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人間嫌いの俺が人間の為に一肌脱ぎます  作者: ゆうやん
第一章 少年時代
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両親の思い

 男が居なくなった途端静寂が訪れる。


「レヴィー!!」


「よくやった。みんなもご苦労さま。」


「レヴィーに褒められた。」


「今日はぐっすり眠れるー。」


「引き裂きたかったなー。」


 ……最後のは聞かなかったことにして家に戻る。

 玄関の前で放心状態の父と、全てを理解し怒った顔をしてる母が待っていた。


「レヴィー、何か言うことは?」


「悪い人を退治したよ。」


「違うでしょ!!どうして一言お母さん達に話してくれなかったの?」


「……ごめんなさい。」


「レヴィーに何か起きてからじゃ遅いのよ。」


「でも上手く行った。」


「結果なんてどうでもいいの、私たちがレヴィーに何かあったらと心配する事は考えなかったの?」


 諭すように言いながら母は泣きそうな顔をする。

 そうか、俺は精霊や両親が危ないと思って行動したが、両親にとっては俺が危ない目に遭わないか心配で心配で気が狂いそうになっていたのか。

 昔の俺は両親の事すらうざいと思って過ごしていた、だから両親の気持ちなんて考えたことも無かった。

 だからこそなのだろう、今回の様に両親を心配させてるとは考えずに行動してしまったのは。


 今は昔とは違う、心の無い言葉で心配してるふりをしてる両親は居ない。

 本気で俺のことを心配してくれてる両親がいる、その事を忘れてはいけない。

 そう思うと自然と涙が出てきた。


「うっ……ご、ごめん、なさい…ひぅ…」


「泣かないの、お母さんたちはレヴィーが¥のことを心配しているって事を忘れないでほしいのよ。」


「う、うん……今度から心配かけないようにする。」


 母の胸の中で落ち着くまで暫く泣いた。

 その間、母は優しく頭をなでてくれていた。


「……」


「レヴィー、落ち着いたかしら?」


「うん、もう平気。」


「そう、それならよかったわ。」


 顔を上げ母に笑いかける。

 その顔を見て安心したのか優しく笑いかけてくれた。

 と、そうだ……


「ところでおかーさん。」


「なに?」


「おとーさんをあのままにしておいて良いの?」


「きゃあーー!貴方ーーー!」


 母は慌てて父の所に向かい治癒魔法で精神治療をしだした。

 それを見て今度は心から笑いがこみ上げてきて盛大にその場で父が戻ってくるまで笑い続けた。




 そんなこんながあり、数日後俺たち家族は近くの村までやってきた。

 今日は精霊との契約をする大事な日だ。

 そう、俺の誕生日でもあるのだ。

 契約の儀はお昼の日が一番高く上った時間に教会で行うらしい。

 なので今は教会へと足を運んでる最中だ。


「レヴィーはどんな精霊様が契約してくれるのでようね。ね、貴方。」


「そうだな、きっと上位精霊様じゃないかな。」


「ふふ、貴方それは大げさよ。でもそうね、レヴィーならもしかしたらありえるのかもしれないわね。」


 と、前方を歩く両親が俺にどんな精霊が契約してくれるのかと楽しみにしながら話しをしている。

 そう言えばレーナスも今朝から姿を見ないなと考えながら両親の後ろを着いて行く。

 昨日レーナスが明日は一緒に行けないとは言っていたが、まさか朝から顔を出さないなんて何処に行ったんだろう?

 頭をひねりながら考えていると両親の足が止まった。


「レヴィー、教会に着いたぞ。」


「ここからはお母さんたちとは別行動になるけどしっかり出来るわね。」


 そういい残し両親は教会の脇道に入って行く。

 どうやら神父と話があるようだ。

 そうなると俺は教会の正面から堂々と入ればいいのかな?

 などと考えていると後ろから声をかけられた。


「あら、あなたも精霊様と契約しに来たのかしら?」


 幼い女の子独特の少し高めの声でいて何処となく威圧感のあるしゃべり方だなと思い後ろを振り返る。

 そこには真っ赤に燃え上がる炎のような紅い髪を持ち、正反対な澄んだ青い大きな瞳が特徴的な可憐に着飾った可愛らしい少女が居た。


「そうだけど君はだれ?」


「私?私はロロナ=へレンツよ!よろしくかしら。」


「僕はレヴィー=ケルキュ。こちらこそよろしくね。」


 手をさし伸ばされたから同じく手を出し握手をする。


「レヴィーね。あなた女の子なのかしら?声は男の子みたいだけど。」


「違うよ、僕はちゃんと男だよ。」


「あらそう。それはごめんなさいね。綺麗な髪をしているし、名前もレヴィーって女の子に付けるような名前でしたからつい。」


「気にしてなからいいよ。」


 少し微笑みながら平気だよとアピールしたらなぜかロロナは顔を赤くして俯いた。

 どうしたんだろうと思いながら居ると、早く教会に入りましょと急ぎ足で翔るロロナに引っ張られ思考が中断されたのだった。

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