表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
人魚の島
21/89

11.一族計画

アクア:「アイ様、一族計画が出来たのでご報告します。」

アイ:「聞きましょう。」

アクア:「丁寧な言葉遣いはおやめください。

  あの時のことを思い出しそうです。」


アイさんはアクアさんをジト目で見る。

アクアさんは目を逸らす。


アイ:「私がやめてって言ってもやめなかったくせに…。」

アクア:「続けさせて頂きます。

  少々長くなりますがご容赦ください。

  まず、細かな決め事の前に

  原則としての考え方を申しあげます。

  アイ様より頂きました、

  「一族の末永い繁栄を考えること」

  「総司様の人形を丁重に扱うこと」

  この二つのお言葉を特に重視しております。

  また、年月、代を重ねても永続出来るように考えて、

  私共の一族の有り様から考えさせて頂きました。」


アイ:「ええ…。そう言ったけど、

  単純に回数制限をつけたかっただけなんだけどね。

  その言い様だと一生使うぞって聞こえるね。」


アクア:「続けさせて頂きます。

  私共の一族は代表を一人置くだけで、

  組織と呼べるような体制ではありませんでした。

  今後は一族も急激に多くなり、

  今の体制では一族の結束を

  保てなくなることが容易に予測されます。」


総司:(二度スルーしたね。

  アイさんも諦めた顔してるよ…。)

マリカ:(案外アイさんは雑に扱われるのが好きだからね。

  アクアさんは賢い人だから

  それもまた理解してやってるんだろうね。

  スルーする割には話を一旦切って、

  アイさんの顔色を見るそぶりも見せている。

  わざと感想を引き出し、

  内容の相違を聞いている状況にして、

  最終的に出した結論に

  合理性とアイさんが断り難い何かを示して、

  納得してもらう筋書きなのかな。)

総司:(マリカさんの言う事も難しいね…。)


アクア:「組織化する上で最も重要なのは

  皆が敬うに足りる象徴です。

  それが有るのと無いのでは、

  組織の結束に大きな違いがあります。

  今回この前提となる象徴をアイ様より頂きました。

  皆が敬愛する総司様を模した人形は、アイ様の秘術により、

  優れた一族を生み出す御業をも宿らせております。

  まさに御神体と呼ぶべきものです。

  御神体が創造されて以降、

  私共の一族全員が毎日のように参拝し、

  若く未熟な者までが、

  成長に向けて弛まぬ努力をするように変わっております。

  象徴としてこの上ない御神体です。

  この御神体を象徴として祭る一族として組織化します。」


総司:(言葉を飾っただけじゃないの?

  見事に事実ではあるけど、

  動機が動機なだけに素直に納得出来ないよね…。)

マリカ:(良いんだよ。こういうのも様式美で、

  儀礼化してるって事になるの。)

総司:(そうなんだ…。

  まあ、下品な物でも尊い物って気になるよね。

  あれを祭られるのか…。

  そもそも御神体に飽きたりしないのかな?)

マリカ:(元の世界でもそういうのあったしね。

  それに比べればまだ上品だと思うよ。)


アイ:「ここまではいいよ。

  ちょっと曲解もあるけど、私の希望にも沿ってる。

  総司君の扱いはどうするの?

  御神体そのものの生きた存在になっちゃうけど。

  その一点だけで、私は全てをひっくり返すからね。」

アクア:「承知しております。

  祭るのはあくまで御神体で、御神体の現身であり、

  御神体の創造に関わった総司様は一族の賓客として。

  御神体の創造主であり、総司様の庇護者のアイ様は、

  神ではなく御神体の聖母として、

  総司様と同様に一族の賓客とさせて頂きます。

  ソフィ様は血縁者であり

  御神体の創造に関わった者として

  名誉一族とさせて頂きます。」


総司:(神様扱いされないのは良かったけど、

  それでも分不相応だよ…。)

