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18話:意外な共通点 PART1

「あれ? もしかして、未仔ちゃん?」


 イチャイチャしているときだった。背後から声を掛けられたのは。

 2人して振り向けば、夏彦や未仔たちとは異なる制服に身を包む少女が立っている。

 他学校の制服に夏彦は見覚えがある。自分たちの通う高校とは少しだけ離れたところにある女子高の制服だ。

 夏彦にとって見覚えのあるのは制服だけではない。


『彼女自身』にも見覚えがあった。

 腰まで真っ直ぐに伸びた黒髪がとても美しく、凛とした佇まいは上品さや清楚感たっぷり。大人っぽい顔立ちなのだが、柔らかくおっとりした雰囲気が特徴的な少女。


 瀬下せしたかなで。年上の先輩で、草次の彼女だ。


 夏彦は首を傾げてしまう。

「どうして、草次の彼女が未仔ちゃんのことを知っているのだろう?」と。

 答えは直ぐに分かってしまう。


「……奏、先輩? ! 奏先輩だっ♪」


 未仔の表情が驚きから一変、嬉々としたものに。

 尻尾があればブンブン振っているような未仔の反応に、奏が急接近。


「やっぱり未仔ちゃんだ!」


 そのまま、再会を祝さずにはいられないと、未仔をひっしり抱き締める。

 隣にいた夏彦ごと。


「ええっ!?」「お久しぶりです♪」


 マスオ状態で混乱する夏彦などお構いなし。


「ほんとに久しぶりだね! 何時いつぶりだっけ?」

「奏先輩が部活に顔を出してくれた以来だから2年ぶりです!」

「そんなに経つの? 時が経つのは早いなぁ。けど、未仔ちゃんはいつまで経ってもお人形さんみたいで可愛いね~♪」


「からかわないでくださいよう」と口にする未仔だが、褒められるのが嬉しいようで表情はすっかり綻んでいる。


 右を見れば、可愛い未仔。

 左を見れば、綺麗な奏。


 2人の少女がキャイキャイはしゃいでいるが、1番はしゃぎしたいのは夏彦だろう。

「だよねー! 超お久~!」と、JK感を出せば仲間に入れるかもしれない。そんなしょうもないことを考えてしまうくらい、JKサンドイッチのインパクト強し。


 とはいえ、奏は草次の彼女であり、自分は未仔一択。

 寸でのところで我に返り、「自分のような輩が混じっててもいいんですか? というか、俺の存在に気付いていますか?」と、奏にアイコンタクトを図ってみる。


 すると一安心。奏は夏彦の存在もしっかり認知しているようだ。夏彦にも朗らかな笑顔を向けてくれる。


「夏彦君にまで抱きついちゃってゴメンね。久々の再会だったから、ついつい、はしゃいじゃった」

「いえいえ! 俺のほうは役得というか何というか……。お、お気になさらず!」

「あははっ! 役得なんだー♪」


 未仔という存在がいるだけに恋に落ちることは有り得ないのだが、「年上お姉さんの魔力恐るべし……!」と夏彦は思わざる得ない。

 そんな2人のやり取りを間近で見ていた未仔は、先程までの夏彦同様、こてんと首を傾げてしまう。


「??? 奏先輩、ナツ君のこと知ってるんですか?」


 夏彦も負けじと、「何で未仔ちゃんのこと知ってるんですか?」と奏に再びアイコンタクト。

 2人仲良く尋ねてくる姿が可愛らしいのか。両者が知りたい情報を持つ奏は、クスクスと肩を揺らして笑みをこぼす。

 そして、左手の腕時計を確認した後、夏彦と未仔に話しかける。


「2人とも少しだけ時間あるかな?」




※ ※ ※




 場所は移って、駅前にあるチェーン店のカフェ。


「えっ!? 未仔ちゃんと瀬下さんは、中学時代の先輩と後輩なんですか?」

「うん♪」「ピンポーン♪」


 向かい側に座る未仔と奏が仲睦まじく声を発すれば、「ほえ~」と夏彦も唸ってしまう。


 話を要約すれば、2人は同じ中学出身で、同じ家庭部に属していた関係というわけだ。

 夏彦としては、未仔が中高一貫の女子校に通っていたことは知っていた。何なら、奏と同じ学校なことも。

 とはいえ、こんなにも深い絆で結ばれていることまでは想像できなかった。


 疑う余地がないことは明白。


「抹茶リスタ大正解♪ 未仔ちゃんも飲んでみて!」

「お言葉に甘えて♪ …………うんっ! ほろ苦さとクリーミーさが相性抜群ですねっ♪ 奏先輩も私のチョコリスタを是非是非!」


 サッカー試合後のユニフォーム交換の如し。未仔と奏は自分たちの注文した期間限定ドリンクをシェアしあって和気あいあい。

 久々の再会など感じさせないほどの仲良しっぷり。その姿は、先輩後輩どころか姉妹にさえ思えてしまう。


 琥珀が未仔に抱きついていたときも同じような感想を夏彦は持っていたが、「やはり、セクハラ親父と被害者の関係だったのかもしれない」と過去の情報を湾曲しそうになる。


 そして、胸の内で一言。


(百合ってエエなぁ……)


 百合百合しい糖度たっぷりなデザートを楽しみつつ、夏彦はブラックを一口。

 いくら糖度たっぷりとはいえ、苦いモノは苦い。「やはり、俺にはブラックはまだ早いです」と、トレーに置いていたシロップとミルクを黙って混ぜ混ぜ。

 まだまだ、お子ちゃま舌な夏彦であった。






草次の彼女、奏登場。

「こういう繋がりが、実はあったんです」という話。



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