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アイの新世界(物語)  作者: 夢のファイヤー
人魚の島
18/89

08.アイとマリカの戦闘

---------- マリカの視点 ----------

総司は寝たか。私は起き上がる。

傍にシトリンとスピネルがいて、私の顔を見ている。


マリカ:「もう大丈夫だ。シトリン、スピネル、行こうか。」

シトリン:「ほ…ほんとに別人ですわね…。

  雰囲気が全然違いますわ。」

スピネル:「はわわわわわ…。」


シトリンとスピネルが足をモジモジさせて座り込む。

スピネルは私以上に別人みたいになってないか?


マリカ:「仕方ないな…。先に行ってるよ。」


二人の頭を撫でた後に立ち上がり、移動を開始する。

右側の空洞にいたので、中央の空洞まで飛んで移動する。


アクア:「総司君、来たね。」

マリカ:「待たせたね。」


アクアさんは目を見開く。


アクア:「ほんとに雰囲気が別人ね。呪ってすごいのね。

  こっちが本当の総司君なの?」

マリカ:「呪じゃないさ。どっちも私だよ。」


アクアさんの頬に手をかける。


アクア:「えっ…。」


アクアさんも目をウットリさせて座り込む。

ちょっとやりすぎたか…。


周りの人魚達も胸の前で手を組んで、

ウットリした目でこちらを見て座り込んでいる。


アイ:「もう…。ダメだよ。」


アイさんが私の耳を引っ張る。


マリカ:「ごめんごめん。久しぶりだから調子にのった。」


総司のためにちょっと男らしいところを

アピールしようと思っただけなんだけど、やり過ぎたかな…。


水辺の人魚達を見ると、

顔だけ水面から出して赤い顔をしてこちらを見ている。


アイ:「人魚相手なら夜の総司君の方が無敵みたいだね。」

マリカ:「そんなことないよ。」


私になると変なフェロモンでも出るのだろうか…。

男女が逆ならまだわかるけど…。


アイ:「仕草がマズいんだよ。雰囲気が凛々し過ぎるよ。」

マリカ:「それはおかしいね。」

アイ:「ホント何でだろうね。」


はぁ~、とアイさんがため息をつく。


アイ:(総司君をガッカリさせないようにね!)

マリカ:(分かってるよ。

  いつもみんな総司の世話をしてくれてるから、

  ちょっとした恩返しのつもりでやっただけだよ。)


マリカ:「みんな危ないから壁際に寄ってくれ。」


陸上の人魚達は這うように周囲へ行く。

水辺の人魚達は頬に手を当てて

こちらを見ながら壁際の方に移動していった。


アイ:(総司君が明日から大変だよ?どうしてくれるの?)

マリカ:(問題無い。と、思う…。)


ソフィ:「間に合った~!」


上空からソフィが降りてくる。


マリカ:「ソフィ、お疲れ様。」


ソフィを労うように頭を撫でる。


ソフィ:「う…うん。やっぱりこの総司君は苦手だよ。

  なんでこんなに変わるんだよぉ。」


ソフィは急に顔を赤くしてうつむく。


エウリア:「アイ様、総司様、

  今日はお招き下さり、ありがとうございます。

  このように早く、再びお会い出来て嬉しいです。」


エウリアさんは片膝をついて挨拶する。

エウリアさんは姿も所作も完璧で美しい。

従者としての対外的な作法なのだろう。

私は前回と同様に手を取ってエウリアさんを立たせる。


マリカ:「こちらこそ。またお会い出来て嬉しいです。」


しばらく見つめ合う。


ソフィ:「もう!恥かしいからやめてよ!」


ソフィがエウリアさんを後ろから引きはがす。


ドレイク:「アイ様、総司君、お元気そうで何よりです。

  久々に来ましたが、ここはやっぱりいいですね。」

アイ:「ドレイクさんも元気そうだね。

  余計なことしちゃダメだよ?」

ドレイク:「わかっていますとも。」


ドレイクさんは余裕の笑みを浮かべる。


エウリア:「私はアイ様の戦闘は初見ですね。

  ドレイクから聞いている話が本当か

  楽しみにしていますよ。」


アイさんはエウリアさんを見てニッコリ微笑む。


マリカ:「時間も遅いし、早速始めようか。」

アイ:「そうね。それじゃ、始めよう!」


私とアイさんはこの空間の中央まで飛び対峙する。


アイ:「ちょっと待ってね。」


アイさんは両手を広げて防御壁を展開する。


エウリア:「これはアイ様の魔法?

  こんな多重で広範囲の防御壁は初めて見ます。

  しかもこんなに離れた位置に…。」

ドレイク:「だから想像を絶するって言ったでしょ。」

エウリア:「これで戦えるんです?

