自分の正体
今回は少し短いです。
「ロロナちゃん!」
ロロナの姿を見つけたレーナスは一目散に彼女の元へ飛んでいき周りに居た男たちを吹き飛ばした。
「大丈夫!」
「レ、レーナスちゃん……うえぇぇぇん!」
ロロナは安心したのか大粒の涙を流し泣きじゃくる。
「レヴィーこれって。」
「ケルシー、あれが俺が言った話し合いも通じない人間だ。」
俺は周囲に警戒しながらケルシーに言う。
「……レヴィー、ぼくは心の何処かに話せば皆分かってくれると信じていたみたいだが間違いだったと気が付いたよ。アレは全員殺さないといけない存在なんだね。」
「そうだ。」
「そっか。」
ケルシーは覚悟が決まった顔をする。
どうやら迷いが消えたようだな。
それを確認して俺は歩いてロロナの元に行く。
その後ろをケルシーがついてくる。
「酷くやられたな、ロロナ。」
「レヴィー……」
泣きながらこちらを見てくるロロナの顔は思いっきり殴られた様で右頬がはれ上がっていた。
「これでも羽織っておけ。」
俺はしゃがみながら上着を脱ぎロロナに着させる。
そして殴られた場所を治癒魔法で治す。
「痛みは消えるが今の俺じゃ完全に治すことはできないから少し我慢してくれ。帰ったらガラールフに治してもらおう。」
「うん……うん!」
レーナスにしがみつきながらロロナは何度も頷く。
「さて、お前ら覚悟は出来ているんだろうな?」
俺は周りに居る男たちを睨みながら立ち上がる。
人間嫌いの俺がロロナの今の姿を見てこんな感情を持つとはな……
「はッ!餓鬼が増えたところで大人の俺たちに何が出来るんだ!」
リーダーと思わしき男がニヤニヤした顔で近づいてくる。
「お前たちは本当にクズだな。」
「何か言いましたかぁ?」
男は俺の前に来てからかう様に手を耳に当て聞こえなかったようなフリをする。
「レーナス、ケルシーとロロナを頼む。」
「レヴィー、無理はしないでね。」
「安心しろ。」
俺はそう言いながら目の前の男に軽くエアーの魔法をぶつける。
「ぐはっ!」
男は吹き飛び近くに有った木箱の山に突っ込む。
「今の俺はかなりキレてるからな。」
その瞬間また内側からどす黒い何かが渦巻く。
そしてまたあの声が聞こえてきた。
殺せ。
コロセ。
コロセコロセコロセコロセコロセ!
っと……
俺はその感情に身を任せるようにしながらも自我を失わないよう気を付ける。
このどす黒いものが何かが分からない以上完全に身を任せるのは危険だろう。
だが利用できるなら利用する。
そうして真っ黒な魔素を周囲に漂わせながら俺は木箱に突っ込んだ男に近づく。
「さっき餓鬼が増えた程度で何が出来ると言ったな。」
男の髪を掴み引き摺り出す。
そして右手に肉体強化と速度上昇と風の刃を付与する。
「お前たちを皆殺しにするぐらいは出来るんだよ!」
そして男の右頬を思いっきり殴る。
一瞬にして男の頭は粉々に砕けいろんなモノを周囲にぶちまける。
一瞬の出来事に他の男たちは何かが起きたか分からない様子でその場に立ち尽くす。
そんな中一人だけ笑いながら拍手をする人物がいた。
「素晴らしい!素晴らしいよ、まさかこんな事があるなんて!」
フードを深く被った男がこちらに近づいてくる。
「まさかこの場に聖女の子と魔王の血を引く者が居合わせるなんて!こんな素晴らしいことが有るのだろうか!いや、無い!」
「誰だお前は?」
「おっと失礼、俺はギルル。魔族です、どうぞ宜しく魔王の血を引く者よ。」
ギルルと名乗った男は手を指し伸ばし握手を求める。
しかし俺はそれどころではなかった。
俺が、魔王の血を引く者だって?
何を言われたのか理解できず俺はその場で固まるのだった。
読んでいただいて誠にありがとうございます。
よろしければブックマークや評価をしていただくとすごくうれしいです。




