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なんでも屋の店員ですが、正直もう辞めたいです  作者: 高葉
登場人物紹介と補足

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アリス・ヘルサイト


◆アリス・ヘルサイト(アリス・アーレンス・ヘルサイトの名は広まる事はなかったが、彼女自身は要所要所でそう名乗った)

24歳(本編終了時25歳)

碧い毛束が入り混じった銀の髪をツインテールにした、紺碧の瞳の愛らしい少女のように小柄な創人族。


かつて『創造者(クリエイター)』として名を馳せた、ロゥリィ・ヘルサイトの養子であり、その名を受け継いだ魔導具のスペシャリスト。

傲岸不遜であり、天上天下唯我独尊なヤンキーのような人間で、自分自身が世界一の存在だとはっきりと豪語するような性格をしているが、世渡りにも長けており、本性を知られた相手以外には基本的に猫を被っている。愛らしい少女のようなその見た目と、彼女の猫被り(ぶりっ子)は非常に相性が良いが、あまりにもあざとく、本性を知っている者からすれば不気味に思われる。ノイル曰く、ドン引きする要素しかない。


相手を見下し、自分よりもちやほやされる人間を逆恨みし、憎悪を向けるような彼女ではあるが、実際の所は常識を弁えており、その不遜な言動に反してかなりの優しさを持ち合わせている大人の女性である。感情的に見えるが、冷静で知的、思慮深く、他者の気持ちを推し量る事ができ、弱者に対しても慈悲の心を持ち合わせているなど、実はノイルの周りの女性陣たちの中でも非常にまともな人間。また、ただ優しいだけではなく、損得勘定を計算し利益を得るために現実的な思考を元に動け、無駄な行いはせず、自身の中の甘さを捨てて行動する果断な判断力もあるなど、人間として大変に優れておりその精神性は極めて高く、カリスマ性があり彼女を慕っている者は多い。ようは天の邪鬼でひねくれており、傲岸不遜な部分も猫被りも紛れもなく彼女の心根ではあるが、相当に出来た人間である。友や仲間に対しては、かける言葉の汚さはともかく普通に心優しい。

エルシャンはその内面をしっかりと見抜いており、ノイルと関わる前の彼女を尊敬し、良き友だと好意を抱いていたが、彼女はその悪意のない態度がまた気に入らず、敵視しまくっていた。実のところ、『精霊の風(スピリットウィンド)』が結成したばかりの頃は、エルシャンは彼女を大いに参考にしていた。


彼女のどこまでも強気な態度や世渡りの上手さは、魔導具がなければ普人族の子供以下の力しかない創人族故のものであり、ロゥリィの教えである。特別扱いされながらも、弱者として見られがちな創人族でも舐められぬよう、彼女はその教えを胸に抱いて成長した。ロゥリィと出逢ったばかりの彼女は、虫も殺せぬような臆病で優しい幼子であったが、ロゥリィにより強く逞しく育てられた。もしも彼女が悲惨な過去を持たず、ロゥリィと出逢っていなければ、気弱で淑やかで温和な、その容姿に相応しい大人となっていた事だろう。


ミリスがイーリストに齎したランクSのマナストーンを、幼さ故の無邪気さで暴走させた彼女は、それにより両親を失い、当時護衛についていた『曲芸団(サーカス)』の表向きのリーダー、ロゥリィに引き取られる事になる。自身の生み出した魔導具により罪なき人が多数亡くなった惨事、その際両親が目の前で無残に引き裂かれ、血と臓物を浴びたショックにより、その悲惨な事件の記憶は無くしていたが、心に深い傷を負った彼女は、所謂PTSDにより魔導具を創造できなくなってしまう。それは創人族としては致命的な欠陥であった。しかし決して彼女を見放さず、愛情を持って接してくれたロゥリィの手により、いつしか彼女はそれを克服し、立派な創人族として成長する。

だが、同時に彼女の生み出した魔導具をその身に封じ弱体化させ続けていたロゥリィの命は、既に風前の灯であり、自身が出した最後の課題を達成しようとしない彼女のため、自らの創造した魔導具で眠りにつき、延命する。最後の課題を達成するまで、死なないという彼女との約束を守ろうとした。


その気持ちを表に出したことはなかったが、ロゥリィを失えば生きていく事さえできないと考えていた彼女は、ロゥリィを生かすためにあらゆる手段を講じていた。ノイルと出逢った『浮遊都市(ファーマメント)』へと、多大なリスクを冒し単身乗りこんだのも、魂を扱う『神具』を神天聖国が多数保有していたからである。

