6月17日。自室にて。
ハローワークに行った日から3日が過ぎた。数社申し込んだがまだ反応なし。これはもう一度ハローワークに行くべきか。
そんなことを漫ろに考えているとき、不意にスマートフォンの着信音が鳴った。
不意を突かれた。知らない電話番号、これはどこかの会社だ。一呼吸。着信に応答。
「もしもし、失礼いたします。NPO法人『アフタースクール』の甲斐原と申します。松野さんのお電話でお間違いありませんか?」
女性の声だ。語尾ははっきりと発音されていて、電話口でも聞こえやすい堂々とした声している。教育者の理想とする発声である。
「はい、松野と申します」
「今度は有償ボランティアへのご応募ありがとうございます。つきまして、弊社の面接にお越しいただきたく存じます。早速ですが、6月19日。明後日、土曜日の15時から16時にご予定はありますか?」
「えぇ…。予定はありませんので結構です。」
「ありがとうございます。場所はご存知ですか?」
「はい。建山駅を南に少し歩くと見えるビルですよね。」
「そうです。6月19日の15時に『アフタースクール』の教室にてお待ちしております。当日は生徒の利用する出入り口からお入りください。急なご連絡失礼いたしました。本日は甲斐原がご連絡差し上げました。ありがとうございました。失礼いたします。」
「し…失礼いたします。」
ガチャ
ツー…ツー…
風雲急で面接が決まってしまった。ここまでスムーズなのは初めてである。
しかし、2日後に面接があるというのも急な話である。あまりの勢いの良さについ了承してしまったが、これから履歴書など諸々の書類を用意せねばならない。あー面倒だ。
いっそ掛けなおしてこの面接を断ろうかと思ったが、面接を受けておくだけで保険金制度は継続申請できるので、気は進まないが2日後に備えることにした。
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