43話:未仔ちゃんとの甘々デート PART7
イタズラ=キス
少しばかり遠回しな発言が、却って夏彦の感情を激しく揺れ動かす。
夏彦には大きな目標がある。
今回のデートでは、自分からキスをしようという目標が。
夕方の公園ではキスされる側だったが、今回のデートではキスする側になりたい。
未仔からではなく、自分から幸せを分かち合いたい。
今訪れているシチュエーションが、自然な流れなのか違うのかは分からない。自分キッカケではないのかもしれない。
けれど、彼女の健気な問いに応えたい気持ちは強い。
故に、
漢夏彦、寄りかかっていた未仔の肩へと手を回す。
未仔にも決心が伝わったのだろう。ぎこちなく表情を強張らせる夏彦に、優しく微笑むと同時、ゆっくりと瞳を閉じる。
そして、唇同士を重ね合う。
気を緩めると、その場で蕩けてしまいそうな。そのくらい未仔の小さく柔らかい唇の感触が甘く心地よい。
ファーストキスは甘酸っぱいレモンの味。
その味は、相手から感じるものではなく、自分の不慣れさや緊張によるものから感じる味わいなのだと身を持って経験してしまう。
触れ合っていたのは、時間にして1秒か2秒?
もっと短かったかもしれないし、長かったのかもしれない。そのわずか数秒が計れないくらい今の夏彦には、『充足感』と『緊張感』が爪先から脳天まで満たしている。
視線を彼女の唇から表情へと戻せば、
「あ、……えっと、その……」
充足感、緊張感を覆いつくす『照れ』が夏彦に襲い掛かる。
一生の一度の経験だけにカッコよく決めたいところだが、場慣れ不足が出てしまう。「我ながら情けないな」と痛感する。
しかし、
「えへへ……♪ ナツ君からキスされちゃった……♪」
未仔としては毛程も気にならない。夏彦以上に顔を緩ませ、ヤンヤンと左右の三つ編みを揺らすくらいだ。
そんな未仔の喜ぶ表情を見てしまえば、夏彦も安堵するし笑顔も伝染ってしまう。
今一度キスだってしたくなるし、もっと身を寄せた抱擁だってしたくなる。
止めどない愛情表現をしたい夏彦だが、ハッ! ととあることを思い出す。
そう、ここが公共の場、公衆の面前だということを思い出してしまう。
ふと辺りを見渡す。幸いにも、誰も自分たちには注目していなかったようだ。噴水場では子供たちが無我夢中で水を掛け合っていたり、公開収録中のステージでは観客たちが新曲のバラードに耳を澄ませたり、近場にいるカップルや家族たちも自分たち同様、それぞれの時間を楽しんでいたり。
一安心できたとはいえ、先程までイチャイチャと愛を育んでいた身としては、どうしようもなく居たたまれない気持ち。
まだまだ、真のバカップルに身を置くにはレベルが足りないらしい。
それは未仔も同じようで、恥ずかしくも苦笑い。
「ふ、2人だけの世界に入りすぎちゃったね……」
「ははは……。そ、そうだね……」
「次からはもう少しひと目のつかないところで、しよーね?」
「りょ、了解です……」
「「…………」」
互いにテレテレ。
先に恥ずかしさが極限に達したのは未仔。
「~~~~~っ!!! ナツ君、映画館行こっか……!」
瞳はグルグル渦巻き、顔や身体をポッポと火照らせる。夏彦の手を握り締めた未仔は、そのまま庭園の出入り口目掛けて、たったか小走り。
夏彦をグイグイ引っ張る姿は、飼い主をリードごと引っ張る子犬のよう。
大慌てする今現在のほうが、注目されているような気がせんでもないが、そんな姿も夏彦としては微笑ましいし、可愛らしいと思ってしまう。
そんな感情が一瞬で吹き飛んでしまう。
噴水場を横切っている道中、水の掛け合いをして遊んでいる少年たちの容赦ない水攻撃が襲い掛かってきたから。
「未仔ちゃん危ない!」
「きゃっ……!」
未仔をビショビショの透け透けにするわけにはいかないと、夏彦がファインプレー。
寸でのところで未仔を手繰り寄せ、そのまま自分との位置を入れ替える。
結果、
「ナ、ナツ君!?」
「冷てっ~~。ははは……、未仔ちゃんには掛からなかった?」
未仔の代わりに、夏彦がビショビショの透け透け。
運が悪いといえば悪いし、非リア充からの呪いが具現化した一撃なのかもしれない。しかし、愛する未仔を守ることができたし、ファーストキスの余韻もまだ残っている。
ほぼほぼノーダメージ。
そんな余裕たっぷりな夏彦だが……?
夏彦、ファーストキス成功!
すっかり勝ち組です。
( ´Д`)y-~~~
次話、急展開……?
【雑談】
ここ最近は、独りで飲むことが圧倒的に多いです。もっぱら宅飲みばっかり。
酒の肴は、おっぱいフレンズからいただいたメッセージ。
おつまみの提供、いつもあざます。
シガーバーみたいなのもあるし、おっぱいバーみたいなのがあれば楽しいのにね。
ロックグラス片手にウイスキー飲んでると、隣に座るエロ紳士が「君はどんなおっぱいが好きなんだね? 私は――、」みたいな。
翌日、そのエロ紳士が新聞沙汰になっていたり。
「おっぱいバー、駄目じゃねーか」と思ったフレンズは、ブックマーク&評価よろしくどーぞ。ʅ(◔౪◔ ) ʃ





