テセア・アーレンス
◆テセア・アーレンス
16歳(本編終了時17歳)
黒髪黒眼で天真爛漫な可愛らしい普人族の女性。
魔装
《解析》※アナちゃん
《貴女の為の造形師》
シアラの双子の姉。
無表情で無感動、ノイル以外のあらゆるものに興味を示さない妹と真逆で、感情表現豊かであり、あらゆるものに興味を示す、無邪気な性格をしている。また、非常にまともな感性をしており、ノイルの周囲の人物の行動に眉をひそめたり、呆れたり、恐怖を覚えたり、ツッコミを入れたりと、おかしなところが一切ない良心的な存在。
しかし食べる事が大好きであり、美味しい物はもちろん、あらゆる食物に対して目がなく、食べる量もシアラとは真逆で大食漢であるため、本人に自覚はないがエンゲル係数が非常に高いのが玉に瑕。とはいえ、彼女の過ごす環境であればそれは大した問題にはならないため、やはりノイルの周囲の女性陣の中では欠点のない純粋に可愛らしい女性である。
ノイルに対しての想いも非常に純粋な兄に対するものであり、レットを始め男性陣にはまともな方の妹と認識されている。
シアラとは瓜二つの容姿をしているが、髪の長さ、目の下の泣きぼくろ、胸部の大きさ、表情、話し方、性格など、見分けるポイントは多いため、二人を知っている者から間違われる事はない。
そして男性陣を含め、皆と良好な関係を築いている稀有な存在であり、常に暴走傾向にある妹を落ち着かせている且つ、女性陣には何故か自身の妹のように思われている苦労人。
中でも彼女の初めての友人であるアリスとは非常に仲が良く、『紺碧の人形』の皆からも愛され可愛がられている。
夜は『双鳴耳』でよくアリスと長々と通話しているため、同室のシアラにうるさいと小言を言われている。
彼女は神天聖国の神子として、『浮遊都市』に軟禁され育てられた。母親――リリアの遺したメッセージを見つけるまでは、名前すら与えられておらず、痛めつけられたりする事はなかったが、人としての扱いは受けていなかった。まともな物を食べたことすらなく、まともに人と会話した事すらなかったが、そんな生活の中でも母の想いを知ったことで、人としての心を失わず、脱出の機会を窺っていた。なお、普通の人と会話をしてみたいという想いが作用し《解析》には意思のようなものが生まれていたが、『浮遊都市』に居た時点では彼女自身があまり《解析》に良い思いを抱いていなかったため、気づくことはなかった。
そんな中、ノイルが突如拉致され現れた事で彼と出逢い『浮遊都市』からの脱出を実行に移す。
この時点でノイルの称号には疑問を覚えていたが、元々何の意味があるのかわからないものであったため、特に気にする事はなかった。
ノイルから自身の妹が生きている事を聞き衝撃を受けると同時に、《解析》によりノイルの中に『六重奏』が宿っている事が判明。彼自身も『浮遊都市』と繋がりがあった事を知り巻き込んだ事に罪悪感を抱くが、むしろノイルは感謝の言葉を述べ、より彼女を脱出させる決意を固める事となった。
その後『浮遊都市』の隠し部屋にて神の真実と世界の成り立ちをノイルに伝えた後に、アリスと邂逅、行動を共にする。
自身の手で一応の父であるアイゾンの命を奪った際には、心に僅かな迷いが生まれたが、アリスに発破をかけられた事により迷いを断ち切る。これがきっかけになり、アリスに感謝と尊敬、友情を感じるようになった。
倒したと思われたアイゾンの復活により、ノイル共々窮地に陥るが、彼とその仲間たちの尽力により無事に『浮遊都市』を脱出し、解放される。その際に妹であるシアラとも再開を果たし、彼女とノイルに対しては一際大きな愛情を抱く。