マリカ:(アクアさんはよくわかってるね。

  アイさんは神様扱いを嫌う。

  ソフィもちゃんと絡めることで

  特別扱いをしていない感じにしてるし。

  でも、実際にはアイさんを一族の強い助言者として

  引き入れて庇護者にさせるようにしているね。

  アイさんのような万能な存在を

  一族の庇護者に出来るメリットは大きい。

  それは御神体や総司とは比べものにならない。

  御神体の聖母って言い方もよく考えている。

  アイさんが受け入れそうな肩書きを、

  一族の呼び名として付けたのは大きい。

  総司はアイさんを釣り上げる餌だよ。

  全てがアイさんに配慮している。

  いつもは弄ったりしているけど、

  アクアさんのアイさんへの敬愛は相当深いな。

  本当によくアイさんのことを理解しているよ。)

総司:(アクアさんは一族の代表なんだもんね。

  いろいろ考えてるんだね。)


アイ:「御神体の聖母…ね…。わかった。

  あざといけど受け入れる。」

アクア:「ありがとうございます。

  では具体的な決まり事に入ります。

 ・総司様を模した人形を御神体として信奉する。

 ・御神体の現身であり、

  御神体の創造に関わった総司様を賓客とする。

 ・御神体の創造主であるアイ様を聖母とし賓客とする。

 ・御神体の創造に関わったソフィ様を名誉一族とする。

 ・一族は神事を執り行う神官職を設ける。

 ・神官は人型化が可能な全ての一族が任じられる。

 ・神官は御神体を信奉する神事を執り行う。

 ・神事を行う神殿を設ける。

 ・神事は一族の秘儀とする。

 ・神官は毎日三回御神体へ供物を捧げ、適宜に清めを行う。

 ・専門官を設け、神官は各々の専門官に所属する。

 ・専門官は(神事、行政、防衛、教育、仲裁、

  航海、狩猟、採取、生産)を設ける。

 ・神事官は各専門官および一族の陳情により、

  話し合いの場を設ける必要がある。

 ・専門官は前任者の指名による。

 ・専門官は神官の半数以上が反対する場合は罷免する。

 ・専門官は兼務を可能とする。

 ・必要に応じて専門官を新設する。

 ・神官の半数以上の合意で神官長が設けられる。

 ・神官長は半数以上の合意が得られるものが任命される。

 ・神官長は全ての事案に執行権、任命権、拒否権を有する。

 ・賓客の総意は神官長と同様の権限を有する。

 ・賓客の総意により神官長を罷免出来る。

 ・賓客の名を汚すような行動は慎むこと。

  以上となります。」


総司:(今まで代表が居るだけで何もルールが

  無かったのに急にこんなに作るんだ。)

マリカ:(ルールが無くても良いのは

  権力者が大多数から認められていて、

  その権力者が全てを上手に

  コントロールできる量の間だけだ。

  所帯が大きくなればそれが難しくなる。

  そうすると組織化が必要だし、

  組織にはルールが必要になる。

  そしてルールは一つ決めると

  あれもこれもってなるからね。

  ルールって難しいんだよね。

  下手にルールを設けると、

  ルールに無いものは自由意思になりやすく、

  これまで暗黙のルールとして存在していたものが

  軽視されるようになるからね。)


総司:(例えば慣例とか常識とか倫理とかそういうの?)

マリカ:(そう。その辺は全てを明文化するのは難しく、

  しない方が良い場合も多い。

  まあ、私の考えってだけで間違ってるかもしれないから、

  参考程度に聞いてね。

  そしてこのタイミングでそっちに一気に舵を切った

  アクアさんはすごいと思う。

  アイさんがいる間に形にしたかったんだろうね。)

総司:(それと神事は一族の秘儀って事になってるけど、

  あれのことだよね…。)

マリカ:(明文化し難い内容だしね…。)


アイ:「話を大きくして回数のことをうやむやにしたのね。

  それはすぐに問題があるわけではないから、今は良い。

  それと賓客って言葉で

  ごまかしてるつもりかもしれないけど、

  実質は私と総司君を権力者の立場にしてるのは

  どうなのかな?

  ただ、一族以外の意見を取り入れようとするのは

  良いと思う。」


アクア:「そもそも一族計画は総司様とアイ様に頂いた

  御神体のお蔭で成り立ちます。

  アイ様がして下さいました、この島の改善内容は

  一族の歴史の中で行われてきたものを既に超えています。

  その他の行動も私共の一族が繁栄する

  基礎になるものばかりです。

  今後旅立たれることも考えて、

  義務は無く、権利のみある立場です。

  お手間を取らせない程度に

  気にかけて頂けるだけで構いません。

  アイ様のお蔭で、稀な発展をする私共の一族が、

  世界の調和を乱すことがある場合、

  それを止めて頂くためのものとお考え下さい。」


総司:(アイさんは世界の調和なんて考えてたの?)

