いとか言われてもね…。
でも、まあ、いいわ。私も魔法使いよ。
私はこの街に住み着いているから秘密にしてね。
まあ、知ってる人は知ってるけどね。」
ソフィ:「ナギさんって綺麗ですね。人魚みたい。」
ナギ:「そういう貴方達の方こそ
人魚みたいに綺麗な娘ばかり。
総ちゃんとアイちゃんは
どっちかと言うと長耳族かしら。
耳が長くないから違うってわかるけど。」
アイ:「それはどういう意味かしら?」
ナギ:「あら。ごめんなさい。気にしないで。
可憐って意味で言ったのよ。」
アイ:「そう?ありがとう。」
ソフィ:「私は人魚っぽいのか。
ナギさんと似たもの同士だね。」
ソフィさんがナギさんのコップにお酒を注ぐ。
アイ:「出来たよ。揚げ出し豆腐、鳥のから揚げ、
フライドポテトだよ。」
総司:「うわ!美味しそう。僕も食べる。」
ナギ:「ソフィちゃんも魔法使いなの?」
ソフィ:「そうだよ。この二人ほどじゃないけどね。」
ナギ:「東通りの高級料理店でも似たような料理が出るけど、
それと遜色ないわね。
アイちゃんは料理人でもやっていけるわね。」
ソフィ:「ほんと美味しい!」
ナギさんもソフィさんも美味しそうに食べている。
アイ:「揚げ物を先にだしたけど、
お漬物も一緒にどうぞ。」
総司:「まだピザもあるよ。」
アイ:「次はフレンチっぽい料理を作るね。
最後は練習しておきたいから、
きつねうどんだよ。」
総司:「作ってばっかりじゃなくて
アイさんも食べようよ。」
アイ:「食べながら料理してるから大丈夫よ。
自分で作ってなんだけど美味しいね。」
アイさんから次々と料理が出される。
僕達とナギさんは飲み食いを進める。
ソフィさんはまったく変わらないが、
ナギさんは少し酔ってきたみたいだ。
総司:「そろそろお腹いっぱいだね。」
ソフィ:「こういうのが旅の醍醐味だよね。」
ナギ:「やっぱり旅人なのね。
こんなに目立つ集団なのに今日初めて見たし。
この街には留まるの?」
アイ:「明日にはイルスに行くつもりだよ。」
ナギ:「もうこの街には来ないの?」
アイ:「ちょくちょく来るつもりだよ。」
ナギ:「良かった。
またこの街に来たら私の所にも寄ってよ。
今から案内するから来てほしい。
お礼に夕飯は私がご馳走するわ。」
アイ:「良いよ。それじゃ、お片付けしよう。」
ソフィ:「すぐ食べちゃうから待って。」
作ったお皿を洗い、野菜の皮などは魔法で燃やす。
テーブルを借りた家の人にテーブルを返すときに、
作った器と残った食材をあげたら喜んでいた。
工房の多い地区を抜けて東の大通りに出る。
遠くに歓楽街のような賑やかな街並みが見えてきた。
ナギ:「あっちに見える歓楽街の中だよ。
家の中には私の仲間もいるから紹介するね。」
ソフィ:(アイさんどうするの?
人魚なのは間違いないよね。)
アイ:(ええ。ナギさんはマリンさんが言っていた、
旅に出た先々代の代表だと思う。
ついでにマリンさんの母親だよね。
見た目が似てるもん。
仲間っていうのはその時に一緒に
旅に出た人魚達のことで間違いないと思う。)
総司:(「町の発展に役立ちそうな何かを探しに行く。」
って話じゃなかったっけ?)
