変態
少女は、小等部4年になる
幸運にも少女は少年と同じクラスだった
学園にも小等部の学園祭に似たモノはある
小等部4年から、学科でクラブ活動が義務付けられる
そして少女は、ある少人数の文化系クラブに所属した
そのクラブ活動で活動報告に近い事を学園祭で行った。
いたって普通の事だ
ただ、それが倫理に反しなかったらだ。
クラブ活動での、文化祭参加は義務ではない
その為、参加・・・
いや、このクラブで文化祭に向けて自主的に活動したのは
少女1人だった
そして、少女は自作のマンガの発売を行った
俗に言う、同人誌の発売会
少女にとっても初めての事だ
友とよべる少年以外に、描いたマンガを見せたこともないのだから。
そして、販売した2つの同人誌
1つは、当時人気だったアニメの主人公とヒロインの薄い本と
1つは、当時人気だった女性向けゲームの男性同士の薄い本だ
端的に言えば、エロ本だ!
そして後者の本は、BL本だ
それも、モザイクなしの
完全描写である!
だが、お客など誰も来なかった。
少女が活動していた、クラスに入ってきたのは
たまたま道に迷い、そして興味本位で
部屋を除いた中等部の女子生徒の3人組だった
同人誌の側には
【自作のマンガです。
ご自由に手に取って読んでください。】
とイラスト付きのホップがあり
人気アニメのキャラクターの表紙や
ゲームの男性キャラの表紙に
興味本位で、手に取ってページをめくる
そこにあったのは・・・・
そして、逃げるように
部屋を後にする3人の生徒。
その後、少女の元を訪れたのは
リーゼントの少年だった。
少年は、少女を笑う
「コレ小等部で売ったら、ダメだろ!」と
だが、少年は、2つの同人誌を10冊ずつ買っていく
「え?観賞用と
数年後、これをネタにからかう為の保存用
それに、マンガ好きの幼馴染に渡す布教用だな!」と
その後、少女の元を訪れたのは
3人の男性の先生である
先ほどこの教室を後にした女子生徒から報告を受けた先生が訪れた
そして、少女の同人誌は、全て没収となる。
そして、少女は自宅謹慎
後日、両親と共に学園を訪れる
そして、両親のことがバレる
男性の若い先生達にとって【FACT】は伝説的なエロゲである
そのシナリオと、キャラデザの先生が2人となれば
少女を見る目が変わるというものであるが
エロゲをしない先生や、【FACT】を知らない先生からすれば
小学4年の生徒が、両親の影響とは言え
こんな・・・を描く事自体が許されない事である
今後、今回のような事が無いようキツく叱られ
今回の事は終幕を迎えるはずだったが
どこからともなく、話は漏れる
それは、とくに歳の近い少女達に一気に広がった
そして、少女は白い目で見られ、迫害を受ける事になる
少女にとって、それは想定内でもあった
わかっていて行った事でもあるのだ
ただ、救いだったのは少年の態度は何も変わらなかった事だった。
時間は経過し少女は5年生となる
リーゼントの少年とクラスが別れる。
そして・・・文化祭で
少女は再び、暴挙にでる。
リーゼントの少年は数人の友人と共に、少女の元に足を運び
少女を笑いながらも
少年達は薄い本を購入するのだった。
この時、少女と少年、その友人のいる場所に
先生が乱入する!
同人誌は取り上げられ
少女は再び叱られる事となるが
その時、リーゼントの少年が先生を殴り飛ばし
1つの大事件となった・・・。
夏休みに入る頃
少女に少年から1本の電話が来る
「同人誌の販売会とか、興味あるか?」と・・・
少女は、同人誌の販売会に行かないか?と理解し二つ返事をするが
「なら、今週中に新作の同人誌のデータをくれ」と、そして
「本名は、色々とまずいから、ペンネームも考えとけよ!」と
半分強制的に、話を続けられ
少女は断る機会を与えられず、電話は切られた。
R-18の同人誌販売会
当然、少女の年齢では参加は出来ないが
少年が色々手回しし
ある男性が販売代理人と言う形で登録を行う事となった。
当日、リーゼントの少年の知り合いと言う
ザ・サラリーマンと言う姿の
髪型を7:3に分けたメガネの男性が現れた。
本来なら、少女はR-18を含む同人誌販売会に入れないが
コスプレして呼び込み兼、売り子としてなら
会場に入れると聞き、それを少女は承諾した
メガネの男性が準備した、数着の衣装のの中から
同人誌に描いた女性キャラの衣装を見つけ
それを選択すると、数人のスタイリストらしい3人の女性に囲まれ
少女は自分では無い姿に変身させられる。
ある、そっち系の本屋の一角で行われた販売会
出品ブースは13組
少女にとって初めての事である
すでに、ブースはあり
全ての準備を、メガネの男性が終わらせていた。
これが少女の、同人エロ漫画家としての、デビューとなる
今年の文化祭で出した、2冊の薄い本
そして、新作の3冊の薄い本
計5冊・・それぞれが、1000冊と言う量に
少女は驚くのだった
少女は、新作の3冊を、それぞれ100冊も刷り
それも、それぞれが50冊も売れれば・・・と思っていたからだ
他のサークルも
初めて参加する、ブースに興味津々である
少女の事は秘密の為
作家は不在、委託販売という形をとっている
マンガとしては、及第点・・・の評価だが
その画力は、プロ顔負けである!
