二次試験【後半】
筆記試験を終え待機室のレーナス達とたわいもない話をして時間をつぶしてたらロロナがこちらに向かってくるのが見えた。
「お疲れ様。」
「レヴィーもお疲れ様。」
労いの言葉を簡単にかわしてロロナは空いていた椅子をこっちに持ってきて座る。
「レヴィーって頭良いの?」
「いや、普通だと思うけど。」
「あの試験の本当の目的は知ってるかしら。」
「知らないよ?」
「あれは魔法制御の試験なの。試験官にいかにばれないよう回答を知ってる人の解答用紙から盗み見る事ができるかってものなの。」
やっぱり俺が考えてた試験内容と合ってた。
「それなのにレヴィーは誰よりも早く終わった。魔法を使って盗み見していた事がばれて退場ではなく、すべて回答してね。」
「たまたま本で読んだことがある内容だったからだよ。運が良かったとしか言えないよ。」
「いえ、それで説明できない問題が何個かあったわ。」
その言葉に内心舌打ちをした。
確かに知識として知っていたでは納得させることができない問題が何個かあった。
一門目の問題もそう、知識でどうにかできる問題ではなかった。
もしも本に同じ魔法陣の演算法が載っていたとしていても計算式は解答用紙まるまる一枚使う程の量だ。
それを自力で解答したとなると知っていたでは済まない。
「ねえ、答えて。レヴィーは一体何者?」
得体のしれない存在に出会った不安にも似た瞳でこちらを見てくる。
ただの魔素量が多い頭の良い少年と思いたい。
そんな願望が入り混じった感じだろう。
「記憶力が良いのは確かだよ。でもそれだけ、それ以外は魔素量がほかの人より多いってだけの少年だよ。」
ロロナの目をまっすぐ見て答える。
しばらく見つめあう形でお互いを見ていたがロロナが諦めたようにため息を吐きだす。
「良いわ。今はそういう事にしておいてあげるわ。」
「うん。」
これ以上は無意味と思ったのかな?
実際俺は転生者ってだけでそれ以外はこっちの世界に来てからの努力で培ったものだ。
好きで本を読み漁り、面白そうなものはすべて試して、分からない事はとことん答えが分かるまで追求した結果だ。
天才ではない、それは他でもない自分が一番知ってる。
「ロロナも他の受験者よりも早く終わってるから頭が良いんでしょ?」
「わたしも知っている問題があっただけよ。それ以外は解答を知っている人が書き終わるまで待っていただけ。」
「そっか、それでも他よりも早く終わってるって事はすごい事だと思うけどな。」
「それ嫌味?」
「純粋な賞賛だよ。」
「レヴィーに言われると嫌味にしか聞こえないけど。」
「ひどいなー。」
「ふふっ。」
「レーナスどうしたの?」
「二人とも仲がいいなと思って。ちょっと嬉しくなっただけ。」
「そうかな。」
「そうよ。レヴィーとロロナちゃんは仲良し。」
そう言われても俺としては一人で居ることを望んでいるからどう反応していいのか困る。
きっとロロナもこんな俺と仲が良いと言われて迷惑だろう。
そう思いロロナを見ると少し顔を赤くしてる。
どうしたんだろう、頭を使ったから知恵熱が出たのかな?
「ロロナ大丈夫?」
「ほえ!?あ、うん、大丈夫。」
「それならいいんだけど。まだこの後に面接と模擬戦が残ってるんだから無理しないほうがいいよ。」
「うん、でも本当に大丈夫だから気にしないで。」
ロロナ自身そう言うなら大丈夫なんだろう。
「こうだ、これでも飲んでおいたら。」
少ししか飲んでいないコップに入った水を渡す。
「ありがとう。」
ロロナはコップを受けとって飲もうとして手が止まる。
「どうしたの?ただの水だよ、変なのは入れてないよ。」
「あ、うん。」
「レヴィーって鈍いのかな?」
「どうなんでしょね。でも、今のこの状況を理解してないのを見ますと鈍いのかもしれませんわね。」
後ろでレーナスとドリアドが放っておくか。
しかし、ロロナは何で飲まないのかな?
少し考えてふとある考えが浮かぶ。
「もしかして、僕が飲んだやつだから?それなら新しいのを持ってきてあげるよ。」
ロロナからコップを回収して新しいのを持って来ようと席を立つ。
「あ!待って、それで良いから。」
「?」
少し慌てた様子で止めてくるロロナに疑問を覚えつつもコップを渡す。
俺が飲んでいたコップだから嫌で飲まないでいたと思ったから変えようと思ったのだが他に何か理由があったのかな?
「これは完全に分かってな様子ですわね。」
「レヴィーの鈍さは昔からだから。」
「レーナスも苦労してますわね。」
「私は……」
「あ……すみません。」
さっきからレーナス達が何か話してるけど聞こえないから内容が分からない。
まぁ、なんでもいっか。
「少し落ち着いた?」
「うん、ありがとうね。」
さっきより顔を赤くしているロロナにお礼を言われてもなぁ……
「本当に大丈夫?きついなら試験官に話してこようか?」
「ほ、本当に大丈夫だから!」
「お、おう。」
ロロナの勢いに少し驚いたが元気そうだから良いのかな?
「レヴィーのバカ……」
「何か言った?」
「何にも言ってない。」
プイっとそっぽを向かれてしまった。
俺何かしたかな?
「駄目だねこりゃ。」
「ですわね。」
レーナス達はため息を吐きながらやれやれと言った表情で首を振っていた。
その後、少ししてから他の受験者達が筆記試験が終わったのかぞろぞろと待機室に入ってきた。
そこから順番に名前を呼ばれ面接が始まった。
質問内容は簡単なものばかりだった。
どうしてこの学園に入学しようと思ったのかとか得意な魔法は何かとかといった内容だ。
質問に無難な回答をし面接を終える。
「終わった?」
「うん。」
「そっか、そうなると次は。」
「いよいよ模擬戦だね。」
そう言い俺たちは模擬戦が行われる会場に向かったのだった。