アイ:(そういえば、そういう話だったよね…。)
マリカ:(いきなり居心地が良い場所で、
居着いちゃったんだろうね。)
アイ:(人魚族と人間族の融和は
後回しにするつもりだったけど、
ナギさん達はすっかり
この街に馴染んでるから都合が良い。
このまま人魚族と人間族が仲良くなるのに
協力してもらおう。)
マリカ:(私の考えた方針って、
いつも想定通りにいかないね…。)
総司:(想定していない大きな要素が出てくるから
仕方ないよね。
先に方針があれば、それと対比して、
変えるときにより良いかで選択出来る。
先に方針を考えるのは大事な事だと思う。)
マリカ:(総司も良い事言うな。嬉しいよ。)
東の大通りから大きな脇道へ入ると
煌びやかな建物が並ぶ。
更に奥に入った所に大きな屋敷が見えてきた。
高い外壁に囲まれているが、中の屋敷も十分に見える。
かなり大きな屋敷だ。
ナギ:「あれが私と仲間が住んでいる家だよ。
ついて来て。」
総司:「すごいお屋敷ですね。」
門から入ると庭もかなり広い。
庭を抜けて玄関から屋敷に入る。
屋敷の中は
エントランスとリビングが繋がった広い空間になる。
リビング側に女性が何人かいる。
女性:「ナギさんおかえりなさい。
ずいぶんと綺麗な娘達ね。
西の町から来たのかしら?」
アイ:「よくご存知ですね。
西の町から来ました。アイです。
人魚ではありませんが、
マリンさんとも知り合いです。
竜の島からアクアさんと一緒に
この大陸に来たんですよ。」
すかさずアイさんが女性の言葉を拾って返事をした。
ナギ:「えっ!?そうだったの!?」
女性:「知らないで連れてきたの?」
ナギ:「見かけたら惹かれるものを感じたから、
声をかけて、お昼を一緒にさせて貰ったんだ。
面白い娘達だったから、これからも仲良くしたいと思って。
みんなにも紹介するために連れてきたの。
アイちゃんと、そっちの黒髪の娘が総ちゃん、
赤い髪の娘がソフィちゃんよ。」
総司:「総司です。仲良くしてくださいね。」
ソフィ:「ソフィアよ。ソフィって呼んでね。」
ナギ:「アイちゃん…どういうことか教えてもらっていい?」
アイ:「ええ。その代りナギさん達の正体も明かしてもらうよ?
聞かなくても分かってるけど、自分で言いたいでしょ?」
ナギ:「わかったわ。」
アイ:「私達は竜の島から来たの。三人とも魔法使いよ。
竜の島からこの大陸までアクアさんに運んでもらったの。
私と総司君は人間だけど、ソフィさんは竜族よ。」
ソフィさんはカチューチャを取る。
竜族の角が見えるようになった。
ソフィ:「竜の試練で総司君の従者となり旅の供をしている。」
ナギ:「総司君は勇者だったのか…。ん?君?」
アイ:「私達の正体は話たよ。」
ナギ:「想像の通り、私達は人魚だよ。」
アイ:「ナギさんは
「町の発展に役立ちそうな何かを探しに行く。」
と言って西の町を出た、先々代の代表かな?」
ナギ:「昔のことだから忘れたわ…。そんなこと言ってた?」
女性:「言ってたね…。
この街の居心地が良くて居着いちゃったわね。
でも、西の町のみんなも
私達がここにいるのは知っていると思うわよ?
子供を連れて行ったりしてるし。」
アイ:「ナギさん達は
ちゃんと町の発展に役立つことをしているよ。
この街の人々と仲良くして
西の町との懸け橋になろうとしてる。」
ナギ:「アイちゃん良い事言うわね。
そうだったのよ?」
女性:「うんうん。そうそう。
私達はそのために頑張ってたの。」
後ろにいる人魚達も一緒になって白々しく頷いている。
アイ:「それじゃ、現状報告に西の町に行きましょうか。
私達も種族に関わりなく、
みんなに仲良くしてほしいって思ってるの。
そのために旅をしている。
想いは同じよね!」
ナギ:「そうなのかな…。」
アイ:「時間はかからないよ?
サッと飛んで行っちゃうから。
資金援助もするよ?」
アイさんが両手を前に出すと、
左右の掌からジャラジャラと
金貨が流れ落ちる。
人魚達:「「「キャーーーー!!!」」」
みんながアイさんが出す金貨を拾い出す。
ナギ:「超ステキ!
金貨とか出せてもおかしくないとは思ってたけど、
こんなにたくさんの金貨を一気に出せるなんて
思わなかったわ!」
ナギさんも金貨を一生懸命に拾いながら言う。
アイ:「さあ!貴方達のご主人様は誰!?」
人魚達:「「「アイ様です!!!」」」
こうしてザウルに住んでいる人魚達の協力を
得ることになった。




