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【完結済】虐げられたアタッカー、実は最強スナイパー!? ~ロックオン機能要らずの凄腕スナイパー拾いました~  作者: 姫崎ととら


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 荷電粒子砲を発射した後、コウヨウはすぐに装備を換装した。

 ゲームが開始しても装備は換装できるのだが、対人戦ではあまり使われない。換装中が無防備になるからだ。

 だが、仲間に守ってもらえるなら可能だ。

 よーへいがガトリングで敵を殲滅している間に、コウヨウはいつもの装備に戻して、タイヨウを追う。

 ちょうど接敵し、クレーターへと誘い込んだところだったので、位置を予測してナパーム弾を放った。

 一歩間違えばタイヨウの頭に刺さるような砲撃は、しかしちゃんと赤い機体の頭に刺さった。

「相変わらず、すごい曲射だね」

「ありがとうございます」

 レーダーで観測していたのだろうよーへいからの褒め言葉を、コウヨウは素直に受けとる。受け取った自分に気づいて驚き、少し笑った。今までは恐縮していたが、受け取れた自分が少しだけ誇らしかった。

 赤い機体はタイヨウに腕を切り落とされ、クレーターの底へと落ちていった。その先を追ってすぐに視線を逸らす。虫がうじゃうじゃ居る所を見てしまった。気持ちが悪い。

「コウヨウちゃん、ナイス!!」

「はい!」

 タイヨウからの褒め言葉にも笑顔で応える。

「えー。私だけそれ見てないー!! あとで配信見直してやるー!!」

「見なくていいよー!」

 『ヨーソロー』は全員、配信中にしてある。相手の暴言をすべてネット上に上げてしまおうというよーへいの提案だった。

 大会の一回戦目。未知のマップの研究のために視聴者は多いと思われる。そこに晒されるヤツらの暴言は、それはそれは良いネタになるだろう。炎上待ったなし。出禁もあり得る。むしろ出禁になれ。

「さて、残り2体。タイヨウはそのままそこのクレーター内の侵略者を撃墜してくれ」

「もうやってる。ところで、撃墜された機体がここに残ったままなんだけど、これ盾に使えるかな」

 なかなかエグいことがタイヨウの口から出てきたが、コウヨウは気にしないことにした。

 そもそも掴めるのだろうか。聞いてみたところ、格闘や近接機は投げ技が存在するらしい。つまり掴めるということだ。

「……運んで陣地に放り込んだら、何か称号貰えたりしないかな?」

 新しい称号を追加したと情報には書いてあった。大体は効果の無い飾りだが、たまに報酬があったりするので、狙えるなら狙っていきたいということだろう。

 ヨウタの提案にタイヨウは嫌そうな声を出したが、結局はやってみることにしたようだ。クレーター内の全てのカマキリ型を殲滅した後、マシンガンを片付けて赤い機体の腕を掴んだ。

 途端、全ての敵がタイヨウを見た気がした。

「よーへいさん! ガトリングを先輩方向へ撃って!」

「わかった!」

 ぞわりとした悪寒から、考える間もなくコウヨウはよーへいに要請する。参謀は理由を問うことなく即座にガトリングを放った。

 その判断は正しかった。

 まるで、蟻が食べ物に集るように。

 全ての侵略者がタイヨウへと向かう。

「先輩! それ捨てて!」

「いや、救援ミッションとか出た! 称号報酬あり! 詳細飛ばしたごめん!」

「こちらで確認した! 味方機以外の機体を陣地へと運ぶミッションだ! 陣地に同時に入ることが条件、投げ入れたりするなって事だね! 報酬は不明!」

 よーへいの言葉に、画面端、作戦要綱を確認するタブにマークが出ているのをコウヨウは確認した。マシンガンに持ち替え、タイヨウの援護をしているので開く余裕はないが。

 クレーターが深いのと、どうやら重量オーバーのデバフがかかっているためにタイヨウの動きが鈍い。

 何か出来ることがないかと装備欄へ目を走らせた彼女は、サブ装備のそれに気付いた。

 即座に装備を変更し、タイヨウへと体を向ける。

「引き上げます! 先輩、それ投げて!」

「りょーかい!」

 彼女の言葉にタイヨウが赤い機体を投げる。狙いを定めてコウヨウは撃った。

 バズーカのように肩に乗った背中の砲台から、鏃の付いたワイヤーが飛んでいく。ヒットしたエフェクトが出た瞬間、巻き取りのボタンを押した。

 直前で実装された特殊砲弾だ。壁に放てば機体を壁の近くへ、味方機に放てば味方機を機体の近くへと移動させる効果があると書いてあった。デメリットは換装しない限り、背中の砲台が使えなくなることだ。

 味方機ではないが、機体ではある。引き寄せられると直感で思い、やってみた。

 宙に浮いた赤い機体が、狙い通りコウヨウの機体の後ろへと落ちてくる。おそらく味方機だと着地するのだろう。鏃は自動で取れていた。

 ホッとしたのもつかの間、コウヨウに向かって侵略者達が攻撃を仕掛けてくる。


 ――ガツンッ!!


 慣れた衝撃が、彼女の体を揺らした。

 ぐわんと脳が揺れる衝撃は痛いほど。だが、しっかりと体に沿うようにシートベルトを締めているために、あの頃とは違い、無駄に体は揺れない。

「この、程度っ!!」

 彼女はすぐさま応戦に移った。


 *******


 機体が動かなくなっても、メインモニターはいつものように暗転することはなく、その場の景色をずっと映し続けていた。

 赤の2番に乗っている彼は、ずっとそこで見ていた。

 突然掴まれた事は意味が分からなかったが、ミッションに気付いて納得する。どうやら称号狙いらしい。

 投げられ、何か衝撃の後に引き寄せられた時は、もっと意味が分からなかった。ワイヤーのようなものが見えたので、直前に実装された特殊砲弾だとは気付いたが、宙に浮いた物を狙って撃ったのか。ロックオン表示はされていない。

 頭へのナパーム弾の時もそうだ。ロックオンの表示がなかった。

 ふと、最後に彼女と組んだとき、ビルの影から砲撃を当てていたことを思い出した。

 味方に当たったらどうするつもりなのだと、酷く苛立ったことを覚えている。

 だが、もしも。

 もしもあの砲撃は、ちゃんと狙ってのことだったら?

 彼はメインモニターを見る。

 青い射撃機がマシンガンで応戦していた。敵の攻撃を食らっているのに、平然と立っていることに寒気を覚えた。

 衝撃レベルは標準にしてあるのにもかかわらず、脳が揺さぶられるほどの衝撃を受けた。衝撃レベル最大値になっているかと思ったくらいだ。

 彼女が受けていた衝撃と同じではと考えついた瞬間、その射撃機の操縦者に思い至った。

「……ヨーコ……なのか……?」

 射撃機は近接機の援護を受けて、装備を換装する。

 見たことの無い大型の砲。直前で実装された荷電粒子砲だと気付いた。対人戦では絶対に役に立たない武器として、チーム内でこきおろした武器を、その射撃機は持っていた。

 その砲を、躊躇いもなく放った。

 蒼と言うよりも水色に近い機体のあちこちから水蒸気のようなエフェクトが出ている。

 それが徐々に消えるのに合わせて、機体の色が変わっていく。

 太陽の光を反射する、メタリックブルー。

「……うそ、だろ……」


 蒼のヴァルフリーク誕生の瞬間だった。


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