『浮遊都市』脱出後は、『白の道標』の一員となり生活を始める。彼女は従業員という扱いではないが、妹や女性陣に手を焼きながら掃除などの雑務を手伝っていた。長年外の世界を夢見ていただけあり、あらゆる物事に興味を示し、純粋に楽しむ。とりわけ食事量に関してはノイルや周囲を驚かせたが、幸せそうに食べ物を頬張るその姿に何か言う者は居なかった。《解析》に関しても、使用は控えるつもりであったが、フィオナ、ノエル、シアラの特訓に付き合った際、ネレスに意思のようなものが宿っている事を伝えられ、以降は愛着が湧くようになり、気兼ねなく使用するようになる。《解析》でも素性を知る事ができないミリスに疑念を感じており、三千年前の魔王その人ではないのかと当たらずも遠からずな推測をしていたが、あり得ないと思い直す。
一般的な常識や知識は教え込まれたため並の人よりも把握しているが、まともな人間関係を築けなかった弊害により、当初は羞恥心や人の感情の機微を察する能力が欠けていたが、ノイル達と日々を過ごす内に徐々にそれらを学び成長する。彼女は謂わば究極の箱入り娘であり、様々な事を吸収する乾いたスポンジのようでもあったため、周囲の影響を受けやすかった。中でもノイルと親友のアリスの影響は大きく受けており、段々と考え方やリアクションが二人に似てきている。とはいえ、アリスからの影響は彼女の良い部分が大きく、時折自然と言葉が汚くなるが、その天真爛漫さは失われていない。
友剣の国では、『アステル』に襲撃を受けた際、新たな魔装――『貴女の為の造形師』を発現させる。これは妹のシアラのためだけの魔装であり、共に戦いたいという願いが具現化したものであったが、ベースとなった発想はノエルの『伴侶』であり、アリスの創造力を参考にしている。また、魔装の造形は直近に見たノイルの作ったペンダントに酷似しているなど、彼女が周囲をよく観察し信頼し、影響を受けている事がわかる魔装となっている。
その後の『アステル』戦においても、『貴女の為の造形師』を用いてシアラ、馬車、守護者と共にノイルの救出に多大なる貢献を果たした。
『アステル』戦以降は、ノイルが自身で動けるようにるまで傍で見守っていたが、『海底都市』の一件が済むと、世界を見て回る旅に出るという馬車に同行する。彼だけでは不安過ぎると、いざとなれば『銀碧神装』を纏う事が可能なアリスの自動人形が護衛につくという条件で周囲の許可が降りた。
一年ほどの旅をして世界を見て回った彼女は、世界中の料理を食べられて非常にご満悦であったという。なお、これを機に馬車とは仲を深め、後に結婚する事となる。当然ながらシアラ、アリス、魔法士には趣味が悪い、止めておけと猛反対された。ノイルは子供ができない事だけ、それでもいいのかと訊ねたが、彼女が「お兄ちゃんの子たちの面倒で手一杯だし、満足してるから」と返すと「あ、はい」と何とも奇妙な表情を浮かべ、その後は、彼と馬車は度々二人で飲む機会が増えたという。
旅から戻ってからの彼女は、飲食店のレビュアーとしても活動している。といっても本人が始めた事ではなくエイミーの提案であり、彼女が感想をまとめ代筆している。その信頼性は高く、彼女が高評価をつけた店は大繁盛となった。また、口に合わずとも、決して酷評はしないその姿勢から、飲食店にとっては神のような存在として崇められるようになる。ただし、お気に入りの『炭火亭』については、店主との相談もあり決して記事にする事はなかった。
そうして一部の界隈で名を馳せた彼女だが、一番好きな料理は? という質問には、「お兄ちゃんの手料理」と答え、それは生涯変わることはなかったという。
小ネタのようなもの
自分でも料理はするが、味ができる前にわかってしまうのであまり好きではない。
シアラの子は全員、最初の内は彼女を母親だと勘違いしていた。
多分、私が一番好きなキャラクターです。書いていて頭がおかしくならないから。