そこでノイルとミリスに目をつけた彼女は、もはやなりふり構わず強制的に自身へと協力させようとする。

結果的にそれは上手く行ったものの、【湖の神域(アリアサンクチュアリ)】の想定以上の苛酷さに苦戦。攻略中に、ロゥリィは他界してしまう。その事実に絶望し、一度は命を投げ捨てようとしたが、ノイルにかけられた言葉によりロゥリィの死から逃げる事をやめ、向き合う決意をする。

【湖の神域】を攻略した後、自身の身勝手に息子を巻き込み、腕を失わせてしまった事を、グレイに深い後悔と共に平時の態度からは想像できない程に真摯に謝罪し、他の者たちにも陳謝したが、ノイルを含め誰も彼女を責めはしなかった。

なおこれ以降、彼女はグレイに対して最大限の敬意を払って接している。


その後はロゥリィの死と向き合い、そうさせてくれたノイルと共に、本当は何時でも開ける事のできたロゥリィの遺した課題の箱を開ける。

貴女が居なくなっても、もう心配はいらないとロゥリィの死を乗り越えた彼女に贈られたのは、二人の思い出が詰まった写真であった。箱の中身は、自分の全てだというロゥリィの生前の言葉を思い出し、彼女は静かに最後の涙を流した。


これを機に彼女は再び大きく成長し、その精神は誰よりも安定する。【湖の神域】の一件以降、ノイルへと好意を抱いた彼女の彼に対する態度は軟化し、言葉遣いはともかく愛情を持って接するようになった。『六重奏(セクステット)』の器を創りつつ、ノイルの失った右腕の創造に取り組む。なお、居なくなってしまった二号――ネレスについては彼女はある程度の事情は考察し、その正体を察していたが、自分が言うべきではないと殊更に言及しようとはしなかった。


友剣の国ではノイルに完成品ではないながらも義手を渡し、『六重奏』の器の試作品を披露したが、そのどちらも『アステル』の襲撃により破壊されている。また、ヤヒエイとの戦闘において、失敗作である魔導具を使用した反動により、彼女自身も右腕に深刻なダメージを負った。創人族である彼女の回復は遅く、それでもリハビリを続ければ動くようになったであろう右腕を躊躇なく捨て、以降の戦いのために義手へと変える。

その他にも『六重奏』の仮の器の急造、対『破滅の死獣』への準備を最低限の休息しか取らず整えた彼女の仕事量は異常なものであり、殆ど精神力だけで『アステル』戦へと臨んだ。しかし、準備を万全に整えた彼女がイーリスト最強と評する者も多いように、『アステル』戦において多大なる貢献を果たす。


『アステル』戦以降はしばらく寝込む事になり、戦闘用魔導具の殆どを消耗した事で、大きく弱体化。彼女は一度創った魔導具であれば、異常な速度で再び創造できるが、マナストーンには限りがあるため、それでも戦力の3分の1程を回復するだけでも、一年以上の時を要したという。

とはいえ、彼女の強さは魔導具だけによるものではなく、その戦略性の高さや知恵、強かさも強力な武器である。友剣の国で誰よりも早く結婚を済ませていた事もあり、周りを出し抜きノイルへと迫るのは難しい事ではなかった。年齢的にも彼に責任を取る以外の道はなく、それすらも利用して迫ったという。加えて、精神的に彼女は非常に大人であり、ノイルの歳上好きという点も大いに有利に働いた。


結果的に創人族の子を出産。しかし後に、純粋な創人族ではない事が判明する。二人の子は、魔導具を創造できると同時に、魔装を創造する魔装を発現させたのである。これは半森人(ハーフ)の誕生と並ぶ歴史的な出来事であった。

彼女の希望、また、身体の弱い創人族ということもあり、一人の子へと愛情を注ぐ為にそれ以上子を宿すことはなかったが、当然やる事はやっていた。


出産と共に採掘者(マイナー)は引退。以降はイーリストのアイドルのような存在として子と共に、理解あるファン向けのパフォーマンスを行いながら、彼女は日々を過ごした。

そして、子供はこれまでにない『創造者』として名を馳せ、その名は綿々と受け継がれていったという。

小ネタのようなもの


『アステル』戦に強い希望で協力した『紺碧の人形(アジュールドール)』のメンバーは、皆がアリスの本性を知ったが、誰も去る事はなかった。むしろ増えた。

テセアはもちろんだが、【湖の神域】以降はミーナとの関係性も比較的に良い。基本的に歪み合っているが、二人になっても無言にはならない。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱメインヒロインはアリスきゅんなんだなって
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