  全力で集中力を傾けても到底不可能な防御壁よ?」

アイ:「あ!総司君が羽目を外すから映像記録の

  魔道具のこと忘れちゃったじゃない。

  ドレイクさんとエウリアさんに

  起動の術者になってもらおう。

  音声も入るようにすれば

  解説も入って良い感じじゃない?」

マリカ:「そういえば一番大事なことを忘れてたね…。」


アイさんが防御壁を消して陸地に降りる。

いつものように両掌を胸の前で向かい合わせ、

大きな魔素結晶を作る。


魔素結晶を核に、そのまま大きく成型されていく。

最終的にプラネタリウムの映写機のような形になった。


ドレイク:「アイ様、これは何です?」

アイ:「私と総司君の戦闘を記録する魔道具を作ったの。

  ドレイクさんとエウリアさんで起動と稼働の魔力供給を

  お願いしていい?」

ドレイク:「喜んで。」

エウリア:「ええ…。しかし、すごい魔道具ですね…。

  これをサッと作ってしまうなんてありえません…。」

アイ:「私は魔道具の作成が得意なの。」

エウリア:「得意という言葉で

  済ませられる事ではないと思いますけど…。

  もはや魔法ではなく神技と呼ぶべきものですね…。」


ドレイクさんに促されてエウリアさんも魔道具に手をかける。

二人の魔力が供給され魔道具が起動する。


ドレイク:「アイ様、準備が出来ました。」

アイ:「ありがとう。」


アイさんは再び私の前で対峙する。

下を見るとシトリンとスピネルが洞窟から出てくる。


何とか間に合ったようだ。

アイさんが再び防御壁を展開する。


アイ:「準備はいい?」

マリカ:「大丈夫。」

アイ:「それじゃ、始め!」


私は刀の柄に手をかけてアイさんの方へ急加速で突っ込む。

アイさんは素早く刀を魔法で出現させ構える。


開幕の魔法攻撃は準備の時間を与えず回避できた。

下から抜刀の一撃で右手を狙う。


アイさんは素早く後ろへ避け、

右から横薙ぎに斬りかかってきた。


私の刀は避けられ、右手に握られたまま右前方へ

振られているため、

アイさんの攻撃を刀で受け止めるには間に合わない。

左手で持っていた刀の鞘を立てて斬撃を受け止める。


右手の刀をそのまま振りかぶって、左手を添えて

交差しているアイさんの背面へ両手で刀を振り下ろそうとする。


アイさんは左手を刀から離し、

刀を持ったままの私の左手を素早く掴み、

そのまま魔法で私の左手を爆散させる。


マリカ:「さすが。」


私は後ろへ回避して左手を魔法で復元する。

アイさんは追撃してこない。


アイさんが両手を広げると、

周囲に光輝く巨大な槍が無数に出現する。


槍はアイさんを中心に内側から周囲へと広がり、

五重の円形に整列したところで槍の出現が止まった。


アイ:「強いのいくよー。」


アイさんの声とともに一斉に槍が飛んでくる。

私は天上方向へ回避する。

槍が左足に当たり膝から下が無くなる。


移動しながら復元し、魔法の刃を無数に展開する。

アイさんは再び光輝く槍を無数に展開している。


(分かってたけど魔法の打ち合いになったら勝負にならないな。)


魔法の刃の撃ち出しと共に私も突っ込む。

アイさんも槍を撃ち出してくる。


魔法の刃でいくつかの槍を弾き、

襲撃してくる槍が交差する交点より先へと加速する。


何とか間に合い、そのままアイさんの右肩を突く。

アイさんは左に躱しながら左手で私の刀の切先を横から右側へ払う。


躱されてアイさんのすぐ右で前のめりで体勢を崩している

私の首筋に、上から右腕で肘打ちしてきた。


衝撃を逸らすように下へ回避する。

アイさんは上から急加速で追撃してくる。


私は何とか態勢を整え振り下ろされる刀を刀で受ける。

そのままアイさんの刀で力押しで押し込まれ、

膝蹴りで腹を突かれる。


蹴りにも爆散の魔法が込められていて、

私の腹が内部から爆散した。

下半身は何とか繋がっているが、すぐに復元は難しい。


(さすがに痛い…。魔法の打ち合いは物量で圧倒される。

接近戦では触れられたら、その部位が爆散する。

首への肘打ちで爆散しなかったのは手加減されたんだろうな…。

首が切れるとさすがにやばい。1キル先制された感じだ。)


下の防御壁にぶつかる前に態勢を立て直し

スライドするように横へ移動する。

アイさんは複数の矢を展開し打ちだして来る。


私はそのまま避けるように移動する。

しかし矢は方向を変えて追尾してくる。

この間に何とか腹の復元を完了する。


(追尾なんて魔法まであるのか。)