表紙の1枚絵のイラストなど
父親譲りの完璧な仕上がりである。
初・即売会で、いきなり噂になっていく
姿無き新人の同人漫画家。
作者の窓口兼、マネージャーと化した、メガネの男は
対応に追われ、少女はコスプレのまま、売り子として働く
初めての事尽くしに、人見知りなどしている暇はかった。
少女は、初めての【コスプレ】と
少女もよく知る、大手のサークルもあり
異常な雰囲気の即売会に、少しテンションも上がる。
小さなR—18の即売会
コスプレ女性は居るが
コスプレ少女となれば珍しい上に
どうみても、一定年齢に達していない少女に
他サークルの人間は、とても優しく
色々声をかけられたり、差し入れを貰ったのだった。
お昼を過ぎ、2時を回ろうとした頃
会場の雰囲気が一変する。
大手サークルも参加し、ネット、SNSで拡散し
それなりに、お客も多かったが
マンガ好きな、一般人から
見た目でオタク系と分かる人間が出入りするなか
1組みの、とても若いカップルらしき人物が顔をのぞかせた。
その1人
この場に似合わないだろう年齢の少年だが
子供ファッション誌から抜け出たほど
みなりをキメ、目立つほどに、カッコ良く
他人の目など気にせず堂々と歩く
いや、洗礼されたその歩く姿は気品すら感じさせる
まだ子供ながらその優雅さは、見るものを圧倒した!
もう1人
少年より年上だろう女性
薄い紫の綺麗な髪をなびかせ
シックな洋服で着飾る美少女である。
何時もなら、男たちの視線を集める美少女だが
そんな美少女が
エロ本の即売会に現れれば
男どもは、視線を外し
手に持ったエロ本を隠し
女性に対し背中を向け
ささやかな抵抗を試みる。
ザワザワと、雑音がしていた即売会が
一瞬にして静寂となり
道を開けるように
モデル雑誌から抜け出たような2人の前から人が居なくなる。
その光景に少女は驚く
いや、その場の全員が驚いただろう!
そして、少女は更に驚いた!
突然現れた、場違いな2人は
脇目も振らず、少女に迫る勢いで歩いてくるのだ!
そして、少女のいるブースの前に来た少年の発した言葉は
「おい、メガネ!
なんで、ここにいる?」
「これも、仕事の1つですから」と
カッコイイ少年とメガネは知り合いであった
2人はしばし、言葉をかわすと
「それで、先生はいないのか?」
ドキっとする少女
少女は自分では冷静を装うが
少女の心臓は張り裂けそうなほど鼓動する
一瞬、少年の視線が、少女に向くが
気にすることなく、すぐさま視線を外す
メガネは少女を庇うように
「先生は居ませんよ
ペンネーム以外秘密とさせてもらってますので」
そのまま、にらみ合いをするも
考え抜いただろう、少年の言葉は
「メガネが、あとで同人誌にサインとかもらってくるとか・・・」
「無理です!」
「・・・
この偏屈メガネ!
てめぇ・・・あとで覚えておけ!
リーゼントとも、リーゼントもだが
なぜ!おしえねぇ!!!」
「あなたの、日頃の行いが悪いからでしょう」
「け!!!!
もういいや、ねぇちゃん!
コレ全部5冊ずつ売ってくれ!」
モデル顔負けの少年は
背後の美少女にも
異物を見るような、オタク達の視線も
何者にも一切臆することなく
少女の同人誌を、嬉しそうに買い込み
その後、残りの12ブース全てを周り
全ての同人誌を1冊ずつ買い
何事もなかったかのように
会場をさっていった・・・。
後に少女の問に
メガネは答える
「アノ【変態】の事は、忘れてください
覚えていても、良い事など1つもありませんから」と・・・。
この即売会の後
ある出版社から、メガネを通して連絡が入る・・・
いや、メガネが手を回したのであるが
少女は、その事を、リーゼントの少年に相談する
少年は躊躇いもなく笑うように少女の背中を押した。
少女は、再び名前を変え
ある月刊誌で連載を始めると
連載すぐ、人気に火がつき
人気漫画家なっていくが・・・。
少女は、決められた内容で連載していく商業誌も好きだが
好き勝手描ける同人誌もやめられず
年2回ある日本最大の同人誌販売会に参加する
もちろん、R-18の薄い本で参加である。
少女は年齢が達していないこともあり
コスプレでの売り子として参加となる
そこで出会ったのが【サマーアイズ】と言う
同年代の、コスプレ仲間であり
何度かコミフェスで顔を合わすことで
彼女の情報網から少女が
同じ学園に通い、そして同級生でもあり
漫画家だと知られる事となった。
そしてもう1組と表現できるのだろうか?
販売会に参加すると
必ず現れる場違いと言える姿の
ひときわ目立つ少年と
少年の後ろに存在する美少女
2人が来るたびに
少女は、メガネの男に隠れるように言われ
隠れて、2人を観察するのだった。
あの時の即売会以来顔を合わせてはいないが
少女の記憶に少年は強く刻まれていく
それは【心の師】であるリーゼントの少年と知り合いと言うのが大きいが
販売会で見る度に
大きく成長し、他を圧倒するオーラを発する少年
その少年の、人間としての何かが噛み合わない在り方に興味を抱いた。
そして、何より
少年の後ろに立つ薄紫の髪をなびかせる美少女
視線と心を奪われるほど美しい女性ではあったが
初めて彼女の姿を見た時から
その姿をほぼ変えていない・・・
そう、人間観察を得意とする少女の目にも
初めて見た時から
年齢を重ねたように見えなかった
そのうえ、人間観察を得意とする少女が
その人間性を全くと言っていいほど観察出来なかった
数少ない存在でもあったのだった。