マリカ:(ノーコメントで…。)

総司:(なにそれ…。)


アイ:「確かに最後のは私も気にしてなくもない…。

  あくまで一人の人間としてだよ。

  上手く言い包められた気がしないでもないけど、

  わかった。いいよ。

  私が出来る範囲でいろいろとお手伝いするよ。」

アクア:「ありがとうございます!」

人魚達:「「「「「ありがとうございます!」」」」」


総司:(結局全部オッケーなんだね。)

マリカ:(アイさんは優しいからね。

  後で何とでも出来るし。

  こういうふうに自主的に発展しようとする意思を

  喚起するのもアイさんが望んだ通りなんだろうしね。

  アクアさんの存在が大きいけど。)

アイ:(総司君とマリカさんも当事者なんだからね?

  さっきから他人事みたいに言っちゃって…。

  私も聞いてから答えちゃったじゃない。

  マリカさんがアクアさんに贔屓するから

  返事もそっちに寄っちゃったよ…。)


マリカ:(私は強く賢い女性の味方だからね。)

ソフィ:(アイさんは自分で好き勝手にやってるのかと

  思う部分があったけど、実際は好き勝手言ってる

  総司君とマリカさんの思いも組んで

  上手に決着させてたんだね。

  ほんとお母さんみたいだ…。)

マリカ:(アイさんに任せておけば

  最善の結果になるからね。)

総司:(いつもごめんね…。

  でもマリカさんの言う通りだしね…。)


ソフィ:(アイさんの凄さを改めて知ったよ。

  こうやって念話でアイさんと会話出来るって

  すごい特典だよね。)

アイ:(そんなことないよ。

  みんなを幸せにするのが私の望みだし、

  それが出来ているって思わせてくれるだけで、

  私は嬉しいよ。)


総司:(アイさんに呆れられない様に頑張らないとね。)

マリカ:(そうだね。頑張ろうな。総司。)

ソフィ:(ところで名誉一族ってことは

  私も神事に関われるってことだよね?)

アイ:(この場で聞く度胸があれば

  聞いてみればいいんじゃない?)

ソフィ:(あとでこっそり聞くからいいよ…。)


アクア:「一族計画を施行するにあたって、

  まずはお願いしたい事があります。」

アイ:「神殿を作ってほしいって話でしょ。」

アクア:「はい。一番良い場所なのですが、

  岩盤が硬くて工事が進まずに放置されている場所に

  造って頂こうと考えています。」

アイ:「中央の空間の奥の洞窟の先だよね。

  今の言い様だとそこしかないもんね。

  私は何か理由があって

  放置されているのかと思っていたけど、

  単純に硬かっただけだったんだね。

  総司君の人形を置くんだから、

  とびきり豪華に造っちゃうんだからね!」


総司:「僕も手伝うよ。防音は重視しようよ。

  みんながここに集まるんだから。ね?」

アイ:「そうだね。

  ここって全部オープンスペースなんだよね。

  私もオープンスペースの方が好きだけど、

  目的が目的だしね。」

アクア:「私も最大限協力させて頂きます。」


アイ:「硬い岩盤の位置ならいっそ強固に作って、

  何かあったときの避難場所にも使える様にするよ。

  御神体は味はわからないから、美味しくはないけど、

  栄養のバランスのとれた飲み物を作れる魔道具も

  設置するから、御神体にはそれを飲ませて。

  避難したときのみんなの食料と飲料にも使えるし、

  一石二鳥だよね。

  御神体と一緒なら避難して不安なときにも

  精神的に耐えやすいだろうし、

  良いこと多いよね。」

アクア:「アイデアをご教授頂けるだけでも

  ありがたいです。」


大事になったが、

アイさんなら最良の結果を実現するのだろう。


竜の島の人魚の一族は

大きく変わっていくことになりそうだ。


アイさんはワーカーホリック気味だから、

やることを見つけて次から次へと始めてしまう。


別の大陸に行くには、まだまだかかりそうだ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