私は防御壁を展開し矢を受ける。

いくつかの矢が防御壁を突き抜けてくるが、

なんとか全て躱す。


その間にアイさんは矢で第二射をしてくる。

今度は周囲に撃ち出されていて

包むように全方位から私に向かってくる。


前にしか避けられないためアイさんに突っ込む。

アイさんは再び槍を展開して待ち構えていた。

そして槍が打ち出される。


前から槍、後ろから追尾の矢、どうする…。

私は槍を上へ移動して避けつつ自分で右足を切り落とす。

矢は切り落とした右足に全て突き刺さる。


足の復元をしながら上からアイさんに切りかかる。

アイさんは刀で受けるが、今度は私が上から押し込む。


復元した右足で蹴りこむ。

アイさんは防御壁を展開し私の蹴りを受ける。


防御壁の展開が速すぎる。

アイさんが下から刀で斬り上げてくる。


私は刀で受けて反動で上へ上昇する。

アイさんは振り上げた刀を振り下ろす。


刀から斬撃の衝撃波が飛んでくる。

私の左足が斬り落とされる。


左足の復元と共に刃の魔法を展開する。

アイさんは下からまっすぐに追撃してくる。


私は刃の魔法を打ち出す。

アイさんはまっすぐにこちらに向かいながら

刃をギリギリ躱すくらいの動きで避けて

そのまま向かってくる。


アイさんは軌道の予測が正確で早い。

完全に見切られている。


速度を落とさないまま槍を展開して同時に急襲してくる。

私は急下降して槍の交点より先に行く。


重力の分で私の加速が速い。

アイさんに上から斬りかかる。


アイさんが刀で受ける。

加速と重力の力を乗せて力で押し込む。


私は左手を刀から離し、

殴るようにアイさんの刀へ爆散の魔法を当てる。

アイさんの刀は折れる。やっと隙が出来た。


このまま押し切るため連撃するが、

全て防御壁で受けきられる。

アイさんの刀は、折れた部分から再び伸びて復元される。


(うーん…。当てることも出来ないな…。

 圧倒的な差は理解してたけど、

 負けてる詰将棋を長引かせるように進めていく戦いは

 想像以上にきつい。

 そろそろ集中力が切れそう…。)


毒系の攻撃はアイさんには効かない。出来る手がもう無い。

魔力界の魔素は台風のように荒れていて、

既にこの周辺は魔素の密度に高度の差はない。


私は再び上へ移動し距離をとる。

上をキープしないと勝負にすらならない。

アイさんは追撃してこない。


アイ:「どうする?」


私に手がなくなったのも御見通しみたいだ。


マリカ:「降参する。」

アイ:「こんな白熱した勝負は初めてだよ。楽しかった。」


アイさんは私を見上げながら笑顔で言った。

私はアイさんの目の前まで移動する。

アイさんは下の防御壁を解除した。


マリカ:「私も。次は総司が強くなったら

  二人の力で勝負を挑むよ。」

アイ:「いいね。」


アイさんが手を出してくる。喜んで握手に応じる。


そのまま陸地まで降りていく。

下から盛大な拍手が聞こえてくる。


エウリア:「素晴らしい勝負でしたわ。

  間違いなくアイ様は最強です。」

マリカ:「まだ全然アイさんは本気を出してないけどね。」

エウリア:「総司様の技量も素晴らしかったですわ。」

マリカ:「ありがとう。」


アイ:「たまにはこういうのもいいよね。」

マリカ:「そうだね。ここにいる全員が楽しめたと思う。」

アイ:「うんうん。」

ドレイク:「まさに。私も貴重なものを見させて頂きました。」


周囲を見ると人魚達は両手を胸の前で組んで

陶酔した目でこっちを見ている。

みんな楽しめたみたいだ。


アイ:「みんな遅くまで付き合ってくれてありがとう。

  明日からも、またよろしくね。」


みんながコクコク頷いている。

集団催眠にかかっているような統一された動きだ。


エウリア:「アイ様、総司様、

  貴重な時間をありがとうございました。

  私共はそろそろ帰ります。」

アイ:「泊まっていかないの?」

エウリア:「ドレイクをここに泊める訳には

  いきませんからね。

  ここで正気を保っていられる男性は

  総司様くらいだと思いますよ?」

ドレイク:「え?一泊くらい良いんじゃない?」

エウリア:「いいから帰りますよ。

  引き続きソフィアをよろしくお願いします。」

マリカ:「こちらこそ。

  ソフィにはいつもお世話になっています。」


アイ:「あ!ついでだから持って帰って欲しい物があるの。

  遠距離で会話出来る魔道具で、

  ここにも設置してあるんだけど、

  今後私達が移動しても、

  こっちから連絡出来る様になるんだ。

  総司君ちょっと手伝って。」


アイさんはいつものように両掌を胸の前で合わせて

モニターの魔道具を作成する。


私が落ちないように両端の下を支える。

完成したモニターをドレイクさんに渡す。


エウリア:「何度見てもすごいですね…。」

アイ:「帰ったら起動して定期的に魔力を供給してね。」

ドレイク:「かしこまりました。

  連絡をお待ちしております。」


ドレイクさんが笑顔で答える。


エウリア:「それでは。アイ様も総司様もお元気で。」


エウリアさんはドレイクさんを引っ張って飛び立って行った。


ソフィが居ないと思ったら、

人魚達に混じってウルウルした目でこっちを見ていた。


アイ:「さてと…。総司君。今日は私と一緒に寝ましょうね。

  そうしないと明日の朝までに酷いことになると思うから。」

マリカ:「いつも気を使ってくれてありがとう。」

アイ:「いいのいいの。」


アイさんはいつも笑顔で答えてくれる。


いつか、少しでもアイさんの恩に報いる事が

出来る日が来る事を願う。

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