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5話:おっぱいを揉みたいと叫ぶ30分前の話 PART4

 何かに気付いた草次が、おもむろにカバンを持ち上げる。


「迎え来たから、俺行くわ」

「「?」」


 首を傾げる2人だが、草次の視線先を辿ることで直ぐ意味を理解する。

 横断歩道の向かい側、そこには信号が青になるのを待つ少女の姿が。


 草次の彼女だ。


 詮索を嫌う草次からは、自分の恋人だとハッキリ聞いたことはない。けれど、今日のようによく待ち合わせして帰っているのだから、きっとそうなのだろう。


 市内にあるお嬢様学校の制服に身を包み、遠目からでも穏やかさや人柄の良さが窺えてしまう。実際、人柄はかなり良く、少女と一言二言、言葉を交わしたことがある夏彦は、見た目どおり優しい人だと認識していた。他に知っている情報と言えば、1つ上の先輩だということくらい。

 兎にも角にも、『騒がしいのが苦手な草次にピッタリな恋人』というのが、夏彦の印象だった。


 草次の視線に気付いた少女は、パッ、と朗らかに柔和な笑みを浮かべる。信号下からでも小さく手を振り、草次の友である夏彦や琥珀たちにも、律義に頭を下げて挨拶してくれる。

 遠目からでも分かる。めっちゃいい子だと。


 出世意欲のない夏彦だが、夏彦だって一端の高校生だ。恋人のいる生活に憧れを抱いているのは言うまでもない。やはり、草次のように放課後デートなんかは「いいなぁ」と純粋に思ってしまう。


「放課後にデートとは、ご立派な身分やなぁ」

 恋愛事に全く興味の無い琥珀は呑気なものだが。


「じゃあな」と短く挨拶を告げた草次は、彼女の待つ歩道目指して歩いていく。

 遠くなっていく2人を、遠い目で見つめる夏彦の肩を琥珀がポンポン。


「分かるか、ナツ。これが持つ者と持たざる者の差やで」

「う、うるさいな! どうせ雲泥の差だよ!」

「雲泥? えらく生ぬるい表現するやん」

「え……、雲泥以上に俺らの差あんの……?」


 ケタケタと笑う琥珀を見てしまえば、月とスッポンさえ生ぬるく感じてしまう格差社会。

 とはいえ、琥珀としては夏彦が持っていようが持ってなかろうが、どちらでも構わない。だからこそ、「独り身同士、仲良くしよや♪」とお馴染みの屈託ない笑顔で、夏彦の脇腹を肘で突く。


「チクショウ……、俺に彼女さえいれば、ドヤ顔で琥珀に自慢できるのに……!」

「そんなことよりナツ。お腹空いたし、マクド行かん?」

「腹減ってるけど、絶対に行かねえ!」




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‐告知‐

今日の夜中か、明日の朝にもう1話投稿します。   ←投稿済み

クリスマス、歯医者の予約しかないし。


『おっぱいを揉みたいと叫ぶ30分前の話』のエピソードは、次のPART5でラスト。

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『おっぱい揉みたい』って叫んだら、妹の友達と付き合うことになりました。3巻書影
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